「──まさか、河口先生の正体がキャプテン・リペルフォースだったとは思いませんでした」
「……潜入調査、だったからな。この学校の周辺から……『レガリア』の欠片に固有の……ンッ……RGL磁界パターンが、検出……されたため……ンフッ……た、体育教師として、私が……潜入調査に……ッ!」
「大丈夫ですか? 呼吸が荒いですよ?」
「し、心配は無用だ。疲れが溜まって……ンアッ……!」
「それにしても心配ですねえ。その『レガリア』の欠片が悪人の手に渡ってしまうと、大変なことになってしまうんでしょう?」
「そ、そのとおりだ。欠片の大きさにもよるが……手にした者の願望を反映……ッ! する、超能力が……ハァッ……目覚めッ、て……」
「例えば『ヒーローを催眠に掛けて、世間話をしながらチンポを扱き上げる』とか『キャプテン・リペルフォースからキャプテン・チンポに改名させられる』なんて、淫猥なことをされかねない──恐ろしいことですね」
「た、確かに、レガリアは強大な……力の塊だが……ンアッ! そのような破廉恥な……ことにはならないと……断言、しておこう……アんッ……ヒーローの精神力は……アッアッ! 負けっ、負け負けッ! ナいッ! イインッ! 絶ッ対にッ! ンフーッ!! ンアア〜〜〜〜ッ!!!」
キャプテン・リペルフォースは雄々しい声を上げながら、放課後の体育教官室で体を仰け反らせ、絶頂に達した。赤色と銀色のメタリックなヒーロースウツ姿で、チンポを男子生徒に扱き上げられて……。あらゆる物理攻撃を反射する、最強格のヒーローではあるが……今まで遭遇したことのない催眠支配の能力とは、最悪の相性だった。デビューから20年以上敗け知らずの41歳のヒーローは、皮肉なことに、自分が敗北したことを知らないままに、初めて敗北した。巌を彫り抜いたかのような武骨な顔立ちが──快楽に酔いしれた雄の顔になり、角張った顎に涎が垂れていた。
「ハヒッ……フヒッ……、だ、だから安心ッ……したまえェェッ! ……んオホゥッ!!」
射精直後の敏感な亀頭を弄られ、キャプテンはビクンと肩を震わせた。そしてヒーローを陥落させた男子生徒、結城直正は、精液でべっとりと汚れた手でヒーローの右手を握った。
「なるほどー、僕でよかったら、ぜひキャプテン・リペルフォースに協力させてください。一緒にレガリアを見つけましょうね」
そう嘯く、彼の夏用制服の白いワイシャツの胸ポケットでは、レガリアと呼ばれる金属片が、鈍く黄金色の光を放っていた。ちゃんと変態に仕上がったら、キャプテン・チンポに改名してやるよ。そう結城が言った言葉を、キャプテン・リペルフォースが認識することは出来なかった。
※
(何か、見落としているような……ううむ……)
結城に絶頂させられた後、変身を解いたキャプテンは、白いポロシャツと赤いジャージの体育教師姿で、校内をふらふらと歩いていた。校庭では野球部やサッカー部、ラグビー部が練習に明け暮れる声が聞こえてくる。
──僕の能力は【催眠支配】なんですけれど。
キャプテンの脳裏に、結城の声が残響のように響く。
──僕を中心として、この学校の敷地ぐらいが有効範囲なんですよね。まあ、範囲外に出ても催眠は消えないし、一時的に催眠に関連する記憶が凍結されるだけ……なので、学校から出てもキャプテンには何も出来ないですよ。
キャプテンは柔道場にやってきた。中からは柔道部員たちの野太い掛け声や、受け身をとる音が聞こえてくる。それを無視して、男子更衣室に入る。
──レガリアで覚醒する超能力は、ヒーローの能力とはまた別系統の力、なんですよね。つまり、キャプテンがレガリアを手にすれば、さらに別な力に目覚めることになる。それで僕、考えたんです。
男子更衣室に忍び込んだキャプテンは、鼻息を荒くしながら、ロッカーの前に立っていた。赤いジャージの股間が、痛いほどに勃起している。
──僕の【催眠支配】で、キャプテンを男好きのド淫乱に仕立て上げた後に、キャプテンがレガリアを手にしたら……キャプテンは、すんごいドスケベな能力に目覚めちゃうんじゃないかなって。一般人の僕でさえ、この学校を支配するぐらいの能力が目覚めているのに……ヒーローがそんなドスケベ能力に目覚めたら、もっとすごい規模の能力になるんじゃないですか?
キャプテンはロッカーを開けると、夏服の男子制服である白い半袖のワイシャツを手にとった。田島と名札のあるそのシャツを顔に押し当てる。思春期の男子特有の、濃いめの体臭がツンと鼻孔の奥に刺さった。教師として田島の顔を見知っているため、否が応でも彼の顔が脳裏にちらついた。角刈りで柔道一筋の、体毛の濃いゴリラ顔の男子生徒──そのワイシャツの匂いを嗅いでいることに興奮しながら、キャプテンはジャージを膝下まで摺りおろし、怒張した陰茎を扱き始めた。
(ンッ、ンッ……、こ、これもレガリア回収任務のため……私が……ど、ド淫乱のッ! 変態体育教師になる必要があるため、だ……スマン、田島ッ! んあぁっ!)
【変態体育教師になることで、レガリアを回収できる】という根拠のない確信だけが、キャプテンの無意識下に刷り込まれてしまっていた。妄想じみた衝動に突き動かされ、無人の男子更衣室で、男子生徒のワイシャツを顔に押し当てながら陰茎を扱き続ける中年男──どう見てもヒーローでもなく、体育教師でもなく、ただの変態がそこにいた。そのことをキャプテン自身も自覚しながらも、チンポを扱き続ける手が止まることはない。むしろ、早まっていく。ねちゃねちゃと卑猥な水音を立てながら、ヒーローはその力を行使した。
(オホゥッ! 肉体強化ッ! き、キタキタキタッ!)
ヒーローパワーを使った肉体強化。本来なら全身に対して行われる強化が、睾丸だけに一点集中して行われる。ヒーローパワーの全てが、男性機能の強化のみに注ぎ込まれていく。睾丸が玉袋のなかでぐりんぐりんと動き回る。常人の数百倍の速度で精子が生産されていく。その感覚にヒーローはヒクヒクと身悶えしながら、柔道部員の制服をオカズに、チンポを扱き続けた。
「イッ、イイッ、イッ……イグゥ〜〜ッ!!!」
まるで噴火のような射精だった。悪と戦うためのヒーローパワーが、ただ己の快楽を貪るためだけに浪費される。シャンパンを開栓したかのようなド派手な精液の飛沫が、ワイシャツだけではなく、更衣室の床にまで大量にぶち撒けられた。いまもなお、亀頭からは大量の精液が垂れ続けている。
「オ゛ッオ゛ッ……ウオ゛ォォン゛……いイ゛ッ……! たま゛らん゛ゥ……ッ!!」
圧倒的な快感に罪悪感と倒錯感が掛け合わされ、悦楽の濁流がヒーローの倫理観を押し流した。常人ならば、今の射精だけで社会生活に支障をきたしかねないほどの、生物としての限界を越えた射精である。しかし鍛え抜かれたヒーローの精神と肉体は、その超射精に打ち勝った。打ち勝って……しまった。
「んっ、ンヒッ……せ、正義の遂行のため……私はもっと……変態にならねば……ぬ゛おぉッ!」
元来が真面目なヒーローであるキャプテン・リペルフォースは、レガリア回収任務のため、亀頭からジェル状になるほど濃厚な精液を垂れ流しながら、睾丸への肉体強化を継続した。大量の男性ホルモンが分泌され、ヒーローの崇高な精神が、雄の本能に汚されていく。悪人を射抜くような鋭い瞳は快楽で濁り、精悍なヒーローの顔つきからは程遠い。情欲に突き動かされ、鼻の下を伸ばしたスケベオヤジの顔つきに変わっている。変態男はピクピクとチンポを痙攣させながら、次の男子生徒のロッカーを開けた。
※
2週間後。キャプテン・リペルフォースは、結城直正の望み通りの姿に変貌していた。
「おーす! みんなおはよう! さあ今日もホームルームを始めるぞッ!」
一見すると、快活な体育教師そのものの言動ではある──キャプテン・リペルフォース。しかし、2週間前とは雰囲気が一変していた。白いタンクトップと黒いショートパンツというシンプルな服装だが、睾丸への肉体強化を掛け続けたため、睾丸が異様なまでに発達しているのが服の上からでも見て取れた。男性ホルモンが過剰に分泌され続けたため、肌は全体に脂ぎっているし、生え際もM字にハゲ始めている。髭の剃り跡も青々しくなり、全身が毛深くなっている。以前は生えていなかった胸毛までもっさりと生えていた。常に性的興奮に酔いしれており、表情もまるで痴漢のように下品になり、視線は絶えず周囲の男たちを視姦するような、いやらしいものになっていた。過剰に増幅された性欲と生殖能力によって、一般人ならばとうに廃人になっているような状態ではあるが、しかしキャプテン・リペルフォースはその屈強な肉体と精神で、表面上は日常生活を送ることは出来た。しかし思考の7割程度はチンポのことを考え続ける変態と化しており、到底、ヒーローとして戦えるようなコンディションではなくなっていた。
「あーチンポチンポッ! おっと、間違えた。やっぱり男子校の雄臭さは最高だなッ! 出席をとるぞッ!」
キャプテン・リペルフォースは、生徒や教師を問わず、男とすれ違うときは体臭を吸いこんでうっとりとする変態になっていた。今も教室中に立ち込める男子高校生たちの体臭を吸い込んで、チンポをイキり勃たせている。このような変態が教壇に立っていても、学校全体が結城の催眠支配下にあるため、騒ぎになることはない。この学校の教師や生徒は男同士のスキンシップにかなり寛容に──寛容どころか積極的になっており、挨拶代わりのキスは当然として、チンポの扱き合いやフェラチオ、セックスまでもが横行していた。今もも変態化したキャプテンの姿をオカズに、机の下でオナニーに耽る生徒が幾人かいる始末だった。キャプテン自身も、先ほど朝練を終えたラグビー部員と廊下でセックスを終えたばかりであり、ショートパンツの裾からラグビー部員の精液が垂れていたが、本人も周囲も気にしていなかった。出席を取り終えると、キャプテンは──河口健司という偽名の体育教師は、ショートパンツの上から豪快にチンポを揉みながら、口を開いた。
「今日は特に連絡事項はない。これでホームルームを終わるぞ……いや、いつもどおり、溜まってるヤツは先生のところに来いよ。一時間目が始まる前に、しっぽり抜いてやるからな……ウヘヘ」
そう言って、左手の人差し指と親指で輪を作って、右手の人差し指を抜き差しする卑猥な動きをした。教室の男子生徒たちもニヤニヤと下品な笑みを浮かべている。
ホームルームが終わると、結城は黒板の前にいるキャプテンの元へと向かった。キャプテンはさっそく、右手で柔道部員の、左手で野球部員のチンポを扱きながら、口ではラグビー部員のチンポをしゃぶっている。とても潜入調査中のヒーローとは思えない、あまりにも変態的な姿に、結城は満足げな笑みを浮かべた。
「だいぶ仕上がりましたね、河口先生」
「ジュポッ……ンッ、ジュポポッ、ヌポン……んっ、結城か。ちょっと待ってろよ。コイツらのチンポ、気持ちよくしてやってるとこだから……」
「ほら、これなーんだ」
結城は制服の胸ポケットからレガリアの破片を取り出した。黄金色に輝く金属片。全て集めればこの世界のあり方さえ変えかねない、巨大な力の塊。ヒーローの最優先任務。ほとんどチンポのことばかり考えるようになった脳みそで、河口は──キャプテン・リペルフォースはぼんやりとそれを見つめ、数秒後に大きく目を見開いた。
「れ、レガリア!? なんで結城が、それを……」
「そうですね、【思い出すことを許してあげますよ】」
「ン? ン゛アアッ!?」
ガツンと後頭部に衝撃が走り、キャプテンは己の変態へと洗脳されていたことを思い知らされた。そして、結城を闘志に満ちた目で睨みつけた。今までの体育教師然とした口調から、ヒーローの口調に切り替えて詰問する。
「結城くん……君の仕業なんだな!? 私だけではなく、他の生徒たちまで、こんな……!」
「でも、みんな気持ちよさそうでしょ? キャプテンだってさっきまで、喜んでチンポをしゃぶってたじゃないですか」
「──変身ッ!」
「うわっ!」
変身の余波で、周囲にいた数名の生徒が尻もちをついた。そして、ついにヒーローがその真の姿を現した。
……ヒーロースウツまでもが、変態に歪められた姿で。頭頂部には極太のディルドを付けたヘルメットを被り、真紅のマンキニを穿いた、筋骨隆々の変態男がそこにいた。マンキニの股間から勃起した陰茎が屹立し、肥大化した金玉でひときわもっこりと膨らんでいた。濃い陰毛がはみ出し、陰毛が腹毛と繋がり、さらに胸毛まで繋がったむさ苦しい姿だ。頭頂部のヘルメットから生えたディルドをブラブラと揺らしながら、41歳の妻子持ち変態ヒーローは名乗りを上げた。
「キャプテン・チンポ、ここに参上ッ! この学校にいる1,297本のチンポたちの安全は、私が守るッ!!」
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