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※差分 僕のお母さん ~計算された万引き~ 後編

※前回の差分 https://hfhefhuewf8fvg.fanbox.cc/posts/8696412 ※文字数制限で途中で終わってしまった差分。 ~本編~ 「でもね、おじさん。このカード、他のお店で買ったものなんだよ。僕、万引きしてないんだ。」裕紀はポケットからそのカードを取り出し、店長に見せつけるように掲げた。 「な、何ィ!?」店長の顔が一瞬青ざめた。まさか、目の前のガキが万引きしたと思っていた商品が、他の店で買ったものだったとは。そして、彼のコンビニにはその商品はそもそも置いていなかったという事実が、頭をかすめた。 「このガキ……騙しやがったな……」男は心の中で絶望し、パニックに陥り始めた。自分の勘違いから裕紀の母親、和美をここに呼び、あんなことをしてしまった。しかも、もうすぐ警察が来る。もし裕紀が真実を話せば、自分が捕まるのは間違いない。 「ねぇ、おじさん。ごめんなさい。他のお店で買った商品を持ってきちゃうと、万引きって思われるなんて知らなかったんだ。」裕紀はわざとらしい声で謝罪しながら、店長をじっと見つめた。 「く、くそっ……」店長は全身から汗が噴き出し、喉が渇いてきた。追い詰められた焦燥感が彼を包み、手が震える。冷や汗が背中を伝い、パニックが胸の奥で膨れ上がっていく。 そのタイミングで、和美が服を整え、コンビニの裏手から姿を現した。 彼女の肩は小刻みに揺れ、顔には汗が滲んでいる。呼吸は荒く、胸が激しく上下していた。その目には、疲れと混乱が浮かびながらも、息子を守らなければという決意が垣間見える。和美は一瞬、周囲を見渡し、店長と息子の姿を確認すると、大きく息を吸い込んで気丈に振る舞おうとする。 「裕紀!」和美は息子を見つけると、思わず駆け寄り、彼を強く抱きしめた。 彼女の腕は震えているが、それでも力強く息子を包み込む。彼女の唇は震えながらも、息子を抱きしめた瞬間、彼女の体から全ての力が抜け、まるで張り詰めた糸が切れたかのように、全身が軽くなる。 「お母さん、ごめんね。僕、紛らわしいことしちゃったみたいで…」 裕紀は少し下を向きながら、やや落ち着いた声で言う。だが、その表情には、どこか芝居がかった感情が漂い、彼の本心を隠していることがわかる。瞳の奥に浮かぶ冷静な光が、一瞬だけだが、何か別の企みを示唆している。 「え?どういうことなの…?」 和美は裕紀の言葉に反応し、眉をひそめながら戸惑いの色を浮かべる。彼女の手は未だに息子の肩に添えられ、力が入っている。額には微かに汗がにじみ、状況がつかめないまま、脳裏には不安が渦巻く。 「もう帰ってくれ!もういいから!」 店長は顔を真っ赤にし、額には大粒の汗が浮かんでいる。声を荒げ、二人を強引に追い出そうとする彼の仕草には、明らかに焦りと苛立ちが混じっている。彼の呼吸は荒く、手のひらには冷や汗が滲んでいた。 「でも、裕紀が取ってしまった商品の代金が…」 和美はまだ何かをしなければならないと考えている。彼女の声は弱々しく、視線は混乱に揺れ動いているが、店長の荒々しい声に遮られる。 「いいから、とっとと出て行け!」 彼は拳を強く握りしめ、胸の奥で沸き起こる怒りを必死で抑えている。目つきは鋭く、口元はわずかに引きつっている。 「は、はい…行くわよ、裕紀…」 和美は力なく言葉を漏らし、息子の手を取りながら、何が起きているのか理解しきれないまま、ただその場を立ち去ることしかできなかった。肩が落ち、足取りは重く、何か大きな不安が心にのしかかる。 和美は裕紀の小さな手を握り、コンビニのドアがゆっくり開く。 二人が外に出ると、外の冷たい空気が彼女の頬を軽く撫でた。店の外は薄暗く、街灯の光がぼんやりと影を伸ばしていた。和美の足音は不安げで、時折ちらりと息子を見ながら歩き始めるが、裕紀はその様子に少しも動じることなく、淡々と歩いている。コンビニの店内に立っていた男の姿が目に入った瞬間、裕紀は立ち止まり、後ろを振り返った。 「おじさん…ごめんね。僕、本当に反省してるよ…」 裕紀の声は、柔らかく、子供らしい無邪気さを装っていたが、その言葉とは裏腹に、その瞳には冷たい光が宿っていた。顔にはほんのわずかな笑みが浮かんでいるが、それは純粋な謝罪のものではなく、まるで男を見下すかのような薄笑いだった。 その瞬間、男の眉がピクリと動く。彼の顔は赤く染まり、血管が浮き出るほどに拳を握りしめる。怒りが今にも爆発しそうで、喉元から熱い怒声がこみ上げてきそうだったが、必死にそれを飲み込み、心の中で抑え込む。「まずい…警察が来たら…どうする?どう言い訳するんだ…?」男の脳裏には恐怖と焦燥が渦巻き、怒りの代わりにその場に立ち尽くすしかなかった。 裕紀の嘲笑うような視線は男の心に深く突き刺さり、彼は息を詰まらせたまま、ただ見送るしかなかった。 二人は静かに夜道を歩く。時折、裕紀が小さな声で何かを囁くと、和美は笑顔を返す。だがその笑顔にはまだ戸惑いが見え、先ほどの出来事が頭の中を離れない。 「裕紀…あの…警察は…?」和美はふと尋ねる。声は小さく、不安げだ。 裕紀は一瞬だけ立ち止まり、夜の空気を大きく吸い込んだ後、優しい声で言った。「ごめんね、お母さん。実は…嘘なんだ。」 「え…?」和美の顔に驚きが走る。目を大きく見開き、息を呑む。 裕紀はそのまま話を続けた。 「僕、本当はお母さんを助けたかったんだ。お店の人に怒られているお母さんを見て、どうにかして守りたかったけど、僕には力がなくて…。だから嘘をついて、なんとかお母さんを守りたかったんだ。」 彼はまっすぐに母親を見つめ、純粋な瞳で訴えるように語る。 その言葉を聞いた和美の目には、じわりと涙が浮かび始めた。彼女の心は息子の優しさに満たされ、胸が熱くなる。 「裕紀…」 彼女の声は震え、その小さな体をぎゅっと抱きしめた。温かい涙が頬を伝い、息子の肩に滴り落ちる。母親としての愛情と感謝が胸に溢れ、二人の間には深い絆が生まれた瞬間だった。 だが、その抱擁の中で、裕紀の顔には奇妙な、歪んだ笑みが浮かんでいた。彼の口元がわずかに歪み、目は遠くを見つめている。 「お母さん…おじさんのチンポ…気持ちよかった?」 裕紀の心の中で、冷たく響くその言葉が、口元に浮かぶ不気味な笑みとともにこだました。 「お母さんは何も知らない。僕の計画は、まだ続くんだ…。」 そう思いながら、裕紀は母親の腕の中で、小さく嘲笑っていた。 ・・・・・・・・・・・・・・・終


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