「なんか……山口、毛深くね?」
「ああ、最近急に生えてきてさ」
おれがそう言うと山口は笑いながら柔道着の襟を直した。童顔の山口に似合わない、針金のような剛毛の胸毛が見える。そういうものか、と思って柔道部の練習を続けていると、なんだか部活が変な雰囲気になってきた。
「んくっ♡」
「はーっ♡」
かけ声に混じって、なんだか妙にエロい感じの声が混じっているのだ。声の方を見ると、山口と組んだ奴らが、顔を真っ赤にして肩で息をしていた。はだけた柔道着からは、山口のように針金のような剛毛の胸毛が生えているのが見えた。それに柔道着の股間が盛り上がって、なんだか湿っているような……。
「おいおい、なんだそのふぬけた声は! 山口! それにお前ら! ここに並べ!」
顧問の須賀先生も妙な雰囲気に気づいたのか、練習を止めさせようとした。だけどその頃には胸毛の生えた部員は半数以上になっていた。整列した部員たちはにやついていて、むしろ須賀先生につかみかかった。
「おい! こんなことして、ただで済むと──!」
ぷつんと須賀先生の怒鳴り声が途切れた。そして、部員たちの下から起き上がった須賀先生は、もはや怒っていなかった。精悍な顔に、デレッと緩んだ笑顔を浮かべて、柔道着の襟元からは、剛毛の胸毛が生えた胸板が見えていた。先生の柔道着の股間には、濃い色の染みがあった。須賀先生はうっとりとした声で言った。
「急に怒鳴って済まなかった。さあ、部活を続けよう……柔道を通じて、逞しい体に、みんなでなろうじゃないか……」
須賀先生が、そして胸毛の生えた部員たちが、そうではない部員たちに嬉々として掴みかかった。おれは、須賀先生に組み敷かれた自分の胸板から、胸毛が次々に生えてくる感覚に悶絶しながら、柔道着の中に射精した。
(終)
「うおー! すっげー広い!」
「おい雄太! ちゃんと体洗ってから入るんだぞ!」
近所に新しい銭湯ができた。父ちゃんとおれは、さっそく週末に行ってみた。体を洗ってから周りを見ると、ピンク色のお湯が入った湯船が見えた。
「なんだあれ! すっげーピンクじゃん!」
「『替わり湯』だってよ。入ってみるか」
替わり湯には、白髪交じりの七三分けのおっさんが入っているだけだった。おれと父ちゃんが入ると、少しして、坊主頭の高校生くらいの兄ちゃんが入ってきた。湯船に入っていると、なんだか変な気持ちになってきた。
「とっ、父ちゃん……なっ、なんか……おかしくねえ?」
「そうか? 別に普通だろ? 『替わり湯』の効能で、顔以外が入れ替わっちまうんだってよ。看板にも書いてあるじゃねえか」
おれは自分の体を見下ろした。おれの体は、さっきの白髪交じりのおっさんの体になっている。肌は色白で太っていて、胸には白髪交じりの胸毛が生えていて……チンポはもじゃもじゃした白髪交じりの濃い毛におおわれていて、太くてデカかった。さっきのおっさんは、おれの体に……日焼けしたスポーツ刈りの小■生の体になっているのに、顔はヒゲを生やしたおっさんのままだった。
父ちゃんは坊主頭の高校生の体になっているのに、顔は太い口髭を生やした父ちゃんのままだった。高校生の方も、パンチパーマでいかつい父ちゃんの体になっているのに、顔はそのままだった。
「おう雄太、そろそろ出るぞ」
「で、でも、父ちゃん……」
「んあ~っ! やっぱ若いチンポはたまんねえぜ。ビンビンじゃねえか」
高校生の声で父ちゃんは笑うと、小さなチンポをくりくりと指で弄った。そのまま父ちゃんはおれの股間をつかんだ。
「おう、雄太は立派なデカマラになったじゃねえか。大事にしろよ」
「んっ……んあっ!」
おれはおっさんの低い声で喘いだ。
(終)
──世界中を襲った「入れ替わり災害」から半年。今日は26歳の警察官・吉田健太さんと、72歳の田崎栄次郎さんにインタビューさせて頂いております。さっそくですが、入れ替わった状況をお聞かせください。
(精悍な若い警察官が、年寄りじみた口調でしゃべり出す)
「いやあ、恥ずかしながら入れ替わる前のワシは、いわゆるボケ老人でしてな。徘徊して交番で吉田クンに保護されている最中に、入れ替わったのです。急に頭がはっきりしたら、若い体になってたんで驚きましたわ。久しぶりにあっちの方もビンビンになってしまって……おっと、これは失礼」
──いえ、そういった感覚的なこともぜひお聞かせください。では、田崎栄次郎の中に入っている、吉田健太さんの方は……
(吉田健太の隣の老人をカメラが映す。白髪の角刈り、日焼けした色黒の肌。若い頃は肉体労働をしていたのか、骨太な体躯をしている。その表情は妙にぼんやりしている)
「ワシはその……警察官で……いや? 若い頃は大工をしてて……あり?」
「どうやら、ワシと吉田クンの記憶が混じっているようでしてな。ボケてるのも相まって、この有様なのです」
──そうなんですね。お二人は入れ替わり後も交流を持っておられるとか?
「ああ。この入れ替わりは【入れ替わった相手と両思いになってしまう】のはご存じでしょう。ワシも吉田クンと……いわゆるデートをしとるのですよ。と言っても、公園で手を繋いで歩く程度ですがな」
(若い警察官と骨太な老人が手を握る。骨太な老人が、恥ずかしそうに顔を伏せる)
「んっ……田崎さん……恥ずかしいですよ、こんなの……」
「おう、ようやっと正気に返ったか。ほれほれ、ワシらのラブラブさを見せつけてやるぞ」
(若い警察官と骨太な老人がキスをする。二人の肩がビクッと震える。周囲に精液の匂いが漂う)
──お二人とも、今日はありがとうございました。
(終)
「はぁ~~~……くそっ」
警察官の相沢誠司は、非番の日にあるアパートのチャイムを鳴らした。無精髭を生やした太った中年男がドアを開けた。
「……」
視線を交わした二人は無言で部屋に入った。先日、深夜の公園で露出行為をしていたこの中年男──中野茂雄を逮捕しようとした際「精神融合アプリ」を使われてしまい、相沢と中野の精神は融合してしまったのだ。互いに「相沢誠司と中野茂雄はどちらも自分である」という認識になっている。相沢は、一昨日から風呂に入っていない中野の姿を見て、苛立たしげに口を開いた。
「おい、また風呂入ってねえだろ。『俺の身体でもある』んだから、清潔にしろよ」
「おう、悪い悪い。つうかお前も、その堅苦しい性格なんとかしてくれよ。落ち着いて露出もできねえよ」
「うるさい。逮捕しないだけありがたいと思え」
相沢は中野の服を脱がし、風呂場に追い立てながら悪態をついた。相沢にとって、中野は「自分のもうひとつの肉体」であり、不潔であることに不快感があるため、様子を見に来ているのだ。相沢も服を脱ぎ、アパートの風呂場に共に入る。三十過ぎの屈強な警察官が、五十過ぎの中年男を泡立てたタオルで洗っていく。
(くそっ! なんで俺がこんなオッサンと……心がひとつになっちまうんだよ!)
中野の仮性包茎チンポのチンカスも丁寧に洗ってやりながら、相沢は嫌悪感を抱いた。こんな脂ぎった不細工な中年男だが、自分自身であるという感覚が拭えないため、言葉は乱暴でも丁寧に体を扱ってしまう。
そして、心がひとつであるため、昨日抜いておらずムラついている中野に対し、相沢は無言でチンポを扱き始めた。中野の性欲は相沢の性欲でもあるからだ。中野の脂ぎった顔が快感と苦悶で歪む。
「ん゛あぁぁッ!」
「〜〜〜〜ッ!!」
中野が太鼓腹を震わせて射精する。相沢の背筋にも鋭い快感が走り、射精した。
(終)
──────────
お題を元に800字で小説を書いていくチャレンジ。今回は、
①「若毛深」+「集団感染」
②「恰幅の良い紳士とやんちゃな小■生」+「顔以外交換」
③「若手警察官と老年」+「入れ替わり」
④「精神のみ融合」+「相互嫌悪」
の4本でした。
800字小説のお題のリクエストは、基本的には「2つの単語」までOKです。具体的には「憑依」+「体育教師」などですね。ただ、入れ替わりや立場交換の場合は、単語2つだけだとリクエストの幅が狭くなってしまうので、交換したい組み合わせまで書いて大丈夫ですよ。例:「入れ替わり」+「水泳部と野球部」
簡易的なリクエストとして、思いついたものがあればコメントしてみてください。リクエストしたいお題は、今まで通り800字小説のコメント欄にどうぞ。
それと、どんなリクエストしたのか他の人に知られたくないときは、どうしたらいいですか?という問い合わせも頂きました。その場合は、TwitterのDMやpixivのメッセージでリクエストを下さい。それ以外の通常のリクエストは、今まで通り800字小説のコメント欄にコメントを下さい。
※リクエストする際のお題を「2つの単語」に絞っているのは、複雑な内容を文章でリクエストされても、800字という文字数では対応できないためです。ご了承下さい。
くろねこ@9605
2024-03-06 10:12:41 +0000 UTCくろねこ@9605
2024-03-06 10:08:11 +0000 UTCブウ
2024-03-04 13:37:14 +0000 UTCkoh
2024-03-03 16:58:10 +0000 UTCくろねこ@9605
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2024-03-03 14:17:25 +0000 UTCタカムラ
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2024-02-29 17:15:13 +0000 UTC