「兄ちゃん、おかえり!」
「おう! 久しぶりだな、浩介!」
夏休みになって、大学生の浩毅兄ちゃんが帰ってきた。大学でラグビー部に入った兄ちゃんは、日焼けしていて筋肉モリモリで、あごひげを生やしていた。
「兄ちゃんのおヒゲ、かっこいいね」
「いいだろ? 高校生の頃は校則もあって、生やせなかったからな」
兄ちゃんはあごひげをなでた。いいなあ……ぼくも兄ちゃんみたいになりたい。よし、あれを兄ちゃんに渡してみよう。
「兄ちゃん……これ」
「ん? 何だ……『融合チケット』? んあっ!?」
ぼくが渡した「融合チケット」を受け取った兄ちゃんが、うわずった声を漏らした。その次の瞬間、ぼくの体がふわっと浮かんだ感じがした。
「ん? んんっ? な、なんだぁっ……?!」
俺は、荒い息を吐きながら咳払いをした。なんだか声が変だ。いつもよりも高いような──いや、低いんだっけ? 違和感を覚えつつ実家に上がり込む。洗面所で手を洗い、鏡を見た。
「えっ、だ、誰っ」
鏡には、顎髭を生やした、日焼けしたラグビー部の大学生が映っている。ぼくの兄ちゃんに似てるけど……でも顔は子どもっぽくて、可愛らしい感じがした。俺の顔……こんなだったか? そして不意に、俺は弟の浩介と融合したことを思い出した。
「んあっ!? おっ俺っ……浩毅兄ちゃんだけど……浩介……なんだよなっ!?」
鼻息を荒げながら、自分の体をあちこち触る。筋肉質だが、汗の匂いは小○生のような甘い匂いで、体毛は薄くなっていた。下着ごとハーフパンツを降ろす。デカマラだったはずが、二次性徴前のような白い包皮の包茎チンポになっていた。ただ、太さは俺のままで、割と太い。
「んっ、駄目だッ……弟のチンポなのにっ……で、でもっ、ぼくのチンポだしっ……別に……いいよねっ!」
俺になったぼくは、浩毅兄ちゃんのチンポを扱き始めた。
(終)
「この居酒屋には、裏メニューがあってな」
酔いが回った嶋崎課長が、とろんとした目つきで喋り始めた。
「その酒を飲むと、店内にいる誰かと、体が入れ替わっちまうんだ」
「課長、そろそろ飲み過ぎですよ」
「嘘じゃないんだって。俺も先月、ここで飲んでたら、俺と──嶋崎政幸と入れ替わっちまったんだ」
そう言って課長は、ぐびりとビールを煽った。
「えっ、じゃあ課長は、別人だったって言うんですか?」
「おう。元の俺は25歳のピチピチのOLだぜ? まあ、それはともかく……その酒は『入れ替わったことのある奴』しか注文できないんだ。大将! アレ……貰っていいか?」
課長は、居酒屋の店主に何かを注文した。スキンヘッドにねじり鉢巻きをした厳つい店長が、コップに入った酒を持ってきた。
「へい、『変わり酒』お待ちどう!」
「竹本。お前もどうだ? 入れ替わってみないか?」
「えっ、俺がですか?!」
「おう。他人になるの、すんげえ気持ちいいぞ。俺みたいなおっさんになるのでさえ、気持ち良すぎてイッちまったぐらいだ……」
日焼けした精悍な課長が、目を閉じてため息を漏らす。その異様な雰囲気に飲まれ、俺はいつの間にかコップを手に取り──酒をぐびりと飲んでいた。
「〜〜〜〜〜ッ!」
ビクンビクン! と肩が痙攣すると──28歳のサラリーマン、竹本慶二から、居酒屋のカウンター席で飲んでいた中年男、磯辺雄造へと体が入れ替わっていた。
「ハァン……たまんねえぜ」
オイラは酒臭い息を吐いて、無精髭の生えた顎を撫でた。風俗通いやパチンコが趣味の、酒臭いオヤジになっちまったってのに、このオヤジの人生をまるごとオイラのものにしちまった興奮で、一瞬で射精しちまってた。元のオイラの体を見ると、あいつも顔を真っ赤にして喘いでいた。課長と目があったオイラは、がに股でそっちの席に歩いていった。
(終)
3人組の男性アイドルグループ「Eclipse」。彼らの握手会で、それは起きた。
「次の方、どうぞー」
リーダーである土屋涼介は、さらさらした黒髪のマッシュヘアでクール系のイケメンだ。次に握手に来たのは、作業着を着て顎髭を蓄えた、男臭い雰囲気の30代の男性だった。
「いやあ、俺、昔から土屋くんのファンで……」
「ありがとうございます」
涼介は作業着の男と握手をした。そのときだった。
「んひっ」
涼介の表情筋がデレっと緩んだ。色白で涼やかなイケメンが、みるみる男臭いドカタ野郎に変わっていく。さらさらした黒髪のマッシュヘアは、パンチパーマへ。丹念に化粧品でケアしていた白い肌は、浅黒く日焼けした汗臭い肌へ。細い眉は濃く太くなり、細く整った鼻もまた、鼻っ柱が太い獅子鼻になっていく。薄かった唇も厚ぼったくなり、顎も角張り、ゴワゴワと顎髭が生えていく。
「な゛っ、なんだっ、これっ……!」
声も野太くなり、ワイシャツとジャケットだった服装が、白いタンクトップと紺のニッカボッカに変化したため、日焼けした逞しい腕と、分厚くなった胸板に生えた胸毛が見て取れた。
「〜〜〜〜っ!!」
「んあぁっ!」
他のメンバー……茶髪パーマで可愛い系の顔立ちの成瀬卓也は、金髪のリーゼントでサングラスを掛け、黒いコンプレッションウェアと紫色の派手なニッカボッカを履いたヤンキー系のドカタ野郎に。黒髪ベリーショートで男前な顔立ちの小幡慎吾は、角刈りで髭の剃り跡が濃く、水色の作業着を着た、昔気質の中年ドカタ野郎に──それぞれ作業着を着たファンと握手したことで「淫乱ドカタ野郎」の概念に感染し、同族化していた。
「うへへ……これからも、俺らのせんずり配信、楽しみにしてくれよな!」
「元からエロ系動画配信者グループだった」ことに改変された涼介は、好色そうな笑みを浮かべた。
(終)
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お題を元に800字で小説を書いていくチャレンジ。今回は、
①「融合」+「年の差兄弟」
②「深夜の居酒屋」と「入れ替わりメニュー」
③「男性アイドル」+「感染同族化」
の3本でした。
800字小説のお題のリクエストは、基本的には「2つの単語」までOKです。具体的には「○脳」+「高校球児」などですね。ただ、入れ替わりや立場交換の場合は、単語2つだけだとリクエストの幅が狭くなってしまうので、交換したい組み合わせまで書いて大丈夫ですよ。例:「入れ替わり」+「水泳部と野球部」
簡易的なリクエストとして、思いついたものがあればコメントしてみてください。リクエストしたいお題は、今まで通り800字小説のコメント欄にどうぞ。
それと、どんなリクエストしたのか他の人に知られたくないときは、どうしたらいいですか?という問い合わせも頂きました。その場合は、TwitterのDMやpixivのメッセージでリクエストを下さい。それ以外の通常のリクエストは、今まで通り800字小説のコメント欄にコメントを下さい。
※リクエストする際のお題を「2つの単語」に絞っているのは、複雑な内容を文章でリクエストされても、800字という文字数では対応できないためです。ご了承下さい。
くろねこ@9605
2024-06-30 09:30:19 +0000 UTCtaurus_mask
2024-06-28 17:19:46 +0000 UTCくろねこ@9605
2024-06-03 13:34:59 +0000 UTCTon爆To
2024-06-02 17:48:33 +0000 UTCくろねこ@9605
2024-06-02 13:29:48 +0000 UTCくろねこ@9605
2024-06-02 13:27:51 +0000 UTCくろねこ@9605
2024-06-02 13:23:12 +0000 UTCくろねこ@9605
2024-06-02 13:22:50 +0000 UTC思兼
2024-06-01 15:33:43 +0000 UTCタカムラ
2024-06-01 11:47:44 +0000 UTC黒竜Leo
2024-05-31 16:21:21 +0000 UTCスキマチオ
2024-05-31 16:04:50 +0000 UTC