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くろねこ@9605
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【全体公開】【無料サンプル】密林王者グリーンチャンプ第12話『グリーンチャンプ敗北! 皮化されたヒーローは、地球侵略の尖兵に成り下がる!』

「クラッシュ・アーム!」


 ゴリラをモチーフにしたパワー型ヒーロー、グリーンチャンプの太い腕が、クワガタ怪人の頭部に直撃した。轟音を立てて吹き飛んだ怪人が、廃工場の柱に激突する。コンクリ製の柱にヒビが入り、上にあった金属製の足場ごと柱が倒壊。盛大に埃が舞い上がった。


「っと、やりすぎちまったか」


 ポリポリとゴツい指で頭を掻くグリーンチャンプ。緑を基調に白いラインが入ったヒーロースウツは、彼のゴリマッチョな体格をぴっちりと包みこみ、強調していた。髭を蓄えた顎の輪郭も四角く、鼻っ柱も太い。ヒーロー能力は単純な筋力増強であったが、その単純な能力で敵怪人を圧倒するだけの力量があった。金属のようだったクワガタ怪人の大顎が、頭部ごと爆散している。怪人の死体を確認したヒーローは、囚われていた子どもたちのところへ向かった。


「よーしみんな、もう安心だ。怪人は俺がやっつけたからな!」


「グリーンチャンプだ!」


「うわあぁぁん!!」


 10人程度の小学生たちが、廃工場内の別区画に囚われていた。おそらく戦闘員にするつもりだったのだろう。子どもたちは助けに現れたヒーローの姿に興奮したり、安心して泣き出したりと騒がしかった。グリーンチャンプは、子どもたちを縛る縄を一人ずつ外していった。


「ひっぐ、えぐっ……あ、あの……ほんとうに、グリーンチャンプが、来てくれて……よかったです」


 最後に縄を外した男子小学生が、泣きながらグリーンチャンプに抱きついた。グリーンチャンプは、クワガタ怪人を殴り倒したのとは打って変わって、優しげな手付きで男の子の頭を撫でた。


「きみもよく頑張ったな。さ、お家に帰ろう」


「はい! 本当に、グリーンチャンプが来てくれて──」


 その言葉を聞いている途中で、グリーンチャンプの胴体に激痛が走った。対ヒーロー用の熱線銃。それを子どもの一人が発射していた。最後に縄を解かれた男児小学生が、冷めた目つきでグリーンチャンプを見つめていた。


「──本当に、ちょうどよかったです。単純なパワータイプのヒーロー。これぐらいなら、ぼくでもやっつけられるからね」


「なッ……ガハッ……!」


 起き上がろうとしたグリーンチャンプに、他の子どもたちが殺到し、その四肢を押さえつける。顔面を小さな足で踏む。熱線銃の銃口がいくつもヒーローを狙っていた。人質の小学生とは思えない振る舞い。これは──


「……戦闘員、か!?」


「え〜っ! ちがいますよぉ。ぼくも含めてね。えーっと、攻撃はしない方がいいと思いますよ? まさか、ヒーローが小学生を殺すわけにはいかないでしょう?」


「そうだよ! グリーンチャンプ!」


「お願い……ぼくたちを助けて……体が操られているの……なんちゃって! うっそ〜! アハハ!」


「くそっ……お前らは、いったい……」


「すぐにわかるよ。あなたも、ぼくたちの仲間になるんですからね。個人的には、こんな野暮ったい男を"着る"のは、ごめんこうむるんですけれど──」


 リーダー格と思しき、最後の子どもの顔が、急に無表情になった。そしてカクっと眠ったかのように頭が垂れると、その背中から、ズルリと巨大な体躯が這い出してきた。男児小学生の体格には、到底収まり切らないはずの巨体。その正体は──



「──アイロン怪人・パラノイアスチーム。どんな相手であれ、私がこの腕でプレスしてしまえば『服』として着こなせるというわけさ」


 赤と黒を基調とした、金属質で禍々しい風貌の怪人だった。アイロンの形状をした頭部の他に、両腕にもアイロンが付いている。右腕のアイロンが蒸気を噴き出しながら、次第に巨大化し、グリーンチャンプの眼前に迫ってきた。そして抵抗する間もなく、子どもたちごとヒーローを押し潰した。



「はっ……はひぃ……」


 次にグリーンチャンプが感じたのは、虚脱感と多幸感だった。四肢に力が全く入らない。先ほどのプレス攻撃は、まるで全身にマッサージを施されたかのようで、とても気持ちがよかった。蒸され、押され、コリがほぐれていくような……怪人の攻撃でなかったら、グリーンチャンプは安心してそのまま寝入っていただろう。


「な、なにが……はふぅ……」


「グリーンチャンプ、貴様は『服』になったのさ。まあ『皮』と言ってもいいがな」


「ん……あ……?」


 巨大化していたアイロン怪人の右手が縮み、グリーンチャンプをつまみ上げた。ゴリラのような屈強な肉体を誇っていたグリーンチャンプが、怪人とはいえ、片手でつまめるような重さになっていた。肉体の厚みがなくなり、ギャグ漫画で押しつぶされたキャラクターの表現としてあるような、ペラペラの人間になっていた。同じような姿の子どもたちが、床に転がっている。怪人が片手でもう一度蒸気を浴びせると、ペラペラになっていた子どもたちの体に厚みが戻った。そして、その背中がぱっくりと割れて、中から戦闘員たちが現れた。


「イ゛ーッ!」


「それでは、着るとするか」


「やめ、やめろっ……!」


 かろうじて口は動くが、しかし腕は全く動かなかった。体を裏返されると、いつの間にか首筋から腰まで切れ目が出来ていた。そしてアイロン怪人のゴツい両足が、ぬるりとヒーローの体の内側に忍び込んできた。


「んおっ……! くぅっ……!」


 太く、固い怪人の足が、容赦なく肉体の内側に入ってくる。ヒーローとして、どんなに辛い訓練にも戦闘にも耐えてきた。しかし、いまグリーンチャンプの身に起きていることは、そのどれとも違っていた。自分の内側に怪人の足が侵入してくるにつれて、グリーンチャンプは猛烈な違和感と共に──勃起していた。犯される。汚される。辱められる。そんな言葉が頭を過ぎる。グリーンチャンプというヒーローの在り方が、踏みにじられようとしている──そう直感した。


(〜〜〜〜〜〜ッ!)


 怪人の両足が、完全にグリーンチャンプの中に入った。それはグリーンチャンプに、男根の挿入を連想させた。痛覚に混じり、快感が走る。感じていることを悟られたくなくて、喘ぎ声を噛み殺した。怪人が足の指をもぞもぞと動かすと、グリーンチャンプも自分の足の指を動かしている感覚があった。


(なんっ……だこれっ……!)


 続いて腕が入ってきた。アイロンがくっついたような形状の腕が、何の抵抗もなくスルスルとグリーンチャンプの皮膚の下に潜っていく。はじめのうち、グリーンチャンプの皮はアイロンの形状に膨らんでいた。だが怪人が腕の先端まで入れ終わると、腕の形状がみるみる縮んでいった。やがて完全にグリーンチャンプ本来の腕の形になると、怪人が手のひらをグーとパーにして動かした。このときも、グリーンチャンプには自分の手を動かしている感覚があった。


(うおっ! 怪人と、俺で……感覚を共有してるってのか!? もし、頭まで着られたら……俺はいったい、どうなっちまうんだ!?)


「さすがに気づいたようだな。その通り。私は"着た"人間の感覚も己のモノにできる。感覚だけではない。記憶や人格、能力の全てを"着こなす"ことが出来るというわけさ。貴様の外見も中身も盗んでしまえば、ヒーロー基地への潜入など、容易いことだ」


「そんなこと、絶対させねえッ! 俺はどんな姿になろうと、お前たちの野望をぶっ潰してやるからな!! 覚悟しろ!!」


「ハハハ。今まで私にそんな口を利いて、反抗できた者など一人もおらんよ。服はあくまでも装飾品にすぎん。ただの服が、着る者に反抗できると思うか? これからは貴様の記憶も人格も、ただの装飾品に過ぎなくなる。反抗は不可能だ」


「おい! まだ話は終わって──ぬあっ! な、なんだこりゃ!? き、きもちわりぃっ!」


 アイロン怪人がグリーンチャンプの頭の皮を被った。今までとは比較にならない違和感があった。じわじわと思考が汚染されていく。「この場を切り抜けて、どうやって怪人を倒すか」という思考に「これからどうやって、ヒーロー基地を侵略していくか」という怪人の思考が混じっていく。それはアイロン怪人が被った頭の皮の形が、グリーンチャンプ本来の頭の形に近づいていくにつれて顕著になっていった。グリーンチャンプは必死に怪人の思考を頭から締め出そうとしていたが、しかし着実に、自分の思考と怪人の思考の区別がつかなくなっていく。「グリーンチャンプの正体は、アイロン怪人パラノイアスチームだ」矛盾するはずの文章が、真実だと思えてくる。頭の形が元の形に戻る直前、グリーンチャンプは両手で頭を押さえて、野太い叫び声を上げた。


「うおっ! うおおっ! 俺ン中に……入って来るんじゃねえ! 俺は……か、怪人じゃ……おっ、おっ、おれ、俺は……せ、世界征服なんざッ……」


 ぐちゅっと音を立てて、グリーンチャンプの頭の形が元に戻った。するとグリーンチャンプの顔に、デレッとしたマヌケな笑みが張り付いた。


「んひっ♪」


 グリーンチャンプの顔に、デレッとしたマヌケな笑みが張り付いた。抵抗していた怪人の思考が、人格が、グリーンチャンプ本来の脳に染み渡る。怪人の人格に、グリーンチャンプ本来の人格が支配される。それは強烈な快感をグリーンチャンプにもたらした。まるで全身がチンポになったかのようだ──この場合、頭部は亀頭であり、胴体は竿である。ヒーロースウツは包皮だ。


「おほっ♥ おほぉぉう……♥」

 

 ガニ股になった腰から背中に掛けて、鋭い快感が一直線に走った。ヒーロースウツの中で、手も触れていないのに射精が行われた。太ましいチンポが、ドクンドクンと子種を吐き出し続けている。男に生まれついて、これほど強烈な快感を味わったのは初めてだ。グリーンチャンプは、太い眉を歪め、気持ちよさそうにため息を吐いた。


「な、なかなか……いいじゃねえか」


 グリーンチャンプは、顎に垂れていた涎を拭った。しかし、何も異常はない──ように思えた。そう考えている人格そのものが、すり替わったことに気づかないまま。


「なんだよ……人格を乗っ取るだのなんだの、脅かしやがってぇ。俺は俺のまま……グリーンチャンプのままだ。なんともねえじゃねえか」


 グリーンチャンプはそう言って、大量の精液でとぷんと精液溜まりのできたヒーロースウツを揉んだ。鼻っ柱の太い鼻から、ムフリと鼻息が漏れた。


「ハァン……やっぱチンポたまらん……無機物型の怪人は、生殖器ねえもんなぁ……さっき小学生のガキに入ったときもシコったが、ヒーローの方が断然キモチイイぜ……あり? 俺、さっきのガキの中に入ってねえよな……? んん?」


「イッ! パラノイアスチーム様! これよりヒーローの精液サンプルを採取致します! ヒーロースウツの部分解除をお願い致します」


「おう。頼むわ。ヒーローの精液、一滴たりとも無駄にすんじゃねえぞ。これも地球侵略の為に役立てるんだからな……って、おいおい。俺はパライノアスチームじゃねえだろうが」


 グリーンチャンプは困惑した。怪人の名前を呼ばれて、自分のことだと感じてしまった。それと無意識に、地球侵略という言葉を口にしていた。それに眼の前にいるのは戦闘員なのに、自分の部下であるという気がして仕方がない。


「おい、D級戦闘員0134号。俺の部下ともあろうお前が、そんな間違いをするとはな。んっ? あれ?……おい、お前。戦闘員なのに……いつの間に俺の部下になったんだっけ?」


 首を傾げながら、無防備に股間部分のヒーロースウツを解除し、精液を採取させた。ヒーローと戦闘員の関係ならば、絶対にしないはずの行為だ。戦闘員は、どぷどぷと溢れ出た精液をビーカーで受け止めながら、報告した。


「イッ! 恐れながら申し上げます! パラノイアスチーム様は、先ほどグリーンチャンプを『着て』いらっしゃいます。よって、その記憶も人格も完全に掌握済みであります! 貴方様の正体は、グリーンチャンプを模擬人格として取り込んだ、パラノイアスチーム様であります!」


「はぁ? おいおい、俺は何も変わっちゃいねえだろうが。俺は怪人ヒーロー、グリーンチャンプ。地球侵略の尖兵として、ヒーロー共を……んん? うおっ! 何だこりゃ! 俺……中身が怪人になってんじゃねえかッ!」


 グリーンチャンプが野太い声を上げた。信じられないという表情で、ペタペタと自分の髭面の顔を触っている。そして今度は、ヒーローとは思えない下品な笑みを浮かべた。精液の採取が終わったチンポが、ピクッと勃ちあがり始めていた。


「くくっ……さすがはヒーローってとこだな。我が強いぜ。まさか怪人である俺が、服に『着られている』状態になるとは……ついさっきまで、自分が怪人だってこと忘れちまってたぜ。まあ、所詮は服。抵抗なんざ無意味だ。お前は俺に、おとなしく着られてりゃいいんだよ」


 グリーンチャンプの強面な顔が赤らみ、肩で息をし始める。グリーンチャンプとしての記憶も有するパラノイアスチームは、恥ずかしそうに腰をくねらせた。この肉体に焼き付いたヒーローとしての矜持そのものが、怪人に人格も肉体も支配された現状に悔しさを感じている。


「ハヒっ!……は、恥ずかしいッ! おっ、俺……ヒーローの癖して、怪人に……いいように使われちまってるッ! 基地のみんなを裏切って、地球侵略の尖兵になっちまうッ! うおっ! ぬおおっ! 怪人ヒーロー、グリーンチャンプ! これより組織に忠誠を誓い、地球侵略に満進致しますッ!」


 怪人の言葉が、ヒーローの唇から出てしまう。恥辱がグリーンチャンプの全身を包み込む。太ましく、野性味のあるチンポが跳ね上がる。ヒーローの皮を被った怪人は、雄叫びを上げながら自慰を始めた。



 侵略は静かに、しかし確実に進行していった。


「ハッ……ぁ」


「んっ……」


 グリーンチャンプが帰還した翌日。ヒーロー基地内の警備室。周囲の警備スタッフたちは全員皮になり、床で喘いでいた。彼らを皮に変えたアイロン怪人パラノイアスチームの足元には、先程脱ぎ捨てられたグリーンチャンプの皮があった。グリーンチャンプは皮のまま、もどかしげに身悶えした。


(あぁっ! は、早く……俺のこと……着てくれっ!)


 パラノイアスチームによって皮にされた人間は、誰かに「着られている」状態こそが幸福であると、徐々に意識が変容してしまう。自身のアイデンティティが「誰かに着られること」になってしまい、元の体に戻りたいと思わなくなってしまうのだ。グリーンチャンプの意識もすっかり変容してしまい、彼はパラノイアスチームに自身の肉体を着てもらうことが、何よりも幸福だと考えるようになってしまっていた。その様子を察したパラノイアスチームが、ぐりっとヒーローの皮を踏んだ。グリーンチャンプが微かに悲鳴を上げた。


「全く、はしたないヒーローだな。そんなに私に着られたいのか? 自由意志を放棄し、私に人格も肉体も隷属したいと、自ら志願するのだな?」


(は、はひぃっ! そうだッ! 俺の中身が……空っぽなのに耐えらんねえんだ! だから早く……俺を着てくれぇっ! 俺の心も体も、好きに使ってくれッ!)


「少し待て。こいつらを仕上げるのが先だ」


 パラノイアスチームは、持ち込んだ飴玉の包装紙を開けた。パラノイアスチームの能力によって、包装紙を「着て」いた戦闘員たちが、続々と元の大きさに戻っていった。


「イッ!」


「イーッ!」


「貴様らは警備スタッフの皮を着ろ。以後は警備スタッフとして生活しつつ、私の潜入任務が円滑に進むようにサポートしろ」


「イーッ! 了解致しました! パラノイアスチーム様!」


「ううっ……な、なにを……あっ! あっあっあっ!」


「おっ、俺が戦闘員になっちまう!? ち、ちが……戦闘員が俺になっちまうッ!」


「やめろやめろっ! 俺になるなぁーッ! イーッ!」


 戦闘員たちが、警備スタッフたちの皮を着ていく。自身の人格が戦闘員に乗っ取られていくことに恐怖する警備スタッフたちの声が、次第に自我同士が混ざり合う恍惚の声に変わっていく。


「全て貴様のせいだぞ。グリーンチャンプ。貴様がまんまと私に肉体を盗まれたせいで、この警備スタッフたちも同じ道を辿ったのだ」


(あ、あぁ……だから……早くぅ!)


「くくっ。本当に情けないヒーローに成り果てたな。いいだろう……私に着られる歓びを存分に味わうがいい」


(アッアッアッ、き、きたっ! 俺ん中に……太くて固えのがぁっ!!)


 皮になったグリーンチャンプの中に、怪人の逞しい足が突っ込まれると、グリーンチャンプは歓喜で身悶えた。太い胴体が、手足が、そして頭が──怪人の肉体で満たされていく。そして、心さえもグリーンチャンプの元から奪われ──都合のいいように作り変えられる。


(こ、これでまた俺は……怪人、パラノイアスチームになっちまったっ……ウヒっ♥)


 全て怪人に着られてしまうと、そこには涎を垂れ流して肩を震わせる、発情したヒーローの姿があった。グリーンチャンプは、今回も手も触れぬままオルガスムスに達していた。小鼻が忙しげに開いたり閉じたりし、そのイカ臭い匂いを嗅いで、満足げな笑みを浮かべていた。


「ウヒヒ♥ まったく、俺のスケベさにも困ったもんだぜぇ……毎回イッちまうんだもんなぁ」


 グリーンチャンプは警備室を見渡した。そこには肩で息をしている警備スタッフたちがいた。無論、全員の中身が戦闘員になっている。快感のあまり床にしゃがみこんでいる者や、失禁して呆然としている者もいる。その中の一人である、警備長の鎧塚という男が、肩を怒らせてグリーンチャンプに近寄ってきた。50歳過ぎの元ヒーローで、引退後は警備スタッフに転職した男だ。頬に傷があり、口髭を蓄えた厳つい風貌をしている。角刈り頭には白髪も混じっているが、体格も固太り気味とはいえガッチリしており、警備員の制服からは、ムッと濃い加齢臭が漂ってきていた。


「グリーンチャンプ……こいつはいったい、どんな了見だ?」


「うーっす、鎧塚さん……どうしました?」


「どうもこうもねえだろう! ここにいる全員が、正義のために日々働いてきたはずだ。お前さんもそうだったはずだ。それを、こんな形で台無しにしやがって」


 元ヒーローという肩書もあるため、鎧塚はヒーロー相手でも物怖じせずに自分の意見を言ってくる。鎧塚は腕組みをし、ギロリとグリーンチャンプを睨みつけた。彼は中年男の渋みのある声で問い詰めてくる。グリーンチャンプは、それをニヤニヤと聞いている。なぜなら、厳しい言葉を発している鎧塚の股間にもまた、イカ臭い染みがべっとりと浮かび上がっていたからだ。


「おい。真面目に聞いてんのか! こっちはなぁ、さっきからエロい気分になっちまって大変なんだぞ! 見ろ! このむさっ苦しい中年オヤジのガタイを! さっきから鼻で息するたびに脂っこい加齢臭が鼻をついて……うへへ♥ なかなかエロいじゃねえかぁっ♥」


 鎧塚の表情が、急にデレッと崩れた。太い眉が情けなく下がり、鼻の下が伸びる。スンスンと自分の腕の匂いを嗅いだ。低い喘ぎ声を漏らすと、やがて警備員の紺のポロシャツのボタンをひとつひとつ外していった。そしてシャツの下に着ていた白のタンクトップをめくりあげると、白髪交じりの胸毛が密生した厚い胸板を、いやらしい手つきで揉み始めた。


「おうっ! おおう……見ろ! このむさ苦しい胸毛を! さっきまで何とも思っちゃいなかったんだが……くぅ〜ッ! すげえスケベじゃねえか! 俺ぁなあ、戦闘員になる前は、どこにでもいる中学生のガキだったんだぞ。それが下校途中に組織にとっ捕まって、戦闘員にされて。今度は、元ヒーローの中年オヤジになっちまったんだ。こんなの……興奮しちまうに、決まってんだろうが!」


 戦闘員としての記憶と、鎧塚としての記憶を混同したまま、鎧塚は興奮して喋り続けた。彼のゴツい両手は、胸毛の下にある肥大した乳首を弄り始めていた。グリーンチャンプは現役時代の鎧塚のヒーロー姿とのギャップに興奮しながら、口を開いた。


「鎧塚さん──いや、戦闘員D534号。お前はもう一度プレスし直しておくか。歳を取った人間は性格が変わりにくいから、皮になってもまだ自我が強いんだろう。皮を着た状態でプレスすると、皮の人格にもしっかりと折り目がついて、中身の人格に合わせて最適化されるからな」


「おう! やれるもんならやってみやがれ! 確かに俺の正体は戦闘員D534号になっちまったが、組織のために世界征服するのは、うっ……ま、まあ魅力的っつうのは認めるが、抵抗感があるからな。このまま最後まで抵抗して、俺たちの悪事を他のヒーローにバラしてやるぜ! 覚悟しておくんだな、パラノイアスチーム様!」


 パラノイアスチームがグリーンチャンプの皮を半分脱ぎ、右腕を外に出した。そして巨大化したアイロンの腕で、中身の戦闘員ごと、鎧塚をプレスし直した。大量の蒸気と共に、鎧塚の濁った喘ぎ声が警備室に響く。鎧塚の人格が、中身の戦闘員に合わせて再構成されていく。


「んおっ! おひぃぃぃ♥ んぎもっぢぃぃッ♥♥♥」


 蒸気の中から現れた鎧塚は、下品な笑みを浮かべていた。中身に戦闘員が入っているため、皮にはなっていない。その言動は、新たな自我を──戦闘員としての自己認識を受け入れていた。涎を垂れ流しながら、鎧塚が宣誓する。


「おほっ♥ おっ、俺っ♥ カミさんも娘もいんのにっ……中身がガキの戦闘員になっちまったっ♥♥♥ イッ! イーッ! 元ヒーローの鎧塚将之! その正体は、男子中学生のD型戦闘員、D534号でありますッ♥♥ これより世界征服のため、パラノイアスチーム様の配下となることを宣誓致しますッ♥♥♥」


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