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【1】 彗翔「やっと見つけた…!ピッツァポテチッ!」 若年層を中心に人気のスナック菓子、ピッツァポテチが天候不良による原材料不足で突然生産休止になってしまった。 そのニュースはすぐさまSNSで拡散され、転売ヤーによる買い占めが各所で発生。ピッツァポテチは店から姿を消した。 しかし、天ヶ瀬 彗翔(あま...
彗翔「宮鷹 雄冴って知ってる?」
蒼惟「…は?突然何?」
次の日の昼休み、彗翔は隣のクラスの藤代 蒼惟(ふじしろ あおい)の元を訪ねていた。
蒼惟「昔有名だったキックボクサーだっけ?無敗の王者とかいう…」
彗翔「そうそう!めっちゃすげー神選手じゃん!?なのにそんな神のことクソって言う奴どう思う!?」
まるで武勇伝を語るかのように目をキラキラする彗翔。その姿に呆れながら蒼惟は言う。
蒼惟「まあクソって言われても仕方なくね?あの宮鷹雄冴だろ?」
彗翔「…え?」
蒼惟「知らねえの?ほんとお前常識ねえな…ほらコレ」
蒼惟はスマホで検索したネット記事を彗翔に見せる。記事には宮鷹 雄冴が怪我でキックボクシングを引退した後、数多くの犯罪に手を染めていることが書かれていた。
彗翔「麻薬…傷害…DV…虐待…!?なんだよこれ…ッ!?」
蒼惟「刑事から民事まで犯罪のオンパレード。そのくせ捕まっても不起訴とかすぐ刑務所から出てくるとか。バックに暴力団かなんかが付いてんのかね」
彗翔「…バックに…もしかして…だからアイツ、あんなとこで…!?」
蒼惟「?あんなとこって?」
彗翔「あ、い、いやなんでもないッ!ナンデモナイヨッ!!」
苦笑いしながら手と首を高速で振り続ける彗翔。怪しさしかない。
蒼惟(コイツ…まーた何か隠し事してんな…?)
蒼惟は前も彗翔が挙動不審な振る舞いをしていたことを思い出す。それは彗翔が突然包帯だらけで登校してきた日のことだった。
蒼惟「彗翔、お前もしかして…」
『何かヤバいことに巻き込まれてんじゃないか』
そう尋ねようとした蒼惟。だが、その疑念は脈略のない話題に吹き飛ばされる。
彗翔「あ、てかさ、プロレスラーってどう戦えば良いの?」
蒼惟「…は?」
ディザイアの凱旋所。応接用のソファーに2人の男が向かい合って座っていた。
1人は運営員の円 萊(まどか らい)。
そして、もう1人はファイターの八剱 擢真(やつるぎ とうま)。その実力と性格、エンターテイナーとしての素質がディザイアの環境に見事にマッチし、デビューからたった数ヶ月で一躍上位ランカーに登り詰めたキックボクサーだ。
八剱「宮鷹 雄冴かァ。また懐かしい名前が出てきたなァ」
円「君が戦うのはその息子、宮鷹 涼冴の方だけどね。どう?良いショーはできそうかい?」
八剱「ハッ、現役の王者様本人ならともかく、クソガキだろ?上位ランカー様だかなんだか知らねェけど、いつも通りテキトーにボコしてヤって終めぇだろ」
涼冴の体重は61kgでライト級。それに対し、八剱は88kgの超ヘビー級。八剱にとっては一瞬で片がつく面白みもない試合なはずだった。だが、八剱は笑いながら言う。
八剱「でもよ、わざわざココに呼び出したってこたァ今回もあんだろ?オーダーが」
円「話が早くて助かるなぁ。はいこれ」
円は八剱にオーダーが書かれたタブレットを渡す。
ディザイアでは時折「オーダー」という追加ミッションが選手に言い渡されることがある。その内容は様々。たとえば「1ラウンドで勝利すること」や「対戦相手に媚薬を飲ませること」といったものがある。
変わらないのはオーダーに成功すれば追加報酬が、失敗すればペナルティが発生すること。
八剱「オイオイ、こんなオーダーいいのかァ?このガキはお前らが金と時間を注ぎ込んで育て上げたサラブレッドだろ?」
円「だから君を選んだんだよ。君なら僕らの意図を理解した上で、オーディエンスが最も盛り上がるショーを用意してくれるだろう?」
八剱「わかってんじゃねぇか。良いぜ。ボーナスまで入るんだから断る理由がねェ」
タブレットを机に無造作に放り投げた八剱はニヤっと笑って言う。
八剱「それに俺も見たかったんだよ。宮鷹雄冴のガキのスカした面が血で染まるのをよ」
週末の夜。彗翔はディザイアのリングに上がっていた。身に付けているのは部活でも使っている赤いファイトショーツとOFG(オープンフィンガーグローブ)だ。
彗翔(すげーなこれ…なんつーかもう、逃げられねぇ…って感じ…)
彗翔の立っているリングはMMAとプロレスの異種格闘という特殊な試合形式に合わせて異様な姿になっていた。ロープはプロレス用に3本となり、それをMMAの金網ケージが四方を囲んでいる。
当然こんなところで戦ったこともない彗翔には少なからずプレッシャーとなる舞台であった。
彗翔(って、何ビビってんだオレ!プロレスラーなんてさっさとぶっ飛ばしてやることあんだろッ!)
彗翔は慌てて気合を入れ直し、ここに来た最大の目的を反芻する。
彗翔(涼冴からディザイアに参加している理由を聞き出す!それがふざけた答えだったら辞めさせる…!)
試合が始まる前に済ませたかったことだが、鍵の掛かった控室に閉じ込められていたため、涼冴に会うどころか外に出ることもできなかったのである。
彗翔(試合後なら宮鷹を探すチャンスがきっとあるはず。こんな試合さっさと勝って終わらせてやる!)
彗翔が決意を新たにしていると、会場にヘビーメタルなミュージックが爆音で鳴り響き出す。
彗翔「な、なんだぁッ!?」
『続きましてぇ!稲叢 剴、入場ッ!』
スポットライトが入場口に集まると緑と黒の稲妻をモチーフにしたプロレスコスチュームを纏った青年、稲叢 剴が大声を上げながら飛び出してきた。
剴「っしゃああああッ!!いくぜいくぜいくぜぇぇぇッ!!!」
そのまま剴は猛ダッシュで走り出し、ヘッドスライディングの要領でリングインする。そして立ち上がったかと思いきやケージを一気に駆け上り、観客に雄叫びを上げてアピールをする。
剴「おっしゃあああッ!!やぁってやるぜえぇぇッ!!!」
ハイテンションなアピールに盛り上がる観客。その様子に彗翔は圧倒されていた。
彗翔(な…なんだコイツ…!?テンション高すぎんだろ…!?爆音の音楽より声でけぇし…!)
アピールを終えた剴はケージから飛び降りると彗翔を指差し大声を上げる。
剴「テメーがスイショーだなッッ!!!テメーはオレがぶっ飛ばすッッッ!!!」
彗翔「なっ…!?オレの名前は『ケイト』だっつーのッ!」
剴「んなのどうでもいいッ!!!ぶっ飛ばすッッッ!!!」
彗翔「どうでもよくねぇわッ!」
2人が言い合いをしている内にケージの入り口は鍵が掛けられーー
カーンッ!
ーーゴングが鳴り響いた。
彗翔(試合は早く終わらせてぇ…だけどコイツ、どうな攻め方してくんだ…?)
彗翔は初めて戦うプロレスラーの動きを警戒するようにゆっくりと前に進む。それに対し剴は堂々とリング中央に進み…
剴「さあッ!!来いやッッ!!!」
彗翔「…は…!?」
手四つの体勢をとったのだ。
彗翔(これってプロレスで最初によくやる力比べ!?オレMMAなんだけど!?何かの罠か…!?それともコイツ…単純にバカなのかッ!?)
彗翔が戸惑って動けずにいると剴は大声で挑発を始める。
剴「オラッ!!どうしたケイトッ!!ビビってんのかよッッ!?」
彗翔「なっ…誰がビビっかよッ!」
バスッ!!
彗翔得意の右フックが剴の顔面に直撃し、強烈な打撃音がリングに響き渡る。
彗翔(力比べごっこなんか付き合ってやるかよ!…って、な…ッ!?)
見上げると剴の表情は痛みに歪むどころか余裕の笑みを浮かべていた。
剴「んだァこのヘナチョコな拳ィ?全ッ然効かねぇなァッ!」
彗翔(嘘だろ…!?綺麗に入ったはずなのに…なんで効いてねぇんだ…ッ!?)
彗翔の必殺の右フックは剴にほとんどダメージを与えていなかったのである。
ケージの圧迫感が彗翔の動きを鈍らせていたことは事実だ。
だがそれ以上に、レスラーである稲叢 剴はディザイアの中でもケタ外れな打たれ強さを持っていたのだ。
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【Prev】 【6】 剴「ロックアップはイヤってんならコイツはどうよッ!!」 剴は体勢を低くすると同時に、彗翔の腹をめがけタックルを仕掛けた! ドンッ!! 彗翔「うぉ…ッ!?」 彗翔はMMAのタックル対策の定石通り足を後ろに下げ、上半身で剴を押しつぶす、バーピーの姿勢で剴を止めようとしたがーー 彗翔(これ...
【おまけ】
彗翔を心配する蒼惟くん
うらき
2022-01-15 15:21:10 +0000 UTCうらき
2022-01-15 15:19:03 +0000 UTCうらき
2022-01-15 15:18:56 +0000 UTC具志川葛巳Kuzumin
2022-01-15 02:05:53 +0000 UTCAnthony
2022-01-15 01:37:59 +0000 UTC