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幼なじみが俺で、俺が俺の妹で(36)『結ばれる二人・その二』

「ただいま……あ、今はお邪魔しますだね」  笑いながら、瑠璃は玄関に上がる。 「ちょっと、シャワー浴びるね。下着とかは、パパのものを借りれば大丈夫かな」  まさに勝手知ったるという調子で、風呂やら『パパ』の部屋やらをまわって必要なものを揃え、風呂に入る。  それを見ていて、俺も不安になった。春ではあるけれど、汗臭くないかな?  瑠璃の後に、俺もシャワーを浴びた。  裸になって、改めて自分の今の身体を見下ろし、鏡も見つめる。  瑠璃の身体はスタイルがよくて、胸もお尻も大きいし、腰は細くて太ももはむっちりしている。肌は白くてきめ細かい。長い黒髪はまっすぐに伸びて艶やかだ。  丸くて大きな瞳が鏡の中からこちらを見つめていて、顔立ちとのバランスも良く、二年前よりさらにきれいで可愛くなったように、俺には思える。『俺』の二年前までの恋の記憶を受け継いだ瑠璃もそんな風に思うんだろうなと思った。  もうすぐ、瑠璃と。  身体的には、『俺』と。  そう考えてしまえば、気持ちが萎えてもおかしくないはず。なのに俺の心は、そんな風には動かない。  だって、『瑠璃』の記憶が『俺』への恋心を掻き立てて駆り立てるから。  でも……と、頭の片隅で思う。  例え互いの恋愛感情を理解し合ったとしても、入れ替わった直後だったらこんな流れにはならなかったと思う。  こうなっているのは、俺たちが異性の身体ですでに二年を過ごしたから。  異性の性欲を、もう自分の性欲として受け止めているからだった。  風呂から出てきたら、廊下に瑠璃が出てきた。  玄関に向かう。鍵を掛けてあったけれど、わざわざチェーンまでする。そして自分の履いてきた靴を手に取った。 「え……どうしたの?」 「ないとは思うけど、パパやママがいきなり来ても大丈夫なように」  そして広い家の中をずんずん進み、裏庭に通じる仏間の縁側を開けるとそこに靴を置いて、鍵を掛け直した。 「もしそうなったら、みっくんがチェーンを外している間にわたしはここから脱出するから」 「な、なるほど……」  裏庭は神社の林につながっている。境界に塀はあるけれど昔のものだし地震などで崩れた場所もあって、抜け出すのは簡単だ。  瑠璃はあれこれよく考えているなと思いつつも、一昨年の夏に交わした会話を思い出してしまう。俺が『ママ』――当時は『光莉』だったから『近所のおばさん』だったけど――と会った話をした時、会いたいけれど今会うのはつらい、とせつなそうに語っていた瑠璃なのに。 「でも、おかしなもんだな。今二人が来たら、瑠璃にとっては感動の再会どころか急いで逃げることになるなんて」 「まあ、しょうがないよ。今のわたしは一人娘を傷物にしようとする近所の男子に過ぎないんだし」  平然と語る姿に無理をしている様子はなくて、あれから一年八ヶ月の経験は、瑠璃をより『光彦』の立場に近づけているのかもしれないと思った。  それについては、しかたないしお互い様なんだろうとは思ったけど。 「そういう言い方はしないで」  一つだけ引っかかったところはあった。 「俺、傷物になんてならないよ」 「あ……」 「瑠璃に俺の初めてをあげる。俺にも瑠璃の初めてをちょうだい」 *  瑠璃の部屋に入る。大きくて古い屋敷にふさわしく、寝具はベッドではなくて布団。その布団はもう瑠璃が敷いていた。  二人とも無言で、軽く着ていたものを脱ぎ捨てていく。  裸になって、布団に上がった。  瑠璃の股間にちらりと目をやると、すごい角度でそそり立っている。  あれがもうすぐ俺の中に……と思うと、心の準備はできていても少しばかり怯みそうになった。  ……うん? 「あの、瑠璃?」 「ど、どうしたの、みっくん」  瑠璃が、ことを進めようとしているのはわかる。いきなりはよくないから、俺の股間を潤すために色々してくれていることも。  でも、その手つきがどうにもぎこちなかった。キスされたり胸を揉まれたり、あれこれされるのだけれども、その程度じゃ前戯にはならないんじゃないかと言いたくなってしまうレベル。  だから俺は一つの疑いを抱いてしまう。  ――瑠璃、女のオナニーしたことある?  そう訊こうとして、すんでのところで思いとどまった。  もしも俺の予想通りに未経験だとしたら、こんな場面で確認するのは瑠璃にとってはトラウマものな気がする。本当は女なのに女の感覚を知らないのかと言われるようなものだし。それに俺が光莉の身体で経験済みなことも言う必要が出てきそうだし、それはそれで気まずくなりかねない。  そして経験済みだとしたら、それもまた瑠璃を咎めるような方向になりがちだ。二年間男でいた間に女の感覚を忘れてしまったのかと。  どっちに転んでも、ろくなことにならない。 「みっくん?」  当然瑠璃は訊いてくる。  何を言おうか悩み、とっさに思いついたことを口にした。 「瑠璃、俺が瑠璃のことを好きな記憶は思い出せてるけど……俺のおちんちんについての記憶はどうなった?」  俺自身、瑠璃の記憶を何から何まで思い出せるわけじゃない。もしそうなら、未経験かどうかも訊くまでもなくわかっていた。瑠璃は二年前から性的なことは知られたくないと思っていて、今回の件でもそのプロテクトは外れてないんだろう。  訊いて答えを待つ一瞬の間に、ここからの流れを考える。  そして。 「さっぱりなの」 「だと思った」  予想通りの答えを得た俺は、仰向けの状態から起き上がる。  そして俺に覆いかぶさる姿勢から膝立ちになった瑠璃の股間に、顔を近づける。 「俺、入れ替わる前に瑠璃にやって欲しかったこと、瑠璃にしてあげるね」  言いながら。  俺は瑠璃の勃起したおちんちんを、口ですっぽりくわえ込んだ。


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