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新年は闘乳と共に 下【笹原の宿】

荷物を部屋に置いた園田と合流した私たちは、奇妙な雰囲気の中、旅館を出て歩き出した。 Kカップの女2人が並んで歩いているという光景は、胸が大きな女性が多く集まるこの温泉街でも滅多に起こらない光景らしい。すれ違う通行人はもちろん、売店を経営する商人たちも物珍しそうな表情で私たちの胸を凝視している。 「それで、どこに行くの?」 私はそう尋ねた。潰し合う関係になる以上、敬語はやめようということになっている。 「この街に来た時に決まって行く和食屋さんがあるの。そこでどう?」 「いいわね」 「じゃあ決まり」 傍から見れば、私たちは友人関係に見えているのだろうか。さっき出会ったばかりで、今日の夜にお互いに潰し合う歪な関係だというのに。できることならいますぐにでもどっちの乳が強いのか証明したいところだが、女の決闘は夜に行うものと決まっている。今は仮初の笑みを浮かべながら、相手を知ろうじゃないか。 園田が案内した和食屋に到着し、私たちは向かい合って席に座る。天丼がオススメというので、2人揃って天丼を注文した。 運ばれてきた水を一口飲んで、園田は切り出した。 「それじゃあ、闘乳自慢でもしようか」 「え?」 思わず聞き返した。自然に切り出してきたが、それがこの場で語る雑談の類として異質なのは明らかだった。 「今までにどんな乳を潰してきたかを自慢し合うのよ。相手を知る方法としてはこれ以上ないでしょう?」 闘う女同士じゃなければ成立しないコミュニケーション方法。つまり私たちにはピッタリということか。 「・・・・面白そうね。それじゃあ、先行は譲ろうかしら」 「いいわよ・・・・そうね。それじゃあ、去年あった闘いを話そうかしら」 そう切り出した園田は、あの頃の興奮を思い出すように妖艶な笑みを浮かべて語り始めた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その日、私はひとりで旅行に出かけていたわ。笹原の宿にもそうだけど、基本的に旅行はひとりでするタイプなのよね。特にスケジュールも決めずに、自由に動くのが好きなの。 その時に訪れたのはF県で、あそこには綺麗な砂浜があるの。夏場で観光シーズンというのもあって、水着の人で溢れていたわ。でも私は遊びに行っていたわけじゃなくて、仕事用の写真を撮りに行っていたの。仕事兼趣味って感じね。 人込みを避けて綺麗な海と砂浜だけが撮れるような場所を探している内に、私はどんどんとビーチの奥の方へと入っていったわ。ごつごつとした岩山が増えてくるし、砂浜もどんどんと流木やらゴミやらで汚くなっていった。これは流石に写真では使えないなと思って引き返そうとした時、ひとりの女に出会ったの。 水着姿の女は、岩山に座ってただ海を眺めていたわ。なんだか暗い印象の長い黒髪の女だったけど、胸が大きかったの。たぶん、Jはあったわ。あっちも私のことに気付いて、無視するのも気まずいし、女の大きな胸が気になったから、ちょっと話をすることにしたの。 女は、人込みは嫌いだからゆっくり海を楽しめる場所を探していたらここに辿り着いたって言ったわ。そして、自分の胸を目当てに男たちが寄ってくるからそれが嫌になったとも言ってた。その気持ちはわからなくはないけど、なんだかそれが自慢するような言い方だったから、私は少しムッとしたわ。 あなたもわかるでしょうけど、胸が大きな女は、多少の差はあれ自分の胸に誇りを持っているものよ。その女も例外じゃなかった。男たちから好奇の目を向けられるのがめんどくさいと言いながら、内心では自尊心を高めているに違いないの。でもね、ただ大きさだけに惹かれる男とは違って、女は胸の強さにもこだわる生き物よ。胸の大きな女が2人揃えば、そこは戦場になる。闘いは避けられないわ。女は自慢話をして、遠回しに私に喧嘩を売ったのよ。 私も自然な流れで自慢話をやり返したわ。男が寄ってきて困る。昔には男たちが私を取り合ってトラブルが絶えなかったって。あくまで困ったように言いながら、自慢したの。そしたら女も私もって言い返してきて、私たちは過去に自分の胸が原因で起こった大きなトラブルを自慢し合ったわ。そうしていく内にスイッチが入って、次第にどっちの胸が大きいかって話になった。まあ、そりゃそうよね。 私は、私の方が大きいって言ったわ。相手の女の胸を水着越しに見て、客観的にそう思ったの。でももちろん相手の女は納得せず、私に服を脱げって言ってきたわ。それじゃああなたも水着を外しなさいって私が言い返して、私たちはトップレスになって乳を重ねたわ。 結果は歴然だった。私のKカップの方が、どう考えても大きかったの。でも女は納得しなかったわ。そう。さっきも言った通り、大きさだけを見る男と違って、女は胸の強さにもこだわる。だから、どっちの胸が強いか闘乳で勝負するってことになったのは、自然な成り行きよね。 誰もいないビーチの奥で、私たちは乳をぶつけ合ったわ。どれだけ叫び声を出しても誰も助けに来ない、絶好の場所だった。ぶつけ合う内に砂浜に足を取られて、抱き合いながら海に入ったりもしたわ。まあまあ苦戦したけど、もちろん勝ったのは私だった。ミクルがぽたぽた落ちて萎んだ女の胸は、とても面白かったわ。その女の泣き顔もね。その姿を写真に撮ったの。後で見せてあげるわ。 去り際、私はこう言ったわ。 よかったわね。これで男が寄ってくることはなくなったわよ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私は出版社で働いてるんだけど、担当になった作家さんの取材に付き合うのも、仕事の一つなの。私はある男性作家さんと共に、二泊三日で地方に取材旅行に行くことになったわ。 その男性作家さんはとても面白い作品を書く人で、私はとても尊敬してたわ。父が作家だったから昔から小説ばかりを読んできた私にとって、面白い作家は尊敬の対象になる。ただ一つ難点があるとすれば、やたらと私の私情を気にしてくるところね。私のことが好きなんだって、誰が見てもすぐに感づくレベルよ。しかも問題なのは、その作家さん、結婚してるのよ。 もちろん奥さんとは面識があったわ。打ち合わせや原稿のチェックの際に自宅に伺った時に、何度も挨拶をしていた。とても落ち着いた上品な人で、胸が大きい人なの。作家さんにそれとなく聞いたところ、Kカップあるって言われたわ。つまり、私と同じだったの。でもさすがに勝負を仕掛けるようなことはしなかったわ。胸の大きな女を見ると潰したくなる衝動に駆られるけど、自分が担当している作家さんの奥さんを相手に揉め事を起こすような馬鹿なことはしないわ。それが原因で面白い原稿になんらかの障害が発生したら嫌だもの。担当している作品が面白くなくなるのは、一読者の自分としても嫌だし、社内での評価も下がる原因になるからね。 でも、ついに奥さんと揉めるきっかけが生まれてしまった。さっき言った取材旅行の件よ。本来は作家さんと私の2人で行くことになっていたけど、それを奥さんが嫌がったの。まあ、気持ちはわかるわ。自分の夫が女性と2人で、たとえ仕事の一環だとしても旅行に行くなんて誰だって嫌よね。多分奥さんも、自分の夫が私に好意を抱いていることに気付いていたから尚更よ。 それじゃあ奥さんも一緒にってなるかと思ったら、どうやら奥さんはそもそもとして私が付いてくること自体が嫌なようなの。自分の夫を取られるとでも思ったのかしら。でも作家担当者として取材について行かないわけにもいかない。もしそれが原因で作品の出来が下がったりでもしたら、私は納得できないわ。 作品の為にも、奥さんには主張を諦めてもらうしかない。私は奥さんと2人きりで話し合うことにしたわ。けどまったくの平行線でなかなか決まらなくて、ついには普段はおっとりとした奥さんも苛立ちを隠さない様になってきたの。今の夫は私が自慢の胸を使って勝ち取った人だから、あなたみたいな駄乳の女には渡せないって言われたわ。そんなこと言われて黙っていられるわけないわよね?そうなったらやることはひとつ、闘乳よ。 乳で決着を付けることにして、私たちはホテルに行って全裸になったわ。顔に傷をつけるわけにはいかないから、あくまでも乳同士での喧嘩というルールを決めて、私たちは深夜遅くまで闘ったわ。先にミルクが枯れたのは奥さんの方だったけど、諦めずに私の乳を拳で殴ってきたの。なんとしてでも私に勝ちたかったのね。私も応戦して今度は乳の殴り合いになったわ。 勝ったのは私。奥さんは泣きじゃくりながらまだ殴ってきたけど、最後は押し倒してぐちゃぐちゃの乳を私が足で踏み潰して終わったわ。無事私は取材旅行に同行できたってわけ。でもあの後奥さんが作家さんに何を言ったのかは知らないけど、もううちの出版社からは作品を出さないって作家さんから後日連絡があったわ。 多分、奥さんは私と縁を切りたかったのね。あの喧嘩を理由にして自分の夫を良いようにされるって思ったのかしら。そんなこと、私がするはずないのに。 だって、あれぐらいの喧嘩、私にとっては珍しくもなんともないから。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー お互いに闘乳自慢を終えた頃、私たちはちょうど天丼を食べ終わっていた。法悦な笑みを浮かべて微笑み合った私たちは、水を一気に飲んで店を出た。オススメだという天丼の味は、話に夢中で正直よくわからなかった。 「それじゃあ、また夜に」 「ええ。楽しみにしてるわ」 「逃げないでね」 「あんたこそ」 そう言い合って、私たちは笹原の宿のそれぞれの部屋へと戻った。 部屋の中でパンパンに詰まった自分の乳を揉みながら、私は頭の中で何度も何度も思い浮かべる。 園田の乳が限界に達し、その乳首から大量の白いミルクが吹き出す瞬間。その時の園田の興奮しながらも絶望したような真っ赤に染まった汗だらけの顔。自分の乳が園田の乳を圧し潰した時の、快感のひと時。 それがもうすぐ、やってくる。 点けっぱなしにしているテレビからは、大晦日の特番が流れている。夜は深け、新年は目の前に迫っていた。 勝負は近い。 【「新年は闘乳と共に 結」は近日公開予定】


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