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くろねこのMC小説道場第5回「MCする側の一人称視点と三人称視点〜改変アプリを手に入れた男子生徒編」

 皆さんこんにちは。最近の作業用BGMは、トルネード竜巻の『言葉のすきま』、くろねこです。  前回から引き続き、視点の違いを実感してもらうために、同じ題材で視点を変えて文章を書いて行きます。「MCされる側」「MCする側」の視点と「一人称視点」「三人称視点」の視点の組み合わせのうち、前回は①と②を書きました。    ①「MCされる側」「一人称視点」  ②「MCされる側」「三人称視点」  ③「MCする側」「一人称視点」  ④「MCする側」「三人称視点」  今回は③と④を書いていきます。「教室に入ろうとした体育教師が、入り口でジャージと下着を脱いで、違和感を感じないまま教壇に立つ」という共通の題材が、今度はMCする側の視点になることで一変します。まずは③の組み合わせからどうぞ。 ③「MCする側」「一人称視点」 「おはよー」 「漢文の小テストっていつだっけ?」 「そういえば、部活の先輩が言ってたんだけどさー」  朝の騒がしい教室の中で、僕はそわそわと壁に掛けられた時計を見た。あと5分後には、ホームルームが始まる。そうすれば、このアプリが本物かどうかわかるだろう。僕のスマホの中に、今朝突然現れた「常識メイカー」という名前のアプリ。対象や範囲を入力すると、その範囲内の人間の認識や行動を書き換える……というものらしい。  僕が半信半疑ながらもそれを削除しなかったのは、対象に知っている人の名前を試しに入れると、その人の顔写真まで表示されたからだ。 (このアプリが本物なら、武本先生はジャージと下着を脱いで、下半身裸で教室に入ってくるはず……なんだけど)       対象:武本大悟     範囲:3-1教室   認識補正:あり      内容:教師は下半身を露出し、        ありのままの姿を生徒に晒すのが        教育的な姿だと認識する。        そのため教室に入る際はジャージと下着を脱ぎ、        アプリユーザーに預ける。     担任の武本先生は体育の先生だ。今年の担任が武本先生だと知ったとき、僕は内心とても嬉しかった。一年中日焼けしている、太陽みたいに明るくて格好いい武本先生。その武本先生が、僕の作った「常識」に従って、破廉恥な姿を晒してしまうのだとしたら……そう考えただけで、僕の心臓がドクンドクンと胸の奥で跳ね回った。 「おーし、朝礼始めるぞー」 (うわっ! 本当に何も穿いてない!)  思わず声を上げそうになって、僕は慌てて口を抑えた。教室のドアを開けて現れた武本先生は、ちゃんと白いポロシャツを着て、首からホイッスルを下げているけど、下半身にはジャージも下着も穿いていなかった。濃い陰毛とチンポを揺らして、堂々と教室へと入ってくる。武本先生のチンポは太いけれど、長さとしては短い感じがした。    そして、そんな武本先生の姿を見ても、他の生徒たちは何も言わなかった。武本先生は、脱ぎたてのジャージとブリーフを抱えて、きょろきょろと教室を見渡している。アプリ通りなら、僕が武本先生のジャージと下着を預かるはずだ。僕はなるべく、平静を装って話しかけた。 「あ、先生。それ預かります」 「おう。いつもすまんな」  武本先生は白い歯を見せて笑った。何でもないことのように、雑に丸めただけのジャージとブリーフを僕に渡してきた。僕は武本先生が脱いだばかりで、温もりの残っているそれらを、じっくりと触れながら折りたたみ、ブリーフを上にして机の上に置いた。ブリーフには武本先生の陰毛が2、3本ついている。後で取って、家に持って帰ろう。   「すごい。このアプリ、本物だったんだ……」  でもやっぱり、陰毛ぐらいどうでもいいか。このアプリがあれば、もっとすごいことが出来るだろう。僕は次にどんな「常識」を作り出そうか、机の中に隠したスマホを片手に考え始めた。  ※※※  ここまでが③「MCする側」「一人称視点」ですね。洗脳する側の視点のため、担任教師に対して抱いている憧れや劣情が、文章中に盛り込んであります。憧れの教師が脱いだばかりの下着を前にして、陰毛を持ち帰ろうという生々しいことを考えているところもポイントです。  次は④「MCする側」「三人称視点」を見てみましょう。 ④「MCする側」「三人称視点」 「おはよー」 「漢文の小テストっていつだっけ?」 「そういえば、部活の先輩が言ってたんだけどさー」  朝の教室の喧騒は、田所哲也の耳には入っていないようだった。教室の最前列の席に座っている彼は、壁に掛かっている時計を神経質そうに見上げた。彼が時計を見るのは、教室に入ってから15回目である。ホームルームまで残り5分となり、田所は汗ばんだ手を無意識にシャツの裾で拭った。彼がスマホに視線を落とすと、次のような文章が表示されていた。       対象:武本大悟     範囲:3-1教室   認識補正:あり      内容:教師は下半身を露出し、        ありのままの姿を生徒に晒すのが        教育的な姿だと認識する。        そのため教室に入る際はジャージと下着を脱ぎ、        アプリユーザーに預ける。  田所のスマホに突然現れたアプリ、「常識メイカー」というアプリの画面であった。指定した対象に、指定した範囲で、指定した常識や行動を植え付けるというそのアプリを、田所は完全に信じたわけではなかった。しかしそれでも、一度は試したいという誘惑に駆られていた。というのも、田所の担任教師である「武本大悟」の名前を対象欄に入力すると、武本の顔写真が画面に表示されたためである。このアプリは、もしかしたら本物なのではないか……そんな期待と共に、田所は武本が下半身を露出して教室に現れるのを待っていた。   「おーし、朝礼始めるぞー」  教室に武本が入ってくると、田所は思わず声を漏らしそうになり、口を抑えた。武本は、下半身に何も穿いていなかった。上半身には白いポロシャツを着て、首からはホイッスルを下げている。しかしアプリの影響で「教室では下半身を露出するべき」だと認識した彼の脳は、ジャージと下着を脱ぎ、性器を露出することを躊躇いなく選んでいた。そのため、教室に現れた武本の股ぐらには、むわりと匂い立ちそうな、皮が厚く太短いチンポが、外気に晒されて堂々と揺れていた。陰毛は濃く、臍の下まで密生している。とても教師がしてよい格好ではない。露出狂同然の姿であった。    しかし、武本の姿を異常と捉える者は、アプリを使った田所以外誰もいなかった。皆、武本が下半身を露出した姿を「教師らしい」「普段どおりの」「頼りがいのある」格好であると認識している。武本に好意を持っている女子生徒は、「普段どおりに」武本のチンポをうっとりと見つめているし、反抗的な男子生徒は「教師らしい」太いチンポに侮蔑の視線を向けていた。武本は手に持ったジャージと下着をどうするか、キョロキョロと周囲を見渡し……アプリによって刷り込まれた「常識」通りに行動した。   「あ、先生。それ預かります」 「おう。いつもすまんな」  武本は、自身を変態化させた元凶である田所に、下着とジャージを手渡した。田所は指先でジャージと下着の生地を撫でながら、それらを丁寧に折り畳んだ。そして、机の上に置いたジャージと下着を満足気に眺めて呟いた。   「すごい。このアプリ、本物だったんだ……」  田所は、次は武本にどんな「常識」を刷り込めば、より破廉恥な体育教師になるか思案を始めていた。  ※※※  こちらの、④「MCする側」「三人称視点」では、③の視点よりもカメラが引いて、洗脳する側の生徒の様子も客観的に描写しています。時計を見た回数(田所くん本人は数えていないため、一人称視点では回数まで描写されない)や、汗ばんだ手を無意識にシャツで拭ったところ(無意識な仕草なので、一人称視点では描写されない)。あとは武本先生が教室に入った後の、他の生徒の様子も、一人称視点より加筆してあります。これは一人称視点だと、田所くんは武本先生の痴態を見るのに夢中になっていることに加えて、彼の席が教室の最前列であるため、他の生徒の様子がそこからはよく見えないのですが……三人称視点だと田所くんが見ていない、見えていない事柄まで描写出来るためです。        ここまでで、同じ題材による①〜④の文章が出揃いました。さて、次回はこれらの文章を踏まえて、この題材にふさわしい視点はどれなのか? 何を持って視点を決めるべきなのか? について考えて行こうと思います。    それでは、また。

くろねこのMC小説道場第5回「MCする側の一人称視点と三人称視点〜改変アプリを手に入れた男子生徒編」

Comments

やはり主人公の感情を表しやすいのは一人称の方ですね。次回はそのあたりを、もう少し詳しく解説入れようと思います。

くろねこ@9605

視点によって、物語はどの方面を重視してるのが違いますね。 主人公の感情を表現しやすいのは③の書き方ですね!

黒竜Leo


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