遮るものの無い広大な空を、宇宙の群青から黄昏の檸檬色にかけて夕陽がグラデーションになり落ちていく。地平線の彼方には、偏光した太陽光線を照り返して見る者の眼を焼く、水銀色の浮遊都市が入道雲を割っていくのが見えた。
この世界では、空に生まれるものが死する時には宙に流して葬送し、地に生まれるものは一生地を這い、最後には親から受けた名を土に諡られる。厳然たる掟が別つ大地と空の間隙を射貫くように、彼方の都市を見つめる青年が岩塊の台地に立っていた。
青年の衣服と呼べそうなのは腰に巻いた布一枚きり。彼と彼の一族の来し方を示す原始の紋章がタトゥーとなって、筋肉で鎧った肌を覆っている。──それは返り血で濡れていた。すぐ傍には、辺りに生息する角竜が首を裂かれて息絶えていた。
冷気を含み始めた風が血を乾かしていくが、彼は寒さに身を屈めることもなく、幼さの残る顔で野卑に笑って独り立つ。髪に挿した鋭角の薄刃のような装身具と、同じ型の金物を綴った首飾り。それに手に携えた二本のナイフ......大いなる燐光石から作られたそれらの所持品が、彼が辛うじて文明を継いでいる人間であることの証明となっていた。
青年は、ナイフの薄い刃を夕日と浮遊都市に向けて翳す。血で濡れた燐光石の刀身は、赤い光を薄く吸って帯び、更なる紅に染まっていた。
──それは彼の目指すところ、彼方の浮遊都市の外装が照り返す色によく似ていた。
文章:wa_m
イラスト:ふろおけ
ご無沙汰してます!ふろおけです。
実は6月初頭に、有り難いことに日頃から仲良くして頂いてる方々と、
モチーフからイメージしたキャラクターを作り上げるという課題をやってました。
一人ひとりが持ってきたモチーフ(物でも動物でも)をルーレットでランダムに決定するんですが、今回の自分の担当モチーフが【ヘアピン】で、諸々の過程を経て爆誕したのがこちらの青年であります。
おわかりいただけただろうか……。
色々な部分にヘアピン要素がブチ込まれています。
トライバルタトゥーもよく見るとヘアピン型です。
そんなタトゥーデザイン(肩、腕、脇腹部分、脚部分)はwa_mさんにご協力頂きましたッッッ!!!!感謝ァッッッ!!
それでもって更にですよ、wa_mさんには登場シーンの文章まで頂いたんで、先日深夜テンションで夜なべをしていた次第です。 色が、世界が見える……見えるぞ!!!!
……というわけで、そのまま昂ぶっていたテンションでFANBOX用に描きました。
貫かれてる絵1枚+もろチン差分1枚です。