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くろねこ@9605
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融合ドラッグ

「おい! いったい何だこれは。答えろ!」  加納さんが声を荒らげ、パトカーのボンネットに男をねじ伏せていた。金髪のリーゼントに白い特攻隊服の若い男が、いてぇんだよと怒鳴りながらもがいている。  30分ほど前、深夜のパトロールに出た俺と加納さんは、湾岸沿いの道路を飛ばしている2台のバイクを発見し、スピード違反で停車させた。バイクに乗っていたのは金髪のリーゼントの男と、茶髪のハードモヒカンの男だった。二人とも白い特攻服に、派手な刺繍を入れている。持ち物を調べたところ、金髪の方のポケットから茶色い小瓶が出てきたのだ。ラベルも貼っていないそれには白い錠剤が入っており、どこから手に入れたものなのか、そもそも何なのかを加納さんが先程から詰問している。だが、一向に男は答えない。俺が拘束しているモヒカン男の方も、ただ口を閉ざしていた。 「……埒が明かん。おい須藤。署まで引っ張るぞ」  加納さんが渋面のままリーゼント男の腕を捻り上げ、パトカーへ載せようとしたその時だった。俺が拘束していたモヒカン男が暴れ出した。どこに隠し持っていたのか、リーゼント男が持っていたのと同じ小瓶を取り出している。その中身を一気に飲みこんでいた。 「おい! 今飲んだものを吐け! ウオッ!?」  危険な薬物なのではと慌ててモヒカン男の特攻服に手を掛けると、奇妙な感覚が俺の背筋に走った。手のひらが、ねっとりと吸いつくように特攻服の生地に張り付いたのだ。警察官の制服の中で俺のナニが痛いほどに勃起し、俺は漏れそうになった喘ぎ声を殺して立ち竦んだ。 「へへっ。これでもう、テメエにオレは捕まえらんねえよ」 「何だとっ」 「テメエがオレになんだからなあっ!」  足がもつれ、モヒカン男に抱きとめられる。そのモヒカン男の人相の悪い面構えが、ニヤつきながら俺に近づいてきて、強い力で抱きしめられた。  ぬちゅ、ぬぷ、ぬぷ・・・・・・何かが混じってくる。  1秒にも満たない抱擁だったが、その一瞬にモヒカン男の人生がまるごと凝縮され、どっと一気に俺の中に流れ込んできた。採用試験をクリアして今年からようやく警察官になった俺の人生に、荒れた底辺高校に通って喧嘩とセックスに明け暮れている不良の人生が、べっとりと張り付いて、ぐちょぐちょに混じり合っていった。  昨日は日勤で交番にいたはずなのに、強引に別な出来事が捻り込まれていく。通っている底辺高校の、使われてない部室に女を連れ込み、盛りの付いた猿のように腰をパンパン振っていた記憶。急にそれを「思い出す」と、オレは自分が不良をやっていたのか、それとも警察官だったのか、頭の中がぐるんぐるんして、わけがわからなくなってきた。 「んっんっ、ああっ! あひぃ……くそっ! なんだこれ! オレになにしやがった! おい!」  オレの口から乱暴な声が漏れた。なんだ?なんか変だぞ!つうか・・・・・・はぁあん……やっべ。やっぱオレとちょー違う奴と融合すんの、すっげーきもちーんすけど!ん?融合??何がどうなってるんだ?俺は自分に何が起きたのかわかっているくせに、実はわかっていない、という矛盾した感情に混乱した。 「お、おい須藤! アイツはどこに行ったんだ?」  背後から、加納さんが上擦った声を上げていた。あん?つーか、このオヤジ、加納っつうのか。っかしーなぁ。毎日顔合わせてんのに、なんか初めて名前聞いた気がするぜ。俺は違和感を感じながら、加納さんの方を振り返った。加納っつーオヤジの鬼瓦のような顔が、オレを見て引き攣っていた。 「なっ……須藤。お前、須藤……なのか?」 「うーっす。オレは須藤っすけど。うっは! 加納さんビビってやんの」 「その格好は……一体全体、どうしたんだ!?」  そう言われて自分の格好を見た。なぜか、俺の警察官の制服に派手な刺繍が付いている。特攻服にあるような「天下無敵」「只今参上」という刺繍だ。それに警察官の制服なのに上着の裾が異常に長くなり、ズボンもダボダボになっている。中に着ているワイシャツの襟も変形して、警察官にあるまじき襟立てをしてしまっている。ふと気になって、パトカーの窓ガラスに映り込んだ俺の顔を見た。学生時代は柔道に明け暮れた、芋臭く垢抜けない顔が、見るからにワルそうな面構えになっていた。  眼つきや輪郭など、顔の大方は俺だ。だが、眉の形は怒り眉になって剃りこみも入り、彫りも深くなり、眉の辺りに喧嘩で出来た傷跡がついていた。……それを見て俺も、ようやくオレになったことに気づいた。 「そう怖がらなくても大丈夫ですよ、加納さん。ただ俺、族のガキと融合しちまいましてね。さっきまで真面目な新人警官でしたけどぉー、今は族の不良でーっす! ギャハハ!!」  オレは制帽を脱ぎ、茶髪のハードモヒカンになった自分の髪型をうっとりと見つめた。サイコーにイカしてやがる……真面目な警察官だったこの俺が、一瞬でオレみてえな族になっちまったんだ。偉そうにオレらを捕まえようとしやがって。ざまあみやがれ!オレは気分よく加納に近寄ると、捕まっていた後輩の上田を離してやった。 「おっおい須藤! やめんか!」 「へへ、あざっす先輩!」  上田はニヤつきながら、乱れたリーゼントを軽く整えていた。オレは上田に例の小瓶を渡しながら命令した。 「上田。お前はこのオヤジと融合しろ」 「え〜マジっすかぁ! こいつちょー加齢臭キツイし、マジ勘弁して欲しいんすけど」 「どのみちこのまま帰せねえだろうが。あ?」  オレが凄むと、上田はしぶしぶといった様子で瓶の中身を数錠飲み込んだ。ヒっ!と上擦った声を漏らして、加納が後ずさった。 「な、何をする気だ!?」 「おっさん、アンタにはオレの後輩と融合してもらう。……大丈夫ですよ、加納さん。俺も最初は驚きましたけど、結構気持ちいいですし」  俺は怖がる加納さんに微笑んだ。それを見た加納さんの顔面がより蒼白になり、逃げ出そうとしていたので、オレが袖を掴んでパトカーに押し付けた。 「くっ! こんなことをして、後で後悔するぞ! 貴様を査問会に訴えてやるからな!!」 「そう言ってられるのも今のうちですよ。すぐに加納さんも暴走族になるんですから」 「ワシが暴走族だと!? そんな馬鹿な……おい! そいつを近づけるな! やっ、やめろおおぉおおおおっ!!!!」  喚いていた加納に、上田が抱きついた。上田の姿がどろりと溶けるように消える。すると肩で息をしている加納の、白髪交じりの襟足が伸びて金髪になっていった。 「はぁぁあ゛あ゛ん!? ワシぃ、いったいどうなっちまうんだぁっ!!?」  あ゛っあ゛っと、中年の濁った喘ぎ声を微かに漏らしながら、加納は身悶えていた。警察官の制服を着た広い背中に「全国制覇」と書かれた金色の刺繍が現れる。ツンと鼻を突く中年の加齢臭に、上田が付けていた香水の匂いが混じっていく。気持ちよさの余り加納は達してしまったのか、警察官の制服の股間に、じんわりとした雄臭い染みが広がっていった。 「ふひっ、はひぃ……はぁっ……はぁっ」  荒い呼吸を整えながら、加納が振り返った。ヘルメットの下から見えるのは角刈りだった頭ではなく、金髪のリーゼント。鼻っ柱の太い獅子鼻など、オヤジ臭い顔の作りはそのままだが、眉は整えられ、肌はまるで日サロに行った若者のように浅黒く艶やかになっている。剃り残しで青々しく見えた頬も、若者らしいすべすべしたものだ。 「どうです?」  俺が囁くと、加納さんはでれぇっと相貌を崩した。 「ぐひっ。たっ、たまんねーっすよ先輩! 妻一筋だったワシが、こんな、破廉恥な族の小僧に……ぐおお、女を取っ替え引っ替えしとる、など……!」  加納さんは、性に奔放な族の若者としての記憶を「思い出して」鼻息を荒らげていた。 「あ゛ぁ…! イグッ!! イグゥっ!!!」  特攻服のように変形した警官の制服をはだけさせ、パトカーの助手席で加納が何度目かの絶頂に達した。上田だった頃は細身の筋肉質だったのに、よりによって脂ぎったオヤジと融合しちまったもんだから、固太ったむさ苦しい体になっちまってる。体格はオヤジなのに、肌の艶は高校生なもんだから、老け顔の高校生で十分に通用しちまいそうだ。加納は分厚い胸を揉んで喘ぎながら、節くれだったチンポを扱いている。皮はドス黒い中年の皮なのに、亀頭はほんのりピンク色の若者のチンポだった。加納は白くべとついた右手を眺め、スンスンと臭いを嗅いで顔をしかめた。金髪にセットしたリーゼントからはらりと一筋垂れた毛が、やけに色っぽい。 「……全く、けしからん破廉恥っぷりだ。勤続30年の真面目な警察官たるワシを、センズリ中毒にしてしまうとは……っへへ、エラソーな面したオヤジがオレ色に染まってやがる。サイコーっすね!先輩!」  加納の渋面が緩み、げへへとバカそうな笑顔が浮かんだ。 ※ 「ん、あ……」 「ふひっ、うひひ……」  パトカーの運転席でオレは眼を覚ました。もそりと起き上がってルームミラーを見る。眉の太い、元の芋臭い新人警官のオレの顔があった。融合が解けたのだ。助手席では加納が間抜けな面を晒して、ヒクヒクと気持ちよさそうに体を震わせていた。コイツも融合が解けて、元の体に戻っている。つーか前から思ってたけどよお、このオヤジ、加齢臭キツすぎんだよなあ。ちゃんと風呂入ってんのか?パトロールんたびにすげー臭いんすけど。ん?なんかおかしくね?オレって、こんな頭悪そうなキャラだっけ。 「気がついたみたいですね」 「そのようだな」 パトカーの外には、暴走族の二人が特攻服を着てバイクに跨っていた。妙にニヤニヤしている。 「ああん!?あっ!テメエら!またオレになんかしやがったな!」  ブチッとキレたオレは、舌打ちをしてパトカーのドアを乱暴に開けた。思いっきりガンを飛ばし、肩で風を切るようにガニ股でドカドカと近づく。ザー汁で股間がガビガビになったままの警官の制服が、冷えて股間に張り付いて気持ち悪ぃ。さっきまでオレと融合してたモヒカン野郎の方が、ニヤニヤしながら口を開いた。 「君達に使ったのは『融合ドラッグ』って薬物でね。これにはもうひとつ効果があるんだ。融合を仕掛けた側は、元に戻る時に好きな個性を交換できるんだ。とりあえず、不良と警官のアイデンティティをごっそり入れ替えてみたんだけど、どうかな?」 「ああん? つーか何か? オレから何か盗んだっつーことか!?」  オレはムカつきが収まらず、こめかみの血管がピクピク動くのを感じた。あいでんてぃてぃだぁ?コイツ、わざと難しい言葉を使いやがって。さてはオレを馬鹿にしてやがんな?!モヒカン野郎は、やれやれといった様子で肩を下げた。 「今のお巡りさんの頭では、この話は難しかったかな?つまり、頭の良さとか性格とかが、俺と入れ替わってるんですよ」 「んだとぉッ!?」  クソッ! ふざけやがって。俺は全身の血液が煮えちまいそうな怒りで、ギュッと拳を握りしめた。そいつが本当なら、オレは馬鹿な不良高校生の頭にされたってことじゃねえか。そんな時、モヒカン野郎がオレに何か投げてよこした。反射的にそれを受け取る。これは…… 「『融合ドラッグ』だ。そんな馬鹿な不良のオツムで警察官を続けるなんて、可哀想だから分けてやるよ。あ、でも俺らを探して元に戻ろうとしても無駄だからな。同じ相手とは、二度と融合出来ないから」 「そういうことだ。そんな腑抜けた警察官はワシらも見るに耐えん。さっさと他の人間に使って、まっとうな公僕に生まれ変わることだな」  金髪リーゼントの方も、チャラい顔なのに加納そっくりのオヤジ臭い口調で付け加えた。自分のリーゼントを触りながら、渋い面をしている。 「しかし、なんだこのチャラチャラした頭は。さっきまでイカしてたはずなんだが、あまりにも品がなさすぎるな。やはり日本男児たるもの、角刈りか坊主頭に限る」  リーゼント野郎は腕組みをして、うんうんと頷きながら時代遅れのオヤジのような独り言を呟いていた。オレはというと、馬鹿になっちまった頭で必死に今言われたことを考えていた。するとバイクのエンジンがして、モヒカン野郎とリーゼント野郎がそれに跨っているのが見えた。今にも走りだそうとしている。モヒカン野郎が、片腕を上げてあばよとオレに向けて振っていた。 「おっ、おい! テメエら! どこ行くんだ! 戻って来やがれ—ッ!!」  オレの怒鳴り声とバイクのエンジン音が、深夜の湾岸道路にけたたましく響いた。 ※ 「ンッ、ふぁ〜……なんなんスかぁ。須藤先輩」   オレが呆然と不良どもを見送っていると、パトカーの中で寝ていた加納が眼を覚ましたようだった。パチパチと瞬きをし、ごそごそと自分の制服や顔を触り、ルームミラーを覗きこんでいた。 「おっ! おれも元に戻ってんじゃん! つーかおれ、こんなオヤジ臭いニオイしてたのかよ……うげぇ。帰りに香水買ってくかなぁ〜。つーか、角刈りとかクソダセェな。なんでおれ、こんな髪型にしたんだ??」  加納の外見は堅物なオヤジなのに、警察官の制服の臭いを嗅いで、やけに軽そうな口調で駄弁っている。昨日までオレを厳しく指導してたはずのベテラン警官が、軟派な不良警官になっちまっていた。 「おい……加納。お前、自分が何か妙だと思わないのか」 「ん、そっすか? あっ! そういや、やけに気分が若いっつーか……さっき不良になってたせいっすかね。そーいや須藤先輩、いつもとキャラ違くねっすか」 「その須藤先輩ってのはなんだ。お前のが年上だろう」 「んー、そうなんすけどぉ。なーんか須藤先輩の方が、おれより先輩、って気がしちまうんすよねえ」  えへへ、と照れたように加納がオヤジ顔を崩した。どうやら加納と性格や頭が入れ替わったリーゼント野郎は、あまりにも馬鹿すぎて、加納は自分がおかしいことをそこまでマジに考えていないらしい。  こんなんで、オレたちは明日からどうやって警察官をやっていきゃぁいいんだ……加納の野郎はアホ面をぶら下げたまま、自分の固太った胸を揉んでにやにやしていた。  そいつを横目に見ながらオレが頭を抱えていると、何か堅いものを握ったままなのに気づいた。奴らから受け取った、融合ドラッグの小瓶だった。それを見たオレの頬が、にんまりと緩む。そうだ。コイツがあんじゃねえか。元のオレよりよっぽどいい中身を探せばいいだけじゃねえか。オレは路肩に停めていたパトカーを発車させ、法定速度を超えてパトカーのアクセルを踏み込んだ。今度は、助手席では加納が下の制服を膝まで摺りおろして、先走りでヌメる黒ずんだチンポを、にっちゃにっちゃと扱き続けていた。 「あっあっ、やべ。イケそうなのにイケねえ!くぅ〜っ!たまんねえぜ!!」  中年で勃ちの悪くなったチンポを必死に扱きながら、加納はうっとりとした声を漏らしている。その声を聞きつつ、オレはパトカーのラジオをつけた。チャンネルを回し、パトカーに似合わないクラブミュージックを大音量で流しながら、繁華街の方に向かっていく。 「うへへ……待ってろよ。こんな馬鹿な頭、すぐに押し付けてやる」  サイドミラーの中では、馬鹿そうな顔をした警察官が、ニヤニヤと下品な笑顔を浮かべていた。 (終) ──────────  融合モノで一本書こう!と思って書いたはいいのですが、なんとなく、まだどこか直せるのでは…?と推敲したい気持ちが残り続けてたので、未発表になっていました。うーん、なんとなく、まだ何か変えたいんだけど…どこだろう?

Comments

そうです! 一見すると元に戻ったようですが、実は何かを奪われて、違う立場となったような逆転感好きです!

黒竜Leo

ありがとう!融合して元に戻らないのも好きなんだけど、どこか入れ替わったまま元の身体に戻るのも好きなの…!

くろねこ@9605

凄い! 融合した後の二つタイプの入れ替わり、興奮します!

黒竜Leo


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