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くろねこ@9605
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イトノコ刑事アンソロ寄稿小説「チンポなんかに絶対負けないッス!」

 さっきまで快活に笑っていた刑事の頭が、食べかけのショートケーキの上にごとりと堕ちた。これには俺も驚いた。確かに、催眠に掛かりやすい環境は用意した。窓際のラックに置いたアロマポットは静かに稼働し、鎮静作用のあるカモミールの香りを存分に漂わせていたし、コンポからは単調で盛り上がりに欠けたイージーリスニングが流れ、退屈で安らかな空間の演出に一役買っている。催眠の導入に理想的な環境といえるだろう。でも、だからといって── 「聞き込みに来た家で、刑事がここまでリラックスするか?」  ううむ、と俺は腕組みをして唸った。本当に、この刑事は催眠に掛かっているのだろうか。こんなにあっさり掛かってしまうと、仕掛けた俺でさえ不安になってくる。     イトノコギリ、と名乗る所轄署の刑事がうちのチャイムを鳴らしたのは、ほんの数分前のことだ。今までに俺がしてきた「いたずら」がバレたのかと身構えたが、何のことはなかった。近所のアパートで起きた殺人事件、その聞き込みをしているとのことだった。そういえば、昨日か一昨日ぐらいにパトカーのサイレンがやたらうるさい日があったな。 「ちょうど、アンタの部屋の窓からも、被害者の部屋が見えるはずッス。事件の当日、何か気づいたことないッスか」 「そう言われてもなあ……ええと、どのあたりの部屋なんですか?」 「三階の……こっち側からだと……ああ、右から三番目ッスね」 「あ、どうぞ上がって下さい。玄関からだと、さすがに見えないですし」 「おお! それじゃ、シツレイするッス!」  聞き込みに来たイトノコギリ刑事は、緑色のくたびれたコートを着た大柄な男だった。呼びづらいので、内心ではイトノコと呼ぶことにする。  年齢は三十ぐらい。いかにも刑事然として顎髭まで蓄えているが、話してみると愛嬌があって不思議と憎めない男だった。リビングに案内し、窓の外を指さしてああだこうだと説明しているイトノコ刑事を見ているうちに、俺はいつもの「いたずら」をこの刑事にも試してみたくなった。だが相手が相手だ。上手く行けば儲けもの……危なそうなら、途中でやめておこうぐらいの気持ちで、準備を始めた。   「そういえば刑事さん。実は頂きもののケーキがあるんですけど、よかったら召し上がります? お茶でも飲みながらの方が、僕も話しやすいので……」 「うおお! いいんスか! それじゃ、お言葉に甘えさせてもらうッス!」   俺は日当たりの良い窓に鍵を掛け、カーテンを閉めた。   ※ 「ぁ……ふぅ。ンっ……」  その結果がコレだ。イトノコ刑事は催眠誘導を開始して、数秒で陥落した。事件の話から当日自宅にいたかどうかの話になり、そこで俺は当日は仕事のシフトが入っておらず、在宅していたので何か見たような気もする……と餌を釣りつつ話を脱線させていき、ストレス解消に効果的な呼吸法、と称して催眠誘導に入っていった。開始して三呼吸目でイトノコ刑事は前後不覚になり、ケーキの乗った皿に自分から頭部を突っ込んでいた。   「しっかし、警戒心なさすぎだろう。本当に刑事なのか……?」  刑事の頭部によって潰されたショートケーキは、生クリームが皿からはみ出して血飛沫のようにテーブルに飛び散っていた。凄惨な現場だ。今まで知り合った男たちを何人も催眠に掛けて、美味しく頂いてきたが、ここまでスムーズに入る奴はそうそういなかった。こうもうまくいくと、ひょっとして全部俺のことを知った上で、囮捜査でも仕掛けているのではと疑ってしまう。ううむ。まずは、小手調べから行っておくか。   「さあ、イトノコさん。ゆっくりと頭をあげましょう。……そう、ゆっくりでいいからね。いま、どんな気持ちなのか、僕に教えてください」    むくり、と冬眠中の熊が寝ぼけたかのように、イトノコは重たげな頭を上げた。テーブルの上に突っ伏したワイシャツの袖にもクリームが付いて、ひどい有様だ。当然顔はそれ以上に生クリームとスポンジが付いてグチャグチャになっており、鼻の辺りはイチゴを潰してしまったのか、赤っぽく染まっていた。その重そうな瞼から、生クリームの塊がぼとりと落ちた。   「ん……なんか、すごく……きもちいい、ッス……」  イトノコはとろんとした眼つきで瞬きをしていた。顔についたケーキを拭おうともしていない。もう自分がどんな状態なのか、客観的に考えることも難しいのだろう。俺はイトノコの顔をティッシュで拭ってやると、その精悍な頬をぺろりと舐めた。伸びた無精髭が、ざらりと舌を撫でる。生クリームの甘さに、働き盛りの刑事の塩辛い汗が混じりあう。   「イトノコさん。あなたは今、とてもリラックスしています。自宅でくつろいでいる時を思い出して下さい。気持ちが楽で、体がとても軽いです」 「そう……ッスね。なんか……頭が、ふわーって、してるッス……」  緩慢な動きで、イトノコは太い首で頷いた。こんなに立派な体格をした刑事が、俺のいいなりになっている。本来ならこの刑事は、俺のしていることを暴いて、逮捕しなければならない立場なのに。そのことは、普段以上に俺を興奮させた。それを押さえつけながら、まずは催眠をより深くしていく。 「そうでしょう? 今のあなたは、頭の中が気持ちよすぎて、難しいことは考えられません」 「……ッス」 「代わりに僕が考えてあげますから、心配しなくていいです。僕の言うことがどんなにおかしくても、あなたは自然と言うとおりにしてしまいます。いいですね?」 「はい……そうッス。自分は、アンタの言うとおりに……なっちゃうッス……」 「あなたはどんどん気持ちが良くなってくる。それにほら、見てください。動かそうとしてないのに、あなたの右手はだんだん頭の上に上がってくる。ふわーり、ふわーりと。糸で吊られたみたいに上がってきます。とても気持ちいいですね」 「あっ……あっあっ」  ゴツゴツしたイトノコの右手が、徐々に持ち上げられていく。くすんだ色合いのカッターシャツの脇の下には、じっとりとした汗染みがあった。暑苦しい外見通り、汗かきなのだろう。   「この右手は、あなたのエッチな気持ちの現れなんです。ほら、だんだんスケベな気持ちになってきたでしょう?」 「ンッ……ハァッ……ああっ、体が、熱いッス」  やがてイトノコは右腕をぴんと伸ばしきり、とうとう頭の上まで上げきった。すっかり発情してしまったようだ。ハアハアと肩で息をしながら、胡座を掻いた腰をもぞもぞさせている。俺は、イトノコの左手が股間の方へ伸びていくのを見咎め、その分厚い手のひらを捕まえた。   「イトノコさん、どうしたんですか?」 「ううっ……もう、たまらんッス。一発抜かないと、収まんないッス」 「そうですね。あなたはいま、オナニーしたくて仕方がなくなっています。だからほら、いまあなたはお手洗いにいます。僕にお手洗いを借りたいとお願いして、ここに来たんですよ。……さあ、便器に座りましょう」  俺は手を引いてイトノコを立ち上がらせると、リビングのテーブルに腰掛けさせた。イトノコは舌を出して、ハッハッと犬のように荒い息で喘いでいる。彼はもどかしげに左手でカチャカチャとベルトを外し始めた。その間も、催眠によって右手は高らかに上げられたままだ。俺は、オナニーしようと必死なイトノコにもう一つ意地悪をしてやることにした。 「おや? 大変ですよイトノコさん。今度はあなたの左手が、自然に持ち上がっていきました。見えない糸に引っ張られるように、どんどん頭の上に上がっていきます」 「えっ……あっ! な、なんで……ああっ!」 スラックスを摺り下ろそうとしていた左手が、イトノコの意志に反して頭上へと高らかに上げられていった。取り残されたスラックスはチャックとホックが外され、中に履いていた灰色のブリーフが丸見えになっていた。先走りで盛大な染みを作ったそれを、軽く指先で弄ってやると、イトノコは涙目になりながら、ううっ、と切なげな声を漏らした。 「さあ、両手を頭の上で組みましょう」 「あっあっ」  俺の言うとおり、両手を頭の上で組んだイトノコ。これじゃあ刑事じゃなくて、何かの犯人みたいだ。催眠によって極度の性的興奮に陥っているイトノコは、自分で自分を慰めることも出来ず、とろりとした虚ろな瞳のまま、ときおりびくりと体を震わせていた。開きっぱなしの口の端には涎が溜まり、顎髭に向けてテラテラと鈍く光る筋を作っていた。 「も、もう……はひぃ……がまん、できねッス……」 「大丈夫ですよ、イトノコさん。この便器は最新型なので、自動でフェラチオしてくれる機能が付いてるんです。今からそれが始まりますけれど、あくまでも機械がやってるだけなので、なにも恥ずかしくないし、おかしくもありません」 「はいッス。ああ……はやくして欲しいッス……」 俺がブリーフを剥くと、ベチン、と肉厚なそれがイトノコの腹を打った。うおお……デカイ。奴のチンポは皮も分厚く、だいぶ太さがある。純朴で奥手そうなのに、こんな立派なモンを持ってたのか……俺は感心しながら、刑事のイチモツを口腔内に迎え入れた。 「うおおぉぉおっ!!!! すごい……すごいッス!!! ひぁああっ!!!!」  頭上から、刑事がフェラチオに酔いしれる声が降り注ぐ。舌と唇で皮を剥き、亀頭をじっとりと舐るように責め、固くそそり勃つそれを口腔内の粘膜と擦り合わせる度に、仕事熱心な刑事が悦びの声を漏らしていく。毛むくじゃらの太腿が、俺を逃がすまいと頭をがっちり挟み込んだ。聞きこみで鍛えられた健脚。刑事としての誇りであるはずのそれを、この男はフェラチオを逃さないために使っている。 「あぁ……イイッス! あっ! あっ! 自分は、もうッ……!」  舐り、焦らし、慈しむように口淫を続けていると、イトノコも達しそうな気配を見せ始めた。太腿の圧迫から逃れ、いったん口を離し、唇を拭う。てらりと粘性を持った糸が、俺とイトノコのチンポの間を一瞬繋ぎ、床に落ちていった。そろそろ、彼にも自分の立場をわかってもらう頃合いだ。 「さあ、イトノコさん。どうでしょう。もうすぐイキそうですか?」 「……はいッス。もうイキそうッス。早く……んあぁ……」 「そうですね。あなたはもうすぐ、射精します。そして射精が終わった後、眼を覚まします」  そろそろ、彼にも自分の立場をわかってもらう頃合いだ。俺はイトノコの金玉をやわやわと揉み続けながら、暗示を続けた。金玉はぐりんぐりんと玉袋の中で激しく上下運動し、子種を吐き出したくて仕方がないと俺の掌の中で訴え続けていた。 「あなたは眼を覚ますと、ここがトイレではないことに気づきます。けれど、腕は相変わらず頭の上から動かせません」 茹で上がった脳みそに、言葉を染み込ませていく。 「眼が覚めた後も僕の言葉は絶対です」 「どんなに変なことであっても、無意識にあなたはそれに従ってしまいます」 「『催眠ショートケーキ』という言葉を聞くと、またこのふわふわした気持ちに戻ってしまいます」 「いいですね?」 「いいですか?」 「わかりましたね?」 「わかっ……たッス! ハァァっ……!」 命令を念入りに復唱させると、俺は再びイトノコの股間に顔を埋めた。ぐりゅぐちゅといやらしい水音をたてながら刑事のチンポをしゃぶり尽くし、今度こそ絶頂へと導いていく。 「も、もう、ダメッス! イク! イクッス!」 俺の頭部を圧迫していた刑事の太腿に、ぎゅっと力が加わった。それに負けないようにより激しく、ずりゅんずりゅんと口腔内を蹂躙されるままにしてやった。 「イッ……あっ! ひあぁああぁぁあああっっっっっっっ!!!!!!!!!」 噎せ返るほどの雄臭い種汁を俺の口腔内にぶち撒け、イトノコは絶頂に達した。 ※  熱に浮かされていたイトノコの眼に光が戻っていく。そうして、彼はようやく自分が置かれている異常な状態に気づいた。 「えっ?あ……ええっ! な、なんでッスか! ここ、トイレじゃ……!!?!? ええええっ!!」 俺はごくりとイトノコの子種を飲み干すと、眼を白黒させている彼に笑いかけてやった。 「美味しかったですよ。刑事さんの精液。さすが現役の刑事さんともなると、量も濃さも段違いですね」 「じ、自分の……!? ど、どういう……あれっ! 腕、腕が動かないッス!!」  イトノコは膝までスラックスと下着を摺り下ろし、両手を頭の上に置いた変態のような格好のまま、あたふたと泡を食ったように腕を下ろそうとしていた。普通に腕が動かせないとわかると、ふぬううッス!と唸り声を上げて両腕を摺り下ろそうとしたり。右や左を向いて腕をずらそうとしたり、仰け反ったり……だが何をしても、彼の腕は動かないままだった。 「無駄ですよ。もう、あなたの体は、あなたのものじゃないんです」  俺は健気にも腕を動かそうと頑張るイトノコの頬を、優しく撫でてやった。汗ばんだ肌の、じっとりした感触を堪能するようにねっとりと。その手つきに、この異常の元凶が俺なのだと、さすがにイトノコも気づいたようだった。一瞬の戸惑いの後に、今度は敵意の籠もった視線を送ってきた。 「……アンタの仕業ッスか。すぐにやめるッス! 刑事にこんなことして、ただじゃ済まないッスよ!!」 「いえ、それがただで済んじゃうんですよ。さあ、今度はテーブルの上に寝そべって下さい」 「えっ、あっ! ななな、なんでッスか! 体が、勝手に……!」 俺はイトノコをテーブルの上に寝かせると、カッターシャツと中に着ていたランニングをたくしあげ、胸板を曝け出させた。未だに催眠による性的興奮が醒めやらぬイトノコの胸板は、頻繁に上下していた。発達した大胸筋の上に厚めの脂肪が乗り、うっすらと胸毛の生えた見事な雄っぱいだ。それを両手で鷲掴みにし、揉みしだいていると、イトノコは険しい顔で俺を睨んだ。 「妙な真似はやめるッス! もう許さないッスよ! アンタには黙秘権と弁護士を呼ぶ権利があるッス! あと──」 「あなたは男に触れられることが大好きだ。男同士の肌が触れ合うと、とろけるような快感が全身に広がってしまう」 「なっ…………ッ! ああっ……!」 その一言で、イトノコの顔が急に真っ赤になった。俺の言葉は絶対。その暗示が、本人の性癖を不可逆に歪めていく。俺が逞しいその両胸を揉み続けていると、睨みつけていた鋭い眼光に、とろんとした快楽の揺らぎが混じり始めた。 「ほら、どうです? とっても気持ちいでしょう?」 「……ッ! 全然! 気持ちよくなんか、ないッス!! んうっ!」 今度はその分厚い胸板に舌を這わせ、ぷっくりした乳首を甘噛みしてやる。するとイトノコは堪え切れずに上擦った声を漏らした。ぷっくりした乳首を、ちゅぱちゅぱと赤ん坊のように吸いあげてやると、うぬぬぬぅ……と唸り声を上げて、彼は体を捩らせた。俺が口を離した時には、イトノコは全身の肌が火照り、激しい運動をした後のように汗みずくになっていた。 「これでわかったでしょう? 僕の言葉は絶対なんです。僕が何か言う度に、あなたはどんどん変態になっていく」 「そんなこと……ないッス。自分は、変態なんかに……ならないッス!」 俺が声を掛けると、ぼんやり虚空を映していた刑事の瞳に、光が戻った。ギラギラと怒りと正義感に燃えた男の眼だ。そうだ。この眼だ。今まで何人も、こうやって俺への怒りに燃える男たちを骨抜きにしてきた。その一人に、今から現役の刑事が加わることを想像すると、俺の背筋にゾクゾクと快感が走った。 「あなたは男に興奮する変態だ。だから男臭い臭いも大好物だ……こんな風に嗅いでしまうと、チンポを弄りたくてたまらなくなってしまう」 「なっ、やめるッス! 汚いッスよ!」 俺はイトノコの太い足から黒の靴下を片方脱がせた。そして革靴の中で蒸れてぷんぷん臭うそれを、奴の顔の上に持っていった。嫌そうに顔をしかめているイトノコだったが、俺がそれをポトリと顔の上に落とすと、ビクッ、と肩が震えた。 「どうです? いい臭いでしょう?」 「………………ッ!」 ぎり、と歯ぎしりをする音が聞こえた。イトノコはハアハアと肩で息をしながら、じっと耐えているようだった。本人は何も語らないが、しかし、奴のチンポは再びギンギンに勃起し、ぴくぴく震えながら我慢汁を垂れ流している。雄臭に興奮する変態男になってしまったことを、肉体は如実に示していた。 「あなたは男同士でセックスがしたくてたまらない。今も、ケツにチンポをぶちこまれたくて、尻の穴が疼いて仕方ないはずだ」 「違う……自分は、変態じゃ、ない……ッス」 呻きながら、悔しそうに顔を背けるイトノコ。しかし本人が一番良くわかっているはずだ。自分の性癖が徐々に変態のそれに置き換わり、別人になり始めていることを。 「あなたのケツの穴は性感帯だ。かなり興奮しているから痛みは感じにくいし、チンポが欲しくていまもヒクヒクしている……それじゃ、ほぐしていきましょうね。ああ、両手は頭の上ではなく、両足を持ちましょうか」 俺はローションを手に取ると、ちんぐり返しの格好でテーブルの上に横たわったイトノコのケツをほぐし始めた。前立腺の位置を探っていき、そこを重点的に弄りながら、さらに言葉を掛けて快感とリンクさせていく。そこを弄られると、女のように気持よくてたまらなくなってしまうと、催眠で植え付けていく。 「さあ、準備出来ましたね。それじゃ、始めますよ」 俺もズボンを下ろして事に及ぼうとすると、イトノコは真剣な声で告げた。 「──絶対に、アンタを逮捕するッス」 「ふうん」 聞き流しながらベルトを外し、ズボンを脱いでいく。その間も、イトノコは俺に対して反抗的な言葉を続けた。顔の上に載せたままだった靴下がずれ、闘志に満ちた瞳が俺を見据えた。 「アンタみたいな奴を、野放しには出来ないッス。たとえこれから自分をどうこうしても……いつか必ず、アンタを逮捕するッス。自分がダメでも、他の誰かが、必ず!」 「ところで刑事さん。僕はチェスよりも、将棋の方が好きでしてね……何でだと思います?」 「言ってる意味が……いや、それよりも」 「まあ聞いてくださいよ。チェスは敵の駒をとったらおしまいですけど、将棋は使えるじゃないですか……自分の駒として」 ズボンと下着を脱いだ俺は、イトノコを見下ろした。睨みつけていた奴の眼が、訝しげに歪む。俺の言わんとしていることに思い当たったのか、イトノコは怒りで声を震わせていた。 「……自分を、どうするつもりッスか」 「もちろん、僕のいたずらの片棒を担いでもらおうと思いましてね……捜査員から共犯者へクラスチェンジですよ。大出世ですね!」 「そんなこと、絶対にしないッス!」 唾を飛ばしながら、刑事が吠えた。 「自分は刑事ッス。犯罪者の仲間になんか、絶対にならないッス!!」 「あなたは僕のことが嫌いなんですね?」 「……とーぜんッス」 「そうですね。わかりました。僕があなたに中出ししてもまだ、僕のことを逮捕するって言えたら……催眠を解いて、家に帰してあげますよ」 その言葉にも、イトノコは憎々しげに俺を睨みつけたままだ。そうであってもらわなくては困る。これから俺がコイツに掛ける催眠は、向けられた感情が大きければ大きいほど効く。 「『催眠ショートケーキ』」 予め決めていたキーワードを呟くと、あっさりとイトノコは深い催眠状態に落ちた。怒気を湛えていた瞳が光を失い、虚ろになっていく。そうして空っぽになってしまった刑事の心に、とっておきの毒を注ぎ込んでやろう。その純白の正義が濁るように。俺のような下卑た人間に陵辱され、慰み者にされることに幸福を感じるように──── 「あなたが僕を嫌うと、その気持ちは愛情に変わってしまいます」 「憎しみや殺意を抱くと、それらはより強い愛情に変わります」 「いま言われたことは、眼を覚ました後も覚えています」 「さあ、眼を覚ましましょう」 「────はい、ッス……あ……」 ※ 「あっ………………ああぁあッ!!!」  脳髄に染み込ませた言葉は、すぐに刑事を犯し始めた。イトノコの肉厚な体が、激しく仰け反って悶え始める。怪しげな催眠術で自由を奪い、犯そうとする変態男。その変態に対する嫌悪感が、そのまま、愛情へと変わろうとしている。しかも、本人はそれを自覚したままに。イトノコは俺を睨みつけたまま、しかし、自分の中から溢れかえりそうな愛情と戦っていた。 「あっ……い、ぎっ……なんスかっ、これぇ!?」 「……そろそろ挿れましょうか」 「うおっ!? やっ、それは駄目ッス! えっ!? あっ! ああっ!」 混乱した叫び声を無視して、ずりゅぅ、とほぐされたアナルにチンポを捻り込んだ。すると、ずっと顔の上に引っかかっていた黒い靴下が床に落ちた。イトノコの口元は緩み、笑みが顔に浮かんでいた。 「んぁあああっっ!! ンッ! ふぁあ……!」 緊張の糸がぶつりと切れたのか、トロ顔を晒して喘ぐイトノコ。俺にそれを見られていることに気づいたのか、奴は悔しそうに唇を噛みしめ、ぷるぷると震え始めた。 「ううっ! こ、こんなの嫌、なのに……なんでッ! んはぁっ……くっ!」 「そうだね。おかしいよね。男に強姦されてるのに、チンポ突っ込まれるのなんて嫌なはずなのに……心が逆転しちゃってるよね?」 俺が深い溜め息を吐きながら腰をグラインドさせると、イトノコの眉根がピクッと動いて、ぎゅっと眼をつぶった。 「嫌いで嫌いで仕方ないはずの強姦野郎の事が、どんどん愛おしくなっちゃうなんておかしいよね? でもね、それがいまのあなたなんですよ。あなたは僕にひどいことをされたりするほど、僕のことが大好きになってしまう。……さて、このまま中出しなんてされたら、いったいどうなっちゃうんでしょうね?」 「ひっ……そんなっ!」 「どうです? これでもまだ、僕を逮捕するって言うんですか」 「……ぐっ! ふぬぅぅう! も、もちろんッス! 刑事は仕事に……私情を……! んくっ、挟んだり、しないッ……ス! たとえ心を変えられても、自分は絶対に……アンタを、逮捕するッス!」 折れかけた心を「逮捕する」の一言で繋ぎ止めたイトノコ。しかし、本人は気づいているのだろうか? その表情が、勇ましい言葉と一致していないことに。もはや眉根は情けなく下がり、恥じらうかのように顔は紅潮している。俺を睨みつけていた視線にも、徐々に媚びるような色合いが混じり始めている。犯人に対して向ける顔でなく、恋人に向ける顔になりつつあることに。 ずっちゅずっちゅ、ずりゅっ、にゅぷっ……。 「くっ……そんな、動かれたら……! ひああああっ!」 俺が腰をピストン運動させると、イトノコは情けない声を上げて悶えた。その度に、俺に対する表情が緩んでいく。最初からこの刑事の敗北は決まっていたのだ。俺への敵意を抑え込めば、あるいは自分の感情を守れるかもしれない。だがそれは、ここまで肥大化した愛情を受け入れるということだ。それでは、実質的な敗北と変わりがない。どちらにせよ、詰んでいる。 「ねえ刑事さん、いまどんな気持ちですか? 強姦されてるのに、犯人にどんどん惚れ込んじゃってる刑事って、どんな気持ちなのか興味あるんですよね。だってほら」 そんな情けない刑事に、今まで出会ったことないですし。そう煽ると、イトノコは涙目で首を横に振った。 「だ、だめッス! そんな、ひどいこと言ったら、自分は……! ふぁああっ!」 「ほらほら、気を抜くとチンポに負けちゃいますよ。刑事として恥ずかしくないんですか?」 「くっ……あひぃ!」 ぴくぴく、とイトノコの頬の筋肉が痙攣している。今にも笑い出したいのを、懸命に堪えている。そんな表情だった。少し腰の動きを緩めながら、イトノコに話しかけた。ほんの少しだけ逃げ道を見せながら、徹底的に袋小路へ追い込んでいこう。 「ちょっとハンデをあげましょうか。『チンポになんか絶対負けない』って言えば、あなたは少しの間、僕への愛情を抑えられます」 「ぐっ……ああっ! そんな、恥ずかしいこと……」 「いいんですか? こうしているあいだも、あなたは僕のことが大好きになっているはずだ。迷ってる時間はないんじゃないかなあ」 俺はそう告げると、傍らに用意しておいたものを取り出した。イトノコに見せつけるように掲げる。 「そ、それは……!」 「そう、あなたの警察手帳ですね。これを……そうだなあ。少し汚れが目立つし、磨きましょうか。例えば、こんな風に」 そう言って、我慢汁を垂れ流してヒクつくイトノコの亀頭に、警察手帳をべっとりと擦りつけた。 ※ 「ひ、ぎぃ、おっ……うお、おおおおっ!」  ガチガチと歯を鳴らしてイトノコが唸る。刑事の誇りである警察手帳。それを、よりにもよって自分の我慢汁で汚される恥辱はどれほどのものだろうか。温厚そうな顔が、さすがに鬼気迫る怒りで歪み── 「えっ!? ふぁああぁっ!? だ、ダメッス! なんで、こんな奴のことがぁっ!! ぐひっ!」 どろりと、下品な笑顔に塗りつぶされた。小鼻が興奮でムフリと広がり、間の抜けた笑みが張り付こうとしている。さすがに本人も危機感を覚えたのか、俺が教えた魔法の言葉を口にしてしまった。 「ち……ちっ、チンポになんか、ぜっ、絶対負けないッス!」 かなり恥ずかしかったのだろう。脂汗を流して真っ赤になりながらも、イトノコは一時凌ぎの言葉を口にした。するとトロ顔になりかけていた顔に、やや安堵の色が戻った。膨れ上がり続ける愛情が止まり、ほっと一息ついたようだ。なぜ俺がこんな逃げ道を作ったのかまでは、考えていないようだ。 「ああ、けどその言葉を言うたびに、どんどん快感が強まってくので、気をつけてくださいね?」 そう付け加えて、思いっきりイトノコのケツの奥までチンポを捻り込んだ。 「ひぁああっ!? だっ、だましたッスね!」 「うん。けどいいのかな?そんな風に怒っても」 「ああっ……うあああああっ!!」 俺を睨みつけたイトノコの瞳が急速に潤み、再びトロ顔に戻りそうになった。慌ててイトノコが叫ぶ。 「ちっ、チンポなんかにッ! 絶対負けないッス! うお!? おひぃぃいいい!!?」 靴下を片方だけ履いたイトノコの太ましい足が、ビクビクと痙攣する。ちんぐり返しの格好のまま、イトノコは今まで以上の快感に襲われて悲鳴をあげていた。愛情を抑えれば快感が増していき、しかし何もしなければ、自分が自分でいられなくなってしまう。このシーソーゲームの終点は近い。俺はイトノコの毛深い足に舌を這わせ、奴を悶絶させながら腰を打ち振るっていった。 「ちっ、ちんぽ! チンポになんか、絶っ対にっ、負けない……ッス! うおッ! あっあっ! ダメッス! イッ……ぁ!! ひぁああっ!!」 がちり、とイトノコの裸足に歯を立てると、ぶぴゅりと白濁が股間から噴き上がった。二度目の射精でビクンビクンと巨体を震わせながら、イトノコは肩で荒い呼吸をしていた。思わず例の言葉を呟くことを忘れたまま、俺に犯され続けている。その呆然とした表情が、恍惚としたものに変わりかけたところで、奴は静かに自分の心が汚されつつあったことを思い出したようだ。ろれつの回らないまま、慌てて口を開いた。 「んあぁ……ちんぽ、ちんぽなんっ、かにぃ……絶対負けないッスぅ……! ふひぃ! イ、イッ!? ああっ! またイクッスぅ!!」 体を弓なりに仰け反らせ、三度目の絶頂を迎えたイトノコ。どんどん快感が増して、絶頂に達するまでの感覚が短くなっている。本人もヤバいと思っているのかもしれないが、もう止まれない。イトノコの心はもうギリギリのはずだ。こんな辱めをうけた状態で言葉を止めれば、一気に俺への愛情が溢れて、二度と抵抗することさえ思いつかなくなってしまうだろう。本人もそれに気づいているのか、必死に例の言葉を口にしていた。それを嘲笑うように、どんどん俺もペースをあげていく。 「ちんぽ、なんかにぃ……はひっ! ぁぁあっ! 絶対、負けな……いっ! ッス! んぁあ! 気持ちよすぎるッスよぉっ!! 頭、おかしくなっ……ちゃうッス!」 どぷどぷどぷどぷと断続的に射精し、息も絶え絶えによがり続けるイトノコ。その様子が次第にあやしいものに変わり始めた。 「えひっ! うひひ! んぎもぢぃぃッスぅ……! あ゛ー、ちんぽちんぽちんぽ! チンポになんかに、ぜぇったいに」 それは何度目だったろうか。もう自分がなぜその言葉を口にしていたのか、とうとうイトノコはわからなくなってしまったようだ。俺に心を汚されないためではなく、より強い快楽を味わうために、いつの間にか例の言葉を口にしていた。 その劣情を誘う姿と、イトノコのケツの締め付けに、俺の方も限界だった。不意に背筋に鋭い快感が走り、熱い子種がイトノコのケツにぶち撒けられた。うめき声を上げながら腰を振っていると、イトノコが心底嬉しそうに叫んだ。 「チンポなんかに、ぜぇったいに」 鼻の下を伸ばしきった、まるで痴漢のような発情した顔つきで。 「負けないッスぅぅぅぅ! イヒッ! イグイグ! またイっちまうッスゥゥぅううう!」 イトノコはそう叫ぶと、快感に浸りきった顔で痙攣しながらオルガスムスに達した。もうこれ以上精液の出ない空打ちチンポをヒクつかせると、ぐったりと体を投げ出した。その顔は締まりなく緩み、でれでれと助平な笑みが浮かんでいる。俺を逮捕すると豪語していた刑事の面影はどこにもなかった。  情事のあと、二人でソファに移動した。動きを制限する催眠は解いたが、イトノコは抵抗する様子も逃げる様子も見せなかった。熱に浮かされたような顔で俺を見つめ、ぎゅっと抱きついてくる。その仕草がかわいらしくて、俺は奴の短髪頭をざりざりと撫でていた。 「あー、なんかもう、逮捕とか……どうでもよくなっちまったッス」 イトノコはすっかり堕落していた。へらへらと笑みを浮かべながら、俺に愛撫されて気持ちよさそうにしている。先ほどまで強姦されていた刑事とは思えない姿だった。奴は熱いため息を吐きながら続けた。 「というか、アンタを逮捕する理由がないッス。そりゃあ、合意なしにむりやりセックスするのは犯罪ッスけど……逆に、自分が合意しちゃえば、さっきのあれは犯罪でもなんでもないッス。ありふれた愛の営みって奴ッスね!」 「自分が催眠を掛けられたことは、どう思ってるのかな」 意地悪な質問だったが、イトノコは無邪気な笑顔で答えた。 「そうッスね……最初はイヤだったけど……今は催眠に掛けられて、本当によかったって思ってるッス! だって催眠がなかったら、アンタのこと嫌いなままだったし……そんなの絶対イヤッス! 耐えらんないッスよ! だから、勝手に催眠解いたりしちゃダメッスよ! いくら自分でも怒るッスよ!」  こうして、正義感に燃えていた刑事は変態の仲間入りをした。 ※ ──数週間後、夜。 「大丈夫ッスよ。何も怖がらなくていいッス」  暗い部屋の中、俺とイトノコは新しい獲物を見下ろしていた。男は既に自分が催眠下にあることにも気づかぬまま、俺たちを恐怖の眼で見つめていた。俺には家庭があるんだ。頼むから帰してくれ──そんなことを、俺たちに懇願している。イトノコは男をなだめるように口を開いた。 「心配はいらないッス。ちゃんと家に帰れるッスよ。自分もアンタと同じだったッスけど、家に帰してもらえたッス。あ、ほらこれ。これを見るッス」 イトノコは怯えた男を安心させようと、警察手帳を見せつけた。だがそれは一層、男の恐怖を掻き立てたようだった。 「アンタの身の安全は、自分が保証するッス! えっ! なんでそんなに怖がるんスか? 違うッス! 殺されたりしないッスよ?」 現役の警察官が嬉々として犯罪に手を貸している。その姿に男は恐怖しているようだが、イトノコには全く伝わっていないようだった。 「心配はいらないッス。これからアンタがされるのは、犯罪でもなんでもないッス。だってほら」 イトノコは、純真な笑顔を男に向けた。 「アンタも自分みたいに、チンポ大好きな変態になるんスからね。そうしたら、今からすることは強姦でも、拉致監禁でもないッス。アンタの合意さえあれば、こんなのただのお遊びになるんスからね」 狂ってしまった正義で、イトノコは今日も犯罪の芽を摘み取っていく。強姦は親告罪だ。自分が望んだことだと被害者が思ってしまえば、それは誰も罪に問えない。 「それじゃ、自分からいいッスか?」 イトノコは嬉々としてスラックスを脱ぎ捨て、勃起しきったイチモツを男に咥えさせ始めた。 (終) ──────────  以前はわさんが企画した、逆転裁判のイトノコ刑事アンソロに寄稿した小説です。  http://itonokobon.blog.fc2.com/    アンソロ刊行から4年ほど経過し、新規に入手するのも難しくなったこともあり、はわさんの許可を得て今回掲載の運びとなりました。    イトノコ刑事は、かなり催眠耐性が低いキャラクターだと僕は感じているので、めちゃくちゃ書きやすかったですね(逆に巌徒局長は、かなり催眠耐性高そうだなと思います)。僕自身、とてもイトノコ刑事が好きなこともあり「現時点での、自分の全力を注ぎ込んだMC小説にしよう!!」と意気込んで書いたのですが、いかがだったでしょうか?

イトノコ刑事アンソロ寄稿小説「チンポなんかに絶対負けないッス!」

Comments

ありがとうございます! イトノコ可愛いですよねー!

くろねこ@9605

僕もイトノコさん好きっス!

黒竜Leo


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