移ろいを知らぬ常夏の気候。 四季の無い違和感もすっかり抜けきったにちかの肌を、 南国の暖かい海風がにちかの身体を優しく撫でる。 全身の皮膚で感じる風の感触も、すっかり馴染みの物となっていた。 「でも・・これだけは慣れないなあ・・」 にちかは大きな溜息と共に、己の大きく膨らんだ腹部を見下ろしそっと撫でた。 そこには毎夜の様に夫と育んできた愛の結晶が、しっかりと宿っていた。 「あーもー・・さすがに三人は多いいって。」 嘆息と共ににちかは情けない声を漏らした。 産後の傷が癒える度、にちかは夫との営みを毎夜繰り返してきた。 娯楽の少ない部族生活。 未来の夢を失くした自分。 求めるモノが目先の快楽となるのは当然の結論だった。 そして避妊という概念の無い世界で何れこうなる事は当然の結果と言えた。 「・・重た・・」 にちかは重みを増した自分の身体をゆすりながら、静かな砂浜に歩みを進めた。 「ニチカ、ダイジョウブカ?ヤスマナクテイイカ?」 共に歩みを進める傍らの夫が、にちかの肩に触れながら心配そうに声を掛けてきた。 「いい。それだと運動にならないから。」 夫の心配をよそに、にちかは夫を冷たくあしらった。 妊娠のたびにいつも味わう肉体変化の試練。 悪阻、精神不安、發熱、等々 それらはにちかの夫への邪険な態度として鈍く滲み出ていた。 とはいえ心の奥底で、にちかはその気遣いに感謝していた。 いつもにちかの腹部が大きくなるにつれ、 夫はにちかの仕事や日常を甲斐甲斐しくサポートしてきていた。 自分の仕事を熟しつつにちかの身体を終始気遣うその姿勢に、 にちかは夫を妻としての愛情を以て受け入れていた。 ただにちかの性格上、その想いが直接夫に齎される事は無かった。 かわりに夫への愛情を証明するかの如く、 歩みを進めるにちかの太腿を伝う愛液がその量を増し始めた。 部族内でも強靭な肉体である夫の巨根を受け入れる日々を繰り返すうち、にちかの秘所はすっかり拡張されてしまっていた。 その秘所はもうしっかりと閉じる事は無くなり、常に夫を迎え入れる事が出来る程に潤いを保ち続けている。 にちかは赤面していた。 先刻夫に触れられた途端、身体が熱くなり雌の反応を示している。 夫の逞しい手のひらから齎される深い愛情と安心感。 最初の頃の拒絶と嫌悪が嘘のように、にちかの身体を満たす。 にちゃり、ぬちゃり 歩みを進めるにちかの太腿が小さく淫靡な音を発し始める。 夫に聞かれぬよう音を抑えようと、にちかはもじもじと身を捩らせた。 そんな様子を見兼ねたのか、夫はにちかを後ろからひょいと抱き上げた。 「うわ!え?・・なに?」 にちかは不意に持ち上げられた自身の身体と、 眼前に迫った夫の厚い胸板に驚きの声を上げた。 「ニチカ、グアイガヨクナイノカ。ヤハリスコシヤスモウ。」 岩のような熱い身体に包まれながら、夫が間近で自身に優しい言葉を掛けてきている。辺りを満たす夫の体臭。 一気に畳掛けられた夫の因子に、にちかは限界を感じていた。 毎夜繰り返されていた夜の営み。 にちかの身体が安定するまで封じられていた肉欲の宴。 夫が欲しい。 身体を満たして欲しい。 癒えきらない失くした夢の代わりに。 「イディ・・」 にちかは夫の首に腕を廻した。 そして夫の名をを口にしつつ、その唇を夫と重ね合わせた。 舌を絡め、貪るように夫を求める。 夫は漸く妻の意図を察したのか、抱え上げた妻を木陰の柔らかな草の上にそっと下した。 そしてゆっくりと愛する妻を労りながら抱き締めた。
囚人六号
2025-11-10 12:10:38 +0000 UTC善野英子
2025-11-08 21:42:52 +0000 UTC