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Jin(鬼頭ジン)
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【けもケット16】合同誌寄稿のお知らせ(サンプルあり)

 いつもお世話になっております、鬼頭ジンです。

 今回は寄稿に関するお知らせとなります。


 9月21日(日)に開催されるけもケット16にて、辰巳ルペさんのサークル『ソライロハネペン』(K-34)で頒布される合同誌『ぼくらのオリジン』に18Pの小説を寄稿しております。

 ぼくらのオリジンは、“ポケモンになりたい”をテーマに、人間がさまざまなポケモンにTFする作品達が収録されたアンソロジーで、参加クリエイターは総勢20名・ページ数は260P超の超豪華仕様となっております!

 気になった方は是非お買い求めを考えていただければと思います。

 今回寄稿したアンソロジーは性的描写のない全年齢作品となっております。自分が寄稿した小説にも性的シーンは一切含まれていないため、いつもとはまた違った読み口になっているのではないでしょうか。


 今回自分が寄稿した作品は、「ReLive」というタイトルの小説です。

 ポケモンが大好きな病弱な少年「ショウ」が、自らの肉体と引き換えに自由と命を手に入れるまでのお話となります。

 記事後半に物語前半のサンプルを掲載しておりますので、それも合わせて購入の参考にしていただければなと思っています。


 各クリエイター様方の情熱が詰まった一冊となっておりますので、気になった方は是非よろしくお願いいたします。

 企画主の辰巳ルペさん。参加クリエイター様

 そしていつも応援してくださっている読者の皆様。

 いつも本当にありがとうございます。

 


 2025年9月20日(土) 鬼頭ジン





寄稿作品サンプル


この作品には作者の独自設定・世界観が含まれています。従来のポケットモンスターの世界とは異なる事をご了承ください。

  ReLIVE           鬼頭ジン


 『ポケットモンスター』。縮めて『ポケモン』と呼ばれるゲームがある。

 それは某国で発売されたゲームであったが、たちまち子供達ならず大人の間でも人気となり、いつしかそれは全国に広まっていった。

 今やその名を知らぬ者はいない伝説のゲームとして語り継がれるようになった『ポケモン』。

 もうなん百年前の話になるが、あの頃の情熱を語る老人が存在していたのも記憶に新しい。


「お母さん、これが『ポケモン』?」

 一人の子供が弁当箱のようにも見える四角形の機械を持ちながら言った。かつて液晶と呼ばれた旧世代のディスプレイに白黒の粒のような絵が描画されている。空間に画像・映像が投影される現代においてこのようなオーパーツ的なものは子供ならず大人でも珍しがる者が少なくない。病弱で外に出るのが珍しいショウにとっては魔法の機械に思えていたことだろう。

「ポケモンって面白いなぁ……」

 そのゲームは様々な地方を巡り図鑑を完成させたりポケモンを戦わせながらチャンピオンを目指したりと様々な目的があるが、ショウはポケモンを捕まえる事が特に好きだった。現れる数百種類ものポケモンは、そのどれもがバリエーションに富みユニークだ。こうしてショウはたちまちポケモンの魔力に取り憑かれていく。

「僕も、色んなところに行って思い切り走ってみたいな」

 病院のベッドの上でショウはそう呟いた。ショウは生まれつき体が弱く、入退院を繰り返している。学校はおろか、外で遊ぶ事すらも彼にとっては難しい。ただひたすらに内なる孤独を両親の愛情や大好きな本で紛らわす日々が続いている。

「このポケモン、色がついてる!」

 白のリノリウムに囲まれた人生を送っていたショウに、まさに色をつけたのがそのポケモンという存在だった。母親に貰った『新しいポケモン』を遊びながら色のついた世界を冒険し、様々なポケモンと触れ合う。それが存在しない二次元の世界だとしてもショウはそれがまるで現実であるかのように感じていた。

(もしも病気が治ったら、僕もゲームのトレーナーみたいに冒険とかできるのかな?)

 いつしか、元気になって画面の中のポケモントレーナーのように色とりどりの場所に足を運ぶ事がショウの将来の目標、夢となっていた。図鑑でしか見た事のない動物を見て触り、学校で思う存分勉強だってしてみたい。そんな当たり前で貴重な体験を彼は夢見ていたのだ。


「いよいよこの実験も最終段階を迎える」

「ようやくこの世界に『ポケモン』が蘇る時が来るのですね」

「ああ。かつてこの世界に生息していたとされる幻の生命体……今やそれをアレンジした架空の商業作品として発表されてはいるが、それらは間違いなく存在していたという記録が残されている。この出自不明の遺伝子を持つ液体がそれを物語っているようにな」

 そこは一部の科学者しか立ち入りを許可されておらず、入室するためのセキュリティも厳重に管理されている。そんな場所で何人もの科学者による実験が日夜行われていた。

 科学者達が眺めている培養液。そこに浸されているのは桃色に光る不定形の液体――それは作り物のように無機質で、生命の鼓動さえ感じられないような小さなものだ。しかしその液体は確かに生きていた。生命が宿っていた。

 肌も、体毛も、瞳も、口も、呼吸器も――液体(それ)にはそれが生物だという事を証明する部位がない。にも関わらず液体は僅かに動き呼吸し生きているという事を彼らに知らせている。

「それにしてもまさかこれがポケモンだとは……私にはただの動くドロにしか……」

「普通の人間ならばこれが生命の欠片などと思わぬだろう。しかしこの物体に酷似したポケモンがいるはずだ。機密情報とも一致しているしな」

 老齢の科学者が覗き込んだ古ぼけた紙にはスライムのような生物が描かれている。細部は異なるが、その絵は『ポケモン』に登場するモンスターの一体に酷似していた。『メタモン』という、自身の姿を全てのポケモンそっくりに変える事のできるモンスターだ。

 普段の姿は桃色の小さな液体のような『ポケモン』で、今この培養液で蠢いている液体のかけらに非常によく似ている。故に科学者達はこの液体を『メタモン』だと仮定して研究を進めていたというわけだ。

「遺伝子構造を調べても、この星に生息する生物のどれにも一致しなかった。無論我々人間にもな。であるとすれば、そのポケットモンスターという巫山戯た名の絶滅種と仮定せざるを得ないのだよ」

「しかしこんなお伽話のキャラクターのような生き物がこの世に存在するとは到底思えない……ましてや、姿形を自由に変えるなどという突拍子もない性質の生き物など!」

「しかし人間や他の種も環境によって個々の進化を遂げてきたわけですし、一概にいないとも言い切れないのが現状……それでもこんな万能の力を持つ生命体が自然淘汰されたとも考え辛いのが正直な感想なのですが……」

 科学者達の間でも何度も様々な議論が巻き起こったが、最終的にはその生物がいたという仮定で実験は押し進められていた。彼らの最終目的は、その絶滅したはずの種の復活。ポケモンという架空の生き物とされたそれらの生命を、この世界に再び呼び戻す事であった。

「『PokemonRebirthProject(ポケモン再誕計画)』……これが実現すれば、生物の歴史に大いなる変化と進化をもらたすだろう。中には倫理観がどうとのたまう者もいるが、常識に拘っていては開拓はなしえない」

「しかし……やはりどうしてこのポケットモンスターという生命体の記録がこんなに克明に残されているのだろうか……そしてどうしてそれをゲームという媒体で世に出しているのか……我々にもわからない事は未だに多く、不可解だ」

 培養液で動き続けるメタモンの"かけら"を眺めながら、ひたすらに解析と研究を続けている研究者。進展のない日々だった彼らに天啓が舞い降りるのは、この数ヶ月後の事であった。


        ◆


(うわぁ……綺麗な場所)

 ある日のこと、ショウ少年は緑鮮やかに広がる草原の上に立っていた。さわやかな風が吹き、若草の青い匂いが鼻を通る。無機質で清浄な病室の空気が当たり前となっていたショウにとってはそれは新鮮な体験であると同時に渇望していたものでもあった。

「体が思い通りに動く……走ることだって!」

 草原でショウが最初に行った事は"走る"事だった。ただひたすらに足を動かして大地を踏みしめる。息が切れそうになっても全身に疲れを感じても、ショウはためらう事なく風を切りながらどこまでも広がる草原を走る。

(まるで夢のよう……!)

 ショウの心はひどく高揚していた。心臓が苦しくなるほどに高鳴り、全身が硬直しそうなほどに肉体が震える。なぜか息苦しさが増し、瞼が閉じてしまいそうな感覚に落ちていくショウの意識――


(どうして……? すごく苦しい……)


 嬉しいはずなのに、待ち望んでいたはずなのに、その感覚はとても苦しくて、痛い。それを感じ取った瞬間ショウはそれが自己の深層心理の中にある虚像だという事を悟った――


        ◆


「ん……あっ……」

 規則的なリズムを叩く電子音に起こされながらショウは目を覚ました。口には透明ななにかが填められ息苦しい。自分のすぐ横には青白い顔をした母の姿があった。母はどうやら泣いていたようで数え切れない量の涙を流している。

「ママ……?」

「先生! 息子が目を覚ましました!」

 母の言葉で、ショウは自分がしばらくの間眠っていたのだと思った。しかしそれにしては病室がやたら大袈裟な雰囲気だなとショウはそんなふうに呑気に思っていた。思う通りに呼吸することは叶わず、手足が少しも動かせないにも関わらず、だ。

(そうか……僕の病気、だいぶひどくなってるって、前に先生が言ってたっけ……)

 ショウが抱えた病、それは次第に全身の身体機能が麻痺し、最終的には完全に停止する……そんな恐ろしいものだった。じわじと身体の自由を奪われ、何もできないまま命を削られていく。ショウが望んだ可愛らしい望みとは真逆の残酷な病、彼はそれに侵されている。


(僕……ずっとこのままなのかな、外にも出られず、死んでくのかな。それは……いやだな)


 一筋の涙を頬に流し、ショウは再びいつ覚めるかわからない眠りにつくのだった。


 ――半年後。某所、研究室。

「ようやく、長年の研究が報われようとしている。これも皆の協力のおかげだ」

 白衣に身を包んだ科学者チームの代表――かつてハマサジと名乗っていた男が感謝の意を述べる。彼は来年米寿を迎える老齢の男性だったが、研究室の宙を浮くその姿にかつての面影は残されてはいなかった。

 四十センチほどの小さな体に全身を覆う薄桃色の産毛と長い尻尾をもつ奇妙な姿、それが今のハマサジの姿であった。愛くるしさすら感じられるその容貌は空想のマスコットキャラクターをも彷彿とさせており、彼のその変わりように今もその事実を受け入れる事のできない研究員がいるほどである。

(これで我々の努力も報われるというものだ)

 しかしハマサジ自身はそんな姿になっても後悔は微塵もしておらず、寧ろ自ら研究の礎になれた事を純粋に誇りに思っていた。

「元には戻らないんでしょうかね……」

「無理だろう。遺伝子そのものを上書きしてしまったのだから。今の彼は彼であって彼ではない」

「しかし、ハマサジさんが全てのポケモンの遺伝子を待つとされる『ミュウ』というポケモンになったのは幸いだったな。これによりミュウの中に存在する他種の遺伝子も再生する事ができるかもしれないのだから」

 研究員の一人が無数の資料の中の一枚を指した。そこには今のハマサジと全く同じ姿をしたポケモンのスケッチが描かれている。

「問題は次の段階……どのような方法を用いてポケモンを安定的に量産するという議題だが……」

 既に"ポケモンを生み出す方法"自体は確立させていたものの、彼らにとって最も障害となるものがあった。それは媒体となる生物である。

(実験用の動物では成功したパターンと失敗したパターンがあった……しかも殆どは失敗している。動物の遺伝子では限界があるという事なのか?)

 研究員の一人が思い出していたのは以前行った動物実験であった。さまざまな実験用の動物を媒体にしていくつか試してみたものの、実験元と似たようなポケモンが生まれたパターン以外は全て失敗していた。

(くっ……もうあれは見たくもない)

 失敗した動物の末路を思い出して嘔吐く者もいた。実験には失敗や犠牲がつきものとはいえ、命を冒涜しているという後ろ暗い事実が研究員達の胸を真綿のように緩やかに締め付けていく。それを思い出さない、思い出させないようにして研究者達は非人道的な実験を進めていく……。


 この続きは、ポケモンTFアンソロジー『ぼくらのオリジン』でお楽しみください!


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