新年あけましておめでとうございます。
庄名泉石(しょうな・みついし)です。
昨年はFANBOXを開設できて、様々な方に見ていただき
また、多大なご支援をいただいて……
ダイレクトに”応援されてる”と実感できるのが、
自信を失いがちな今の自分にとって、とても力になっています。
本当にありがとうございます。
少しずつ活動を広げていますので、
本年もどうぞよろしくおねがい致します!
さて、今年1回目のショートストーリーなのに
さっそく怠け者が登場したようですが……?
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『 小瑠璃の怠惰なお正月 』
朝陽が登るまで、あと少し。
「小瑠璃」
おにーさんが僕の名前を呼ぶ。
「こっちを向いて、ほらにっこり笑って」
僕はあくびをかみ殺しながら、前半だけに素直に従う。
それが一番望み通りになる最短の道だって知っているから。
僕は僕の顔のいいところをよぅく知っている。
孤児院のたくさんの子供たちの中で、僕は最も頭が悪くて、最も運動もできなくて、最も怠惰だった。
そんな僕でも、おにーさんみたいな大金持ちにひきとられることになったのは僕が「美少女」というやつだったからだってことを。
「ほら、そんな不機嫌そうな顔しないで」
でも。
だからって。
「小瑠璃ぃ」
情けない声で呼んだからって、知るもんか。
新年だからって、知るもんか。
新しい年が明けたなんてどうでもいい。
僕にとってはいつもの一日。ただそれだけ。
僕は怠惰に過ごしていたい。働きたくない。学びたくない。
そんな願いを叶えてくれる、サイコーのおにーさん、だったはずなのに。
「僕、山登り嫌いだもん」
「ごめんて」
近づいてきたおにーさんに、わしゃわしゃと頭をかき混ぜるようにして撫でられる。
「僕、眠いし」
「うん」
そんな顔してみないでよ。
「僕、おなかすいたし」
「うん」
ぐうぅ。
ちょうどよく鳴る僕の便利なお腹。
「僕、動きにくい服好きじゃない」
「うん」
ああ、これはだめ。
だって、僕が衣食住に困らずにいられるのは、おにーさんがただの孤児だった僕を養ってくれているから。
その代わり、おにーさんは時々こうして僕を着せ替え人形みたいにして遊ぶんだ。
「最後に一枚だけ。な?」
なのにおにーさんの腰は低くて、僕は呆れてしまう。
もっと強く言えばいいのに。
従わないなら追い出すぞ、なんて言っちゃえばいいのに。
「日の出を背に、俺の最高傑作の着物を着た小瑠璃をカメラに収めたいんだよ」
おにーさんの財力なら、他の子だったらきっと喜んで従ったよ。
綺麗な着物を着せられて、写真を撮らせて、ハイチーズ!
それだけで普段は好き勝手暮らせるんだから、最高の生活だよね。
「一枚だけ?」
「一枚だけ」
僕はだめ。
僕の優先は、なによりも怠惰であること。
綺麗な服なんかいらない。奇跡の一枚の写真なんていらない。
僕はただ、のんべんだらりな生活がしたいだけ。
夜明け前から着物を着て山に登るなんて、死んでもごめん。
だったのにね。
「じゃあ、抱っこして帰ってくれる?」
「う……それは機材がさぁ……?」
ふふっ、と思わず笑ってしまったところにシャッターが落ちた。
あっ、と僕が驚くけれど、おにーさんはとっても嬉しそうだ。
確かに、きれーな着物だけどね。
着物だけど、袴を下に履いてるせいで歩きやすさはあったけどもね。
「ね、僕を抱っこして帰ってくれる?」
「わ、わかったよ」
背中から、ぼんやり明るくなっていく気配を感じる。
僕からすれば、いつもと同じ朝。
でも、おにーさんからすればきっと、清々しくて眩しい新しい年のはじまり。
ふわぁぁ。
でも、そんなのどーでもいいよ。
「おっ、いいな、小瑠璃、その顔!」
一枚だけなんて真っ赤な嘘。
僕が大きなあくびをしているところを、気づいたおにーさんは満面の笑みでシャッターにおさめている。
変な顔をしているところがいいの?
呆れたけど、ま、いっか。
あけましておめでとう、おにーさん。
今年も怠惰な、僕をよろしく。
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絵:庄名泉石 文:柊ユーリ
文章を担当してくれている、ユーリちゃんの「うちの子」、
小瑠璃(こるり)ちゃんと言います。
このゆるさと話し方がとっっってもかわいくて、ぜひにと描かせてもらいました。
また描きたいな……!!
「うちの子」リム・リリーも描きたいな。
マイペース更新になりますが、やりたい事はたくさんあるので、
末永くお付き合いいただけると嬉しいです。
よろしくおねがい致します!
2022年1月1日 庄名泉石
町っこ
2022-01-08 16:38:39 +0000 UTC