くろねこのMC小説道場第3回「視点とMC」
Added 2018-08-30 13:05:36 +0000 UTCみなさんこんにちは。あなたの良き隣人、くろねこです。 前回までの小説講座では「常識改変」のジャンルで、「教室に入ろうとした体育教師が、入り口でジャージと下着を脱いで、違和感を感じないまま教壇に立つ小説」を書きたい──というところまで決めました。 次は書き出しについてなのですが、その前に決めておくことがあります。小説が「誰の視点で進行するのか」です。 ※ 決めるべき視点の種類は二つです。そもそも「MCされる側」の視点なのか、「MCする側」の視点なのか。そして、「一人称視点」なのか、「三人称視点」なのかですね。 皆さんもそれぞれ、MC小説を読む時に「MCされる側」と「MCする側」のどちらの視点が好きなのか、といった好みがあると思います。僕自身は、MCされる側の気持ちを想像するのが好きです。ただし、小説を書く時に、MCする側の視点で書くこともあります(あくまでも好みであって、逆の側を書かないというわけではないです)。 それでは「MCされる側」を書くことで、その小説では何を表現できるでしょうか。 MCされる側を書くことで表現できるのは、MCされる気持ち……つまり「自身の心や身体が変えられていく恐怖/快感」「異常を異常と認識できない『異常』」など、倒錯的な心情ですね。いかに登場人物の心が変えられていくのかを、読者にも追体験してもらうことで、抜ける小説になってくると思います。 逆に「MCする側」を書くことで表現できるのは、「相手を支配する快感」「相手の抵抗をねじ伏せる優越感」など、自分が有利な側に立っている心地よさですね。その心地よさを読者にも共有してもらうことで、フェチズムを満たす小説に仕上がってくると思います。 ※ 続いて、一人称視点と三人称視点についても考えてみましょう。まず前提の確認です。「一人称視点」とは、登場人物が、見たり聞いたり認識した視点で書かれた文章のことです。なので、その登場人物が知らないことや、思いつきそうにないことは書けないということに注意が必要です。例として、小学生が父親を犯す場面を一人称視点で書いた文章を用意してみました。 例:小学生が父親を犯す① ぼくの男根が、卑猥な音を立てながらパパのケツマンコに入っていく。熱く絡みつくような肉壁が亀頭に擦れて気持ちいい。ぼくが腰を動かすと、パパも雌犬のように鳴いて腰を振った。 解説:セックスシーンを盛り上げるにはエロい言葉が必須……ですが、小学生が使うには難しい言葉が多いですね。ちょっと書き直してみましょう。 例:小学生が父親を犯す② ぼくのおちんちんが、にゅぷにゅぷとパパのおしりに入っていく。パパの中はすごくあったかい。おちんちんがぎゅうっとしめつけられて、このまま抜けないんじゃないかってくらいだ。ぼくが腰を動かしてみると、パパも女の子みたいにかわいい声で泣きだして、腰を振った。 解説:書き直すと、こんな感じになります。①よりも小学生の目線で書いた文章になりましたね。難しい言葉や漢字をあまり使わないようにすると、年齢の幼さが表現出来ると思います。 ※ 「一人称視点で書きやすい登場人物のタイプ」は、作者ごとに得手不得手あると思います。僕の場合は「タンス」のイメージが頭の中にあります。その引き出しを開けると「30代真面目な既婚男性」「18歳体育会系の男子高校生」「50代堅物な中年男性」などの性格・喋り方のイメージが中に入っていて、それを取り出して小説の中で喋らせるような感覚で書いています。基本的に「自分が理想とする性格の人」が引き出しに入っているイメージですね。 例えば「30代真面目な既婚男性」なら、愛妻家で責任感がある男で(だからこそMCされる姿に興奮する)、「18歳体育会系の男子高校生」なら、その性欲の旺盛さを強調し(だからこそ、その性欲が男相手に向かってしまう姿に興奮する)、「50代堅物な中年男性」は禁欲的で厳格な性格で(だからこそ、変態になってしまう姿に興奮する)──といった具合に「自分を最も興奮させる性格や、要素を持った男たち」がMCされた時の反応を、想像しながら書いていくイメージです。逆に、女性についての引き出しが少ない、というかほとんどないので、女性を小説に出すのはちょっと苦手です。 そういうのを考えるのはちょっと苦手だなー、という人は「作者に近い立場の登場人物」の視点が、書きやすいのでおすすめです。作者が学生なら学生、会社員なら会社員の登場人物の視点ですね。自分と近い登場人物なら、人物設定と言葉遣いのズレが少なくなるのが大きなメリットです。 ※ さて、三人称視点に話題を移しましょう。こちらは特定の登場人物ではなく、作者の用意した視点で書かれた文章のことです。僕がよくイメージしているのは、テレビカメラが小説の舞台に現れて、それぞれの登場人物を映していく光景です。 三人称視点を書く時に気をつけないといけないのは、何人もの登場人物に焦点を当てすぎて、視点があちこちに移動しすぎてしまうことだと思います。それを防ぐには、先程のテレビカメラの例えを思い出すと良いでしょう。取材で来ているテレビカメラには、重点的に撮るべき取材対象がいる、と想定してみます。ここでいう取材対象とは、主人公のことです。そして、主人公の描写を中心に文章を書いていく感じです。他の登場人物もカメラに映すけれど、それが終わったらまた主人公の方へ、カメラの向きを戻す……といったイメージですね。 主人公が知らないことでも、三人称視点ならば描写しても破綻しないので(例えば、主人公のいる位置からでは見えない、他の登場人物が持っているスマホの画面。あるいは、他の登場人物がどんなことを考えているか)、そういったものを描けるのが三人称視点の強みですね。 ※ 次回は、同じ前提条件で小説を書き始めてみて、それぞれの違いを味わってみましょう──つまり「教室に入ろうとした体育教師が、入り口でジャージと下着を脱いで、違和感を感じないまま教壇に立つ」という共通の条件で「MCされる側とする側」「一人称視点と三人称視点」で、4つ分の組み合わせの文章を書いてみます。 それではまた、次回で。