松久家が異常な婿養子の支配下に置かれてから、三ヶ月が経過していた。
「本当に駿平さんは、良く気がつく人だわ。ほら、二丁目の沢田さんもね、先日、お荷物を抱えていたときに──ちょっとあなた、聞いていらっしゃいます?」
「ああ、聞いている」
土曜日の午後。松久義範は、リビングで不機嫌そうに釣り竿の手入れをしていた。その横では、妻の昭代が自慢の婿養子の話を続けている。そこに、噂の張本人である婿養子が現れた。
「いやだなあ、お義母さん。そんなに褒められると、こそばゆいですよ」
「あら。駿平さん……」
義範は釣り竿から視線を外して、妻の方を盗み見た。妻が女の顔になったのを、義範は見逃さなかった。松久家の婿養子である松久駿平は、その端正な顔に笑みを浮かべて、親しげに妻と話している。しかし義範の妻が駿平と関係を持っているのは、この家では公然の秘密であった。なにせ、松久駿平は──
「本当にお義母さんは、可愛らしいですね……」
「あっ、ああっ! だ、だめよ……あっ!」
駿平にチュッと手の甲にキスをされた妻は、狼狽しながら絶頂に達した。とろんと瞳を潤ませ、へなへなと床に崩れ落ちる。あまりに強い快感に、肩をヒクヒクと震わせていた。義範は釣り竿を床に置いて立ち上がり、角刈り頭から湯気が立ちそうなほど顔を真っ赤にして、駿平を睨みつけた。
「おいッ! 俺の眼の前で、何度も何度もこれ見よがしに……絶対に、貴様を許さないからな!」
義範は刺々しく言い放った。一方の駿平は苦笑いを浮かべていた。
「うーん……やっぱり僕、お義父さんには嫌われちゃっていますね。残念だなぁ……」
「ちょっとお父さん、駿平に対して当たりが強くない? そういう言い方、どうかと思うけど」
駿平と共に買い物から帰宅した、娘の沙織が唇を尖らせていた。義範の妻の昭代も、息も絶え絶えに義範に対して抗議した。
「そうよ……はぁっ……んっ、駿平くんに対して……失礼だと、思うわ……ちょっとした、スキンシップじゃないの……」
「お義母さん、沙織さん。お義父さんはあくまでも、僕がお義母さんと仲良くしていることに、嫉妬しているだけなんです。そんな風に責めないであげてください」
駿平は余裕たっぷりの表情で、義母である昭代を助け起こし、沙織と昭代を、両腕で抱き寄せた。沙織だけでなく昭代までも、うっとりとした表情になっている。しばらくすると我に返った沙織が、義範に言い放った。
「ほら、駿平の方がお父さんより、よっぽど大人じゃない。お父さんこそ、駿平に謝った方がいいと思うんだけど。この間、駿平が『松久家のルール』を決めてくれたばかりでしょ?」
義範の肩がびくっと震えた。婿養子の提案で、松久家に制定されてしまった『ルール』の中には、謝り方に関するものがあった。そしてそれは、義範にとってあまりにも屈辱的なものであった。駿平が意味ありげに義範に目線を送った。
「まあ……僕としては、お父さんの気持ちに任せたいと思います。お義父さんは男として、父親として、とても尊敬できる方ですし。お義父さんがこの家の規範に背くようなことは、決してないと……信じていますので」
「……わかった。駿平クン、乱暴な物言いをして、本当にすまなかった。誠意を見せるので、受け取って欲しい」
義範としては本当に気に食わないのだが、事前に設定されてしまった「ルール」は義範も逆らうことが出来なかった。義範は白いポロシャツを脱ぎ、固太った胸板を晒した。毛深いギャランドウの下には、この婿養子によって刻まれてしまった淫紋が──趣味の悪い蛍光ピンクのタトゥーが、下品な色合いを放っていた。同じものは、妻の昭代と娘の沙織の下腹部にもあった。しかしその形状はそれぞれ異なっている。昭代と沙織の淫紋は、複数のハート型が重なっており、さらに花弁のような文様が周囲を覆っている。二人とも画数が多い。それに対し、義範の淫紋はまだハートの半分も出来上がっていない、未完成の淫紋であった。
(くっ……こんな妙な模様がなければ、こんな奴に好き勝手させないものを……)
「お義父さん?」
「……今脱ぐ。待っていろ」
肩を怒らせた義範は、ズボンとブリーフも脱いでいった。そして己の毛深い太腿を持ち上げると、ジロリと婿養子をもうひと睨みして、ちんぐり返しの体位でリビングのカーペットの上に座した。
※
「あっあっあっあっ……」
リビングで義範が婿養子に犯されている横で、妻と娘はテレビを観てお茶を飲んでいる。三ヶ月前から松久家の日常になってしまった、異常な風景。これを異常と認識しているのは、もはやこの家では義範だけであった。
「本当に……懲りないですね。お義父さんも。もういい加減諦めて、僕に全部ゆだねればいいのに」
駿平は腰をリズミカルにピストン運動しながら、義範に話しかけた。ここ三ヶ月で開発されてしまった肛門の性感帯が、婿養子のデカチンと擦れて、義範の屈強な肉体を屈服させかけていた。義範は快楽で濁った眼に力を入れて、懸命に婿養子を睨みつけた。
「はっ……はっあ……いずれ、貴様をこの家から……んあっ……追い出して……やるからっ、なぁっ……!」
「ふふふ。出来もしないことを語るお義父さんって、本当に愛おしいですね。無駄吠えしている子犬みたいだ。これはしつけ甲斐があるなぁ」
駿平は腰の動きを中断すると、義範の固い尻たぶを、ぴしゃりと数度叩いた。「おうっ! んあっ!」と義範はだみ声で喘いだ。義範の尻たぶに赤い手のひらの跡が付くと、駿平は満足気にピストン運動を再開した。
「とはいえ……大したものですよ。沙織ちゃんは、堕とすのに半年ほど掛かる大物だったんですが……その時よりも、お義父さんの抵抗はずっと強い。肉体的な命令は通るけれど、精神的なもの──好感度や愛情の操作は、お義父さんには通用していない。とはいえ、根が真面目だからか『ルール』の類は有効ですが。それでも、感情に関する『ルール』はまるで効果がない。ほら、お義父さん。【この家では、僕のことを好きになる義務がありますよ】」
「ぬうっ……!」
義範の脳をぼんやりとした膜が包みかけたが──しかし、それだけだった。義範の意思が、婿養子の強制力を持った精神改変に抵抗した。義範は相変わらず駿平を敵意のこもった眼差しで睨みつけていた。
「やっぱりだめかあ。でも獰猛な獣ほど、躾けた後は深い愛情を返してくれますからね。沙織ちゃん以上の掘り出し物がいるお家で……本当によかった」
「くっ……」
この男は淫魔の血を引いているらしい──すっかり堕ちきった娘が家にこの男を連れてきた時、昭代と義範は下腹部に淫紋を刻まれた。昭代は為すすべもなくこの男の虜になったが、義範はどうにか抵抗して、ここ三ヶ月ずっと耐えてきた。どのような屈辱に塗れようとも、心まではこの婿養子に渡してはならない。義範はそう直感していた。一度心を許せば、二度と義範は戻ってこられないだろう。妻や娘のように──ただ駿平のもたらす快楽に支配されてしまうはずだ。義範がそう頭を巡らせているうちに、腰を振っている駿平の息も荒くなってきた。
「ただ……んっ、僕も色々と……はぁっ……考えたんですよ。お義父さんを堕とすには……違うアプローチが……ッ!……中に……だ、出しますねッ!」
「ぬあぁぁあっ!?」
義範の肛門の中に、婿養子の子種が放たれた。肉体的に条件づけされた命令により、その瞬間、義範もオルガスムスに達した。イッてなるものかと堪えていた快感が、あっという間に閾値を通り越して、振り切れる。義範の太短い男根からもぶびゅびゅっと押し出されるように精液が放たれ、ギャランドゥと刻みかけの淫紋のある腹を白く汚した。義範の四肢が弛緩し、射精後の気だるい余韻と、ヒクヒクと痙攣する男根の感触が残った。じゅぽっと汚らしい水音と共に、婿養子の男根が義範の肛門から引き抜かれた。
「ふうっ……気持ちよかったぁ。それじゃあお義父さん。さっそく僕の考えた、新しいアプローチを実践してみますね」
婿養子の手のひらが、表情筋の緩んでいる義範の視界を覆った。
※
「んあっ……」
義範は、ビクッと体を痙攣させた。先程、駿平にいつものように犯されたことは覚えている。いつの間にか服を着せられていた。駿平はというと、義範を抱き寄せてソファで寛いでいた。片手には文庫本を持っている。
「ああ、お義父さん。お目覚めですか。どうですか? 気分は」
「最悪に決まっているだろう。貴様の顔を見るだけで……ん?」
何かおかしい。自分はこんなに……声が高かっただろうか。義範が喉を押さえた。喉仏のない、ほっそりとした首。それに、角刈りのはずの髪が、肩に触れていた。
「な、なんだこりゃ!?」
義範は己の体を見て仰天した。自分が着ていたはずの白いポロシャツではなく、女物の服を──娘の沙織の服を着ており、胸が妙に盛り上がっている。まるで、女の乳房のように……股ぐらがスースーする気がして、慌ててスカートを穿いた股間を押さえた。男としてあるべきものがない、明らかに女性の股間がそこにあった。
「お義父さんの魂を、沙織ちゃんと入れ替えたんですよ。ほら、あっちを見てください」
婿養子が耳元で囁き、左手のカーペットを指差した。そこには──
「おっ、俺が……いる……」
すやすやと寝息を立てて寝ている、角刈り頭の中年男がいた。松久義範の顔をしたその男は、先程婿養子に犯されたときのまま、毛深い下半身を晒したまま眠っていた。呆然としている義範の肩を抱き寄せ、駿平が囁いた。
「お義父さんの肉体、とても淫紋に対する耐性があるんですよね……なので、既に淫紋が花開いている沙織ちゃんの肉体に、お義父さんの魂を入れればいいんじゃないか?──と思いまして。まあ、逆に沙織ちゃんの魂をお義父さんの肉体に入れると、今後は淫紋が効きづらくなってしまいますが……そこは沙織ちゃんに事前にたっぷり暗示を掛けて【自分は松久義範である】と思い込ませてあります。お義父さんの肉体から記憶を引き出せるようにしてあるので、目覚めると沙織ちゃんだったことは覚えていないと思いますよ」
「そんな……沙織……」
「それじゃあ、待ちに待ったお義父さんの即堕ちタイムですね。いやあ……ここまで長かったなあ」
「や、やめろ! 何も言うな!」
義範は女の声で悲鳴を上げて、両手で耳を塞ごうとした。しかし駿平が指でくるりと円を描くと、義範の下腹部が熱っぽくなり始めた。女として生まれついた性器が、愛液で潤み、男根を求めてヒクヒクと切なげに蠢き始めた。生理現象が掌握されており、強制的に発情状態に移行した。
「はっあ……あ〜ん♥」
義範の声帯から、思わず色っぽい女の声が漏れた。義範は耳を塞ぐことも忘れ、もじもじと腰をくねらせ、両手でスカートを穿いた股ぐらを押さえた。既に堕ちきった娘の肉体に刻まれた淫紋が、服の下で妖しい光を放っていた。
「それじゃあ、お義父さん。【僕のことを大好きになって】【松久沙織と入れ替わったことを受け入れて】【今後は松久沙織として、僕の妻になってくださいね】」
「……おうっ♥ 任せとけッ♥」
男らしく威勢のいい返事をした義範。うねるような快感と、刷り込まれた愛情の渦の中で、ガニ股になった股ぐらから、ぶしゅっと愛液が噴き出し、義範が穿いているパンティを濡らした。
※
こうして、松久家は「平穏」を取り戻した。異常を訴える人間がいなくなれば、それはもう日常なのだから。
「あらやだ……もうおしまいなの? まだ、全然足りないのに……」
義範の妻の昭代が、困ったように呟いた。その傍らには、宅配便業者の三十代くらいの男が、下半身を丸出しにして体をヒクヒクと痙攣させていた。角張った顎に涎が垂れている。欲求不満の人妻のマンコの中で何度も射精を遂げたチンポは、仕舞いには空打ちになってしまい、今では透明な液体を垂らしていた。松久家の人間の腹部にある、充分に成長仕切った淫紋は、それ自体が他人への洗脳・催淫能力を有するまでになっていた。松久家の人間にとって、この家にやって来る男は格好の餌食だった。
「まあ、最初だしこんなモンだろ。今後が楽しみだな」
義範は宅配便業者の男の腹部を撫でた。昭代や義範とセックスしたことで、淫紋の「種」が宅配業者の男の腹部にも転写されていた。これからこの男の性欲を糧として成長し、人格を下品にし、肉体の性的魅力をこれでもかと引き出していくだろう。淫紋の餌食になった、松久家の人間がそうであったように……。
「そうね……次はもっと、楽しめるようになるといいのだけれど」
どこにでもいる50代の主婦であった昭代は、まるで熟れた柘榴を思わせるような妖艶な女に変貌していた。垂れていた乳房も張りを取り戻し──否、若い頃の昭代の美しさをとうに超え、男女ともにすれ違ったら振り返らずにはいられない、抗いがたい魅力を放っていた。
それは娘の沙織の肉体に魂を入れられてしまった、義範も同様だった。昭代を柘榴に例えるなら、沙織の肉体はライチ──そのオヤジ臭い言動を一皮剥けば、瑞々しく甘やかな果肉を備えた新妻であった。義範が淫紋を晒しつつ媚びれば、誰もがその肌に指を這わせ、乳頭を舌で転がしたいという衝動に襲われてしまう。
専業主婦である昭代と、沙織──の肉体に入った義範は、最近ではご近所の男たちを性的に食い散らかしていた。無論、それが問題にならないはずもなく、関係を持った男の妻たちから怒鳴り込まれることも多々あるのだが、しかし「話し合い」を終えた男の妻たちは、一様にとろんとした夢見心地の表情で松久家を後にし、手のひらを返したようにその態度を軟化させるのだった。彼女たちも下腹部に淫紋の「種」を孕んでいることは、言うまでもない。松久家の近所では、急速に風紀が乱れつつ有り、密かにスワッピングがブームになりつつあった。
「うっし、晩飯の用意でもすっか」
「そうね。ねえ、沙織ったら……最近、お父さんみたいな喋り方をするようになったわね。どうしたの?」
「へへへ……こっちの方が楽なんだよ」
義範と沙織の魂が入れ替わっていることは、義範と駿平だけの秘密ということになっていた。松久家の人間は、淫紋によって大幅に認識を改変されているので、喋っても問題はないのだが「でも沙織ちゃん自身が、お義父さんになっていることに気づいてないって、面白いですよね」という駿平の悪戯心によるものである。
「ただいまー」
晩御飯の用意をして、煮物が完成に近づいた頃、玄関で男臭い声が聞こえた。ほどなくリビングのドアを開けて、中年男が顔を出した。義範の肉体に魂を入れられてしまった、沙織であった。しかし、本人にはその自覚はない。「自分自身は松久義範である」と思い込んでいる。沙織は、その厳つい風貌に似合わない、妙に女っぽい喋り口調で話を始めた。
「もう、疲れた〜! あ、沙織。聞いてよ〜。お父さん、また今朝も痴漢にあっちゃった」
既に淫らに堕ちた沙織の魂が入ったことで、義範の肉体もまた、淫紋が成長していた。とはいえ、昭代や沙織の淫紋に比べれば、まだ小さく、他人を洗脳したり淫紋を転写するほどではないのだが。しかし、淫紋が刻まれた義範の肉体は、その男性的な魅力を引き出されていた。ビール腹気味だった腹筋は割れ始め、胸板も厚くなり、胸毛も生え始めている。角刈りで強面な風貌の中に、どこか昭和の銀幕俳優のような男臭い色気を纏い始めていた。実際、その加齢臭は濃密な男性フェロモンを孕んでおり、ムスクのような色香を周囲に垂れ流していた。満員電車の中でこれを間近に嗅いでしまった女や、あるいは男が、興奮のあまり沙織に痴漢行為に及んでしまうことが、最近はしばしばあった。しかし当の沙織本人は、既に淫紋によって性的な倫理観が低下しているので、特に深刻に捉えてはいるわけではなかった。
「おいおい。こんなデカい金玉してたら痴漢にあうのも当然だろう? ちゃんと毎朝抜いてんのか?」
「あんっ……ちょっ、沙織……やめてよぉ」
義範がニヤニヤしながら、沙織のスラックスの股間を揉んだ。沙織はがっしりした腰をくねらせて、男臭い喘ぎ声を漏らした。言葉とは裏腹に、沙織の男根は急速に固さを増していった。淫紋によって沙織の金玉は肥大化し、男子高校生並みの性欲と精力になっている。男根もそれに応じて太くなっていた。
「はひっ……もうっ! 駿平クンに怒られちゃうじゃない。お父さんが、駿平クンに射精管理されてるの、知ってるでしょ? ただでさえ私、アラフィフにもなって、オナ猿みたいにチンポ弄っちゃうから……見かねた駿平クンが、私の下半身を管理することになったんじゃない」
「おっと、そうだったな。悪い悪い」
義範は手を離した。沙織のチンポはヒクヒクとスラックスの中で痙攣している。駿平の名前を口にしたときに、沙織の瞳に興奮の色が浮かんだ。沙織はそのまま鼻の穴をムフリと広げると、脂ぎった中年オヤジの顔を、恥ずかしそうに両手で覆い隠した。
「あぁん……駿平クンったら、なんて素敵なお婿さんなのかしら……私、正直言うと最近まで駿平クンのこと、苦手だったんだけど……今ではもう、駿平クンのこと、とっても好きになっちゃったの……お父さんが女の子だったら、駿平クンみたいな男の人と結婚したいわ……」
義範の濁声で、うっとりと呟く沙織。若い頃に柔道で鍛えた腰を、艶かしくくねらせている。義範の肉体に入れられてしまった沙織の魂は、駿平によって細工され、義範としての55年間の人生の記憶しか引き出すことが出来ない。しかし魂は沙織のものだからか、言葉遣いや価値観は沙織のものを引き継いでいた。義範の記憶の上では気に入らない婿養子だったのが、いきなり最愛の夫のような感情に変わったのだ。沙織は混乱しながらも、しかし駿平を愛してしまっていた。
「ただいま。僕の可愛いお義父さん」
「あっ。駿平クン……」
いつの間にか帰宅していた駿平が、後ろから沙織を抱きしめ、その分厚くなった胸板を揉んだ。振り返った沙織は、鼻毛の密生した小鼻を忙しなく動かし、駿平の体臭を嗅ぐことに余念がなかった。沙織は、そのむさ苦しい風貌に似合わない、女らしい動作で、コトンと角刈り頭を駿平の体に預けると、ため息を漏らした。伸びた無精髭が、ジョリジョリと駿平のワイシャツと擦れた。
「その……ごめんなさい、駿平クン。私、今朝また痴漢にあって……おちんちんイジられて、射精しちゃったの……」
「おやおや。やっぱりお義父さんはいやらしいですね。満員電車で射精するなんて、松久家の恥晒しですよ。これはお仕置きが必要だ……お義母さん。お義父さんをお借りしてもいいですか?」
「ええ。もちろんよ。駿平クンからも、このスケベオヤジを躾けてやって頂戴」
「はい。わかりました」
「あひんっ! しゅ、駿平クン……」
その固い尻たぶをつねられた沙織が、興奮と期待を込めて駿平を見上げた。鼻息が荒くなり、肩で息をし始めていた。駿平が義範に目配せをした。
「沙織。君も一緒に来てくれ。お義父さんの金玉を空っぽにして、満員電車で射精するなんてはしたない真似が、出来ないようにするんだ。いいね?」
「おう。任せとけ。娘の俺が、責任持って親父のチンポのお世話してやっからよ」
(うへへ……ったく、いい具合に男ぶりが上がって、エロい体になりやがって。元は俺の体とはいえ、あの太いチンポ……たまんねえよなあ……今日はパイズリで搾り取ってやっかな。いや、まずはやっぱりフェラで……)
義範は美しい新妻の唇から、涎を垂らしながら頷いた。義範は先日まで、眼の前の中年男の肉体だったことをしっかりと認識しているが、しかし駿平によって【松久沙織としての人生を受け入れる】ように認識を改変されている。そのため義範のアイデンティティは「俺は松久沙織である」というものに変化しており、例えば駿平から「お義父さん」と呼ばれると「おいおい。俺はもうお義父さんじゃねえぞ。忘れたのか?」と呆れながら乳房を押し付け、その肢体でもって、新妻になったことを証明しようとするのだった。もはや義範は、下品な中年男の魂が宿った、淫らな新妻に成り果てていた。
「アッアッアッ、駿平クンッ! あんっ! 沙織も! き、気持ちいいよぉっ!」
「ンッ……本当にお義父さんは、いやらしい声で……鳴きますねッ!」
「おうっ! 親父、またチンポデカくなったんじゃねえか? 俺の膣、もうみっちみちだぞ! うおっ!」
どこにでもある一軒家。奥の和室から、中年男が野太い声で女のように喘ぐ声と、それを躾ける娘夫婦の声が漏れ聞こえてくる。沙織の魂が入った義範の肉体は、肛門を駿平に犯されている。そして義範の肉体の男根は、義範の魂が入った沙織の膣に挿入されていた。
「あひんっ♥」
沙織の魂が入った義範の濁声が和室に響く。沙織の魂が入った義範が腰を引けば、ぐいっと駿平の男根が前立腺を責め立てた。かと言って腰を前に振れば、義範の魂が入った沙織の膣のひだが、いやらしく沙織の男根を迎え入れた。沙織の魂が入った義範は、肛門と男根の両方を娘夫婦に犯され、その厳つい中年男の顔を、涙と涎でぐちゃぐちゃにしていた。男として味わえる最高の快楽が、新妻だった女の魂を捕らえ、呑み込んでいく。
「ハヒっ……ひあぁっ……しゅ、駿平クンが、うちの婿養子になってくれて……本当にッ……よ、よかったッ……! あひぃん!」
「ったりめえだろ。駿平は俺の自慢の! 旦那様だっ! おらっ! とっととその汚えチンポから出せ! 孫孕ませちまえッ!」
魂を入れ替えられた父親と娘は、それを仕組んだ婿養子と共に、三人でくんずほぐれつまぐわっていく。入れ替わりを認識し、その倒錯感に興奮している義範も。入れ替わりに気づかないまま、中年男の本能のまま腰を振る沙織も。そして近所の男たちを食い散らかす昭代も──倒錯に倒錯を重ねた松久家は、どこまでも淫猥な家族へと堕ちていくのであった。
(終)
──────────
というわけで、今回は入れ替わりモノでした。最初は「婿養子にアレコレされてしまうお義父さんの話が書きたい!」という所から出発したのですが、書いているうちに、どうしても娘と入れ替わりさせたくなったので、こんな形になりました。ただ、普通にMCされてしまって破廉恥な行動をしてしまうお義父さんというのも、非常に魅力的なので、そちらの方向の話もいずれ書きますね。
くろねこ@9605
2021-01-01 05:37:02 +0000 UTC黒竜Leo
2020-12-31 16:03:50 +0000 UTC