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ワモン
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しょうせつのしんちょく

タイトル:scene No.−1契りにて真に


こっちで出す話の進捗です

完成したらこっちで公開するかもしれない

しらんけど(自由律俳句

↓以下本文


燈 吼音はヤンキーだ。

不良少年。非行少年。

しかしだ、ただのヤンキーじゃない。俺は“正義のヤンキー”だ。

迷惑なら輩がいれば叩き出す、人助けだってする、町内のゴミ拾いまでする。

アホらしいだのいう奴はごまんといる、けれど俺はやめる気は無い。それは俺が魔術師になってもだ。

だって、俺はずっと憧れてきたから。そういう人に憧れてきたから。それに家族がたった一人いるから、そいつを護りたいから。

唯一の血のつながらない妹と生きていきたいから、俺はそいつに恥じないように、正義のヤンキーとして。

俺にはそれしか残ってない。それしかできない。


01

『オイオイ坊主、いつまで泣いてんだよ』

いくつの頃かは正直思い出せない、わかるのはすごく幼い頃だったってこと。その前後に何があったとかも...かなりぼんやりだ。

『悪い奴らは皆んなにいちゃんがやっつけたからよぉ、いい加減泣き止んでくれよ、もう怖くねぇからよぉ』

俺よりも遥かに大きい人が腰を下ろしてずっと泣きじゃくる俺を宥めている。その人は随分ボロっちい服を着ていて、あんまり育ちがいいという印象は受けない。よく見ればボロっちいのは服だけじゃない、身体には真新しい裂傷の数々、所々血が垂れているしいろんなとこが赤く腫れあがっている、真っ黒くなっているところもあった...と思う。

俺が「ほんとう?」と口を開くとその人は

『ああ、見てみろ、にいちゃんがコテンパンにしてやったぜ。もう坊主に悪さなんかしねぇだろ』

へへっ、と笑って言った。

俺は「なんでお兄さんはこんなことするの」と問うとその人はまだ痛むであろう身体を持ち上げて、フラつきながらも立って、言った。

「俺はなぁ“正義のヤンキー”だ、コイツらみたいな悪い奴らを退治する為に戦ってる。カッコいいだろ?」

俺がうんと答えるとその人は高笑いをして俺の頭を撫でた。大きい手だ、ボロボロで傷だらけで所々血で濡れてる手だ。

とても温もりにあふれていた手だった。

俺はどうしてもそれが忘れられず、今でもこうして夢に見る。

太陽を背にしたその人は、ななによりも勇敢で、なにものにも負けぬ神々しさにも似た雰囲気を放っていた。

俺も...いつかあんたみたいに。


02

「...あー」

カーテンの隙間から差し込む風と陽の光で目を覚ます、まだ少しだけ冷たい春風は布団から出した俺の顔を狙って吹いてくる。ちょっと顔を横にずらすと今度は眩しい光が視界に広がった。

俺はようやく身を起こしてまだ寝ぼけた思考で時刻を確認する。

「2時...飯食って寝ちまったのか」

ため息ひとつ吐いて身体を起こし洗面所へ、妙に暗くうっすらと埃が広がる床を摺り足で移動してたどり着くと鏡を見るより先に蛇口をひねる。

「冷た」

水に手を触れるだけで顔が強張り目が覚める、もう春だってのに気温は低いらしかった。震わせたままの手で水を汲んで一気に顔を洗う、澱んでいた顔周りが引き締まりもう一度目覚める。

「ふー...久々に穏やかな午後だぜ」

ここ最近は市内で不良どもがやんちゃしてたからな、後始末やら粛正やらでなにかと忙しく過ごしていたがここにきてひと段落か...仲間からも連絡きてねぇしこのままゆっくり自堕落に過ごしてから夕食でも作るか。1日くらいそうしても怒られねぇさ、だって俺めっちゃ頑張ったもん、不良どものアジト見つけるために丸一日市内を駆けずり回ったりしてたからね、それも毎日。

「.........あ、冷蔵庫の中...殆ど何もなかったんだった」

ちくしょう、テレビでも見ようかと思っていたが予定が入っちまった、確かこの前仲間たち呼んで飯食わせたんだっけ...それでなくなったんだ。

支度して出掛けねぇと。親には...頼みたくても頼めないからな。

頼めなくなっちまったからな。

すぐに着替えてバッグと財布を持って、家の戸締りにガスの元栓諸々を確認して玄関に向かっているとこの家には珍しくチャイムが鳴った。

誰だろう、俺は宅配便なんて頼んでないし回覧板は昨日お隣さんに回したぞ。

「はい、今出ます」

そんなテンプレに沿った台詞を言って玄関扉を開けるとそこには女の子が1人突っ立っていた。

真っ赤な髪色で乱雑に切ったみたいなショートヘアー、髪と同じ色の目、俺より一回りくらい小さい背格好にボロい服を着た女の子は俺を見るや否やいきなり泣きついて言った。

「あっ...あの!お父さんとお母さんいなくなっちゃって...なにもわかんなくて...でも困ったらここのおじさんのとこ行きなさいって言われてて、それでそれで、おじさんに助けてほしくてきました!要介おじさんいますか...!」

その子は、見ず知らずの女の子は、あろう事か俺の父親の名前を口にした。

気付いてハッとする。ああ、俺はこの助けを求める女の子に現実を告げなければいけないのかと。

まったくツイてねぇ、あんま口に出したくねぇのにさ。

「あのさ、本当に...本当に物凄く申し訳ないのだけれど、口に出すのも大義でならないのだけれど、えっと...なんて言やいいんだ?」

「えと...えと...私────」

「要介おじさん、まぁ俺の親父なんだけどさ、この前俺以外の家族巻き込んで自殺しちゃってさ...今俺一人なんだわ」


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