「こんちはー!銀河トランスポートです!荷物のお届けにあがりました!
……はい、失礼します!あ、重い荷物なのでよかったらこのまま奥までお運びしましょうか?
……了解です!いえ、ぜんぜん大丈夫ですよ!ではあがらせていただきますね!
……この辺に置く感じで大丈夫ですか?……はい……ではこちらにサインを……はい、ご利用ありがとうございましたー!」
彼は、荷物の届け先でそんなやりとりを済ませると、乗ってきたロケットに再び乗り込んだ。
彼の名前は、クー。宇宙を股に掛ける運送会社、銀河トランスポートの配達員だ。
短い黒髪に、キリッっとした眉、そしていつも微かに笑みを浮かべているような、そんな目元に愛嬌のある顔立ちをしている。
この仕事に就いてもうすぐ312.589年になる新人のクー。まだまだ未熟だが、それなりに仕事をこなしていくコツも掴んできたといったところだ。
力仕事ならば誰にも負けない。元々学生時代には宇宙ラグビーをやっていただけあって、体力やがっしりとしたガタイには、絶対の自信を持っていた。
6378.137kmの身長は、同僚の中でも頭ひとつ、いやふたつは飛び抜けている。
だからと言って自惚れるような言動をすることはなく、誰に対しても爽やかで親切に接するその性格から、社内でも荷物の届け先でも、好青年として慕われていた。
……とは言え、これだけ背が高いと、ロケットの中ではなかなか窮屈な思いをせざるを得ないなどの困った点もあったりするのだが。
それでも彼は、その恵まれた体格と、彼の故郷――Mα-CRO星に産まれついたことに感謝していた。
彼が宇宙を飛び回って仕事をするようになってつくづく感じていることなのだが、Mα-CRO星の人々は、この広い宇宙の中でもかなり大柄な部類に入るのだ。
自分より大きな人など、まずほとんど見かけない。
時折遠くの星へ配達に行くと、Mα-CRO星人の3分の1ぐらい、ギリギリ膝上ぐらいの大きさの異星人と出会うことだってあるくらいだ。
そういった小柄な人たちの元へ、大きな荷物を抱えていくと「大きいねぇ」「力持ちだねぇ」と感心されることも多い。そんな風に声をかけられると、彼はちょっと気恥ずかしくなってしまうが、決して悪い気分ではなかった。むしろ誇らしく感じていた。
それに彼は、他の星の人たちが宇宙に出る際、専用の宇宙服等で身体を覆っているのを何度も見ていたが、彼自身の場合は、他の種族からしたら驚くほどの軽装備でもへっちゃらだった。
胸元に会社のロゴが入った半袖のポロシャツに、ズボン、ウェストポーチといった出で立ちのまま、宇宙に出て行くことができるぐらい、頑丈な身体をしている。
そういった頑丈で丈夫な体をもった種族の中でも、更に大きな身体をした彼だからこそ、物を運ぶという仕事には大変なやりがいを感じている。しかし、そんな大きな身体をしていることを決して鼻にかけるようなこともなく、真摯に仕事に取り組んでいた。
照れくさいので誰にも言ってはいないが、彼はその大きな身体と力を活かして、世界中の人々に、荷物だけじゃなくて喜びや笑顔なんかも一緒に届けていきたい、などと思うようにすらなっていた。
そんな真っ直ぐな心根を持ち、今日も元気に配達に精を出すクー。
手首に巻いたデバイスで、目的地と航路を確認する。
「えっと、次のお届け先は……T1-NY星系の第6惑星か。ずいぶんと遠いなところだな……」
T1-NY星系は銀河の中でも未開拓で小規模な星々の領域だ。近年わずかな数の開拓団がようやく開発に乗り出したばかりの、言ってしまえばかなり辺鄙で未開な地だった。それこそ、開拓団やクーのような配達員でもなければ用のない場所だろう。
恐らく、今日届ける荷物もそんな開拓団へ向けた物資なのだろう。最前線でがんばる人へ喜んでもらえるように、とクーはいつも以上に気合いを入れた。
「よっし、じゃあ行くか!」
クーはロケットのエンジンを全開にして、T1-NY星系への航路を進んでいった。
何度かワープを繰り返して、目的地まであと半分ほどの道程に差し掛かった頃。
ビーッ!ビーッ!
ロケット内にアラーム音が鳴り響いた。
《燃料低下の為、ワープ航行を中断。着陸モードへ移行します》
とロケットの自動音声が流れる。
しまった……。とクーは頭に掌を押し当てた。
今日は届ける荷物が多かったし、かなり遠くまで来たから、想定よりも燃料を消費してしまっていたようだ。このままでは目的地に到着する前にエネルギーが尽きてしまう。
300年を過ぎて仕事に慣れてきた途端にこれだ、出発前にきちんと燃料残量を確認しておくべきだった……。と少し後悔しながら、クーは宇宙船を手動操作に切り替えたながら、これから取るべき行動を頭の中でシミュレートしてみる。
①引き返して燃料補給する。
②近くを通りかかったロケットにエネルギーを分けてもらえないか頼む。
③最寄の惑星で、エネルギーに使えそうな物資を調達して、その場でエネルギーを生成してみる。
クーが思いつた選択肢はこんなところだった。
①の引き返すというのは、目的地まで半分に差し掛かった今、少し勿体無い気がした。②も、こんな辺鄙な場所で偶然他のロケットに遭遇するという可能性は極めて低いが、ともかくこのロケット周辺の情報を集める為にレーダーでスキャンを試みてみるのは、悪くないと思った。どの道、③の最寄に物資がありそうな惑星がないか検索するにも、スキャンをする必要がある。
クーは腕のデバイスにロケット周辺の環境のスキャンを命じた。
ものの数秒でピコンッ!と検索結果が表示される。
「やっぱり近くに助けを求められそうなロケットはないか……。お、でも近くに着陸可能な惑星があるみたいだな」
クーはほっと一息つきながら、惑星の大まかな情報をチェックする。
「CHI-9……?聞いたことない星だな……」
元々宇宙の辺境へ向かっていたのだから、クーが見たことの無い星なのも当然だった。
デバイスが読み取った情報によると、星としてはかなり小さく、半径がクーの身長とほぼ同等のようだ。しかし、着陸できないほどの小ささではない。
そして、スキャン画面に映し出されたその星は、青や緑などが細かなモザイク模様を織りなす、美しい星だった。
「キレイだな……」
クーは少しの間その星に見惚れてから、デバイスに星のより精細な情報をスキャンさせた。
着陸しても問題ない地質か、大気に毒素がないか、生命体が存在するかなどの情報を得るためだった。
それに、以前別のMα-CRO星人の配達員が、うっかり自身の30分の1程のサイズの星、それも住宅街にロケットを着陸させてしまって、大変な騒ぎになったことがあった。それ以来、再発防止策として、着陸する前に必ず星の詳細情報のスキャンを行い、知的生命体がいるのかチェックするよう、マニュアルに定められているのだ。
クーとしても、不用意にトラブルを起こしたくはないから、毎回しっかりと確認は怠らないようにしている。
ピコン、と今回も一瞬にして詳細情報が表示された。
ロケットのエネルギー変換に使えそうな有機物の反応は見られるが、クーの脅威となるような危険な生物の存在を示す反応は検知されなかった。また、対話可能な知的生命体の存在を示す反応も、残念ながらスキャンには引っかからなかった。
「う~ん、誰か人がいたら燃料を分けてくれないか頼んでみたかったんだけど……。こんなちっちゃな星じゃあ誰もいないのは当然か……」
クーはスキャン結果に少し残念そうな顔をしたが、すぐに気を取り直す。
「仕方ない、自分でエネルギーに使えそうなものを探すか!」
クーはロケットを星の近くに移動させると、そのまま慎重に降下させていった。
高度を徐々に下げていき、着陸態勢に入る。そして、ズズズン……と地表に接触する振動と共に、ロケットは無事に着陸した。
シートベルトを外し、ハッチを開き、クーはCHI-9の地表へと降り立つ。
「ほー……」
感心するように声を上げながら、瞳に移る光景を見渡す。
クーの住む星では空は青いが、この星では宇宙と同じように、黒い空が広がっている。昼か夜かも分からないが、遥か遠くの星々が瞬いていて綺麗だ。
そしてやはりかなり小さい天体な所為か、水平線が一直線ではなく弧を描いているのが見て取れる。
足元には、着陸前にスキャン画面で見たような細かい緑の苔のようなものがびっしりと生えていた。
よく目を凝らしてみると、緑の苔の表面上には白い靄のようなものがかかっていたり、所々灰色の細かい砂のような粒が混じっているのが分かった。しかし、苔のようなもの以外の生物の気配は全くと言ってよいほど感じられない。
「……もしかして、まだ植物が地上に進出してきたばかりの原初の惑星なのだろうか?」
クーは足元に広がる光景を見てそんなあたりをつける。
そういうことならば、対話可能な知的生命体がいないというスキャンの結果にも納得がいく。
クーは興味津々に辺りを観察しながら適当に歩を進めた。未知の惑星を散策してみることにしたのだ。
ぬかるんだ地面を歩いている時のように、足元の大地はグニュリと柔らかく沈み込むような感覚がある。沈み込んだ足を持ち上げると、時々マグマが地表に吹き出ることすらあった。
足を取られそうになりながらも、クーは一歩ずつ踏みしめるようにして前へ進んでいった。
ーーーーー
時は少し遡り、クーが惑星の散策を開始する前の頃。
惑星CHI-9の地表では、数多くの知的生命体――CHI-9人が、普段通りの生活を営んでいた。
その体長は、平均で0.0017km程度。宇宙の尺度では途轍もなく小さなサイズだったが、惑星CHI-9上で脳を発達させ、文明を築き、CHI-9の広範囲に生息圏を広げ、生きていた。
彼らは、今日も普段と同じ日常を送る――はずだった。
「なんだ、あれ……」
一人のCHI-9人の男が、青い空に浮かぶ雲の合間から現れた何か巨大な物を指差す。
見る間にその巨大な何かは、グングンとCHI-9の地表に近づいてきて……。
ズゴオオオオオオオオオオオオオオォォォンッ!!
轟音と共に、CHI-9の大地に巨大なクレーターを作った。超高熱と激震が発生し、クレーターの近くに居たCHI-9人たちは、何が起こったのか理解できる間もなく、消し炭となってその存在は掻き消えた。
あまりにも突然のことに、かろうじで生き残った者達は呆然とするしかない。
しかし、まだこれで終わりではなかった。
突如として宇宙から降り立った謎の巨大な物体の側面がギギギ……と低い音を立てながら開いていく。
そして、その中から現れたのは――ひとりの男だった。ポロシャツに、パンツ、ウェストポーチをつけた、運送会社の配達員のような風貌の青年だ。しかし、その大きさは常軌を逸していた。そのあまりのスケール差に、近くで目撃したものは、今見上げているものが超巨大スニーカーのソール部分であり、その足の持ち主が途轍もなく巨大な男であると認識することも適わないくらいだ。
「……XXXXX、XXXXXXXXXX?」
その大巨人は、何事かを呟き――呟くといっても、その巨大な口から発せられる言葉は、CHI-9人にとっては鼓膜が破れんばかりの轟音だったが――惑星の地表をしっかりと踏みしめながら、周辺を散策するかのごとくその巨足をゆっくりと動かし始めた。
ズドオオオオオオオオオオオオンンンッ!!
今何気なく踏み出した一歩が、CHI-9表面にあった国家のひとつの州を、地中奥深くまで沈み込ませ、跡形もなく消滅させた。それ程までに彼の足は巨大であり、彼自身も巨大なのだった。
巨人は何の気なしに足を持ち上げたかと思うと、途轍もないストライドで、遠く離れた位置に足を踏み降ろしていく。その度に、惑星の地表にはいくつもの深い渓谷のような陥没ができ、甚大で壊滅的な被害を生んだ。
ズドオオオオオオオオオオオオンンンン!!
その強大な歩みが、惑星の地表に地響きを轟かせ、森林や湖などの自然を消滅させていく。
「うわあああぁ!!逃げろおおぉぉ!!」
「誰か、助けてくれええぇぇっ!」
「ひいぃぃぃ……ッ!!母ちゃああぁぁん!」
CHI-9の住人たちは恐怖の悲鳴を上げて散り散りに逃げ惑う。しかしその阿鼻叫喚の声が巨人の耳に届くことはなかった。巨人にとっては、あまりにも微か過ぎるのだ。そして逃げ惑う足もあまりにも緩慢だった。巨人にとっては止まっているにも等しい。とても巨人から逃げられるような速度ではなかった。
ズウゥゥン……、ズウゥゥン……、と一歩ずつ歩みを進めるたびに、陥没に人々はうずもれ、惑星が揺れる。大地は割れ、地面の奥底に眠っていたマグマが噴き出すように溢れ出していった。
しかし、巨人は足元の惨状に気付くこともなく、淡々と歩みを進める。
その巨人の行く手には3000m~5000mの高さを誇る、峰々が連なっていた。その中には、8000mを越す、CHI-9星において世界最高峰と名高い山も含まれていたが、巨人の尺度からはなだらかな地表とさして変わりなく、その巨大な足を一歩が踏み出される度に峰々は圧し潰され、無残に均されていってしまった。
ーーーーー
クーがしばらく歩いていると、苔や灰色の砂粒に覆われた地表ときっぱりとコントラストを為すように、ツルリと青い表面をした部分が眼下に広がった。これは……水だ。この星には水が存在するようだ。
スキャンでもある程度予測が付いていたが、水があることがはっきり分かったのは大きな収穫だ。ロケットのエネルギーの生成に利用することができる。
クーは大地の縁まで歩み寄り、身を乗り出して覗き込む。そして、恐る恐る手を水の中へとゆっくり差し入れようとしてみる。指先でポチャンとささやかな波が立ったが……予想外なことに、人差し指の第一関節まで浸かりきるよりも前に、水底に指がついてしまった。
「えぇ!?こんなに浅いのか?」
クーは思わず声を上げた。どうやら水は、惑星の表面に薄く存在しているのみのようだ。
「まいったな。たくさん収集するのは難しそうだな……」
でも、水が全くないよりは遥かにマシだ、とポジティブに捉えることにした。あとは何か、有機化合物を確保できれば……。振り返って、足元に広がる苔に目を向ける。この苔から、エネルギーが生成できないだろうか?
しかし、原初の惑星から採取してしまうというのは、なんだか気が引ける思いがした。
しばらく地表を見下ろしながら考え込むクー。
「……う~ん、でも仕方がない、少しだけ使わせてもらおう」
クーはそう呟くと、ウェストポーチから小型のコンテナを取り出すと、ひとまず水を採取した。
そしてロケットのすぐ近くまで歩いて戻ると、その大きな手で手近な地面を掘り始めた。
がっしりとした指が地面を抉るように、どんどん深く突き進んでいく。そして、ゴゴゴバァッ!っと、苔に覆われた地表の一部を一気に引きちぎる。
「よしっ」
クーは満足気な表情を浮かべると、手にした苔や土をロケットの燃料投入口に流し入れた。そしてコンテナの水も投入口に注いで、蓋を閉める。するとロケットは自動でエネルギー生成を始めた。
ものの数分で、エネルギー生成は終了した。……が、出来たエネルギーは、クーが予想していたよりも遥かに少ない量だった。
「う~ん、これっぽっちの資源からはこれだけしか生成できないか……」
クーはがっくりと肩を落とす。この調子だと、たとえ星の表面に広がる苔を全部採取したとしても、配達先までのエネルギーには到底足りないだろう。
それに、いくら知的生命体はいないにしても、単純な生命が生まれたばかりの原初の惑星から、根こそぎ資源を採取してしまうというのも、なんだか忍びない。
目を閉じてしばし逡巡するクー。
「よし……こうなったら、④の選択肢だ」
そして、意を決したように目を開ける。
「自分の生命エネルギーを注入しよう」
そうは呟いてみたものの、少し頬を赤らめながら、人目を憚るようにあたりをキョロキョロと見回すクー。
「誰も人がいないとはいえ、ちょっと恥ずかしいな……でも仕方ない、よな」
そう呟きながら、カチャカチャとベルトをはずし、ズボンとパンツを一気に降ろした。
窮屈だったとばかりにボロンと勢いよく飛び出したのは、見事な大きさの男性器だった。まだ勃起していないにもかかわらず、ずっしりとした重量感があった。
「……ふう……」
クーはため息をひとつつくと、そのまま右手で自分の性器を軽く握り、ゆっくりと上下に扱き始めた。
「ん……っ、ふぅ……っ」
すぐにムクムクと肥大化し、あっという間に勃起していく男性器。その先端には透明な雫が浮かび、数滴が地面に滴る。
そして程よく固くなったところで一旦手を止めると、クーはロケットの燃料投入口に、自分の男性器の先端をそっとあてがった。
そしてそのままゆっくり腰を前に突き出していく。
ズブ、ズブ、と性器が燃料投入口の中へと入り込んでいき、投入口の内壁が、性器をやさしく包み込んだかと思うと、徐々に力を帯びて、ギュウギュウと締め付上げていく。
「あぁっ!」
その感覚に思わず声が漏れる。程よい締め付けによって、甘い痺れが背筋を駆け上がり、腰砕けになりそうになる。
男性器もピクピクと激しく反応し、鈴口から先走りの液が溢れ出てきていた。
とろけてしまいそうな快感に意識が飛んでしまいそうになりながらも、クーはなんとか気を保ちつつ、腰を前後に動かし始めた。
ーーーーー
一方その頃、クーの足元では、大惨事が起こっていた。
クーが先程落とした先走りの数滴が、巨大な湖のような規模で地表に落下し、そこにあった建物も道路も草木も全て、途轍もない重量で押し潰してしまったのだった。
また、クーがほんの少し重心を移動したり、半歩ほど足を動かすといった些細な身じろぎでさえ、地割れや地盤沈下を引き起こし、クーが立っている真下の国では甚大な被害がもたらされていた。
するとここで、クーの超巨大なスニーカーのミッドソールのあたりに、オレンジ色の光がいくつも拡散し、チカチカと点滅する。クーの足元の国の軍隊が、クーの足に向けてミサイルを発射したのだ。……だが、エネルギー注入に夢中になっているクーは、ミサイルの存在にすら気が付いていない。CHI-9星人にとっては国家を滅ぼすほどの破壊力を有するミサイルだったが、クーにとっては熱さすら感じないのだ。
ーーーーー
クーは、攻撃を受けている自覚もないまま、シコシコとエネルギー注入に耽っていた。
この星には誰もいないと思い込んでいるのもあって、何とも言えない開放感に包まれながらの行為であった。
そしてロケーション以外の要因でも、今日のクーはいつもより興奮しているようだった。
この星に来る前の届け先で、彼の身長の半分にも満たない異星人を見たからかもしれなかった。
そういう小柄な人の所へ荷物を届けると、ついつい張り切って自分の働きぶりをアピールしたいような気分になってしまう。だから、いつも「奥まで運びましょうか?」なんて言って、なるべく荷物を持ち運ぶ時間を長くしようとしてしまうのだ。
彼が軽々と荷物を運ぶ姿を見て、目を丸くしたり、感心したようにこちらをじっと見つめたりする小さい人達の顔を見ていると、彼の心の中には温かい気持ちが溢れ出すと同時に、誇らしい気分が沸き上がり、自然と興奮が高まってしまうのだ。
(あのちっちゃい人の、俺を見て驚いたあの顔……思い出すだけで、なんだか体が熱くなってくる……)
クーは、自分の身長の半分にも満たない異星人から向けられた眼差しを思い出して気分が昂ぶっていた。今まさにその瞬間に、自分の数百万分の一サイズの極小星人を大量に踏み潰しているのにも気付かずに。
「……んんっ、あっ!……あぁぁっ!!」
クーは夢中で腰を振り、性器に刺激を与え続け、その激しさを増していった。
そしてついにその時がやって来る。
「っ!~~~~ッッ!!」
クーは大量の生命エネルギーを迸しらせた。ビクビクと体を痙攣させながら、白く濁った半固体のような生命エネルギーを激しくぶちまけ続ける。
ドクンドクンドクンと、ロケットの燃料投入口へと注がれるエネルギー。その勢いは凄まじく、たちまちエネルギータンクは充填されていく。あともう少しで、エネルギー変換処理が間に合わなくなって溢れ出す程だった。
それほどの量を注入されたおかげで、ロケットのエネルギーはあっという間にフルチャージにまで至った。
乱れた衣服を整え終わると、クーはスッキリした表情で、
「ふぅーーー、いっぱい出した……」
と、満足げに呟いた。
「こんなことならわざわざ着陸しなくても、エネルギー不足に気付いた時点で自分の生命エネルギーを注入したほうが早かったかもな……。まあ、今ならまだ宅配予定には十分間に合いそうだし、誰に迷惑かけてる訳でもないから、別にいいよな。ともかく、これでロケットを発進させられるぞ!」
そう嬉しそうに声を上げ、ロケットのハッチを開くと、クーは意気揚々と乗り込んだ。
「よいしょっと」
操縦席にドスンと腰を下ろすと、クーは早速エンジンをかけた。そして操縦桿を握り、配達先への軌道を再設定する。
「よっし、じゃあ改めて出発!!」
ロケットは轟音を上げながら、猛烈な勢いで炎を噴射し、空へと飛び立った。グンッと加速し、あっという間にCHI-9の重力圏を抜けると、そのまま広大な宇宙空間へと突入した。
もちろんその噴射炎は地上の山や森、そして小さな人々を焼き払い消し炭にしてしまったが、クーには知る由もないことだった。
「とんだ寄り道になっちゃったな……。今度からはちゃんと出発前に燃料の確認をしないといけないな。うん、いい勉強になった!」
明るく元気で快活な超巨大配達員・クー。彼自身は全く気付かないところで大量の極小異星人を滅していることなど知らずに、彼は元気いっぱいに広大な宇宙へと飛び立ち、次の配達先へと向かっていったのだった。
終
〈オマケ〉
サイズを確認しながら書くために図解を用意していたのですが、
なかなかにスケール感を感じられるので添付してみます!
曹達(ソーダ)
2023-11-03 11:51:46 +0000 UTCichiya
2023-11-01 14:59:47 +0000 UTC