姫嶋香織が「筋肉専用車両」に乗ってしまったのは、7月の上旬のことだった。
(は~っ……暑すぎ……ていうか、混みすぎ……)
香織は乗客でぎゅうぎゅう詰めの電車の中でうんざりしていた。香織の近くに40代の日焼けしたサラリーマンがいるのだが、朝からの暑さで彼もじっとりと汗を掻いており、四十路男の汗臭さと加齢臭がツンと匂ってきていた。電車は走り出したばかりで、まだ隣の駅に着きそうもない。
「姫嶋さん、大丈夫? 僕がもうちょっと右に詰めようか?」
「あっ、ううん? 大丈夫。綾瀬くんの方こそ平気?」
「うん。なんとか……」
香織の隣の吊り革に掴まっているのは、同級生の綾瀬慶輔だ。テストは学年でも常に10位以内に入る優等生で、さらさらの髪の毛と整った顔立ちで、ファンの女子が多い。汗臭い運動部の男子よりも、慶輔の方が香織の好みであった。
(綾瀬君、ぜんぜん汗臭くない……デオドランド、なに使ってるんだろ? ホント、他の男子にも見習って欲しいわ)
そんなとき、慶輔が怪訝そうな声をあげた。
「なんだろう、あれ」
「え?」
慶輔の視線の先には、電車の電光掲示板があった。だが、そこに表示されているのは奇妙な文章だった。
──この車両は××台駅以降、筋肉専用車両になります
××台というのは、香織が乗り込んだ駅だ。他の乗客の中にも訝しげな顔をしている者もいるが、だが、大半の乗客は気づいてもいないようだった。
「え? なに? 筋肉専用って……」
「うーん……何かのプロモーションかな? 例えば、プロテインとか」
香織の疑問に、慶輔が予想を口にした。なるほど、確かにそれならあり得そうだ──香織が納得しかけたときに、次の異変が起きた。
乗客たちの脳内に「筋肉専用車両」の見えざる力が侵入し──射精のように情報を脳内に撒き散らした。
【この車両の乗客は、性別が反転する】
【男も女も、絶頂するたびに筋肉質で、逞しい肉体に変わっていく】
【精神も、男はガサツな筋肉女へ、女は下品な筋肉男へと変わっていく】
──さっきまで脳内になかったはずの知識を、疑いようのない【常識】として、乗客たちは一斉に思い出した。
そして異常な常識と共に、乗客たちの肉体にも「筋肉専用車両」の力が注ぎ込まれていった。
「うおっ♡」
「おぉおっ……オウッ♡」
「んあぁっ♡ んくぅっ♡」
「あっあっ♡ あぁ〜〜っ♡」
男も女も、体の内側から信じられないほどの活力が溢れ出し、つり革に掴まったまま体をよじって喘ぎ始めた。若者だけでなく、日々の残業で疲れが溜まっていたサラリーマンやOLたちでさえも、体の奥底から活力が溢れ出し──有り余るそれは性的衝動となり、男たちは勃起し、女たちも股ぐらを湿らせていた。そしてそれは、香織と慶輔も例外ではなかった。
「やっ♡ あっ♡ あぁぁっっ♡」
「んあっ♡ はひっ♡」
(やっ、ちょっ、こんなの綾瀬くんに見られるの……やだっ)
香織は濡れそぼる股ぐらをくねらせながらも、肩を震わせて喘いでいる慶輔に痴態を見られるのが嫌で、体の向きを変えた。すると目を疑うような異常が周りの乗客たちに起きていた。
「んあぁ……♡ おっ、俺のっ♡ ちっちゃくなってくっ♡ んうぅッ♡」
香織の近くにいた40代の日焼けしたサラリーマンが、スラックスの上から股間を押さえて喘ぎ始めた。低く響くようなバリトンボイスが、次第に甲高い声に変わっていく。濃い眉根は歪み、左手でつり革を掴みながら、右手で股間を必死に押さえている。股間の膨らみは次第になくなり、彼の股ぐらには女性器が形成されつつあった。
「やっ♡ 俺っ♡ 男なのにっ♡ んあぁぁぁっ♡ 」
40代のサラリーマンは甲高い声を漏らしながら、快感に抗うように首を横に振った。ソフトモヒカンで男らしい髪型はそのままだが、睫毛が伸び、頬骨の形が丸みを帯び、妙に女っぽい顔つきになっていく。女性的になっていく顔つきとは反対に、腕の筋肉は太く逞しくなっていく。だが腕毛はしだいに薄くなっていき、爪の形も、男の角張った爪から女の細長い爪の形に変わっていく。その風貌は男性のサラリーマンというより、日焼けした女性プロレスラーがスーツを着ているようになりつつあった。
「おほぅっ♡ わ、ワシが筋肉女に……なるだとぉ〜〜っ♡♡」
その隣にいたバーコード禿げの50代の中年サラリーマンは、「筋肉専用車両」の力を脳みそに注ぎ込まれた瞬間、デレっと表情を緩めた。抵抗している先ほどの40代のサラリーマンと違い、あっさりと異常を受け入れてしまう──そのため、肉体の変化も早かった。本人が変化を受け入れたことで、股間の男性器は速やかに女性器へと変わる。髭の剃り跡がなくなった中年女性のような顔に好色な笑みを浮かべながら、中年サラリーマンは、ワイシャツの上から固太った自分の胸板を揉んだ。女の快感を感じるほどに、ワイシャツの生地がパツパツに盛り上がり、明らかに女性の乳房らしい膨らみができていく。それとともに、中年男の骨格が女性の骨格に変わって内股になり、しかし筋肉は男のときよりも逞しくなっていく。中年男が──いまや中年女となった彼女が、茹でダコのように顔を真っ赤にしながら、乳首をコリコリと弄る。
「あぁ……♡ ワシの胸が……♡」
やがてバツンと音を立ててワイシャツのボタンが弾け飛ぶ。中年男がワイシャツの下に着ていた白いランニングシャツには、明らかに女性の乳房が出来上がっていた。中年男が喘ぐ濁声は甲高くなり、豊満な女性の乳房もまた、発達していく大胸筋に合わせて形を変えていく。
バーコード禿げの髪質も細くしっとりした女の髪に変わり、贅肉のついた固太りの中年の肉体が、女の快感を味わうほどに引き絞られ、女性とは思えないほど逞しくなっていく。うおっ、うおっと乳首オナニーを行う中年サラリーマンの顔が、急にデレっと緩んだ。
「んくっ♡ イクッ♡♡」
スラックスの股間に愛液の染みがじわっと浮かび、広がっていく。すると、中年サラリーマンの筋肉が爆発的に盛り上がる。胸板は女性ボディビルダーのような逞しい乳房へと変わり、ビール腹も凹んだ腹筋に変わる。腹回りが急に引き絞られ、スラックスがストンと電車の床に落ちる。愛液染みのあるグレーのブリーフを穿いた、逞しい女性ボディビルダーのようになった50代のサラリーマンは、興奮した様子で右腕の上腕二頭筋に力こぶを作った。
「おほっ♡ す、素晴らしいっ♡ ワシの上腕二頭筋、なんと素晴らしいんだッ♡」
そして、チュッと音を立てて上腕二頭筋にキスをすると、周りの乗客たちに見せつけるように両腕で力こぶを作り、ダブルバイセップスのポージングをした。
「なんでっ♡ チンポが生えて……♡ はうぅっ♡」
20代のOLが、自身の股ぐらに生えた男性器が勃起する感覚に戸惑い、顔を真っ赤にしていた。だが、その間にも金玉の中で大量の精子が生産され続け、OLの脳みそを男の性欲で染め上げていく。男の性欲に耐えかねたOLは悩ましげな声を漏らしながら、パンティを摺りおろし、チンポを扱き始めた。男の快感を感じるほどに、OLの細腕が太く、逞しくなっていく。ストッキングを穿いた太腿が毛むくじゃらな男の足へ変貌していき、興奮で喘ぐ小鼻も、鼻っ柱の太い男の鼻に変わっていく。OLは低くなり始めた声で喘いだ。
「あっ♡ あっ♡ 私の……チンポッ♡ もう、限界っ……んあぁあぁ〜っ♡♡」
OLは唐突に男のオルガスムスに達し、ヒクヒクと肩を震わせた。ムワッとイカ臭い匂いが広がると共に、彼女の筋肉が爆発的に発達していく。骨格が男の骨格になり、上半身が屈強なゴリマッチョへと変貌する。レディーススーツの生地がそれに耐えかねて肩のところから破れ、ブラジャーのホックが壊れた。ブラジャーの下では女性の乳房が男性の逞しい大胸筋へと変わり、中心部に胸毛が生え始めていた。
「はーっ♡ はーっ♡ すっごく……よかったぁ……♡」
20代のOLは射精の余韻に浸りながら、肩で息をして、野太くなった声で独り言を呟いている。元は細面の美人だった顔は、顎が角張った男臭い顔つきに変化している。目元にもとの彼女らしい面影はあるものの、獅子鼻になって荒い鼻息を出し続ける鼻と、顎や頬に生え始めた無精髭が、むさ苦しさに拍車を掛けていた。しかし、髪は肩まであるセミロングのままであり、長髪の格闘家のような風貌になっている。彼女は上半身のレディーススーツに鬱陶しさを感じ、ジャケットを脱ぎ捨て、白いブラウスのボタンを乱暴に引きちぎった。ホックが壊れたブラを外すと、さっきよりも胸毛が濃くなった分厚い胸板があらわになり、彼女は男臭い顔に好色な笑みを浮かべた。
※
「な、なんなのっ……これっ……♡」
香織は周囲の様子に香織は戸惑いながらも、先ほどから自身のパンティの中に現れた異物感に、恥じらいと興奮を覚えていた。今も体の奥底から活力がどんどん溢れており、ゴキゴキと音をたてて体が骨太になってきている。既に香織もまた、アメフト部やラグビー部の男子のような、逞しい体躯になっている。「こんなの嫌だ、筋肉男になんかなりたくない」という思考は、頭の片隅にあるのだが、それを上回るほど沸き立つ興奮が、香織の脳みそを染め上げていた。香織は、ジェルネイルを塗った爪が、ゴツい男の爪になっていることに鼻息を荒くしながらも、恐る恐るスカートをたくし上げた。パンティからはみ出す巨根──それが目に入ると、香織の興奮はより一層激しいものに変わった。
「やだっ♡ こんなのっ♡ んあぁ〜〜っ♡」
香織は野太い声で、悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げる。理性では嫌だと思っていても、香織の脳みそには、筋肉専用車両の見えざる力がたっぷりと注ぎ込まれていた。それは筋肉への性的興奮と、男体化した自分の肉体への好奇心で、香織の精神を甘く誘惑し──香織の嫌悪感を塗りつぶそうとしていた。
「ちょっ、ちょっとだけ……はううっ♡」
パンティをずらすと、バキバキに勃起した香織の巨根が、俺に早く触れてくれと言わんばかりにブルンと跳ねて、割れた腹筋を打った。香織は鼻息を荒げながら、巨根に右手を伸ばす。ジェルネイルを塗ったゴツい男の手が、ぎこちなくチンポを握ると、野太い喘ぎ声が漏れた。ムッと濃い男の体臭が、自分のゴツい肉体から匂ってくることに、香織は体育会系男子のようになった精悍な顔を、恥じらいで赤く染めた。香織は熱い吐息を吐きながら、ゆっくりとチンポを扱き始める。そして慶輔がどうなっているのか気になり、後ろを見た。
「あっあっあっ♡ いっいっ♡ いぃっ〜〜〜♡ 僕のまんこっ♡ すっごくいいっ♡」
慶輔もまた、逞しい筋肉女に変貌していた。細身の筋肉質な青年から、女子レスリング部員のようなゴツい女に変わり、近くにいた女子大生──こちらも腕毛が濃いむさ苦しいゴリマッチョな筋肉男に変貌している──に学ランのズボンを剥ぎ取られ、巨根でリズミカルに貫かれていた。その様子に、香織の興奮は高まってしまい、自分の股間に生えた巨根を扱く速度を、無意識に早めてしまう。
(んあっ♡ あっあっ♡ 綾瀬くん……エロすぎッ♡ こ、こんなのイヤなのにっ♡ 私……ッ♡)
「んくっ♡ はぁぁぁあああっ♡♡」
男の快感を初めて味わうオナニーに、香織はペース配分など考えられなかった。次の瞬間、広背筋を鋭い快感が貫き、香織はオルガスムスに達した。性欲旺盛な男の絶頂に、香織は頭が真っ白になり、巨根から精液を噴き上げる。その瞬間、香織の筋肉がさらに逞しくなる。脂肪の比率が減り、より逆三角形の逞しい体型の男性へと変貌していく。
「はひっ♡ き、気持ちいいッ!……うへへ……♡」
(あー……私も、綾瀬くんのまんこに…………射精したかったなぁ♡)
下品な筋肉男へと精神の変質が進みつつある香織。射精してもなお、香織の精力は尽きず、欲望のはけ口を探していた──香織の近くで、必死に股間を押さえ、女の快感に耐えている40代の日焼けしたサラリーマンが目に入った。このサラリーマンは快楽に抵抗しているせいで、女子プロレスラーぐらいには筋肉があるものの、まだ常識的な範囲の筋肉女だった。香織の無意識下で「このオジサンの"処女"を散らして、より筋肉質な女にしてしまいたい」という男の征服欲がぐぐっと勃ちあがり始めた。香織は40代のサラリーマンの太い腕に、自分の体を密着させた。
「ねえ、オジサン……」
低くなった男の声で、香織が40代のサラリーマンに囁く。女顔になったサラリーマンが、ギョッとして身をすくめた。
「な、なんだ……?」
「私、ちょっとムラついてて……いっしょに、気持ちいいこと、しない?」
「おっ、おい! やめてくれ……! んひっ♡」
40代の日焼けしたサラリーマンは嫌がるそぶりを見せたが、香織が学校指定のブラウスのボタンを外して、分厚い男の胸板を見せつけながら抱きつくと、鼻の下をデレっと伸ばした。いくら理性で抵抗していても、その精神を収める脳みそこそが、筋肉好きの変態女の脳みそへと変貌を遂げているのだ。
「私のゴツくて、筋肉質なカラダ……オジサンが好きにして、いいんだよ♡」
「あっ♡ あぁっ♡ や、やめてくれっ♡ 俺には、妻と娘が……♡」
40代のサラリーマンは涎を垂らしそうな顔で、イヤイヤと首を横に振っている。香織は精液でねっとりと亀頭が濡れた巨根を、グリグリとサラリーマンのスラックスに押し付ける。
「んひぃ……♡ 俺のより、太いっ……♡ ち、チンポッ……♡」
変態女の脳みそになってしまった40代のサラリーマンが、喜悦の声を漏らした。香織はゴツくなった男の手で、サラリーマンの女性らしい手を取って、自分の巨根に触らせた。女の細い指がビクッと震え……やがて、緩やかに香織の巨根を愛撫し始めた。
「ね? しよ? 私のチンポ、オジサンのまんこに挿れて……いいよね♡」
「は、はひ……♡ い、挿れてください……俺の、まんこに……♡ はうぅ♡ す、スマン……真由美……」
「やったぁ♡ ありがと♡ オジサン♡」
妻に詫びながらも、40代のサラリーマンはすっかり欲情した女の顔で、鼻息荒くスラックスのベルトを外し始めた。逞しいラグビー部員のような体格になった香織が、女子プロレスラーのような体格になった40代のサラリーマンに抱きつく。既にサラリーマンのまんこは愛液で濡れまくっており、ヒクヒクと切なげに蠕動して、男根を待ち望んでいた。香織のチンポが、緩やかにサラリーマンのまんこに挿入されていく。男根を包み込む生温かな膣壁の感触に、香織は感嘆の声を上げ、サラリーマンも悩ましげな声を漏らした。
「ああっ♡ オジサンの中、すごっ♡」
「いっ♡ いいッ……♡♡ 君のチンポが、俺のまんこにっ♡♡ はうぅっ♡♡」
香織が腰を動かし、ピストン運動をするたびに、サラリーマンは体をくねらせ、女の快感に身悶えている。そしてそのたびに、サラリーマンのクリトリスが刺激され、筋肉が盛り上がり、より逞しい女体へと変貌していく。周囲の熱気と相まって、二人はさらに昂っていく。
「ふーっ♡ ふーっ♡ お、オジサンっ♡ 中に……出すねっ♡ んっ♡ んあぁぁっ♡♡」
「き、来てくれ♡ 俺の中に、濃いのを……♡ ぶちまけてくれっ♡ ひあぁぁん♡♡♡」
ピストン運動を続ける香織の腰が、ぐっと深くサラリーマンの腰に押し当てられた。互いに筋肉質になった体で、力強く抱き合う。男根に絡みつく膣壁のひだひだと、温かな粘膜に、香織の射精衝動は頂点に達する。その瞬間、香織は二度目の男のオルガスムスに達した。香織は亀頭から大量の精液を吐精する快感に、鼻息を荒くして、より強い力でサラリーマンを抱きしめた。ガッチリと抱き合っていた香織とサラリーマンの肉体が、さらに筋骨逞しいものへと変貌していく。香織の体型は、男子高◯生とは思えないほどのゴリマッチョ体型へと変貌を遂げ、40代のサラリーマンもまた、アマゾネスのような屈強な女体へと変貌していた。
「うへへ……♡ なかなかよかったぜ♡ オッサンのまんこ……♡」
精神も男性化した香織が、にんまりと好色な笑みを浮かべながらサラリーマンに話しかけた。日焼けしたサラリーマンは、アマゾネスのような屈強な肉体を恥ずかしそうにくねらせながら、口を開いた。
「は、恥ずかしいわ……♡ 私、妻子持ちのサラリーマンだったのに……♡ こんな破廉恥なことをしてしまって……♡♡」
40代の日焼けした精悍なサラリーマンは、筋肉好きな痴女へと変貌してしまった肉体と精神に羞恥して顔を赤らめていたが、しかし精液を注ぎ込まれたばかりの膣内では、ピクピクとクリトリスが勃起し、再び男根を迎え入れたくて疼いていた。香織とサラリーマンの視線が、再び絡み合う。
「んちゅ♡」
「はぁ……ん♡」
もはや二人は他の乗客たちと変わらないほどの変態へと仕上がり、再びまぐわうことになんの抵抗もなかった。互いに唇を重ね合い、舌を絡ませながら、ゴリマッチョになり、性別も反転した肉体同士で熱い抱擁を始めた。
※
「筋肉専用車両」の乗客たちは、快感を味わうほどに骨太で筋肉質な肉体になっていった。乗客たちの衣服は、上半身も下半身も急激な筋肉の発達に耐えかねてほとんど破けていた。さらに乗客同士で逞しい筋肉に興奮し合い、情交を重ねたため、車内は愛液や精液が飛び散り、凄まじい有り様になっていた。このままドアが開いて、一般の乗客たちにこの状況を見られたら、たちまち騒ぎになりかねないほどだ。
服が破けてほぼ全裸になったゴリマッチョたちを満載した電車が、駅のホームに滑り込むように到着する。しかし「筋肉専用車両」のドアがぷしゅーと音を立てて開いたとき、これらの異常は強制的に辻褄を合わせられた。破れたスーツや制服の生地が消え、襟や袖の部分だけが、首輪や腕輪のように残る。乗客たちの筋骨逞しい全裸の肉体を、それぞれの性別に合わせた水着が包む。「あまりにも筋肉質すぎるため、乗客たちは元から水着姿で生活していた」ことに、事実関係が改変される。車内に飛び散った精液や愛液も消え失せ、濃厚な汗臭さだけが車内に充満した。
「お゛ひっ♡ お゛うっ♡」
香織は、自身の存在が書き換えられる興奮に、野太い喘ぎ声を漏らした。香織の喉仏がゴリッと出た太い男の首には、学校指定のセーラー服の襟と、セーラー服のリボンだけが残った。太い手首には、セーラー服の袖だけが腕輪のように残っている。剥き出しになっていた巨大なチンポと金玉は競泳水着に包まれたが、水着の外見は制服のスカートと同じ紺色であり、股間には校章が白くプリントされていた。露出狂の筋肉男のような格好にも関わらず、紺色の学校指定の靴下や学校指定の茶色いローファーは、サイズは変わったものの外見はそのままであった。
「うへへ……♡ たまんねえぜ♡」
香織はにんまりと笑うと、競泳水着の中にどうにか収まった巨根と金玉を、右手で豪快に揉んだ。「改変前」の記憶も香織の脳内に残ってはいるが「改変後」の──「あまりにもゴリマッチョすぎて水着で生活せざるを得ないほどの筋肉男」としての記憶もしっかりと刷り込まれており、こちらの方が本来の自分のように感じてしまうほどだ。
「はぁん……すっごくよかったわねぇ……♡ オバサン、こんなの初めてよ♡」
香織とセックスしていた40代のサラリーマン──高村亮平もまた「改変」によって服装が変わっていた。ソフトモヒカンの髪型も日焼けした肌もそのままだが、しかし眉毛は細く手入れされ、睫毛も伸び、頬骨や顎の形も変わったうえに、化粧までしているので、すっかり女の顔になっている。高村もまた、首にはワイシャツとスーツの襟が首輪のように残り、そこに赤いネクタイを付けている。胸は女性の乳房ではあるのだが、あまりにも筋肉質すぎるために胸の谷間まではできていない。一応、ビキニタイプの水着を着てはいるのだが──しかしほとんど紐のような形状で、かろうじて乳首の部分だけに狭い布が宛てがわれているような有り様だった。こちらも、元から着ていた黒地にストライプ柄のスーツの色合いが反映されている。下半身には際どいTバックの水着を穿いているが、しかし足元は男物のグレーの靴下と黒い革靴のままであり、腕に残った男物のスーツの袖や腕時計、首元のネクタイと相まって、アマゾネスのような屈強な女に不似合いなチグハグさがあった。
高村は香織の逞しい男の腕に、甘えるように自分の腕を絡ませながら、筋肉の群れとなった他の乗客たちと共に、駅のホームに降り立った。香織はゴツい腕で高村の腰を抱き寄せながら、鼻息を荒くした。
「へへっ♡ オバサン、すんげえエロい筋肉女になったよな〜♡」
「んもう♡ あなたがいけないのよ? オバサン、さっきまで妻一筋の真面目なサラリーマンだったのに……♡」
高村はとろんとした表情で、香織に媚びるように屈強な女体を密着させてくる。背丈も逆転して香織の方が背が高くなり、高村の方が背が低くなっている。愛妻家だった高村亮平の人生も改変され「ガタイのいい男性社員を性的に食い散らかす、筋肉好きな女課長」であることに、事実関係が改変されてしまっていた。それが問題にならないのも「会社の上司と既に肉体関係を持っているから」だと改変されてしまっている。
「おーい、姫嶋♡ 待ってくれよ♡」
香織が振り返ると、綾瀬慶輔もすっかりアマゾネスのような筋肉女になってしまい、デレっとニヤけた笑みを浮かべながら、電車から降りてきていた。太い首には学ランの襟だけが残り、腕にも学ランの袖部分だけが残っている。布面積が極端に狭い黒いビキニ水着を着ているが、その狭い生地の上には、卑猥にも学ランのボタンが乳首のようにあしらわれていた。慶輔はガサツな筋肉女の口調で話し始めた。
「うへへ……姫嶋。さっきの電車、すごかったよな……♡ あたし、こんな風になるなんて思わなかったよ。見ろよ! あたしのこのぶっとい腕!」
男だったときよりも逞しく屈強な女体で、力こぶを作って好色な笑みを浮かべる慶輔。慶輔の人生も改変され、勉強は全くできない脳筋なアマゾネス女子になってしまい、学年テストでも下から数えた方が早い成績になってしまっていた。だが、筋肉女になれた悦びは慶輔の脳内を幸福で染め上げており、彼女は成績が落ちたことを全く気にしていなかった。
「あら、お友達も……すっごい筋肉ね♡ オバサン、濡れてきちゃうわ♡」
筋肉質であれば性別を問わず興奮する性癖になった高木亮平が、じゅるりと涎を垂らしそうな顔で慶輔に流し目を送る。慶輔も同じく、高村に対して興奮気味に言葉を返す。
「あざっす♡ あたし、男でも女でも筋肉あればイケるんで、オバサンともぜひやりたいっす♡」
「あらあら〜♡ また明日……同じ車両で、ぜひお相手お願いするわね♡」
慶輔と高村のやり取りを聞きながら、香織は周囲を見渡した。他の乗客たちもまた、筋肉の塊のようになった逞しい肉体を揺らしながら、この異常な状況に恍惚としていた。乗客たちの性別は反転しても髪型はそのままであるため、かなりチグハグな外見の人間が多かった。
白髪交じりのオールバックで、改変前はイケオジだったであろう中年女が、エスカレーターの順番待ちをする列の中で、もじもじと股間を気にしていた。彼が──彼女が穿いているのはブランド物のグレーのスーツが変化したビキニ水着なのだが、彼女は筋骨逞しい太腿を恥ずかしそうに擦り合わせ、熱い吐息を吐き出すと、こっそりと水着の中に指先を忍ばせていった。ビクンと逞しくなった肩を震わせると、改変前は品のある男前だった顔が、次第に下卑た筋肉女の情欲に染まっていった。
その後ろでは、ツーブロックでいかにも体育会系の営業マンのような髪型の30代の女が、うっとりとため息を吐きながら、快感の余韻に浸っていた。彼女が着ているのは、ハイレグ水着である──と言っても、ポケットに入れっぱなしにしていたコンドームが改変によって水着に変化したものであるため、素材は半透明のラテックス製であり、水着の上から地肌がほぼ見えている始末だった。かろうじて、胸や股間は白い色が濃くなっているため、乳首や性器は直接見えてはいないが……。彼女はラテックス製のハイレグ水着に包まれた割れた腹筋を愛おしそうに撫でながら、先ほどたっぷりとまんこに精液を注ぎ込まれた光景を思い出し、ゴツさの残る女顔で涎を垂らしそうな顔をしていた。
その近くには、ゴリマッチョで雄臭い肉体でありながら、肩まであるセミロングの髪で、丸太のようにぶっとい足にはハイヒールを履いた20代の男がいた。彼の水着はマンキニと呼ばれるタイプであり、元から穿いていたパンションピンクのパンティの色を反映したため、かなり派手な外見になっていた。若い男は自分の逞しい腕の太さに見惚れ、続いてもっこりした股間に食い込むマンキニ水着に興奮し、食い込みを手で直しながら、ハアハアと荒い息を吐いていた。
そんな筋骨逞しく、むさ苦しい男女の群れが、駅から街へと溢れ出るように散らばっていった。
※
そんな状態で、まともな学校生活が送れるはずもなかった。
「うっし♡ 今日もめっちゃ筋肉キレてるな♡」
「なあなあ♡ 俺の広背筋撮ってくんね〜?」
ゴリマッチョな筋肉男になった女子生徒たちが、教室で筋肉を自撮りしたり、あるいは撮影し合ったりして、SNSに上げている。その近くでは、改変前は真面目な学級委員長だった女子生徒が、メガネで三つ編みの髪型のまま、ボディビルダーを思わせるゴリマッチョな男と化し、席で鼻息荒くチンポを扱いていた。
「あ〜〜〜! チンポヤッベ! まだ抜きたりねえわ!」
委員長の机の上には、ザーメンをたっぷり吸ったティッシュがこんもりと山になっていたが、まだまだ性欲が収まらないようで、うおっうおっと野太い喘ぎ声を上げながらオナニーを続けていた。
(へへ……みんなスケベになってやがるな。そうだ。俺もスマホをチェックしとくか)
教室で机に鞄を置いた香織も、自分のSNSのアカウントをチェックした。香織も「今までゴリマッチョな男として生活してきた」ことに改変されたため、香織のSNSのアカウントも、むさ苦しい筋肉の自撮りで溢れかえっている。香織はその様子に満足しつつ、席から立ち上がって黒板を背景にしつつ、左腕の上腕二頭筋に力こぶを作ると、写真をSNSにアップした。そんな香織の横から、筋肉男の野太い声が掛けられた。
「うーっす、香織♡ すげえガタイになったな♡」
「おう♡ 里奈じゃねえか。お前も『アレ』……乗ったんだな?」
「あぁ……たまんねえよな♡」
香織の親友である、谷村里奈だった。茶髪でショートカットの髪型の、ゴリマッチョな男になってしまった里奈は、ニヤつきながら香織の大胸筋を揉み、固くなった競パンの股間を尻に擦り付けてくる。香織が振り返って里奈の顔を見ると、全体的に顔が四角張っており、鼻っ柱も太くなってすっかり男臭い顔になっていた。ただ目元には元の里奈の面影がある。親友がスケベな男に変わってしまった興奮で、香織も鼻息を荒くしながら里奈に身を任せていた。
生徒たちが登校してきて教室の席が埋まっていったが、おおよそ、教室の半数ほどの生徒が、筋肉専用車両によってゴリマッチョになっている様子だった。普通の男子生徒や女子生徒は、下品なゴリマッチョたちから距離を取って、普通の生徒同士でグループを作り、彼らの痴態に顔をしかめていた。
近くの席では、一緒に登校した綾瀬慶輔が、アマゾネスのような屈強な女の体でドカッと大股で椅子に座ると、学ランの意匠が残ったビキニ水着を膝下までずり下ろしていた。そして上気した顔で指先を股ぐらの割れ目に挿れると、クチュクチュと卑猥な音を立ててまんずりに耽り始めた。
「は〜っ♡ まんずりたまんねっ♡ んくっ♡ あっ♡ あっ♡ イク〜〜っ♡」
改変前の慶輔は、授業前の予習を欠かさない優等生だったのだが、公衆の面前でのオナニーも厭わない変態女へと仕上がってしまっていた。他にも、改変前はアメフト部だった、髪型はスポーツ刈りで日焼けした筋肉女が、ビキニ水着から乳首を露出して両手でコリコリと弄りながら「あっあっ♡ あたしの乳首……すごいっ♡」と喘いでいたし、他にも柔道部だった元男子生徒たちが、以前よりも屈強になった女体で抱き合い、うっとりとキスし合う光景もあった。
そんな痴態で溢れる教室の後ろで、壁にもたれかかって腕組みをしている不良の生徒がいた──ワックスで髪をガッチリとリーゼントを固めた、河野浩二だ。この男子生徒もまた、筋肉専用車両で筋肉女に成り果てており、学ランはビキニ水着とTバッグに変化し、襟と袖だけが学ランの特徴を留めて首と腕に残っている。そんな痴女のような格好で不良を気取っているというのは、筋肉専用車両に乗っていない生徒からすれば奇妙に思えて仕方がないのだが、面と向かって指摘できる生徒はいなかった。河野はジロジロと他の生徒たちを眺めていたが、やがてある男子生徒が教室に入ってきたのを見つけると、機嫌良さそうな声音で近寄っていった。
「う〜っす。近藤さあ、ちょっとチンポ貸してくんね〜? あたし、もうムラついてたまんなくてさぁ♡ ラグビー部の生チンポ、今すぐ咥えこみてえんだよ♡」
「お、俺!? ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺、河野のことは全然……!!」
「なんだよ、あたしとヤれんのに文句あんのか?」
近藤健吾は、筋肉専用車両に乗っていない、普通の男子生徒である──それでも、ラグビー部員であり、常識的な範囲で筋肉質で逞しい体躯をしている。だが河野はそれを遥かに上回るゴリマッチョな肉体の腕力で強引に近藤を肩に担ぎ上げると、教室から出ていってしまった。
「うわっ。今日は近藤かよ……」
「俺、先週の放課後、河野に捕まっちゃってさ……」
「あー、俺は先月やられた。金玉が空になるまで搾り取られたぞ」
改変されていない男子生徒たちは、うんざりした顔をしながら近藤の嬌声を聞いていた。不良によるチンポのカツアゲはごく日常的な出来事になっており、そこまでの騒ぎにはならない。それを取り締まるべき生徒指導の教師もまた、異常に飲み込まれているのだから。
「おーし、席につけー。ホームルーム始めるぞー」
生徒指導担当であり、このクラスの担任でもある、五十嵐武雄が出席簿を持って教室に入ってきた。年齢は40代前半、髪型はパンチパーマであり、口髭を蓄えた強面の体育教師──そんな男性教師もまた「筋肉専用車両」によって身も心も変態的な筋肉女に変わり果てていた。五十嵐は、白いポロシャツが変化したビキニ水着とTバックを穿いているが、足元はオッサンが履くような靴下とサンダル姿である。五十嵐は女になってもなおゴツい顔に化粧をし、妙に高くなった声で話し始めた。
「ん? 河野と近藤が席にいないが──ああ、授業前にヤッてるんだな? ムフッ♡ 感心感心♡」
女子生徒のスカートが規定より1cm短いだけで怒鳴っていた男と同一人物とは思えないほどの破廉恥な言動だが、しかし五十嵐の価値観はガサツで性欲旺盛な筋肉女のそれに変質しており、自分の言動に何の違和感も抱いていないようだった。
「しっかりと性欲を発散してから授業に臨むのが、学生のあるべき姿だからな♡ みんなも河野と近藤を見習えよ。ムラムラしてるやつは先生のまんこを貸してやるからな。もちろん、女子も歓迎だぞ〜♡」
口髭を蓄えたゴツい顔をデレっとニヤけさせて、卑猥な言葉を語る五十嵐。「最初から女性だった」ことに改変されたことで、五十嵐に口髭は生えなくなったのだが「付け髭を普段から付けていた」ことに同時に改変されたため、五十嵐の顔には以前の口髭と同じ外見の付け髭が存在していた。しかし顔の輪郭や顎はゴツいとはいえ女性のそれへと変化しており「口髭を付けてまで念入りに男装している筋肉女」という倒錯感を増す結果になっていた。五十嵐は以前と同じ癖で、口髭を撫でながらうっとりと呟いた。
「あぁ……♡ 先生も、カミさんとヤッてはいるんだが……やっぱり、ゴリマッチョとのセックスは別腹でな♡ 先生が既婚者だからって遠慮せずに、存分に声を掛けてくれよな♡」
五十嵐はニンマリと笑みを浮かべながら、股間を教卓の角に擦り付けるように動かし始めた。発達した大殿筋を物欲しげにプリプリ振りながら、ハァン……と色っぽい溜め息を吐き、そのまま出席を取り始めた。
※
数学や現国といった授業そのものはつつがなく進んでいく。授業中に押し殺した喘ぎ声や、精液や愛液の匂いがムワッと立ち込めることを除けばだが。その一方で「改変」によって、人間関係も奇妙なものになっていた。休み時間に、普通体型の野球部の男子生徒二人が、若手の音楽教師について話していたのだが──
「あぁ〜……やっぱ音楽の園田ちゃん、いいよなぁ〜。ゴリマッチョで、逆三角形の厳つい体してるし……マジでそそる……」
「え? そ、そうか……?」
「だってよ、園田ちゃんの胸板、むちゃくちゃ分厚いじゃねえか! あの雄っぱいでパイズリされてぇ〜〜っ!」
話題になっている園田理恵は新任の女性教師で、可愛らしい容姿のため男子生徒から人気があったのだが……園田は「筋肉専用車両」によって、むさ苦しい巨漢へと変貌していた。だが「改変前に園田理恵に好意を持っていた人間」は「改変後のゴリマッチョな男性教師である園田理恵のことも好きである」ことに事実関係が置換されてしまった。改変前に園田のことが好きだったその男子生徒は、筋肉専用車両に乗っていないにも関わらず、性別を問わない筋肉好きへと性癖が書き換わってしまったのだ。もう片方の男子生徒は、やや引いた態度で友人の熱い語りを聞いていた。
(へ〜……そういうふうになるんだ。なら、担任の五十嵐の奥さんとかも筋肉好きになってるってことか?)
香織が疑問に思った通りのことが、筋肉専用車両に乗った乗客の恋人や夫婦に起きていた。運良く筋肉専用車両に乗らずに会社に出勤したサラリーマンが、共働きの妻が筋肉専用車両に乗ってしまったために、連鎖的に性癖だけが筋肉好きに置き換わり、筋肉専用車両に乗ってしまった同僚のゴリマッチョな肉体に、鼻息を荒げてしまったり。
あるいはこの学校内でも、カップルの彼女だけが筋肉専用車両に乗ってしまったため、彼氏も性癖だけが筋肉好きに置き換わってしまっているカップルや、その逆の組み合わせが何組かいた。改変前は異性だったカップルの組み合わせが、改変後は肉体的には二人共、同性になってしまったが──恋人同士であるという事実は変わらず、やけにゴリマッチョになった彼氏や彼女に、普通体型の彼氏や彼女がうっとりと見惚れていた。
そして香織の目の前でも、その連鎖的な改変が起きようとしていた。
「なっ、何なんだ! この破廉恥な有り様は!」
学年主任の教師である寺田久義は、教室や廊下でゴリマッチョな生徒たちが性欲を発散する様子を見て、唾を飛ばしながら怒鳴っていた。寺田は筋肉専用車両に乗っていない、ごく普通の中年教師であり、角刈りで固太り体型の男だ。校内に溢れる痴態も「いつも通りの光景である」と寺田の記憶にはあったが、それ以上に寺田は直感的に違和感を覚えていた。
「五十嵐くん! 君が率先して風紀を乱すとはどういうことだ!」
「いやあ。ムラついてると授業に集中できないし、しょうがないと思いますよ♡ 前からそうだったじゃないですか」
「ううむ……それは……そうなのだが……!! だが、なにか……いや、何かおかしいだろう! これは!!」
寺田はアマゾネスのような肉体になった五十嵐と向かい合っているが、五十嵐の方がでかいため、見上げなければならなかった。寺田が怒鳴っている最中に「それ」が起きた。
「だいたい、女性教師である君がこんなに露出度の高い──んおっ♡ おほぉ♡♡♡」
怒りで興奮していた寺田の表情が、デレっと緩んだ。まるで美女を目の前にした男のように、鼻の下がだらしなく伸びている。瞳には好色そうな光が浮かび、忙しげに小鼻が膨らんだり窄んだりし始めた。寺田はスケベオヤジそのものの表情になると、五十嵐のアマゾネスのような屈強な女体にベタベタと触り始めた。寺田は節くれだった指先で割れた五十嵐の腹筋をなぞり、感嘆の声を漏らす。
「んひひ♡ しかし……いつ見ても五十嵐くんは、素晴らしい筋肉じゃないか……♡ 五十嵐くんの逞しいカラダを見ていると、ワシももうムラついて……えひっ♡ た、たまらんぞ……!」
「ありがとうございます♡ 寺田先生……次の授業前にスッキリさせましょうか?」
「おう♡ いつも通り頼むぞ♡」
所用で駅を利用した寺田の妻が「筋肉専用車両」に乗ってしまった結果、連鎖的に夫である寺田久義もまた、性癖だけが熱烈な筋肉好きへと改変されてしまい「ゴリマッチョな女性教師である五十嵐と、以前から肉体関係を持っていた」ことになってしまったのだった。「筋肉専用車両」に乗って直接改変を受けた五十嵐や香織は、寺田の変化を認識していたが、しかし当の本人である寺田は、自分が変態化したことに無自覚な様子であった。その様子に香織も興奮を隠せず、競パンの股間を固くしていた。屈強なアマゾネスのようになった五十嵐が、寺田をお姫様抱っこして、空き教室へと入っていった。
「うっわ♡ あんな一瞬で変わっちまうのか。この分だと、どんどん増えてきそうだな」
香織の予想通り、筋肉専用車両に乗っていない人間でも、連鎖的に中身だけ熱烈な筋肉好きになってしまう人間は増え続けた。
「おーっし♡ 今日の授業はたっぷり寝技を教えるからな〜♡」
体育の時間になると五十嵐が、男子生徒たちと絡み会える喜びで、興奮した声を上げた。体育は男女別であり、今日の男子の体育は──筋肉専用車両によって女子から男子になってしまったゴリマッチョな男子生徒と、筋肉専用車両に乗っていない普通の男子生徒たちが入り混じった形での柔道の授業だ。ゴリマッチョな男子生徒たちは、上半身は柔道着を着ているが、下半身は競パンを穿いて腰に帯を巻いているという、チグハグな格好だ。そして朝の時点ではゴリマッチョな変態に嫌悪感を示していた普通の男子生徒たちの中にも、連鎖改変を受けた者が増えていた。
「んほぉっ♡ 姫嶋の雄っぱい、マジで分厚いな♡ たまんね〜っ♡」
ラグビー部の近藤健吾だ。朝の教室で、ゴリマッチョな不良の女子生徒にチンポをカツアゲされたこの男子生徒もまた──近藤が抜いたことのあるグラビアアイドルが筋肉専用車両に乗ってしまったことで、連鎖的に性癖が改変され、性別を問わない熱烈な筋肉好きへと変貌していた。もはや涎を垂らしそうな勢いで、香織とペアを組んでの柔道の練習を愉しんでおり、柔道着の股間はもっこりと固くなっていた。香織は近藤の無自覚な変貌ぶりをからかうように口を開いた。
「おいおい近藤、男相手にチンポ勃ててんのか?」
「し、仕方ねえだろ! 男でも女でも! 俺は分厚くてゴツいガタイにムラついちまんだよ!」
近藤はそう言うと、寝技の練習という建前で、畳に仰向けになった香織の分厚く雄臭い肉体に抱きつき──香織の割れた腹筋の感触を堪能しつつ、そのまま香織の競パンの股間に熱い視線を注ぎ──男臭い肉体同士が触れ合うのを愉しむように香織の体の上を這い、チュッと音を立てて香織の競パンの膨らみにキスをした。そして、近藤自身の勃起した柔道着の股間を、ぐりぐりと香織の顔に押し当てている。とても今朝まではノンケだったとは思えないような──本人的にはノンケのままであり、あくまでも筋骨逞しい人間を性別を問わず愛してしまうだけなのだが──筋肉専用車両の乗客予備軍とも呼ぶべき存在に成り果てていた。
「んほぉっ♡ 今朝の河野も、女とは思えないほどの筋肉でエロかったけど……やっぱ男のゴツい体もたまんねえぜ……♡」
おおよそ、男子生徒の半分がゴリマッチョ体型であり、残りの半分は普通体型であるが──そのさらに半分、全体の1/4ほどが連鎖改変によって、性癖だけ熱烈な筋肉好きになっている様子だった。ゴリマッチョな男子生徒と組み合って鼻息を荒げながら、寝技の練習中に、固くなった股間をいやらしく擦り付ける。中にはあからさまに手コキを始めた男子生徒もいたが、体育教師である五十嵐もまた変態になっているため、何も問題にはなっていなかった。まだ思考もまともな男子生徒たちは、このあまりにもエロティックな授業に辟易として、うんざりとした表情をしている。
「うわっ……毎度思うけど、みんな変態すぎだろ……」
「ああ。マジでキモすぎ──んひっ♡ ゴリマッチョ、マジでエロいよなぁ……♡ あの逆三角形の体型、たまんねぇっ♡」
中には会話の途中で連鎖改変を受け、思考が変態になってしまう男子生徒もいた。芸能人や有名人が筋肉専用車両で改変されるたびに、連鎖改変は波及していく。それだけでなく、警察官や弁護士、裁判官といった法曹関係者が筋肉専用車両で改変され、熱烈な筋肉好きになるたびに「性欲旺盛なゴリマッチョによる性犯罪には情状酌量の余地があるべき」と裁判の判決さえも改変され、変態に優しい社会へと改変の余波が波及していく。
※
放課後の部活動もまた、変態的なものへと変貌していた。
「うっし♡ 今日も練習場の使用権は、女子ラグビー部だなっ♡」
「くっそぉ……」
「おーしっ♡ 軟弱な男子ラグビー部どもは、チンポ貸せチンポ♡ あたしら女子ラグビー部が喝を入れてやるよ!」
改変されていない男子ラグビー部員と、改変された男子ラグビー部員によって以前から存在していたことになった女子ラグビー部員が、練習場の使用権を賭けて練習試合をしていた。だが、結果は圧倒的であった。屈強な体格の女子ラグビー部員たちに、男子ラグビー部員たちは薙ぎ払われるようにボールを奪われてしまう。連鎖改変によって熱烈な筋肉好きになってしまっている男子ラグビー部員も中にはおり、女子ラグビー部員のゴリマッチョな肢体はあまりにも魅力的であり、全く試合に集中できなかった。そして敗北した男子ラグビー部員たちが、次々に屈強なアマゾネスのような女子ラグビー部員たちに組み敷かれていく。これもまた、日常的に行われている痴態だった。
「んくっ♡ あたしが率いたラグビー部が、こんなコテンパンにっ……♡」
改変された男子ラグビー部員の中には、女子ラグビー部員になるのではなく、チアリーディング部になってしまった部員もいた。ラグビー部部長の須崎将史は、日に焼けた屈強な体躯のチアリーディング部の女子へと改変され、紐のような際どい水着姿で、グラウンドでチアリーディングの練習に勤しんでいた。かつて自分が部長として率いていたラグビー部が、女子ラグビー部にこてんぱんに打ち負かされる姿に、須崎はマゾヒスティックな快感を覚え──股ぐらにできた割れ目から愛液が溢れ、太腿を伝うのを感じていた。
「れ、練習が終わったら……あたしも……あいつらを慰めてやらねえとな♡ んひひ……♡」
質実剛健な鬼部長だったとは思えない、淫蕩な笑みを浮かべた須崎が、鼻息荒くかつての仲間たちを見つめる。野球部やサッカー部なども同様に、普通体型の生徒たちは、ゴリマッチョな生徒たちについていくのがやっとであった。そしてラグビー部のように肉体の接触の多いスポーツ──アメフト部や柔道部、レスリング部は、筋肉専用車両に乗った生徒だけでなく、連鎖改変を受けた生徒も含めて、濃厚な絡み合いをするようになっており、体育会系の部活の中でも変態度が高い傾向があった。水泳部もプールの水面下で当然のようにまぐわうようになっている。文化系の部活も改変の影響を受けており、美術部はゴリマッチョな生徒をヌードモデルにして絵を描くのが当たり前になっていた。
「は〜っ……♡ すっげえ楽しい学校になったな」
香織は放課後の教室で、グラウンドで繰り広げられる痴態を眺めながら、慶輔に話しかけた。慶輔のまんこに挿れていた巨根を、じゅぷりと音を立てながら引き抜く。射精直後で濃厚な精液を垂れ流す巨根を、香織は亀頭を手で拭って精液の塊を落とす。慶輔はとろんとした声で返事をした。
「んっ……♡ 香織のチンポ、すっごいよかったぁ……♡ あたしが今日ヤッたチンポの中で、一番かも♡」
「っへへ……当然だろ♡」
すっかりヤリマンになってしまった慶輔。香織はそんな慶輔の様子に興奮し、筋肉質な尻を揉んだ。教室では他にもまぐわっている生徒たちがいたが、香織と慶輔は後始末をすると、下校することにした。
街なかもまた、普通の体型の人々に混じって、ゴリマッチョで露出度の高い水着を穿いたサラリーマンやOLが行き来していた。
「ちょっとお時間よろしいですか?」
「なんだぁ? んおっ♡ 腹筋バキバキ♡ すっげえエロいねえちゃんじゃねえかっ♡ お前、そんなエロい体で警察官なのかよっ♡」
「ありがとうございます……♡ それでですね、持ち物検査にご協力頂きたくて──んっ♡ あなたもかなり筋肉、仕上がってますねぇ♡ まずは僧帽筋、舐めさせてもらいますね♡」
パトロールをしている二人組の警察官の片方が、筋肉専用車両によってアマゾネスのような屈強な女性へと変わっていた。警察官の制帽はそのままに、紺色のビキニ水着と装備品を付けるハーネスを逞しいカラダに着用した30代の元男性警察官は、同じく改変されてしまった柄の悪そうな男──サングラスと派手な紫色のビキニ水着を着用した屈強な女の体を、職務質問と称して愛撫し、屈強な筋肉に舌を這わせていた。
「はーい♡ 次はおまんこの中、失礼しますね……♡」
「おうっ♡ 来てみやがれッ♡」
「はーっ♡ はーっ♡ いい……♡ 職務質問、たまらんっ……♡」
そして、もう一人の警察官──筋肉専用車両に乗らなかった40代の男性警察官は、連鎖改変を受けてしまったのか、ゴリマッチョな女同士の絡みに精悍な顔を赤らめて興奮し、肩で息をしながら、自分の制服の股間を執拗に弄っていた。
駅前ビルの外壁にある巨大ディスプレイには、男性アイドルグループのアルバムの広告が映し出されたが、5人の男性アイドルのうち2人が「改変」されアマゾネスのような屈強な女になっていた。その次に映し出されたニュースの女性アナウンサーが、男臭い顔立ちの屈強なゴリマッチョになり、競パン姿でニュースを読み上げていたが、しかし道行く人々の大半は、その異常性に気づいていないようだった。香織と慶輔は変態な街なかを通り過ぎ、駅の改札へと向かう。
「そう言えば、あたしのパパもあの車両、乗っちゃったみたい。休み時間にスマホの写真見たら、ゴツいオバサンに変わってて……びっくりしちゃった♡」
「ふーん。俺も見てみるか。うおっ! 俺のオヤジも乗ったみたいだな! こりゃ帰ってくんの楽しみだ」
二人は変わり果てた父親たちの写真を見つめて、にんまりと笑みを浮かべた。駅のホームにつくと、電車待ちの列に並ぶ。ごく普通の格好のサラリーマンやOL、学生たちの中に、香織と慶輔のようなゴリマッチョたちが混じっている。列に並んでいる普通の人々は、汗臭いゴリマッチョたちに顔をしかめていたが、中には連鎖改変を受けて、うっとりとゴリマッチョな体躯を眺めているサラリーマンもいる。ゴリマッチョな人間たちは、彼らのような普通の乗客たちが変貌する様子を想像して、互いに目配せしては好色そうな笑みを浮かべていた。やがて電車がやって来て、ドアが開いた。中から改変されたてほやほやの、暑苦しいゴリマッチョたちが、屈強な筋肉から湯気を立ち上げていそうな熱気と共に、ドカドカと降りてくる。普通の乗客たちを新しく乗せて、電車が発車する。
──ご利用の車両は、筋肉専用車両となっております。
アナウンスが流れ、普通の乗客たちの改変が始まると、香織と慶輔は、戸惑う普通の乗客たちの中から、誰を味見しようか品定めしていた。
「ああっ♡ あっ♡ なんだこれっ♡ 俺のチンポがっ……♡」
「へへっ♡ 落ち着けよオッサン♡」
香織は30代後半の、口髭を蓄えた男前なサラリーマンを太い腕で抱き寄せると、分厚い胸板を顔に押し付けた。サラリーマンの呼吸が荒くなり、香織の男臭い体臭に夢中になり始めると、香織は筋肉でパツパツになり始めたサラリーマンのスラックスを脱がし、股ぐらで濡れそぼるサラリーマンのまんこに、指を滑り込ませた。
(終)
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Pixivリクエストで依頼を頂いた作品のひとつで、性別反転してゴリマッチョ化する電車に乗ってしまった女子生徒が、変態的な日常生活を楽しむ話です。当初はもっと短編(7,000字〜9,000字くらい)を想定していたのですが、他の乗客や学生、あとはリクエストにはなかった連鎖改変の設定を盛り込んでいったら、だいぶ話が膨らんでしまって20,000字を超えてしまいました。筆が乗ること事態は楽しかったのですが、他のリクエストのスケジュールがかなり押してる事態になったので、そのあたりは別記事でお話します。
くろねこ@9605
2024-10-03 13:07:10 +0000 UTC黒竜Leo
2024-09-30 13:27:30 +0000 UTC