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地下アイドルの密かな頑張りIF〜事故渋滞編〜

「ちょっとコンビニ寄りますよ!」 とても家までは保ちそうもない。そう思ったマネージャーが考えたのは、コンビニに立ち寄って携帯トイレを調達するという案だ。 万一コンビニにファンがいたりした場合、少女がトイレを借りてしまうと今までの頑張りが水の泡となってしまう可能性がある。 そこで役立つのが携帯トイレだ。携帯トイレをマネージャーが調達し、車内で済ませれば他人に少女のピンチを悟られる心配はなくなる。 マネージャーの案は、現状を打破する妙案と言えた。 しかし、少女の身に降りかかる不幸がそれを許してくれなかった。 「マネージャーさんっ……まだ、ですか……!?」 「すみません……さっきから全然道が動かなくて……渋滞です……」 「そ、そんな……!」 コンビニに行くまでのわずか数分の道。決して長くはない道のりであり、普段は全く混み合うことのない道が、今日に限って渋滞を起こしていたのだ。 しかもさらに不運だったのは、渋滞を回避できそうな脇道が見当たらないことである。 渋滞を避けてほかの場所で済まそうにも、それさえ不可能な状態に追い込まれてしまった。いまの少女にできることは、渋滞が終わるまで耐えきることだけだ。 「あ、あの、わたしその、もう……!」 「わかってます。でもこればかりは……」 これまで15時間の我慢を経てきた少女に、更なる試練が与えられる。 ぱんぱんに膨れ上がったお腹を抱えて、少女はいつ終わるとも知れない渋滞との戦いに巻き込まれていく。 _________ そして、渋滞突入から20分が過ぎた。 いくら渋滞とはいえ、ありえないほどに全く動きがみられない。 ただの交通渋滞というよりは、何らかの理由で交通封鎖されている可能性が考えられる。 そうなると最悪だ。その場合、交通封鎖が解けるまで一切身動きが取れなくなってしまう。 そして少女の差し迫った事情は、それを待ってはいられない。 じゅぅっ…… 「あっ……!」 とうとう持ち堪えられず、溢れてしまった一滴の先走り。 認めたくなくとも、確かに下着に染みた水滴の感触が、少女に一刻も早い排泄をせがむ。 しかし渋滞が動く気配はなく、当分その解消は見込めない。 「マ、マネージャーさん……」 そして少女は、勇気を振り絞ってあることをマネージャーに頼んだ。それはとても恥ずかしく、しかしそれしか対処のしようがないというものだった。 「どうかしました?」 「……っ!その……!い、いれもの……もらえますか……?なんでもいいですから……っ」 「い、容れ物……?あっ」 渋滞の車内で、限界の尿意を抱えた少女が容器を欲しがる。その意味するところを察したマネージャーは、何も言わずに自分の水筒を差し出した。 その中身は既に空であり、容れ物としては問題なく使えるだろう。 「……どうぞ、これを使ってください。何も言わないで、何も気にしなくていいですから」 「……っ、ごめんなさい……っ!」 水筒を渡した後、後部座席から衣擦れの音が聞こえてくる。その音が、これから起こることをわかりやすく示唆していた。 そこでマネージャーは、少しでも少女が恥ずかしくなくて済むように、大きな音で音楽を流し始めた。 マネージャーの気遣いによる音消しの中で、少女は水筒に向けて緊急放水を開始する。 しゅうううぅーーー…………じゅぼぼぼぼぼ…… 「ふぁ……!はぁぁ……!」 大音量の音楽を響かせる車内で、少女のくぐもった水音が音楽に混じって聞こえてくる。 音が出てしまわないように、ちゃんと止められるように、ギリギリまで勢いを押しとどめた少女の放水。 全開には遠く及ばなくとも、それでも我慢し続けてきたものを出せる快感は確かに少女を満たしていた。 だが、そんな幸せの時間はすぐ終わりを迎えてしまう。 マネージャーの水筒は、重くなるのを避けるためにとても小さいものを使用していた。その内容量は、300㎖程度しかない。 そんなもので少女の全てを受け入れられる訳はなく、6分の1も出し切らないうちに水筒がいっぱいになってしまった。 (と、止めなくちゃ……!) 緩めた水門に再び力を込めて、緊急放水を中断する。 我慢に疲れた出口がぴくぴくと痙攣するのを指で抑えつけ、なんとか少女は暴発を押しとどめた。 少女の熱湯で満たされた水筒に蓋をして、少女は真っ赤になって俯いてしまった。 少し冷静になったことで、少女はとてつもない恥ずかしさに苛まれていた。 そんな少女にマネージャーも声をかけることができず、沈黙のまま2人は渋滞の解消を待つ。 _________ 「ま、まだ動かないんですか……!も、もう……でちゃいます……!」 それから1時間が経過し、水筒の効果も無くなりつつあった。 1度緩めたのを無理に締めたことで疲れた少女の水門は、もう力尽きる寸前だった。 マネージャーの車を汚さないよう、一滴も零すまいとする少女の強い意思も、いつまで保つかわからない。 「ん……?車が動いた……!少しずつですが、車が動いてます!」 ここでようやく、車が動き始めた。 2人が渋滞に巻き込まれてから1時間半。ようやく目的地のコンビニへ向かうことができる。 車が動きさえすれば、2分とかからないような場所だ。 これで大丈夫だと、安心を覚えながら2人はコンビニにたどり着いた。 しかし、そこに待っていたのは絶望の光景だった。 「うそ…………」 そこにあったのは、車が突っ込んでぐちゃぐちゃになったコンビニ。先ほどまでの交通封鎖は、このコンビニで起きた事故のせいだったのだ。 ようやく我慢から解放されると喜んだ分、深い絶望が少女を襲う。 「た、たすけて……!たすけてまねーじゃーさん……!わたし、わたしもう、がまんできな……!おしっこ、でちゃうぅ……!!」 「う……!」 錯乱した少女に縋られたマネージャーは、慌てて次の案を考え出した。 「あと10分……いえ、5分だけ頑張ってください!」 それは制限速度ギリギリで車を飛ばし、近くにある自然公園に行くというものだった。 少女とマネージャーの、最後の戦いが始まった。 _________ 「んんっ……ぐぎうぅ……!ふーっ、ふーっ……!」 「頑張ってください!もうちょっとですから!」 荒く浅い息を吐きながら耐える少女を励ましつつ、マネージャーは制限速度ギリギリで自然公園に車を飛ばしていた。 頑張ればトイレに行ける、と信じる少女の思いと裏腹に、マネージャーの考えはトイレに行くことを想定していないものだった。 そもそも自然公園に着いても、トイレまではどう考えても耐えられないだろうし、ファンがいる可能性もある。 そこで彼が考えたのは、茂みの近くに停車し、そこで済ませるというものだった。 つまり、少女に外で放尿させようというのだ。 それは少しでも早く少女を解放させてあげたいという気持ちの現れであるし、同時に現在考えられる中で最良の選択でもあった。 問題はそこまで少女が耐えられるかだ。 ぶじゅじゅうぅ!びしゅううぅっ……! 「い……ぎ、ぐうぅ……!……っ、ま、まだ……ですか……!も……ぉしっこ、でるぅ……!」 「も、もうちょっとです!もうちょっと……!」 既に暴走を始めつつある少女の尿意。これまで必死に耐え続けてきた先走りが噴き出し、車のシートを汚していく。 もう決壊まで一刻の猶予もない状態の少女を乗せた車が到着するまで、残るは500メートル。 全速で駐車場へ突っ込み、頭から車を停める。一刻も早く少女を解放するためのやむを得ない手段。 車を停めてすぐ、マネージャーは後部座席の扉を開いた。少女をすぐ送り出せるように。 「あ……あ……」 だが、車が着いても少女は動かなかった。焦点の合わない瞳を虚空に向けて、呆然と口を開いたまま、1歩もそこを動かない。 その開いた口から紡がれる声は、少女の力が尽きようとしていることを物語っていた。 そして…… 「……あ」 最後に絞り出すような呻き声を出して、少女は力尽きた。 ぶじゅばっっ!!ぶじゅううぅっ!びじゅじゅじゅじゅうぅっ! 抑えた手にあたり、弾けた水流が天井にまで届くほどの凄まじい圧力。とてつもない勢いの「おもらし」が始まった。 ぶじゅうじゅじゅばばばあああぁーーー!! びしゅじゅじゅぶじゅういいいぃぃいいーーー!! 「ぁ、ぃや……いや……」 ふるふると力無く首を振りながら、少女は17時間も溜め込んだおしっこを車内に撒き散らしていく。 瞬く間に座席をぐしょぐしょにした水流は床のマットを浸水し、巨大な水溜まりを形成していく。 シートからいくつもの小さな滝が床に向かって垂れ落ち、その支配領域を広げていく。 下着を貫通するほどの水流は、床に溜まった水溜まりに当たってじょぼじょぼと音を立て、放出音と合わせてハーモニーを奏でる。 ぶじゅぶじゅ、じょぼじょぼ、盛大なおもらしのハーモニー。車内に響く少女の単独ライブは、膀胱が空になるまで続いた。 _________ 「……っく、ひっく……!ごめんなさい……!ごへ゛んなさい……!」 「だ、大丈夫ですよ。気にしてませんから」 少女のおもらしから10分後。2人は帰路についていた。 無惨なほど浸水してしまったマネージャーの車。運転席まで黄色い水溜まりに侵食されてしまった車は、とても今後使えるような代物ではなくなってしまった。 今日のところはこれに乗るしかないとはいえ、買い替えは避けられない。下取りも恐らく不可能だろう。 さらに水筒も、ほかほかと湯気を立てる少女の熱湯がなみなみと注がれ、濃い臭いを放っている。やはりこれも買い替えは避けられないし、少女としてもこれを使われたくはない。 今日一日でマネージャーが受けた被害の総額は、2桁万では済まないだろう。 「でも、わた゛し……!めいわくばっかり……!」 「……確かに迷惑がかかったかもしれません。けど、それ以上に僕は感謝してますよ。マネージャーである僕の収入は、あなたの知名度に依存してるんですから僕が今までご飯を食べれているのは、あなたのおかげなんです」 「だからもし、あなたが申し訳なく思ってくれるのなら……一流のアイドルになってください。そうしたら僕の稼ぎも上がって、新しい車だって買うことができるんですから」 「だから、もう泣かないで。アイドルには、泣き顔なんて似合いませんよ」 「…………ふっ、ふふっ……!なんですか、そのなぐさめ方……!あはは……!」 「え、ええ……!がんばって考えたんですけど……下手でした?」 「ええ、下手っぴです。でも……」 「ありがとうございます。マネージャーさん……」 傷ついた少女の心を、マネージャーの不器用な優しさが癒す。泣いていた少女を、その不器用な慰めで笑わせることで。 こうして少女は、驚くほどすっきりとした顔で家へと帰っていった。そしてマネージャーは…… 「さて、掃除が大変だな……これだけ水浸しだもんなあ……」 「……これだけの量が全部、なあ……すごいな……」 様々な感情を抱きながら、車の掃除をするのであった。


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