「くそ暑い……」 浜岡厚志はラグビー部の練習を終えて帰宅した。今日はアルバイトもないので、来週の大学の授業で提出するレポートをまとめる予定だった。アパートのドアを開けると、ムッとする熱気が押し寄せてくる……はずだったのだが、エアコンのひんやりした冷気が彼を出迎えた。 「あれ? 消し忘れたか?」 半月ほど前から、何度も同じことがあった。今日も消し忘れないように、大学に行く前にしっかりとエアコンの電源を確認したつもりだったのだが。 「まあ……いいか」 厚志は赤銅色に焼けた太い腕で、ボリボリと頭を掻くと、洗面所の籠に汚れた練習着を乱雑に突っ込んだ。男の汗と土の臭いがむわりと洗面所に広がった。 「あ……?」 厚志がふと顔を上げると、洗面所の鏡が視界に入った。鏡の中に映る厚志は、いつの間にかTシャツが胸までめくられており、割れた腹筋と分厚い胸板をさらけだしている。 「厚志クン、おかえりぃ……寂しかったよぉ」 そしていつの間にか、厚志の背後に男が立っていた。Tシャツをめくったのはその男だった。その男の毛深い腕が、厚志の胸板を揉んでいた。ゴツい指先で、厚志の乳首を転がすように愛撫している。爪先で乳首を掻かれると、厚志の唇から熱い溜め息が漏れた。 「あぁ……」 「んふ。厚志くん、だいぶ乳首が敏感になっちゃったねぇ。もうすぐ乳首だけでイケるようになるんじゃない? オジサンも、楽しみにしてるからねぇ」 背後から厚志の乳首を愛撫している男が、いやらしい口調で話しかけてきた。厚志よりも背の低い、ビール腹の中年男だった。頭部はバーコード状に禿げており、無精髭も濃く、性欲の強そうな顔つきをしている。脂ぎった肌は紅潮し、息が酒臭かった。 「んっ……フーッ……んぁぁ……!」 厚志は中年男の腕を振り払わず、されるがままになっていた。一人暮らしの大学生のアパートに、不審な中年男が入り込み、さらに身体を愛撫している。それにも関わらず──厚志は何も抵抗しなかった。いや、抵抗できなかった。 「だ、誰もいねえのに……なんでまたっ! んんっ!」 「そうだよねぇ。オジサンが厚志クンの性感帯、毎日開発しちゃってるもんねぇ。でも厚志クンには、それが分からないもんねぇ……」 中年男が厚志の耳元で囁いたが、厚志にはその言葉は聞こえていなかった。中年男が厚志の耳に舌を挿れると、厚志は理由のわからない悪寒が背筋に走り、目尻に涙が浮かんだ。 半月ほど前から、厚志は異様な感覚に苛まれていた。自宅で一人でいるにも関わらず、何者かに身体を愛撫されたり、舐め回されるような感覚。内容が性的なものであるため、誰かに相談することも出来なかった。半月もの間、中年男にたっぷりと愛撫された厚志の乳首は肥大化が始まっており、中年男の指でコリコリと弄られるたびに、厚志は野太い声を漏らしてしまっていた。 「と、とりあえず、シャワー浴びねえと……」 「ダメだよぉ、厚志クン。せっかくラグビー部の練習で汗臭くなったんだから、そのままでいないと」 服を脱ぎ、風呂場へ向かおうとした厚志の身体の向きを、中年男がぐるりと反対側へ向ける。厚志はぽかんとした顔をしていたが、もう一度振り返って風呂場に向かおうとして……再び中年男に身体の向きを変えられた。これもまた、半月前から繰り返されていたことだった。 「くそっ。またかよ。俺……シャワー浴びたいって思ってんのに」 「うんうん。汗臭い厚志クンにぴったりな部屋着を用意したから、今日はこれを着ようね」 中年男が厚志の手に握らせたのは、女性用の下着とブラジャーだった。太った女性向けのそれは、厚志でも穿くことが出来るサイズだった。厚志はいつの間にか自分が女性用下着を持っていることに気づくと、顎髭を蓄えた顔が真っ赤になった。 「こんなん、買った覚えもねえのに……」 「それじゃ、穿いていこうね」 中年男が厚志の足を持ち上げる。厚志は黙って男にされるがままになり、派手なピンク色のパンティを穿いた。当然、厚志のチンポはパンティに収まりきらず、上からはみ出ている。固く筋肉質な尻にパンティーの生地が食い込んだ。さらに分厚い胸板にもブラジャーをあてがわれ、背中でホックを留められてしまった。 「うんうん。厚志クンは今日もカワイイねぇ」 中年男が、パンティの膨らみを指先で撫でた。厚志はぶるりと肩を震わせた。 「こ、こんなん、絶対おかしいのに……!!」 「それじゃ、いつもみたいにエッチの準備しようね。おトイレで一人でできるかな?」 中年男が、厚志にグリセリン液の入った浣腸容器を手渡した。 ※ 「はぁ……あっ」 厚志はすっきりとした様子でトイレから出てきた。帰宅したら浣腸を行う……これもまた、半月前から厚志に芽生えた習慣であった。きっかけはよく覚えていないが、厚志はこれを自分の意志で始めた習慣だと認識していた。 「待ちくたびれたよぉ。厚志クン、こっちこっち」 中年男は厚志に近寄ると、厚志の肩を抱いて、ベッドに腰掛けさせた。厚志の部屋は、食べ終えたコンビニ弁当の容器や、灰皿代わりにしたビールの空き缶が転がっており、大変汚かった。厚志ではなく、この中年男が飲み食いしたものだ。最初は厚志も片づけていたのだが、いくら片づけても、いつのまにか部屋にゴミが増えてしまうため、最近はそのままにしていた。 「楽にしていいからね」 厚志はそのままベッドに横たえられた。厚志の顔が強ばる。ブラジャーを付けた大胸筋が、大きく上下していた。ここ最近は、家にいてもなぜか落ち着かなかった。何かひどく……屈辱的なことが自分の身に起きている気がする。しかし厚志には、それが何なのかわからなかった。自宅は誰も自分を脅かさないはずだ。ここは安全なはずだ。なのに、なぜか──危険な場所であるかのように感じていた。中年男が下品な笑みを浮かべながら、厚志の身体に覆い被さってきた。 「ハァ……ハァ」 ぶちゅり、と厚志の唇と中年男の唇が触れ合った。ぬめぬめとした中年男の舌が、厚志の口腔内に侵入してくる。厚志の太い眉がしかめられ、反射的に顔を背けようとした。 「んっ……んぐっ」 しかし、中年男から逃れることは、厚志には許されていなかった。厚志は頭部をがっちりと押さえ込まれ、そのまま濃厚なディープキスが続いた。中年男のヤニ臭い、苦い唾液が、次々に厚志の口に流れ込んでくる。鼻孔にも、中年男の加齢臭が刺さるように入り込んでくる。厚志は瞳に涙を浮かべながら、中年男が満足するまで唇を汚され続けた。 「ぷはっ。やっぱり厚志クンとのキス、気持ちいいねぇ」 厚志は何も答えない。答えることが出来ない。しかし嫌悪感だけは感じている。女性用下着を身につけてベッドに横になり、中年男にキスされる妄想に耽った……そのように厚志は感じていた。中年男の唾液の味や、体臭まで感じられるリアルな妄想だった。女性が好きな自分が、なぜそんな妄想をしたのか、全く理解出来なかった。 中年男の節くれだった指が、厚志の下半身に向かった。厚志の日焼けした逞しい身体が、びくりと震えた。中年男の指がパンティの内側に潜り込み、チンポを優しく扱き始めた。厚志は厳つい顔を真っ赤に染めて、切なげな息を吐き始めた。 「あぁ……駄目だ。男同士なんて……何で俺、そんなことばっか考えて……」 「大丈夫だからね。厚志クンは、オジサンに犯される妄想が大好きなだけの、ごくごく普通なノンケラガーマンだからね。これはセックスじゃないから、安心して身を任せていいんだよぉ」 ひとしきりチンポを弄られ、先走りが流れるぐらいまでになると、パンティが脱がされた。糸を引いて、厚志のデカいチンポがぶるんと外に出てきた。続いて、厚志の角張った尻がさらけ出される。厚志は両足を持たされ、ちんぐり返しの体勢になった。中年男が、ローションを付けた指をぐりぐりとアナルに挿入していく。 「んあっ、やべっ……!」 指が入ると、厚志の顔に一瞬、悦びが浮かんだ。厚志のアナルは、ここ半月でしっかりと性感帯として開発されてしまっている。中年男の指先が、ずぷずぷとアナルに挿入され、中で動く度に、厚志は肌が火照っていくのを感じていた。 「あっ! あぁっ! ケツ、なんか、入っ……!」 「んふっ……それじゃ、お待ちかねのチンポを挿れるね。おっと、これは咥えてて貰おうかな。ほら、厚志クンの先走りがたっぷり染みた、パンティだよぉ」 中年男は、厚志が先ほどまで穿いていた、女性用のパンティを彼に咥えさせた。厚志は鼻息を荒くしながら、されるがままにパンティを咥えた。自分の陰毛が何本か付いていたが、吐き出すことは許されていなかった。 「んーッ!!!」 中年男の、太短いペニスが厚志に宛てがわれた。そのまま、ずぷりずぷりと厚志のアナルに侵入してくる。 「おほっ! 厚志クンの中、今日も一段と気持ちいいねぇ!」 中年男はリズミカルに腰を振り、厚志のアナルにチンポを出し入れしている。厚志は自分の先走りが染みたパンティを噛み締めながら、得体の知れない快感に悶ていた。厚志としては、女装をして男に犯される妄想に耽っている……と認識していた。あまりにもリアルな妄想のため、快感を感じてしまっているのだと。厚志は中年男の姿は認識できないが、それ以外の感覚は自分の妄想として味わっていた。 「ん゛っ! ん゛っ! んん゛ーっ!!」 「あぁぁ……イクっ! 厚志クンの中でイクよぉっ!!」 中年男が叫ぶと、厚志の肛門内に熱いものが迸る感覚があった。厚志も身体がふわふわと浮かぶような快感を味わい、太腿の筋肉が激しく痙攣した。中年男がチンポを抜いた後も、厚志はぐったりと身体を横たえていた。手を触れていないのに、厚志のチンポも潮を吹いてしまったらしい。精液とは違う、サラサラした液体が腹筋に付いていた。中年男は唾液まみれのパンティを厚志の口から取り出すと、腹筋を丁寧に拭った。そして、厚志の両足に再びパンティを穿かせた。 「気持ちよかったねぇ、厚志クン」 中年男が、厚志の唇に再び接吻をした。何者かに身体を汚された嫌悪感と……それを上回る圧倒的な快感が、まだ厚志の肉体の芯に疼いていた。厚志の男臭い顔には、メスとしての悦びが自然に浮かんでいた。厚志は、男同士の快楽に酔いしれた表情のまま、中年男に舌を絡め返した。中年男に弄られていないのに、厚志のチンポは、女性用パンティの内側で勃起を始めていた。 (終) ────────── 今回は「異常を認識できない異常」です。作中に登場するオジサンの目論見としては、厚志くんがオジサンの加齢臭を嗅いだだけで、性的興奮してしまうほどに「仕上がった」ら、認識異常を解除して、隣の部屋に引っ越してくる予定のようです。厚志くんは初対面のはずの脂ぎった中年男に、運命的な出会いを感じてしまい、前立腺がキュンキュン疼いてしまうはずなのだとか。その日もそんなに遠くないかも知れませんね。
くろねこ@9605
2019-05-14 13:24:23 +0000 UTCくろねこ@9605
2019-05-13 13:45:09 +0000 UTCHypno
2019-05-13 13:23:29 +0000 UTCくろねこ@9605
2019-05-13 10:30:09 +0000 UTC黒竜Leo
2019-05-12 15:22:35 +0000 UTC