【尿意ゲージ付】カナとユキの事情〜カナの事情〜
Added 2022-04-30 23:32:50 +0000 UTCAM11:00 【カナ 380/740 51%】 きっとこれから先も長く続く私の人生の中で、あれより恥ずかしい出来事はないと思います。 ついさっき、耐えきれずにしてしまったそれの証明がカバンの中で揺れる度、私の頭は熱を持ってしまいます。 それもこれもこの大雪のせいだと思うと、私の名前の由来でもあるそれが憎らしく思えてきます…… 先ほど、カナがごめんねと言ってきました。電車に無理やり引きずり込んだからって……でも、彼女は全然悪くありません。さっきも私のためにいろいろしてくれて……悪いのは全部この雪です。 正直、もう帰って休みたいです。お部屋に帰って、布団を被って、さっきの出来事を忘れてしまいたい…… そう思っても、電車が止まっているうちは叶わぬ夢です。早く動いてほしいですが…… 「まだ止まないね。雪……」 親友のぽつりと呟いた一言が、それがまだ遠いことを明確に突きつけてきます。 大好きな私の親友、カナと一緒に電車に閉じ込められてからもう3時間。電車を止めた原因である吹雪はまだ変わらず……どころか悪化してさえいました。 辺り一面の銀世界……なんてレベルではありません。車体そのものを埋めてしまいそうなほどの豪雪が、本当の雪国ですら稀にしかなさそうなほどの猛吹雪が、雪とは縁遠い私の地元で吹きすさんでいるのです。 もしも私が子どもだったら……いえ、こんな風に閉じ込められてさえいなかったら、この雪も歓迎していたかもしれません。 白くてふわふわしていて、降りすぎさえしなければきれいなものですから。 過ぎたるは猶及ばざるが如し……昔の人の遺した言葉は、正しいものだと痛感させられます。 本当に、降りすぎてさえいなければあんな目には…… 「当分は出られそうにないね。スタミナも切れたしどうしよっか」 「あ、うん……どうしよっか?」 「どしたのユキ、ぼーっとしちゃって」 「まあ、その……」 「……ぱーっと遊んで、忘れた方がいいよ!そういえばこの前さ、スマホでおど森出たよね」 「おどりゃやくぶつの森……だっけ。カナってほんと……」 「ふふん、この際だからユキもおど森に染めてやるー!」 そう言うとカナは私のスマホをひったくって、おど森をインストールしてしまいました。あぁ、ギガが…… おど森というのはカナの好きなゲームシリーズで、ちょっと恐いおじさん達が片栗粉の原料を栽培したり、チャカトヤッパ?とかいうので島を拡張していくスローライフなゲームらしいです。 正直私の好みではないですけど……でも今は、カナのこういうところがありがたいです。 暇を持て余すと、余計なことまで考えてしまうから…… AM12:00 【カナ 450/740 60%】 それからのカナのおしゃべりは、それはもう壮絶なものでした。 テレビで見る芸人さんにも負けないくらい、喉が乾かないか心配になるくらいずっと喋りっぱなしです。その中で私がちゃんと聞けたのはたぶん2割もないでしょうけど…… その内容はというと、ほとんどがおど森の魅力の紹介でした。でもその魅力は、私にとってはさほど魅力的には思えなくて、正直あんまり覚えていません。 だって、恐いおじさん達をどれだけリアルに描いたかを説かれても……私にそんな趣味はないのです。 「〜〜ってわけなんだけど……ちょっとユキ、聞いてる?」 「う、うん、聞いてるよ?」 「聞いてないって顔に書いてるよ。ユキにはわかんないかなあこの人間ドラマの良さが……!ただいかついだけじゃないのがこのゲームの……」 ……当分、カナのおしゃべりは終わりそうにありません…… PM0:45 【カナ 500/740 67%】 もう時刻はお昼を回りました。私はその間、ずっと横で解説を聞きながらおど森をプレイしていました。 ある意味いい暇つぶしにはなったかもしれませんが……私としては、別の何かでこの時間を潰したかったと心から思います…… ずっと喋り続けていたカナは、とうとう疲れたのかカバンから飲み物を取り出して一休みしています。こんな事を思ってはいけないんでしょうけど……ちょっと安心してしまってます。 だって、おど森の事を話すカナは少し恐いんですもん…… 「どうよユキ?おど森は楽しいでしょ?」 「う、うん……でも一気にやったから少し疲れちゃったかな」 「まあそうだよねえ。続きはまた今度やろっか」 「……気が向いたらね」 暗に「もうやらないよ」と言いつつ、ふと気になって外を見てみました。 外を白く染める豪雪が、私たちの解放がまだ遠いことをはっきり告げてきます。もううんざりするほどの時間をここで過ごしているというのに…… スマホのゲームもそろそろ飽きてきましたし、何よりもここには食べ物がありません。お昼どきともなると、そろそろお腹が空いてきてしまいます。 試験に備えて持ってきたチョコレートを齧りながら、いつ終わるとも知れない時間を過ごしていくのです。 ごくごくとパックの紅茶を飲み干す友人と一緒に、とうに飽きたスマホを手にしながら。 PM2:00 【カナ 570/740 77%】 私がその異変に気付いたのは、電車に閉じ込められてからおよそ5時間が経過した頃でした。 普段は喋りすぎるほど喋るカナの口数が、あからさまに減っているのです。 まるで何かに気を取られてでもいるかのように落ち着きなく、もぞもぞと身体を動かして…… そんな様子に私は覚えがありました。忘れもしません。それは、先程まで私自身がしていた動きと同じものでした。 「……ねえ、カナ。正直に言ってね。おトイレ我慢してる?」 「へえっ!?」 私の質問に、素っ頓狂な声で答える親友。その声音が、表情が、全てを物語っていました。 なのでその後に彼女が紡ぐ言葉は、なんの意味も成さないものとなっていました。 「な、なーにを言ってるのかな!?私はだってほら、あー……朝、行ってきたし?」 本当に、カナは嘘が下手です。そういうところが魅力でもあるのですけど…… いくら朝のおトイレに行っていたって、それから5~6時間は経っています。ふたたび催していたっておかしくありません。 まして本来カナが使うはずだった「最終手段」は、私のカバンの中でたぷたぷと揺れているのです…… なんとか力になりたいところですけど、しかしただの女子校生にできることはなくて……無為に時間だけが過ぎていきます。 PM3:00 【カナ 680/740 91%】 私がカナの「事情」を察してから1時間。状況は刻一刻と悪くなっていました。 カナの手がブレザーの裾をぎゅっと掴み、膝をすりすりと擦り合わせるような動きをして……きっともう、かなり辛いのだと思います。 それでもまだおトイレのことを私にすら告げない辺り、カナの男の子っぽい性格に隠れた部分を垣間見れます。 本当は誰よりも女の子らしい子なんだと思います。私なんかよりもずっと気が利いて、慎ましくて…… 男子は全然それを知らないですけど、私はそれを知っています。だからこそ私が、ここでカナの代わりになにかをしなくてはいけないんだと思いました。 「カナ、ちょっとだけここで待っててね」 「……ど、どしたのユキ、そんな真顔で……」 これから私は、とても恥ずかしい事をします。それでも……やらなくちゃいけないんです。私のために体を張ってくれた、大好きな親友のために。 これからする事をカナには見せないために、隣の車両に行って、私は声を張り上げました。 「ごめんなさい、どなたか余った携帯トイレをお持ちではありませんか……!私、もう我慢……できなくて……!」 恥ずかしい、恥ずかしい……!恥ずかしすぎて、顔から火を吹いてしまいそうです……! いくら演技とはいえ、おトイレが我慢できないなんて、子どもでも言わないようなことを電車で……! でも、それでもこうしなくちゃいけません。私が使ってしまったカナの分の携帯トイレ。それを取り戻すには……まだ余裕のある人から譲ってもらう以外にありません。 当然、そう都合よく貰えるなんてことはないでしょうけど……行動しなくては何も起こりませんから。 けれど現実は、そんなに甘くはなくて…… 車両のほぼ全て。カナのいる以外の全車両を巡っても携帯トイレは貰えませんでした。 当然といえば当然のことです。既に使っている人は言うに及ばず、使っていない人でも、見ず知らずの人間に非常手段を渡すはずがないんですから。 ……カナのために何かしたかったのに、これでは…… しかし、例え望まぬ結果だとしても受け入れるしかありません。ひとまず、カナのところへ戻りましょう。 PM3:45 【カナ 760/740 102%】 私が戻るまでの間にも、カナの事情はより切迫したものとなっていました。 それも当然でしょう。私たちが閉じ込められてから数えて6時間。恐らく朝のおトイレからなら7時間以上は経っていますし、その間に飲み物を飲んだりもしていたのですから。 そんな友人に対して何もできないことがもどかしいです……せめて少しでも励ましになればと思い、おど森の話題を振ってはみましたが、やはりどこか上の空です。 何か使える容器はないかと思って探しても、使えそうなものはどこにもありませんでした。 カナがさっき飲んでいた紙パックの紅茶の容器も、かさばるからと潰してしまっていて……何一つとしてカナの助けになるものは見当たりません。万事休すでした。 「ねえ、ユキ……確かミュージカルとか詳しかったよね?その話、してくれないかな」 そんな時、カナの方から動きがありました。一体なにがあったのかと身構える私に彼女が言ったのは、助けを求める言葉ではなくて……今の私にできるたったひとつのことを示す言葉でした。 すなわち、さっきまでカナが私にしてくれていたのと同じこと。せめて気持ちを紛らわすための世間話。 ささやかなことかもしれませんけど、それがどれだけ助けになったかは身を以て知っています。ならば、やらない手はないでしょう。 「うん、いいよ。それじゃあこの前私が見に行った時のお話をするね」 あとは私にどれだけ面白いお話ができるかです。カナと比べて口下手な私だけど、今はそんなことを言っていられません。 二人にとっての正念場を、まさに今迎えようとしていました。 PM4:30 【カナ 860/740 116%】 「……それでね、王子様のキスでお姫様がね……」 「……う、うん……それで……?」 話し始めてから四十分余りが経ちました。未だに電車の動く気配はなく、車内に殺伐とした雰囲気が漂い始めていました。 それはひとえに、おトイレの事情を抱える人が増えてきてしまったせい。ここで震えるカナの他にもたくさんの人が、切迫した事情を抱えているのです。 それというのも朝に配布された携帯トイレは女性と子どもに行きわたらせるのがやっとで、男性の方でこれを貰えたのはご高齢の方にのみであること、それも一人か二人ほどという少なさで、そしてこの電車が密閉空間となってからすでに7時間が経とうとしていることが原因です。 男性の方で、飲み物のボトルなどを持っている方はその……してる方もいたようですが、そうでない方もたくさんいます。そういう人たちは今のカナと同様に追い詰められていたのです。 他の車両からは怒鳴り声も聞こえてきて、少し居心地が悪くなってきていました。 でも何か違和感がありました。なんというか、怒鳴り声は確かに聞こえますが、今までよりもどことなく静かな感じがするのです。 その違和感の正体は、窓の外にありました。 「……カナ、見て!!雪が止んだよ!」 そう。さっきまでびゅうびゅうと吹き付けていた吹雪が止んだのです。これは私たちにとって、大きな希望をもたらしてくれました。 そしてそれから間もなくして、吹雪とは別の音が外から聞こえてきました。それは車内の人が話すのとは別の、凛とした声……私たちを助けに来てくれた救助隊の方たちの声でした。 「もうちょっとで出られるよ、カナ!」 「もう、ちょっと……!」 きっともうすぐ、あとちょっとで出られる。そういう希望が、私たちに力を与えてくれました。 お願いします。どうか早くカナを助けてください……! PM5:00 【カナ 950/740 128%】 雪が止んでから、およそ三十分が経ちました。扉の開かない状態では外の様子がわからず、希望と同時に不安も募っていきます。 もしも私たちの想像以上に雪が積もっていて、ここからまた何時間も待たされることになったら……そんな考えたくもない事態がよぎってしまいます。 もしもそんなことになってしまったら、今の時点でさっきの私と同じくらい辛そうなカナに耐えることができるのでしょうか。膝をもじもじと摺り合わせて、何度もため息を吐いて……その差し迫った事情を隠すこともできなくなっている彼女に、耐えることができるのでしょうか。 そんな私たちの不安に対する、一つの答えが車内のスピーカーからもたらされました。聞きなれた車掌さんの声が、淡々と今の状況を伝えてきます。 その内容は、希望とも絶望ともつかないものでした。 お客様にお知らせいたします。ただいま除雪作業を行っておりますが、雪の量が多いためお時間がかかってしまうことが予想されます。 そのため、車内の衛生状況を鑑みて車両のドア付近の除雪を優先して行い、一時的に開放することと致しました。お客様にはたいへんご迷惑をおかけしております。 といったものでした。やはり悪い予感は的中していて、除雪にはかなりの時間がかかることを突きつけられてしまったのです。 そして車内に蔓延するおトイレ難民のことを「車内の衛生状況」という言葉に言い換えて……そして、その処理をドアを開けるという形で済まそうというのです。 そう、それはつまり「お外でするしかない」ということを示していました。 お外ですらできないさっきまでよりはマシなのかもしれません。ですが……ですが、だからといって受け入れられるでしょうか。 男の人ならまだしも……ここに少なからずいる女の人たちに、そんな屈辱的なことが。 「う、あぅ…………!」 この放送を聞いて、カナも固まっていました。無理もありません。車内にいるたくさんの男の人たちと一緒に、お外でするなんてすぐに決められるはずもありません。 けれど、状況は彼女の覚悟を待ってはくれなくて……ぷしゅうと音を立てて、扉が開かれてしまいました。 すぐさま飛び出していく男の人たちと、あまりそういうのを気にしなさそうなご年配の方たち。やはりというか、若い女性の方は一人も外へは行きませんでした。 そもそもこうならないために携帯トイレを女性に配布していたということなんでしょうけど……本当に、本当にごめんね、カナ……! 「うう、ううぅ~~…………!」 カナの視線は、扉へと注がれていました。きっと本心では外に行きたいんだと思います。ですが……できるでしょうか、この状況で女子校生のカナが外に出ていくということが。 ここで外に行くということは「恥ずかしいなんて言っていられない」ということ。それくらいおトイレに行きたいのだと、車内に残ったすべての人に宣言するようなものです。 そんな事ができるはずありません。ありませんけど……でも、そうしないとどうなるでしょうか。もっと恥ずかしいことになるのではないでしょうか。 やはり言うべきでしょうか。恥を忍んで行くべきだと……カナの気持ちは痛いほどわかったうえで、現実を見据えて冷静な発言をするべきでしょうか。 でも、もしも除雪が思ったより早く終わったら……その時、カナは余計な恥をかいただけになってしまいます。実際、扉付近だけとはいえかなりの早さで除雪はできているわけですし…… ……いえ、それでもやっぱり……私は言うべきなのでしょう。冷静になれるはずもないカナに代わって、私が言わなくちゃ……! 「カナ、行ったほうがいいんじゃない?おトイレに行けるの、きっとまだ先だよ……?」 「うぅ、でも……でもぉ……!」 「私が一緒に行って、壁になってあげるから……ね?このままいても、辛いだけだよ?」 「で、でも、音とか……おじさんたちもいっぱいいるし……!だいじょぶ、がまん、するから……!」 「カナ……」 その気持ちは痛いほどわかります。同じ女の子として、わかりすぎるくらい……ましてカナはこう見えて、すごく恥ずかしがりやなのですから。 だけどこのままいても結果は見えていて……それならもう、無理やりにでも連れていくしかありません。 外にいる救助隊の方に声をかけて、二人で外に出よう。そう思った時でした。 「はー、すっきりしたぁ」 外にいた男の人たちが、用を済ませて戻ってきたのです。考えてみれば男性のおトイレでそんなに時間がかかるはずなんてなくて……開いてからものの数分もかからずに、扉は再び閉ざされてしまったのです。 そんな状態で外に出してくださいなどと言えるはずもなくて……最後のチャンスが去っていくのを、黙って見送ることしかできませんでした。 PM6:00 【カナ 1210/740 163%】 扉が閉まり、最後のチャンスを逃してからどれくらい経ったでしょうか。 未だに電車の動く気配はなく、そしてカナの事情はより切迫……というより、限界に近いものとなっていました。 おそらくあの時の私よりも張り詰めた尿意を抱え、あの時の私より絶望的な状況に立たされているのです。 何ら緊急回避の手段を持たぬまま、いつまで続くかもわからない密閉空間の中、とんとんと足踏みを繰り返してしまうほどの水圧に晒されているのです。 きっと本当は両手を使って押さえたいのだと思います。先ほどからおなかをさするようにあてがわれる手が、さらにその下へ向かおうとするのを必死で抑える素振りを何度も見せているのですから。 「そういえばカナ、学校の前に新しくできたケーキ屋さんにこの前行ってきたんだけどね……」 「へ、へえ……そ、そう、なんだ……」 そんな彼女に何ができるのか私にもわからなくて、気持ちを紛らわすための雑談を振ってはみますがやはりまともな会話などできようはずもなくて……ここまで来ると、逆に迷惑なのかもしれません。 当事者であるカナはもちろん、私もこの状況の中でどうしていいかわかりません……とにかく早く動いてほしい。カナを解放してあげてほしい……そう祈ることしかできませんでした。 PM6:15 【カナ 1280/740 172%】 「うあぁっ……!!?」 突然カナがうめき声を上げ、両足を交差させたまま固まってしまいました。 ぶるぶると体中が震えるほどの力を込めて、門をこじ開けようとする激流と闘っているのです。 私もしばらく前に味わったあの感覚……断続的に襲い来る、尿意の高波が今まさに彼女を襲っていました。 「ゆ、ゆき、おねが……!かくし、てぇ……!」 そんな中で親友の発した「隠して」という言葉。その意味がなんなのか、私には一瞬で理解ができました。 壁際にいるカナの前に覆いかぶさるようにして立ち、周りの人から見えないように私の体で壁を作って…… そしてその壁の内側で、カナは思い切りスカートの上からお股を押さえつけました。まるで子どもがそうするように、満身の力を込めて。 もうそうしていないと耐えられないという彼女の無言の訴えに、私は冷や汗が止まりませんでした。未だに出口の見えないこの拘束の中、もう彼女に残された時間は少ないのだと突きつけられたのです。 もしかすると……と、最悪の事態が脳裏をよぎってしまいます。どうかそんなことにならないよう、祈ることしかできない自分を呪います…… PM6:30 【カナ 1210/740 163%】 お客様にお知らせいたします。除雪の進行状況から、もう間もなく除雪が完了する見通しとなっております。除雪が完了しだい安全確認を行い、その後の発車となります。お客様には大変ご迷惑をおかけし、申し訳ございません 突然鳴り響いた車内放送がもたらした情報は、私たちに大きな力を与えてくれました。もう間もなくでこの地獄が終わる。そう思うだけで心に希望がよみがえってきます。 「出られるよ、カナ!もうちょっとだからね!」 「も、もう、ちょっと……!」 けれど、カナの状況はもう一刻を争うもので……果たして無事に終わるのか不安は尽きません。 先ほど両手をお股に食い込ませてから、その手が離れることはありませんでした。もう「波」というものではなく、例えるならば高潮のような、ずっと高い水準のまま降りてこられないのでしょう。 一瞬でも気を抜けば破滅。そんな状況のまま、まだカナは頑張り続けないといけないのです。 PM6:45 【カナ 1460/740 197%】 「ひぁっ……!?!?」 電車が動かぬまましばらく時間が経ち……突然、うめき声とともにカナがぎちぎちと音がするほどお股を強く強く押し込みました。 「や、だめ!だ、め……っ!」 ぶじゅうっ…… その時かすかに聞こえた音は、何かこう、濡れた布を絞った時に出るような感じのもの……お水を絞り出すときの音と同じものでした。それが示すものとは……その答えは、カナの足元にありました。 彼女の太股を伝う一筋の痕跡。そして床にほんのわずかではありますが零れた水滴が、その音の正体を告げていました。 それはカナの我慢の力が、もう尽きようとしていることを明確に表していました。 PM6:50 【カナ 1480/740 200%】 「いやっ……!やだぁ……!」 それからは、一分一分がまるで何十分もあるかのように感じました。先ほどの、最初のおちびりから5分の間もカナは一瞬の休みすらなく、両手と両足に渾身の力を込めていました。そうしていてなお、耐えきれなかった雫が彼女の足に何本もの道を作っていきます。 彼女がいつ力尽きてしまうのか、最後まで耐えきれるのか、不安で堪りません。私が不安がっても仕方がないのですけど、それでも私はカナにおもらしという最悪の事態を迎えてほしくないんです。 どうか早くと、もう何度目になるかわからない渾身の祈りを天に捧げます。 PM6:55 【カナ 1530/740 206%】 たいへんお待たせいたしました。安全確認が終了しましたので、ただいまから発射いたします。ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。 またも唐突に車内放送が鳴り響きます。それは長い長い拘束から解き放たれることを示す希望でした。 しかしそれは、同時に破滅の呼び水でもありました。 「電車が動くよカナ!もうちょっとだけ頑張って!」 「もうちょっと……っお、おしっ……こ……できるぅ……!」 びじゅうぅっ!! 「もうすぐ」という希望が、一分の気のゆるみも許されないカナの心に綻びを作ってしまったのです。 もう限界を超えている尿意がそれを見逃してくれるはずなどなく、カナの闘いはここに至ってさらに高いステージへと上がってしまったのです。 「は、ああぁ……♡」 これまで長く長く我慢し続けてきたカナにとって、ほんのわずかの放出でも恐ろしく気持ちがいいのでしょう。私もあの時、ようやく出すことができて気持ちがよかったのを覚えています。今のカナはおそらく、ほんのちょっとであってもそのくらい気持ちいいのだと思います。 けれど今、その誘惑に屈してはダメです。そんなことをすれば、一生消えない傷を背負うことになってしまいます。 「だめだよカナ!!まだ頑張って!」 どれだけ彼女を頑張らせるのか、自分でもひどいことを言っているとわかっていながら、それでもこう言うことしかできませんでした。 がたんごとんと、10時間ぶりに動き始めた電車の中で……私たちの最後の闘いが幕を開けました。 PM7:00 【カナ 1580/740 213%】 「あっ、あっ……ああぁっ……!!」 ぶじゅうっ!びちゃちゃちゃ…… もう何度目になるでしょうか。揺れる電車の中で、カナの抑えたお股の奥からお水の音が聞こえてきます。 それに次いで、混乱を極めた友人の悲鳴が…… 「ど、どし、どうしよ……?ゆき、たすけ、たすけて、でちゃう……おしっこ、おしっこ、でちゃうよお……!」 「大丈夫だよカナ。すぐ着くからね……!」 髪を振り乱して、何度も何度も下品な単語を叫ぶ友人を必死になだめて、祈るように電車の到着を待ちます。 電車が着くまで、駅の区間を考えるとあと4~5分程度でしょう。決して長い時間ではありませんが……それでもこれまで10時間近くもおトイレに行っていないカナにとっては、恐ろしく遠いものでした。 「あああああっ!!?」 ぶしょおおっ!びじゅじゅじゅっ、じゅうううっ! カナ 1520/740 205% これまでで1番多く、我慢しきれなかったカナの雫がこぼれ落ちます。 それはもうおちびりなんていうレベルではなくて、立派な水流となって床を叩きつけました。 カナの足元にはもう、水滴を通り越して水溜まりすら出来上がっていました。 それでも、こんなにたくさん出しても、カナのお腹にはまだまだたくさんのおしっこが詰まっているんです。 そしてそれが臨界を超えるまで、もう幾ばくもありません。 そんな極限の尿意に晒されて、とうとう彼女の恥じらいが……理性が、絶大な尿意の前に崩れ落ちてしまったのです。 「お願いィィいいいっ!!あけてっ、あけ、あけてよおお!!おしっこでちゃう、もれちゃうよおおぉぉ!おねがいあけてえ!おしっこさせてええぇぇ!!」 だんっだんっと扉を拳で殴りつけ、大声を張り上げるカナ……もう私には、見ていられませんでした。 おもらしだけはしたくなくて、何がなんでもおトイレに行きたくて、お腹の中にあるおしっこを全部出したくて、すべてが混ざりあってぐちゃぐちゃになって、とうとう私の親友は壊れてしまったんです。 周りの人も後ずさりしていく中、ふいに……扉が開いたのです。それは念願の駅に着いたことを……カナがおトイレまで我慢できたことを示していました。 「ああっ……!といれ、といれえぇっ!!」 扉が開くなり、弾かれたようにカナは雪が積もるホームへと駆け出していきました。点々と雫の痕を残して…… けれど、こんなになるまで頑張った友人に神様が与えたのは、あまりに残酷な仕打ちでした。 「う……そ……」 私たちの地元は、お世辞にも……というより、普通に田舎です。だから隣駅のホームも、全部が屋根に覆われているわけではありません。 そしてこの駅のおトイレは、屋根の外にあったのです。 頭より高く振り積もった雪が、おトイレの入口を塞いでしまっていました。それはここまで耐えに耐えたカナの心をへし折る、最後の絶望でした。 「あ、あぁ…………」 縋るものをなくし、その場に立ち尽くすカナ。 電車が動けば、駅に着けばおトイレに行ける。それだけを信じて、こんなになるまで頑張ったのに、これはあまりにも酷すぎます……! このままおもらしなんて、絶対にさせません! 「ごめんね、カナ!」 「あぇ……?」 呆然とするカナのスカートを捲り、黄色く染った下着を……ぐいっと、横へと引っ張ります。 ぐしょぐしょに濡れたヘアが手に絡みつき、限界を超えて頑張っている出口のひくつく感触が伝わってきます。 たとえ普通の方法でなくても、たとえ普通のおトイレでなくても、それでもこれはもう「おもらし」なんかじゃありません。下着を確かに脱いで、おしっこの体勢になっています。だからもう…… 「……もういいよ。カナ、おしっこ……出していいよ」 「あ……お、しっこ……していい……の……?」 「うん。ここがカナの……カナだけのおトイレだよ」 「あ、あぁ……!」 純白の雪が積もったホーム。この臨時の「おトイレ」に向けて……カナのおしっこが始まりました。 【カナ 1600/740 216%】 ぶっじょおおおおおおおおおぉぉぉおおおおおお!!!!!!!びしゅういいいいいぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!! 「あっ……♡はあぁ~~……♡♡♡」 それは、おおよそ人の体から発せられているとは思えないほどの壮絶な勢いでした。 その勢いとして最も近いものは、お庭に水を撒くときに使うホース。蛇口を全開にして、出口を握って絞った時のあの猛烈な水圧と勢い。そんな代物が、女の子の「おしっこ」として放出されているのです。 カナの体内で何時間にもわたって濃縮されたそれは湯気すら伴い、純白の雪を溶かしてカナの放水の跡を残していきます。くっきりと表されたその飛距離はおそらく、2メートルにも及ぶでしょう。 そのあまりに太い放物線は、その一部が股布をずらす私の手にも当たってしまうほどでした。その一部ですら、おそらく通常の放尿くらいはあるでしょう。そのくらい極太の尿線を描いていました。 じょおおおおおおおおぉぉおおおおおおーーーーー!!!!びぢぢぢぢっ、ばちゃばちゃばちゃっっ!!! 「あ~~~~……♡♡」 後ろから抱き着く態勢の私に、カナはすっかり寄り掛かっていました。恍惚とした声を上げて、ようやくできたおしっこの快感に浸っているんです。 びくびくと時折身体を震えさせるのは寒さのせいなのか、放尿による生理現象なのか、それとも…… これだけの勢いと量でありながら、カナの放尿はまだまだ衰える様子はありません。それだけたくさんの辛い我慢をしてきたのです。 きっとこの快感は、そのご褒美なのでしょう。 じゅいいいいいぃぃーーーーじゅいっ、じゅおおおおおおおおおーーーーー カナはそれからもずっと……身体を震わせ、ため息をつきながらおしっこをし続けました。たっぷりたっぷり、1分もの間その勢いを維持し続けて。 私があの時にしてしまった携帯トイレ2つ分のおしっこ……1.4リットルすら及びもつかないほどたくさんの量を出して、ぶるりと大きく身震いをして、カナはようやくすべてから解放されました。 「はあぁ……はぁっ……」 ぐったりと身体を預けるカナを、私はそのまま支え続けていました。 こうして私たちの長い長い一日は終わりを迎えました。この時のことを私も、そしてカナも一生忘れることはないと思います。