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Jin(鬼頭ジン)
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淫鬼の貯古齢糖

「今年こそ、渡したいなあ……」  普通の女子中学生、奥川雅(おくがわ みやび)は恋をしていた。  それは、思春期の少年少女によくあるほのかな恋心。相手は、同じクラスの古町雄仁(ふるまち たけひと)だ。少し気の弱いところはあるがそれ以外は特に目立った印象もない普通の男子生徒である。  最初は些細な感情だったのだろう。しかし、年月を重ねるにつれ、雅の恋心は少しずつ膨れ上がっていった。  今この教室で本を読みながら休み時間を過ごしている彼とは、小学三年の時に知り合い、なんとなくたまに話をする程度の仲で、彼にとってもおそらくは気の知れたクラスメイト程度の関係なのだろう。と、雅は幼いながらに感じていて、なおさらその感情を恋だとは確信できずにいた。  だからこそ、明日、二月十四日、バレンタインデーのこの日に自分の想いを伝えたいと雅は思っていた。しかしそれは三年前の同じ日からずっと想いのまま心にしまっており、このまま今年も同じように二月十四日がただの平凡な一日のまま終わってしまうのではないかと不安な気持ちにかられる。  でも、いつまでもこの気持ちを自分の中でなかったことにするのは嫌だ! と雅は自分の心を奮い立たせる。たとえこの想いが片思いで終わってもいい。きっと、踏み出さずにまごまごとしているままのほうが、きっともっと後悔すると思うから。そう思いながら、まずは雄仁に渡すためのチョコレートを買いに行くことにした。     ◆ 「うーん……どれにしたらいいかわかんないよ……」  雅は、様々なコンビニやスーパー、そしてチョコの専門店なども寄ってみたのだが、なかなか良いものが見つからずにいた。中には、値段が二千円を超える高級チョコレートなどもあったが、当然ながら中学生の雅の小遣いでは到底手が出ない代物であった。  今は地方の巨大ショッピングモールのバレンタインフェアコーナーに彼女はいた。しかしそこに置いてあるチョコレート群は雅がいつも家で食べているチョコとはまるで違うオシャレで高そうなものばかりだ。それはまさに雲泥の差、月とスッポン。友達に渡すチョコとしては重過ぎる、と本能的に悟った雅は、すごすごとその場を去るのだった。 「はぁ……どれにすればいいんだろ……」  そんなことを呟きながら、とぼとぼと歩く雅。そんな彼女の瞳にはあるものが映った。 「あっ、チョコレートだ」  それは一見何の変哲もないチョコレート。ハートの形をした甘くて茶色い塊。おそらくバレンタイン用に作られたのだと思われるそれに、雅はなぜか興味を覚えた。そのチョコレートを売っていたのは、華やかな商店街の雰囲気とはかけ離れたみすぼらしい露店。店主は露店の雰囲気には合っているものの、明らかに胡散臭く場違いな壮年の男。普段ならば間違いなく近づかないであろうその怪しげな露店に、雅は興味を持っていた。理由は分からないが、とにかく一度見てみようと、雅は店主に話しかける。 「あの、これってチョコレートですよね? バレンタイン用のですか?」  雅はチョコレートに視線をやりながら店主に尋ねる。店主は静かに「ええ、これは確かにチョコレートですよ。ばれんたいん用……かどうかは、あなた次第だと思いますがね」と、見た目通りの低い声で言った。その奇妙な言い回しに引っかかるところはあったものの、特に目ぼしいチョコレートがなかったことと、このチョコレートが何故かやけに気になったこともあってか、雅は雄仁に渡すためのチョコレートをこれにすることに決めたのだった。 「これ、買います。いくらですか?」 「1020円になりますが……」  この値段を聞いて雅は一瞬このチョコレートを購入することを躊躇う。明らかに普通の場所で売っていそうなチョコレートの割にはやけに高いと思ったからだ。 「うーん……ちょっと高くないですか?」  そう言った雅に、店主は思いがけない一言を呟く。 「『値段』とは、それ相応の設定がされてあるものなのですよ。何故ならこれは、『願いを叶えるチョコレート』なのですから」 「えっ」   その一言に雅の思考は一瞬停止する。願いを叶えるという、一見非現実的な単語が出てきたからだ。それは単なるおまじないという意味でつかわれた言葉なのだろうとも思ったが、どうやらこの店主はこれを本当の、そのままの意味で使っているように思えた。根拠は一切なかったが、雅はなぜかそう思っていた。 「『願いを叶えるチョコレート』……ですか?」 「はい。これは人の願いを叶える力があると言われています。ただし、いくつか複雑な条件がありまして、まず願いが本当にかなえたいという強い想いを持っていないと叶わない、叶えたい願いによって食する人間が変わってくる、などですね。  さらに正しい手順で行わないと願いが歪んだ形で叶えられますのでお気をつけいただきたいのです」  物々しい雰囲気でチョコレートの説明をする店主だったが、その姿は露天商の店主というよりも、まるで魔法使いのようにも見えてくる。その怪しげな姿に雅は一瞬たじろぐ。しかし、逆に雅に『これは本当に魔法のチョコレートなのでは?』と思わせることにもなった。  ふと雅は財布の中を覗く。なけなしの貯金から引っ張り出してきた三千円が中には入っていた。十分に買える金額ではある。しかし、明らかに怪しいこの店のチョコレートにしていいものか、と雅は一瞬思案する。ましてや、一世一代の告白のためのものに。 「……まあ、単なる“まじない”ですよ。お気に召されなければ、買わなければいいだけのこと。またのご利用をお待ちしておりますよ」  そう呟くと店主は妖しく笑う。散々迷いに迷った結果、雅が出した答えは―― 「これ、買います!」 「まいどあり」  雅は二千円を渡し、そのチョコレートを買った。店主は、律義にもチョコレートの箱をチョコレートと同じ色の包装紙に包む。真っ赤なリボンで縛って、何やら一枚の紙きれを挟むと、それを雅に手渡す。こうして『願いが叶うチョコレート』は正式に雅の所有物となった。        ◆  雅は買い物を終えて家に帰ると、すぐさま自分の部屋の化粧棚の中にきっちりと包装されたチョコレートを隠すように保管する。そして何やら一緒に添付された紙を読む。  それはそのチョコレートの説明書のようで、様々な取り扱い方法が書かれていた。  『自分の願いを叶えるには叶えたい願いを心の中で思いながら貯古齢糖を食べる』  『所有者が本当に叶えたい願いでないと効力は発揮されない』  『他の人間の願いを叶えたい場合は、対象の人間に説明書とともに貯古齢糖の説明をした上で譲渡する必要がある』 『使い方を間違えると願いが歪んだ形で叶えられてしまうことがある』  ――等、様々な説明が書かれていた。  そして、雅が最も目を通した箇所は、当然ながら『恋愛が成就する願いについて』の項目だった。説明書にはこう書かれていた。  『恋愛成就や、気になった人間と親密になりたい時:対象の人間にその貯古齢糖を食べてもらうこと。この時、このチョコレートが『願いが叶う貯古齢糖』だと知られてはいけない。願いをかけた後にこの貯古齢糖を自分で食べてはならない』。 「そういえば、このちょ、こ……れいとう? って漢字、やっぱチョコレートのことなのかな……? 漢字にするとこう書く……ってこと?」  雅はそんなことを疑問に思ったが、問題はそこではなかった。  つまりは、相手にこれを普通のチョコレートとして食べてもらう必要があるのだ。雅はこれを本当に雄仁に渡せるのか、そして食べてもらえるのか不安になった。  バレンタインはちょうど明日。つまりチャンスも明日しかないということだ。そう雅は思った。願いを叶えるだけならば、バレンタイン以外でも良いはずだが、雅はこの日しかないと思っていた。そのくらいの覚悟がなければ一生かかっても告白など無理だと思ったから。 「本当に、叶うのかな……いや、せっかく買ったんだから絶対雄仁くんに渡さなくちゃ」  そう呟くと雅はもう一度そのチョコレートを見る。雅の心の中は不安とドキドキでいっぱいだった。  ――そしてバレンタイン当日。 「っ……」  雅はチョコレートの入った鞄にちらりと目をやる。教室には憧れのクラスメイトがすぐ目の前にいる。しかし、雅は未だに渡せないでいた。学校に入り、雄仁と挨拶を交わしてから、雅には渡すチャンスが何度もあった。しかしどのチャンスもふいにしまっていた。雅は自分の意気地なさを呪う。そして授業が終わり、とうとう放課後となった。 「あ、奥川さん。また明日ね」 「あ、あっ、雄仁君……」  雄仁に話しかけようとした雅は、雄仁から声をかけられた。それは、雄仁が雅に“さようなら”を言うための何気ない一言だったが、雅にとってはこれが最後のチャンスだった。これを逃したらチャンスはまた来年になるかもしれない。そしてこのために買ったチョコレートも無駄になってしまうだろう。 (勇気を出さなくちゃ……今度こそ、渡すんだ。雄仁くんに……!)  雅は口をぱくぱくと開き雄仁に勇気の一言をかける。『受け取って』の一言を口にするのが、雅にとってはとても長い時間のように思えた。教室の中の時間が一瞬止まったような気がするくらいに。 「あ……!」 「? 何?」 「なっ……何でも、ないの。ごめんね、またね、雄仁君……」 「そう。じゃあ、また明日」  ――結果は、今年も失敗に終わった。必死に考えながらチョコを選んでも、結局は自分の勇気の無さにより、何の進展もなく失敗に終わる。雅はそんな自分の意気地のなさを呪った。教室が夕日の赤に染まってゆく。バレンタインデーももうすでに終わりを迎えようとしていた。     ◆ 「何やってんだろ……あたしのバカ」  雅は自分の部屋の机に虚しく置かれたチョコレートの箱の前で突っ伏していた。何度も何度も教室でのことをリフレインしながら時間が巻き戻ったらいいのに、と思う。しかし時間は不可逆で有限なもの。いくら後悔しても願ったとしても戻ったりはしない。 「このチョコどうしよう……」  雅はふと雄仁に渡すために買ったチョコレートを見る。かわいらしい包装紙にくるまれたそのチョコレートは、店主によれば『願いを叶えるチョコレート』らしいが、今の雅にとってはただのチョコレートでしかなかった。そのチョコレートを見るたびにふつふつとわいてくるのは怒り。それは店主やチョコレートに対してではない。願いを叶えるための勇気も出なかった自分に対してだった。  あと少しの勇気があれば、恋が叶ったかもしれないのに、想いを伝えられたかもしれないのにと雅の胸からは悔しさと悲しみが込み上げる。瞳に涙が潤んだが、雅はぐっとそれを堪える。 「ああもう……こんなものずっと見ててもしょうがないか。捨てるのももったいないし、このチョコ食べちゃお……」  雅は静かに真っ赤な包装紙を開けると二個のハート形のチョコレートを取り出す。見た目はごく普通なチョコレートに見えるが、やけに艶やかで美味しそうに見える。 「あ、結構美味しそう……さすが1000円のチョコ……」  雅はチョコレートをそっと口に運ぶ。チョコレートはスッと口の中で溶けてしまい、その瞬間口の中に芳醇な甘さが広がる。雅は今まで食べたチョコレートの中でも一番美味しいと思った。落ち込んでいる気分を少しでも癒してくれる気がして、雅は少しこのチョコレートに感謝をした。 「さて、明日に備えて勉強しよ……んっ?」  その時、雅は何やらおかしな感覚にとらわれた。体の内側からぽかぽかとした熱さがしてくる。それはまるで、寒い日に温かいものを食べた時の感覚にも似ている。しかしそれとは似ているようで異なるものだった。特に、下半身に妙な感覚がして、そこがやけにむずむずとして落ち着かない。 「ん……なにこれ、ちょっと……痒い、アタシのアソコ……」 生え始めの柔らかな叢の下のヴァギナと、小さな豆が腫れたようにむず痒く熱い。股を擦り合わせながらなんとか堪えようとするも、股間の疼きと熱は冷めることはなく雅の精神を徐々に苛んでいく。結局、雅はその疼きに堪えることはできなかった。いつしか指をスカートとパンツ越しに秘所に突っ込み小刻みに動かし、小さく声を上げていた。 「あっ、あ、なにこれっ、やばい、マタが、あついよぉっ」  雅がヴァギナを弄くりだしてから数分、雅のソコから熱い汁がジュッ、と飛び出る。快感のあまり嬌声をあげる雅だったが、妙な虚脱感とともに更なる快感が雅を襲う。ヴァギナの快感に即発されたのか、お次はクリトリスがかっと熱を帯び始め、『次は私を弄って』と言わんばかりに疼きだす。 「やっ、やばっ、クリ、いじりたいっ、もうガマンできないっ……!」  雅はクリトリスの要求通りに先っぽをギュッと摘まんで弄りだす。その瞬間、脳に甘い電撃が走り、雅の思考をゼロへと変換してしまう。その快楽は先程食べたあのチョコレートよりもずっと甘かった。 「あっ、あっ、あっ、あんっ!!」  濁流の如く襲いくる快楽に喘ぎ続ける雅。その右手は相も変わらずクリトリスを掴み続けている。そのクリトリスが心なしかさっきより大きくなっているようにも見えた。ヴァギナから二度目の汁を噴き出させた時、雅の身体にさらなる異変が起きた。 「んっ、ふうっ!?」  クリを摘まんでいた雅の手が膨らみ始めたのだ。いや、それは手だけではない。それを支える腕までも、雅の増幅する“欲望”を表すかのように大きく膨らむ。それは思春期の少女らしからぬ変化。そして、彼女を人間からも少女からも卒業させる異様なる変貌だった。 「おがっ!? ごっ、あああっ!!?」  手だけでなく、次は足までも大きく膨らみ始める。腕から、足から、体中から、雅の全身のありとあらゆる箇所に剛健な筋肉が発達して、雅を作り変えていく。履いていたソックスは身体の膨張に耐え切れず破け飛んでしまう。当然ながら、雅はその変化には気づいていたし心の中では驚愕もしていた。しかしその手は相変わらずクリを弄り続けており、その動きは止まることを知らない。雅の脳に極上の快楽物質が迸ると、同じように子供の小指くらいにまで大きくなったクリの“先端”から、透明な汁を迸らせた。 「はあっ、なっ、なにこれっ、うあっ、あたしのカラダ……どうなって、ぐあっ!!」  筋肉の発達はとうとう上半身や胴体にまで及びはじめる。雅がクリからの快感で絶頂するたび、雅の発達途中の慎ましやかな乳房がプルプルと揺れ、その双丘を平らな地にしてゆく。くびれていたスレンダーなウエストはひとつづつボコン、ボコン、と立派な腹筋ができていき立派なシックスパックとなる。筋肉は胸にも否応なしに付いていき、これまた立派な胸筋となって雅の新たな肉体を完成させていく。  ヴァギナからは夥しいほどの愛液が吹き出、それと同じくらいにクリの先からも透明の汁を吐き出す。その度に雅の全身の筋肉は整えられ、バランスが良くなって肉体が完成されていく。その代償に着ていた服は全て千切れ飛び、声も女性とは思えないほど低くおぞましくなっていった。 「うああっ、やばいっ、出るっ、なんかが出るっ!」  愛液を吐き続けていたヴァギナが閉じはじめ、代わりにクリが長く太く、さらに下の陰唇部にも、何やらおできのような小さな瘤のようなものが出来はじめる。クリは大きめのキノコのような形状に変わると、雅の手は本能的にそれを摘まむ動作から握る動作へと変化し、それを享受しはじめる。上から下へ、下から上へ掌のストロークを続けるたびに、雅の脳に未知の快感があふれる。いつしか、雅の股座の瘤は、たわわに実った果実の如く立派な袋となって、新たに作られた陰嚢の中で、彼女にとってはありえないはずの雄の欲望の塊が急ピッチで作られていた。それを吐き出すことは彼女にとって最大の幸福でもあったが、同時にそれよりも大切なモノを失うことでもあった。しかし彼女は―― 「ダメ! 出る! イッ……イクゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」  ピュッ……ビュゥッ、ドシュゥゥゥーーーーーーッ、ビュッ、ビュルルルルルルルルゥーーーーーーーッ!!  雅が低い声で叫んだ瞬間、クリだったモノから勢いよく真っ白な精液がホースの水の如く噴射される。それは、雅が新たな存在として生まれ変わったことを祝福する、白いシャワーのようにも見えた。  その射精を皮切りに、雅の身体はさらなる変化をする。頭からは二本の角がズルリと勢いよく生えてくる。爪は鋭く伸び、口からは何本もの鋭い牙が生える。毎日大切に手入れをしていた自慢の黒髪は鬘を剝ぐようにずるりと全て抜け落ちて禿頭になってしまった。  全身には黒々とした体毛がありとあらゆる箇所に生い茂っており、男らしさを通り越して汚らしさすら覚えるほどだ。一歩足を踏みしめるたびにズシリズシリと音が鳴る。身長は二メートルをゆうに超え、体重もおそらくはそれ相応の重さとなっているであろう。 「はあ……はあ……なっ、ナニコレ……あたし、いったいどうなって……」  興奮から醒めた雅は我に返っていた。しかし、視界に映る自分の腕は筋肉でパンパンに膨らんで、しかも真っ赤で爪は鋭く尖っている。明らかに今までの自分とは異なるその身体に雅は狼狽する。慌ててドスドスと重たくなった体を動かし姿見のある風呂場へと向かう。その度に股間の逸物や玉袋がブルンブルンと揺れて雅の正気を奪っていく。 「いやあああああああああああああっ!!?」  その変わり果てた姿を見て雅は恐怖のあまり叫びだす。しかしその声は見た目にふさわしい低く野太い声で、乙女の悲痛な叫びとはあまりにもミスマッチだった。  雅のその姿は、御伽噺に出てくる鬼そのものだった。巨大な体躯に頭から生える角、顎が張った雄臭い相貌にニュッと伸びる二本の牙。おまけに全身筋肉ダルマ。自分とは正反対のその醜い姿に自分がなってしまったことに、雅は恐怖と絶望感に襲われた。今にもさめざめと泣き出してしまいそうなこの状況に追い打ちをかけるかのように、雅の逸物がグッと鎌首をもたげ始めていた。 「な……なにこれ? おちんちん? あたしに、おちんちんが……」  雅は、性別も完全に男性になっていた。ブラブラと揺れる金玉袋も、今この状況で血管を張り巡らせながらバキバキに勃起している逸物も、完全に自分のものだとその感覚と快感をもって自覚させられる。そして脳内の“雄”としての本能がこう囁くのだ。  『肉棒を擦れ』、『種汁を吐き出せ』。  『――欲望に忠実になれ』と。 「ああ……なんで……? あたしっ、うあっ、こんなことっ、あっ、したくないっ、のにっ、うっ、やばっ、おちんちん気持ちいい……んはっ! やばい、全部出ちゃう! 全部出したい!」  野太い喘ぎ声をあげながら一心不乱に位置持ちを擦り上げる雅。口では拒否しているのに本能と身体がそれを許してくれない。雅のなけなしの理性は鬼の余りある快感に押し流されて陰嚢の中の精に溶けていってしまう…… 「あっ! ダメ! イク! 出ちゃう! あたし、イッちまうううううううううううぅ!!!」  二倍にも巨大化した雅の逸物から熱くてドロドロした液体が勢いよく噴射された。しかしそれはただの精液ではなかった。それは艶やかな茶色をしていて、しかも甘い匂いが漂ってくる。そう、それは液体化したチョコレートであった。 「あうぅ……スゲ……スッゲ……」  そのチョコレートは雨のように雅の全身に降りかかり、鬼をチョコレート色にコーティングしていく。その匂いは甘く青臭い、まるで精液とチョコレートが入り混じったかのような匂いだった。いつしか雅の全身は、チョコレートのような真っ茶に染まっていた。今の彼女――いや、彼はまさに『チョコ鬼』と形容するにふさわしい姿だった。 「なっ……なんじゃ、これが、ワシなのか?」  雅は先程とはうってかわって狼狽する素振りは見せず、むしろ純粋に驚いているようであった。口調もいつもの雅のものとは違い見た目通りの厳つい口調となっていた。雅自身はそれに気づいておらず、あたかもそれが自然であったかのように振る舞っている。まるで射精の時に雅の大切なものまで抜けていってしまったかのようだった。 「なぁるほどなァ……こりゃあいい! かぐわしい香り、この惚れ惚れするような筋肉……ワシってやっぱエロイのう……これなら雄仁くんも喜んでくれるわい。ン? 何故ワシは人間の小僧なんぞにこんなにも胸が高鳴っとるのか? ワシは偉大な鬼なのに……」  雅の意識と鬼の意識が混濁しているのか、支離滅裂なことを言い出す鬼。とりあえず、こんがらがった精神を落ち着けるために雅は部屋へと戻る。精液が撒き散らされた雅の部屋では知られざる変化が起きていた。雅の精液に塗れた彼の服だったモノの破片が集まっていき形を変え、彼のための新たな着衣へと変化していく。それは一着の白い褌だった。彼の褐色の肉体に相応しい穢れなき下着だ。 「おっ、いいモンあんじゃねぇか」  雅は早速その褌を見つけると、まるで何度も着けているかのような手慣れた手つきで褌を締めていく。大量の精液を何べんも射した魔羅が褌の前袋にすっぽりと収まる。まだ射し足りないのか、雅の鬼魔羅は褌の中でヒクヒクと震えている。 「グハハハハハッ、これで完璧ッ、やはり鍛えられた体には褌が映えるのう!」  割れた腹筋を掌でバシバシと叩きながら高笑いをあげる雅。最早今の彼には中学生の少女だった頃の面影は微塵もなかった。そんな彼だったが、ふいに褌の中の魔羅が再び激しく疼きだしたのに気が付いた。どうやらまだ出し足りないようだが…… 「ウーム……雄仁くんの所へ行く前に、一度抜いといたほうがいいんかいのぅ……?」  考えた結果、雅はまだ抜かないことにした。楽しみは後で取っておきたかったのもあるが、何より何故かここでは抜いてはいけない。頭のどこかでそう警告しているように感じたからだ。 「このチョコレートでワシは鬼になれたんじゃ……チョコがもう一つあるっつうことは……今から楽しみじゃのう……グヒヒッ」  チョコ鬼は下卑た笑いを浮かべながらもう一つのチョコを手に取る。そしてそれを愛する者の所へ届けるため、ドスドスと巨体を揺らしながら家を出ていった。褌の中では魔羅がその日を今か今かと待ち望むかのようにギンギンに勃起していた。     ◆ 「雄仁、買い物行ってきて」 「はーい」  雄仁は商店街を歩いていた。母親にお遣いを頼まれ夕飯の材料を買いに行く最中だったのだ。片腕にエコバッグを持ちながら目的のスーパーへと向かう雄仁。そんな彼の前に怪しい人影があった。鬼と化した雅である。  金色の瞳をギラギラとぎらつかせながら雄仁が来るのを虎視眈々と見つめている。人が多い商店街のはずなのに、誰にも鬼の姿は見えなかった。 「えーと、確か今日の夕飯は……っと、うわっ!?」  雄仁が買い物のメモを確認した際の隙を突き、雄仁の腕を引っ張り引きずり込んだ。人気の居ない路地裏まで引きずり込まれた雄仁は、ただただ困惑するしかなかった。 「なっ、なんだ、いったいどうなって……うわあっ!!」  雄仁が驚くのも無理はなかった。暗い路地裏に、しかも自分のすぐ目の前に異形の巨人が立っているのだから。筋骨隆々で、褌一丁で、いやらしい笑い顔を浮かべた禿頭の鬼人が、自分のクラスメイト。しかも元女子だとは誰も思わないだろう。  その当人は、今から起こることを想像して、興奮が収まらずにいた。今から、この男は、自分のものになる――そう思うと今にも“出そう”になっていた。 「雄仁ぉ、ワシだよ。今日も学校で会ったろ?」 「しっ、知らない、俺、こんな変態オヤジ知らないっ!」  雄仁は雅をすっぱり拒絶する。当然の反応である。しかしそれは雅本人も織り込み済みだった。だからこそまずは、雄仁の温もりを感じつつ彼を逃がさないために、彼のことを思いっきり抱きしめた。 「があっ、痛い! やめろっ、離せ、このっ!」  必死にもがくもがっちり締め上げた雅の腕は一向に緩まることはなかった。そもそも鬼の力を人間が振り解くこと自体が無謀なのだが。抵抗する雄仁の顔目掛け、雅はその厳つい鬼の顔を近づける。そしてそのまま彼のファーストキスを奪ってしまった。雄仁は口内に堪え難い悪臭とともに何やら甘ったるい液体が流し込まれる感覚をおぼえた。焼けつくような甘さが喉を通る。その拍子に雄仁は強く咳き込んでしまった。 「うっ、ゲホッ! くっ……な、何を」 「これで……ワシの願いは叶うはず……」  雅の笑い顔がさらに歪む。雅が雄仁に飲ませたのは、口内で攪拌し液状にした『あのチョコレート』だった。これなら雄仁にチョコレートを食べさせたことには違いないからだ。それに、自分があのチョコレートを口にしたことで鬼になったということは――雅はそれを考えただけで、興奮して居ても立ってもいられなくなった。 「なんだ……熱い、からだが、がっ!?」  雄仁の身体が急激に膨らみはじめる。雅と同じ変化が始まったのだ。まず筋肉が膨張し体躯がそれに合わせて大きくなる。髪は同じようにごっそりと抜けて禿頭になり額から一本の大きな角が生える。歯は牙に生え変わり瞳の色も雅と同様に金色に変わる。そこからが雅と若干違った。筋肉の上に柔らかな脂肪がつき立派な太鼓腹になったのだ。しかしただのデブというわけでもなくどちらかというと力士のような岩のような筋肉が下に詰まっている身体だった。  雅と若干の差異はあるものの、雄仁はほぼ雅とうり二つの立派な鬼の姿になった。身体の変化に耐え切れず散り散りになった服は繊維から再構成され褌となって雄仁の股間をぐるりと自動的に覆っていく。雅の“好み”の姿になったことで、彼の褌の中の魔羅は爆発寸前になっていた。 「おい……なんだよこれえええええぇっ!」  雄仁は野太い声で叫ぶ。跪いて狼狽する雄仁を見て、雅は加虐心を刺激されていた。そして乱暴に雄仁が履いていた褌を引きはがす。 「さァて……ココはドコまで仕上がってんのかのォ?」  そしてその勢いのまま彼の尻穴目掛けて指を突き刺した。唐突に訪れた快感に雄仁は甘い悲鳴を漏らす。 「あッ!?」  グッポ、グッポと指を抜き差ししていく雅。そのような経験は微塵もないはずの雅は、まるでいつもやっているかのように、雄仁への辱めを続ける。ぐちゅぐちゅと攪拌したく再唾をローション代わりにして雄仁の未開発の穴を開発していく。指は二本、三本と増えていき、その度に雄仁の声も大きくなっていく。 「ホレ、ホレ、気持ちよくなりたいんならワシを受け入れろ!」 「あっ! やだ、やだ! こんなの、俺っ……」  雄仁の魔羅からは大量の我慢汁が飛び出してコンクリートの床を汚す。二本の指を少し開いたりしながら雄仁の穴の中を少しずつ拡張していく雅だったが、そろそろ頃合いだと思ったのか、ゴツゴツとした指を穴から抜くと、いそいそと褌を外しはじめた。中からは褌で蒸れた雅の巨大な鬼魔羅がボロリと姿を現す。熟成された臭い匂いの湯気が、魔羅の周りを漂っている。当の魔羅は興奮のまま勃起しっぱなしで、今にも種を吐き出してしまいそうなほどだった。  雅は魔羅をグリグリと雄仁の尻肉に押し付けると、とうとう本番の準備に入った。雅にとっても、雄仁にとっても初めてな“それ”は、とうとう行われようとしていた。 「あっ……やめてぇ……やめろぉ!! あっ!!」  とうとう、雅の魔羅が雄仁の尻の中に挿入られる。初めてのはずなのに、それはすんなりと雅の魔羅を受け入れた。スムーズに出し入れされたソレは、とめどなく溢れ出す我慢汁を潤滑油にし、淫猥な水音を立てる。ゴリゴリと腸内を容赦なく襲う雅の魔羅。それに負けじと雄仁の直腸も雅の種汁を搾り出さんと必死に締め付ける。キスすらしたことのなかった男女が今は鬼となり、雄同士の性行為をガツガツと行っている。その光景は明らかに異常そのものだった。  そして、雅の魔羅が、雄仁の中のある一点を突く。そして…… 「んあっ!? あっ、ダメ、もうダメっ、イクイクイクイクイクイクゥゥゥゥ!!」  雄仁は素っ頓狂な声をあげながら絶頂を迎えた。勃起した魔羅からは大量の精液が飛び出る。それは濃厚で真っ白な精液。雄仁の全てを抽出したかのような濃さだった。それと同時に、絶頂で体が強張ったのか、雅の魔羅を咥えこんでいた雄仁の直腸が、強く締まりだす。雄仁を絶頂させた優越感から気が緩んでいた雅は、その不意を突かれ同じく絶頂を迎える。 「おおっ、やべぇ、雄仁のケツマンコッ……イクゥゥゥ!!」  雅は雄仁の腸内に熱々のチョコフォンデュを流し込む。陰嚢の全てを搾り取られるような感覚に喘ぐ雅と、いまだに射精し続け息も絶え絶えの雄仁。いつしか雄仁の魔羅から白い精液が出なくなると、次の瞬間、ビターチョコレートのような色をした精液が一気に飛び出てきた! 「んがっ!? ほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」  その精液は、まるで意思を持ったかのように雄仁に向かって張り付き、全身をコーティングしていった。こうして、雄仁はビターチョコレートの身体をした鬼として生まれ変わった。雄仁は、一瞬は快感で呆けた顔をしていたものの、すぐにニヤリと笑みを浮かべ、ゆらりと立ち上がった。同時に股間の魔羅も再び起ち上がり、元気を取り戻していた。 「おい雅。テメェだけこんな気持ちいいマネできると思うなよ。次は儂の番じゃからな」  身も心もすっかり鬼と化した雄仁は座り込む雅に向かってニヤニヤと笑う。そのまま勃起した魔羅を雅の鼻先に突き付ける。テカテカと焦げ茶色に輝くビターチョコの魔羅は普通の逸物ではありえないような艶めかしさを醸し出していた。 「んっ、んっ……!」 「オラッもっと気合い入れてしゃぶりな! 儂をこんなにした礼はたっぷり払ってもらうからのう!」  雄仁は先程のお礼とばかりに雅に自らの魔羅をしゃぶらせていた。雅も負けじと喉や舌を使いながら雄仁をじわじわと絶頂に誘っていく。そのまま雄仁は二度目の絶頂を迎える―― 「おおッ!!」  雄仁の魔羅からは乳白色の液体が大量に飛び出た。それは一見ただの精液にも見えるがそうではなかった。それはやけにドロドロしながらとても甘く、それでいて精液特有の臭みや塩辛さもあった。どうやらチョコ鬼の精液はホワイトチョコレートでできているようだった。雅はそれを漏らすことなく飲み干す。それは彼にとってのプライドの発露でもあり、雄仁の愛情をひとつ残らず受け入れたいという、恋心でもあった。 「なかなか上手いじゃねェか雅よォ。流石は儂の好きな奴よ」 「ワシも……」 「ンン?」 「ワシも、雄仁が好きじゃ! ワシと、付き合ってくれい!!」  雅は、願いが叶った。好きな人に告白するという願いも、雄仁と一つになることも――  しかしそれは、本来の形ではない、歪められたもの。それでも、彼は、彼らは幸せだった。  本音のまま、本能のまま、真実の愛を手に入れられたのだから。 「ぬうっ! み、雅の中も気持ちよいなァ! 儂のチンポも悦んどるぞッ!」 「うううっ、も、もっと突いてくれっ、ワシの中を、雄仁のザーメンでいっぱいにして!」 「ああああッ!!」  それから二人は三日三晩、体を交わせ合った。時には魔羅をしゃぶりあい、時には魔羅を挿れ合って、お互いに快楽を貪り合った。何度も何度も股間からホワイトチョコレートを出して、出して、出し続けた――     ◆  そして、雅は気が付くと、全裸でチョコレートまみれになりながら路地裏に倒れていた。隣には雄仁の姿もあった。二人の身体はすでに鬼ではなくなっていた。チョコレートをあらかた吐き出したからなのかは定かではないが、とにかくすべては丸く収まったのであった。  ……ともいかなかった。  二人は鬼の姿で何日もまぐわっていたらしく、四日間行方不明となっていたため、当然ながら近隣では大騒ぎとなっており、二人は両親にこっぴどく怒られた。なぜか雅の部屋や洗面所はなんともなっていなく、雅はあの時吐き出した精液はいったいどこへ行ったのだろうと疑問に思ったが、深くは考えないようにした。というか、あの悪夢のような四日間を思い出したくもなかったというのが、正直な感想だろう。 「雄仁くんは紅茶でいい?」 「うん。ありがとう、奥川さん」  雄仁の家。ここで二人は二人だけのバレンタインをすることにした。鬼として交わった記憶も告白の記憶も二人にはしっかりと残っていた。あのあと、雅は真っ赤になりながら半ばヤケクソで告白したところ、雄仁も以前から彼女に恋心を抱いていて、恥ずかしくて言い出せなかったそうなのだ。それで、私たち似た者同士だねと笑いながら、二人は付き合うことになったのだった。 「ごめんね、雄仁くん。あたしのせいであんなことになっちゃって……元に戻れてほんとによかったと思う」 「確かに最初は驚いたけど、こうして奥川さんと付き合えるようになったんだから、実は結構そのチョコに感謝してるんだけどね」 「まあでも、もうあんな目はごめんだし、雄仁くんにもこんな目には合わせたくないって思ってる。これは、普通の店で買ってきた普通のチョコケーキだからっ。雄仁くんの口に合うかどうかはわからないけど……」  皿には一個のチョコレートケーキ。これが二人にとっての本当のバレンタインチョコレートとなった。それは本当に何の変哲もないものだが、それが二人にとっては何よりもかけがえのないものだった。 「そうだ。奥川さんも一緒に食べない?」 「えっ、でもこれは雄仁くんのために……」 「俺は奥川さんと一緒に食べたいんだ。……いいでしょ?」 「……うん、じゃあ、食べよっ、一緒に」  半分に分けられるチョコレートケーキ。雅はそれをそっと口に運ぶ。あのチョコレートほどではないけれど、チョコレートのいい香りと甘みが口の中いっぱいに広がる。二人だけの、幸せな時間。雅はそれを本当に尊いと思いながらそのチョコレートを噛みしめる――  しかし、その時間は突如中断された。 「うおおおおおおぉ!」 「ぐおおおおおおぉ!」  チョコレートを口にした途端、二人の身体はみるみるうちに膨れ上がり、再びチョコ鬼へと変身してしまったのだ! 「ぬがああああ! またワシらこの姿になってしもうたぞ! 一体どうなっとるんじゃ!!」 「まさか、チョコレートを食う度この姿になっちまうんじゃ……」 「なんじゃとぉ!? ではワシらはもうチョコを食えんということかぁ!?」 「アレはまだ終わっとらんということかっ……やばい、儂のチンポがっ……!」  再び鬼と化した二人の股間にはいつの間にか白褌が巻かれており、中の魔羅も久々の出番だと言わんばかりに鎌首をもたげはじめた。 「ヌオッ、ダメだッ、イクゥゥッウオオオオオオ!!」  褌越しにホワイトチョコレートの精液が飛び出る。 「うおぉ……うむ、なかなか出たな雄仁よ。では本番を始めるとするかのう!」 「おうよ雅! 次も儂を気持ちよくさせてくれい!」  その瞬間、雅と雄仁の意識は鬼のものへと変貌した。これでもう二人を止めることはできない。幸い両親が留守だったのでこのことがバレずには済んだものの、盛り続ける鬼の精神の中で、二人はこれからの前途を案ずるのだった。     ◆  それから数年後。二人はそのまま結婚し、今では雅は一児の母となっていた。  大学を卒業した後は、あの騒動から思いついたチョコレート専門店を夫婦で営んでいる。二人の作る特製チョコレートはどれも絶品で、いまでも客足が途絶えないほどだ。今や二人は都会でも有数のチョコレートショップのオーナーとして一躍有名人となっていた。  多少、道は歪んでしまったものの、二人は間違いなく幸せだった。 (やっぱり、あのチョコレートのおかげなのかな……?)  奥川雅――今は古町雅。彼女は今でもそんなことを思う。中学時代に遭遇したあの出来事は夢ではないと今でも実感している。何故なら―― 「おーい雅ー、仕事に取り掛かるぞー」 「はーい」  夫の雄仁に呼ばれて、雅は『チョコ製造室』に向かう。今から二人で店に出す用のチョコレートを作るのだ。 「よし、始めるか」 「もう慣れたけど……もしこのことがバレたら大変だろうね……この店も有名になっちゃったし」 「ああ……でも大丈夫だろ。俺たちの姿は普通の人間には見えないんだし」 「そうだよね……じゃあ、いくよ」  『チョコ製造室』――そこに置いてあるものは二粒のチョコレートと――夥しい数のアダルトグッズの山。傍から見れば異常な部屋にも見えるかもしれないが、二人にとってはこれが日常だった。  二人はチョコレートを口に運ぶ。 「変・身ッ、チョコ鬼雅!」 「変身! チョコ鬼雄仁!」  二人は大人になってもチョコレートを口にするとチョコ鬼になる呪いは残ったままだった。初めはひどく持て余していた力だったが、二人はこの力を社会のために役立てることにした。チョコ鬼が出すザーメンチョコレートをベースにしてチョコを売り出すことは初めは躊躇ったが、一度売り出すと近所でとても評判になり、そこからは口コミやSNSなどで評判が広がりあっという間に大きな店へと成長を遂げたのであった。 「さーて、今日も美味いチョコを作るとするか! のう雅!」 「おうよ! ワシらのエクスタシーチョコ、全国の人間に届けてやろうや!」  こうして二人はいつものようにチョコ作りという名のセックスをはじめる。たまに、本当にこれで良かったのかと思うことはあるものの、二人にはこれからも幸せな日々が続いていくはずだから、問題はないはずだ。  なおこの数年後、変身能力が子供にも引き継がれていることが判明して騒動になるのだが、それはまた別のお話……                                        END


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