アイドルって大変①
Added 2022-07-23 16:32:24 +0000 UTCアイドルって大変。 何が大変って、やっぱり敵が多いこと。この世はアイドル戦国時代。地下まで含めるとアイドルグループは星の数ほど存在し、テレビや雑誌に取り上げられるのはその中のほんの一握り。ほとんどのグループは、百人にも満たないファンの人たちに応援されながら、やがてひっそりと解散することになる。 スカウトを受けて何となくアイドルになってみたはいいものの、やっぱりやるからには有名になりたい。テレビとか雑誌とか、そんな頻繁にじゃなくてもいいから、そういう媒体に出て注目を浴びたい。 でもやっぱり、そう甘くはない。 私が所属することになった「フライディング」というグループは、某秋元氏の超有名アイドルグループの戦略をパクっくて、総勢21名という大所帯のグループだ。しかし、それにしては人数が中途半端。どうせなら、パクリ元みたいに48人ぐらい用意したらよかったのに。多分そこまで人数が集まらなかったのだろう。 そしてこの「フライディング」、何を隠そうめちゃくちゃ仲が悪い。まじで私を含めた21人、グループメンバーと仲良く話しているところを一人も見たことがない。劇場の楽屋で待機している時は、全員が無言でスマホを触ってる。 そんなことだから、当然人気もない。ファン数は百人いってれば良い方だ。そして結成から一年が経った先日、ついに運営元から通知が入った。 それは、今後劇場で活動するメンバーを選抜するというものだった。 人数が多いと言うことは、当たり前だけどその分運営が払うお金も多いと言うことだ。劇場に出るのだってタダじゃない。呼ばれるぐらい人気ならいいんだけど、現状の「フライディング」はお金を払って劇場に出演させてもらっている。 そんなことを一年繰り返した結果、思うようにファン数が伸びず、ついに劇場への出演者を選抜制にして減らすことにしたのだ。 今後、週に一回の劇場に出演できるのは選ばれた10名のみ。残りのメンバーは控えとなり、選抜者の中から欠席者が出た時のみ出演できる。 選抜メンバーは隔週で再編成される。選抜メンバーの10名のうち3名のみが残留になり、残りの7名は控えのメンバーと交代になる、ということらしい。 つまり、連続して選抜メンバーの残るには、選抜メンバーの10人中3人の人気枠に入らなくてはいけないということだ。 全体で見れば、「フライディング」の全メンバー21人の内のトップ3が、連続して選抜メンバーに残り続けることが出来るということだ。 手段は色々とある。単純にファンから人気を獲得してアイドルとしての実力でトップ3に入るのはもちろん、運営に媚びを売って入れてもらうということもできる。 でも、どちらも不確定だ。21人の内のトップ3に入るのは容易なことではないし、媚びを売っても、アイドルとしての魅力が無ければ無視されることもある。どちらの方法も、確実性はない。 じゃあどうしたらいいか。確実的な方法が無い以上、少しでもチャンスを増やすために、ライバルたちを一人でも多く減らすしかない。 私が思うに、確実に選抜に選ばれるであろうメンバーは5人。 この5人がいなくなれば、そこそこの人気を持つ私が選抜に選ばれ、トップ3の枠に入る可能性も高くなる。 そう考えた私は、早速行動を開始した。 最初の選抜メンバーが発表される三日前、私は、件の5人のうちの一人を、夜の公園へと呼び出した。