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曹達(ソーダ)
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「人間カフェ」の読み味が変わるアフターストーリー

〈繁旺の帰路〉 人間カフェを後にした繁旺は、養汰に軽く手を振って別れた。少し歩いたところで、スマホを取り出し、番号をタップする。呼び出し音が数回鳴った後、先程のカフェの店員の声が響いた。 「もしもし、繁旺さんですか? 先程はありがとうございました」 「お疲れ様です。いやあ、うまく買わせることができましたね」 繁旺はくすりと笑い、気軽に応じる。 「本当に。アシスト助かりました」 「いえいえ、これも仕事ですから! じゃ、今週売れた分、また入荷用の人間準備しておきますね」 「はい。よろしくお願いします。では」 通話を切り、スマホを尻ポケットにしまう繁旺。 実は繁旺は人間の繁殖ビジネスを営んでいるのだ。しかも繁旺と人間カフェの店員はこうして繋がっており、時折こうして人間に興味がある巨人相手にさりげなく誘導して売りさばいているのだった。 再び歩き出した繁旺は、小さな倉庫のような建物に着く。ここが、繁旺が人間を繁殖させている仕事場である。しかし、特別ノウハウを持っているわけでもなく、大学生になったしいっちょ金稼いでみるか!のノリで始めたものであった。とにかく育てるだけ育てまくって儲ける。そんなスタンスであるものだから、倉庫内では多頭飼いされている人間がケージに押し込められており、人間にとっては何とも劣悪な環境そのものだった。狭いケージの中で喧嘩がいたるところで勃発したり、食料にありつけず衰弱する個体もいる。空気は淀み、人間たちの小さな呻き声や泣き声が絶え間なく響いている。しかし、もはやそんなのは日常茶飯事な繁旺は、「うわ、今日も臭いな」と呟く程度でスルーし、ズカズカと倉庫へと入っていく。机においてあるタブレットを手に持つと、今週のカフェでの売り上げと、次回の出荷予定を確認し始めた。「今週は、さっきの養汰の分入れると……20匹売れたことになるな。うん、まぁまぁってとこかな。もっといっぱい売れねぇかな~」などと呟きながら、繁旺は次に入荷する人間を選ぼうと、活きの良い人間を厳選しておいたケージを覗き込む。しかし、2匹の人間が見るからに弱りきっており、ケージの隅の方でうずくまっていた。どうやらまた喧嘩が発生し、傷つけ合ったらしい。「おいおい、喧嘩すんなよな~。育てた分チャラになるこっちの身にもなれっつーの」 そう言いながら、2匹の人間を乱雑に鷲掴みにして、目の前に持ってきて検分する。そしてすぐさま判断を下した。「こいつらもうダメだな」そういうと、繁旺は部屋の角に置かれていた粗末なダンボール箱に、2匹の弱った人間をぽいっと放り込んだ。そこは弱った人間の捨て場だったが、その瞳には、とくに哀れみや申し訳なさは浮かんでおらず、冷淡なものだった。 〈帰宅後の養汰〉 帰宅した養汰は、巨大な靴を脱ぎ、玄関から上がった。185メートルの巨体がリビングへと続く廊下を進むと、床が微かに軋み、部屋全体が彼の存在に圧迫されるようだった。 手に持っているのは、人間カフェから持って帰ってきた小さな箱——その中には、彼が初めて指で触れた人間が入っている。養汰はカフェでのひとときの余韻を残しつつも、どこか落ち着いた様子でリビングへと進んだ。そして、リビングのフローリングの中央に立ち止まると、そっと箱を地面に置き、蓋を開けた。小さな箱から這い出すようにして出てきた人間は、1.7メートルにも満たない体でフローリングの上に立った。人間カフェでの、小さない家々に囲まれた空間とは違い、目に映るのは全て巨人サイズの家具や雑貨ばかり。その小さな目は不安げに周囲を見回している。 養汰はそんな人間を見下ろしていた。だが、その視線は、先程までカフェ内で遊びまわる人間たちを愛おしげに眺めていた温かなものとはまるで別物だった。瞳の奥に宿るのは、冷たく鋭い光——まるで獲物を値踏みするような、無機質で感情のない視線だった。先程までとの違いを敏感に感じ取った人間は、恐怖に駆られたようにフローリングの上で後ずさりを始めた。だが、185メートルの巨人にとって、その動きはあまりにも遅く、無意味なものだった。養汰は小さく鼻で笑うと、靴下を履いた巨大な右足をゆっくりと振り上げた。人間にとってはビルが崩れ落ちるような影が迫ってくる。次の瞬間、養汰はその足を躊躇なく人間へと下ろした。巨大な足による重圧もさることながら、靴下には一日中履いていた巨人の足の臭気が濃厚に染み付いており、人間はその下でジタバタともがいた。逃れようとする必死なその感触が、養汰の足裏に微かに伝わってくる。彼はその動きに目を細め、うっとりとした表情を浮かべた。そして、ゆっくりと体重を右足にかけた。これからゆっくりじっくりと掛けていく体重を増やしていこう。そう思っていた養汰。しかし、養汰の予想に反して、プチッ!という湿った音とともに、人間はあっけなく弾け、フローリングに赤黒い染みが広がった。 「あれ……もう潰れちゃった。ゾウやキリンの時は、もっと力を入れて足で“愛して”やってても、しばらくはもってたのに……」 養汰は意外そうに眉を上げる。 「たったこれだけで潰れるなんて、なんて弱くて脆い生き物なんだ……」 少し不満げだった養汰の声の調子は、徐々に恍惚を伴うものになっていた。 その顔には、カフェでの感動や優しさは微塵もなく、ただ冷酷な満足感だけが浮かんでいた。彼は靴下を脱ぎ、べっとりと付着した人間の血肉汚れを眺めると、雑巾を取り出してフローリングを拭き始めた。片付けながら、「まさか飼い始めてすぐにこんなことになっちゃうとは……でも、いいこと聞けてよかった。まさか、こんなに規制がゆるいなんてね……また、あの人間カフェで新しい人間買っちゃおうかなぁ」と呟き、小さく笑った。その声はまるで、壊れたおもちゃを気軽に買い替えるような軽さだった。部屋には再び静寂が戻り、床にも染み一つ残っていなかった。

Comments

ありがとうございます! 100倍もの差は、共存するには不向きなのかもしれないですね……! どうしても同等の存在とは見られず、 巨人側のエゴが優先されがちなのでしょうね~^q^ 養汰君は養汰君なりの表現で人間を愛そうとしたのですが……人間には重すぎて耐えられなかったようですね^q^

曹達(ソーダ)

ありがとうございます! メインストリーまででふやふや和やかな(巨人側から見た)共存の様子だけでも、 追加ストーリーでガラリと変わるのでも、 一粒で二度美味しい感じにしてみました! 名前もちょっと複線っぽくしてみました! さらっと捨ててしまうあたり、 同じ人類相手とは思えない(小さいから同等とは見られないのでしょうけれど)、 なんとも冷徹な対応ですよね~。 確かにあんな劣悪な環境を乗り越えて、カフェまで辿り着けた人間は幸せだったのかもしれないですね……! まぁ、それでも養汰みたいなのに買われてしまうと 長くは生きられないでしょうね……^q^ こんなでも、養汰的にはきちんと愛してやってるっていうスタンスなんだからより一層恐ろしい……! 養汰の友情関係は今みたいな感じが続くのか、 はたまた養汰が繁旺に自身の癖をぶっちゃけて 需要と供給が噛み合って街ごとの被害になるのか、 色々と展開が妄想できちゃいますね(*´Д`)

曹達(ソーダ)

珍しく100倍もの差がある生物達が共存できてるかと思いきや、やはり巨人達のエゴだったんですね〜^_^ 優しそうに見えた養汰くん、やはり巨人でしたか😌

クリ

あっ、あっ、ふわふわ和やかだったお話が~……! 繁旺くん、繁殖ビジネスをやっているとは……名前の通りですね…! しかもかなり劣悪な飼育環境、「こいつらもうダメだな」って捨てちゃうとか、カフェとは大違いですね…むしろカフェまで行けたら幸せなのかもしれない… そして養汰くん、こっちは正直予想外でした~そんな趣味あったとは!! ゾウやキリンとは違って簡単に買える分、繁旺くんらのいいお客様になりそうですね~人間だけでなく、人間の街ごとだったとしても"愛して"しまえそうです…!

ichiya / ichiarrow


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