~アマチュアプロレス~ 『最高の試合♡ そして苦悩』
Added 2025-03-23 00:10:46 +0000 UTC※前回のお話も併せて読んでいただけたら幸いです。 ~アマチュアプロレス~ 『夫婦タッグ誕生』 ~アマチュアプロレス~ 『人妻レスラー聡美の“プロレス♡”』 https://www.pixiv.net/novel/series/12790193 ~メイン登場人物~ 名前:植田 聡美(うえだ さとみ) 年齢:31歳 性別:女性 名前:植田 光明(うえだ みつあき) 年齢:34歳 性別:男性 名前:江田(えだ) 年齢:46歳 性別:男性 アマチュアプロレス団体の選手兼会長。 本人はゴリゴリの筋肉、広い肩幅、ぶ厚い胸板。 練習場所は年季の入った雑居ビルの2F。 ~本編~ つま先がぎゅっと丸まり、足指が震え、最後の波が聡美の全身を駆け巡った。 まるで、リングの上で完全に果てたかのように。 観客席の最前列、誰かが息をのむ。 「や……やべぇ……」 「完全に、イッ……」 誰かが何かを言いかけて飲み込んだ。 だが、それを口にするまでもない。 なぜなら―― ハッキリと浮かび上がった、その形状が、その答えだった。 蠢く輪郭、痙攣するように波打つ微細な震え。 ユニフォームの張り詰めた布地越しに伝わる収縮の痕跡。 あまりにも露骨に、それは晒されていた。 密着したユニフォームは、隠すどころか、むしろ形状を浮き彫りにしていた。観客の目に焼き付くほど克明に、隆起する輪郭、奥深くまでの細かい動きが映し出されている。 だが、それだけではなかった。 最前列の一部――彼らは「視覚」だけではなく、「音」すらも捉えてしまっていた。 ぬちゃ…… 「っ……!!」 誰かが、震える声で息をのむ。 それは、微細な痙攣が生み出した、生々しい余韻の音。 布の奥で、何かが細かく震え、擦れ、奥の奥からこぼれ落ちるような――そんな湿った響きが、かすかに聞こえたのだ。 最前列の観客は息を呑む。 汗で濡れた生地は肌に吸い付き、揺れるたびにピクピクと引きつり、細かく波打っている。そこに刻まれる動きは、単なる震えではない。 ユニフォーム越しに伝わる蠢き。微細な収縮が繰り返されるたびに、布地がきゅっと締まり、わずかに浮き出る形が変化する。それが収まりかけた瞬間―― クチュッ…… 「……っ……!」 あまりにも、露骨な音だった。 それは、奥の奥から零れ落ちた、最後の波の名残。 最前列の一部の観客は、その瞬間、目の前の光景に釘付けになった。 ビクッ……! 最後の痙攣が駆け抜ける。 つま先がぎゅっと縮こまり、足指が強く握りしめられる。ふるふると震える太もも。そこにぴたりと張りついた生地の奥が、最後の余韻に耐えきれず、ピクピクと細かく蠢く。 ピクッ……ピクッ……! もはや言葉はいらなかった。 すべての答えは、リングの上に刻まれていた。 そして、最前列の観客たちは、その証拠を―― 「音」すらも含めて、確かに聞いてしまったのだ。 恥ずかしい体勢のまま固められた聡美の身体は、ピタリと貼りついたレスリングユニフォーム越しに、最も無防備な動きをさらけ出していた。 はっきりと浮き出た形状――いや、それだけではない。 最前列の観客の目には、そこがどう震え、どんなふうに収縮し、どのように蠢いているのかまで、すべてが克明に見えてしまっている。 ピクッ……ピクッ…… 最後の痙攣が収まりかけると同時に、その奥が、小さく、何度もきゅうっと締まり、収縮する様がユニフォーム越しに克明に伝わっていた。 生地が密着しているせいで、その微細な動きが隠しようもなく露わになる。 じわ……っ そこに滲む、明らかに異質な湿り気。 ピタリと張りついた生地がわずかに吸収し、それが視覚的な証拠となる。 「っ……うわ……」 誰かが震えた声を漏らす。 その動きが、一瞬止まったかと思えば―― クチュッ…… わずかに擦れるような、湿った音が響いた。 「……!!!」 誰かが無意識に息を呑む。 そこに刻まれる、最後の痙攣。 ぎゅっと縮こまるつま先、強く握りしめられた足指、震える太もも。 その全てが、最前列の観客の目に、耳に、焼き付けられる。 そして、それがゆっくりと緩やかになった瞬間―― 「うおおおおおっ!!!」 爆発的な歓声が巻き起こった。 どよめきが広がり、観客たちが一斉に立ち上がる。 「ヤッベェ……! これ、マジで……!」 「すげぇ……すげぇもん見ちまった……!」 全身を貫く熱狂と興奮。 今この瞬間が、今日一番の盛り上がりだ。 ショッピングモールの一画に設置された特設リング。その周囲では、爆発的な歓声をきっかけに、買い物客たちが次々と足を止め始めていた。 「え? 何? ここでプロレスやってんの?」 「イベントか? ちょっと見てみようぜ。」 通路の奥からは、親子連れやカップル、買い物袋を手にした主婦たちまでもが、何事かと視線をリングへ向ける。しかし、熱狂しているのは、最前列に陣取った一部の男性客たちだけだった。 その男たちは、リング上の聡美から目を離せずにいた。 「うわ……やべぇ……」 「これ……マジでスゴくね……?」 視線の先には、パツパツのレスリングユニフォームに包まれた聡美の姿。肉感的な身体に貼りつく薄い生地は、汗でさらに透け、彼女の体のラインを一層際立たせていた。ユニフォームは明らかにサイズが合っておらず、胸元や太もも、腰回りの曲線が無遠慮に浮かび上がっている。 リング上では、聡美が恥ずかしい体勢のまま、がっちりと固められていた。相手レスラーの腕が彼女の首に食い込み、脚は無理な角度で反り返っている。身動きできないまま、聡美の胸が上下に波打つ。ユニフォームの生地がピタリと肌に吸い付き、細かい震えが観客席にまで伝わってきそうだった。 「ギブ? ギブアップか?」 相手レスラーが煽るように囁いた。 レフリーはいない。狭いリングで行われるアマチュアのイベントだからこそ成立する光景。だからこそ、リングサイドの観客にとっては、選手たちのやりとりが生々しく響いた。 聡美は必死に堪えながらも、相手の問いに喘ぐような声を漏らした。 「……あっ……や、やだ……まだ……っ!」 その声に、最前列の男性たちは一斉にざわつく。甘く、かすれたその声が、無防備な体勢と相まって、観客たちの興奮を一気に煽った。 「うおおっ……!」 「ヤベェ……これ、最高だろ……!」 一方、リングから少し離れて見ていた通行人たちは、遠巻きに眺めながら首をかしげるだけだった。彼らには、ただのアマチュアのプロレスイベントにしか見えない。強いて言えば、派手な技や演出よりも、聡美の肉感的な体と、それを包むピタッとしたユニフォームの方が目を引いているだけだった。 「ねえ、あの人、すごく露出してない?」 「うわ……プロレスってああいう感じなの?」 しかし、最前列にいる観客たちには違った意味で伝わっていた。目の前で繰り広げられる、肌と生地が擦れ合う微細な動き、息遣い、そして聡美の必死な表情――すべてが、彼らの心を捕えて離さなかった。 聡美の太ももが小刻みに震える。つま先がぎゅっと縮こまり、苦しさに耐えながらも、彼女の身体は敏感に反応していた。 「ギブ? ギブするのか?」 相手レスラーはもう一度囁いた。その声にはどこか余裕が感じられる。 聡美は、強く唇を噛みしめた。 (……まだ……終わりじゃない……!) 観客の視線を強く意識しながらも、彼女の内側には確かに燃える何かがあった。 「……う、うぅ……あっ……!」 甘い声とともに、彼女は最後の盛り上げを演じる。観客たちはその声に沸き立ち、歓声が一層高まる。 リングの上、無様に広げられた聡美の足。その付け根――ピタリと張り付いたユニフォーム越しに、秘部の形があまりにも鮮明に浮かび上がっていた。汗で濡れた生地はほとんど透けかけ、観客席からでも、その奥の蠢きまでもがはっきりと見える。 最前列の観客たちは目を見開き、食い入るようにその光景を凝視していた。張り付いた生地の奥では、秘裂がうっすらと割れ目を作り、ピクピクと痙攣しているのが見て取れる。微かに蠢くその動きは、ギブアップ寸前の彼女の必死の抵抗を物語っていた。 聡美の喘ぎ声が再び響く。 「……あっ……ひぃっ……く、うぅ……!」 その声と同時に、ピタリと貼り付いた生地の奥で、ぷくっと盛り上がるような動きが起こる。観客たちは息を呑み、目を逸らすことができなかった。 「うわ……動いてる……!」 「やっべぇ……これ、マジで……!」 観客たちの興奮は最高潮に達していた。聡美の顔は真っ赤に染まり、恥辱と苦しさの入り混じった表情を浮かべながら、必死に声を漏らしていた。 「ひっ……あ……あぁ……イッ……イイッ……ギ……ッ……!」 震える声がリングに響く。その声には限界が滲み、観客たちは今にもギブアップの言葉が飛び出すのではないかと固唾を呑んで見守っていた。 彼女の脚の間――生地に包まれた秘部は、まだ微かに蠢き続けていた。ピタリと張り付いたユニフォーム越しに、くっきりと浮かび上がる割れ目。そして、そこから滲み出た湿り気が生地にじわりと広がり、わずかに染みができ始めている。 「頑張れーっ! まだいけるぞーっ!」 誰かの声援が飛ぶが、聡美の喘ぎ声はますます甘く、乱れていく。 「やっ……あっ……あああっ……ひっ……ひぃぃっ……!」 限界は、もう目の前だった。それでも、彼女はまだギブアップの言葉を口にしない。観客たちの視線が痛いほど突き刺さる中、恥辱と興奮、そして限界の狭間で必死に耐え続けていた。 その瞬間―― 聡美は目を見開き、力を振り絞った。 「はぁぁっ……!」 溜め込んでいた力を一気に解放し、体をひねる。固められていた技の隙間に腕を滑り込ませ、勢いよく腰をねじった。相手のバランスが崩れた瞬間、聡美はその腕を振りほどき、勢いよくリングの上に転がるように抜け出す。 観客たちが一斉に歓声を上げた。 「おおおっ! 抜けたぞ!」 「まだ終わってねぇ!」 息も絶え絶えになりながら、聡美は立ち上がる。その視線の先には、タッグパートナーである光明が、反対側のリングで相手レスラーに押さえ込まれていた。すぐさま駆け寄り、助けに向かう。 「光明っ!」 叫び声とともに、聡美は勢いよく相手レスラーに飛びかかる。その瞬間―― バシィッ! 聡美の蹴りが相手の顔面を直撃した。観客たちから大きなどよめきが上がる。相手レスラーは大袈裟にのけぞり、バランスを崩しながら派手にリングに倒れ込んだ。 「うわぁぁぁーっ!」 その隙に光明が体を起こし、荒い呼吸をしながらも聡美に感謝の視線を送る。 「ナイス……!」 だが聡美は止まらない。すぐさま自分をギリギリまで追い詰めた相手レスラーのもとへと駆け寄った。相手はまだ余裕のある表情を浮かべているが、それも観客を盛り上げるための演出だ。聡美はその空気を読み取り、思い切って飛び上がる。 「はああああぁぁっ!!」 高く跳び、華麗なドロップキックを放つ。その足が相手の胸元に炸裂し、観客から大歓声が巻き起こった。 「すげえええ!!」 「完璧なドロップキックだ!」 相手レスラーは盛り上げに便乗して大げさに吹っ飛び、ロープ際まで転がる。そして、リングに倒れ込んだまま、そっと手を上げて聡美に向けて合図を送った。 (ここで終わりだ。フォールしろ――) 聡美はその意図をすぐに悟った。しかし、心の中で葛藤が生まれる。 (このまま普通にフォールして終わり……? いや、違う……最後はもっと盛り上げたい!) リングの中央で倒れた相手を見下ろしながら、聡美は必死に考える。どうすれば、この熱狂の中で最高の締めを迎えられるのか。観客たちの視線が自分に集中しているのを強く感じながら、心臓が早鐘のように鳴っていた。 (どうする……? どんなフォールが一番盛り上がる……?) 頭の中で様々な技がよぎる。けれど、どれも決定打に欠ける。普通のフォールでは物足りない。この盛り上がりをさらに爆発させるような、観客を沸かせる最高の締めを――。 聡美は息を切らしながら立ち尽くし、必死に次の一手を考えていた。 聡美は倒れた相手レスラーを見下ろし、胸を大きく上下させながら息を整える。観客の視線が自分に集中しているのが痛いほど伝わってきた。この場をさらに盛り上げる――そう考えた彼女の瞳に、強い決意が宿る。 (これで……決める!) 聡美は倒れた相手の顔の上に向かって一歩ずつ近づく。その動きに合わせて、観客からは歓声が飛び交った。 「うおおおおっ!やるのか!?」「マジかよ……!」 リングに倒れた相手の顔の真上で、聡美は腰を低く構える。そして、パツパツのレスリングユニフォーム越しに密着した臀部を突き出し、一気に相手の顔の上に跨った。 バフッ……! 「っ……!!」 相手の顔が聡美の股間に完全に埋まり、太ももでしっかりと挟み込まれる。聡美はそのまま腰を沈め、秘部を相手の顔に押し付けるようにして密着させた。薄いユニフォーム越しに、形がくっきりと浮かび上がる。 「おおおおおっ!!」 観客からは爆発的な歓声が上がる。最前列の男性たちは目を輝かせ、リング上の光景に釘付けになった。 相手レスラーは必死にバタバタと暴れ、腕を振り回して抵抗する。しかし、聡美は腰をさらに沈め、押し付けるように相手の顔に密着させた。自分でもわかるほど、股間が相手の鼻や口元に押し付けられていく。 「ふふ……逃げられないよ……♡」 聡美はわざと腰を小刻みに揺らし、観客を煽る。パツパツのユニフォームがさらに食い込み、汗で湿った生地が相手の顔に密着する。観客席からは、その密着感がはっきりと見えた。 最前列の観客たちは興奮で声を震わせる。 相手レスラーは必死にもがくが、聡美の太ももに顔を挟まれ、呼吸すらままならない。手足をバタつかせながらも、徐々に動きが鈍っていく。 聡美は観客に向かって微笑み、さらに腰を押し付けた。相手の顔に乗せた股間をぐいっと沈め、密着感を強調する。その瞬間―― 「うぉおおおおおっ!!」 観客たちのボルテージは最高潮に達した。 聡美は腰を揺らしながら、恥じらいと興奮が混ざった声を漏らす。 「んっ……はぁ……もう……逃げられないでしょ……♡」 リングに響くその甘い声に、観客たちは息を呑んだ。 相手レスラーのバタつきは次第に弱まり、ついにピクリとも動かなくなる。 聡美は勝利を確信し、腰を少し浮かせて観客席に視線を送った。その瞬間、会場全体が大歓声に包まれた。 「うおおおおおおっ!!」「最高だぁぁ!!」 だが、相手レスラーはまだ完全には大人しくなっていなかった。顔を聡美の股間に押し付けられたまま、苦しげにバタバタと手足を暴れさせる。観客たちはその抵抗にさらに興奮し、視線は聡美の動きに釘付けになった。 (もっと……もっと押し込んでやる……!) 聡美は観客の期待を背負い、腰を大きく持ち上げた。そして―― ズンッ……! 「んっ……♡」 重たく腰を落とし、秘部を相手の顔に強く押し付ける。ユニフォーム越しに形がくっきりと浮かび上がり、ピタピタの生地が相手の顔に密着する。観客たちはその瞬間に熱狂し、割れんばかりの歓声を上げた。 「やべぇ……」「あの腰の動き……!」 聡美は腰を持ち上げ、再び―― ズンッ……! 「はぁ……っ♡」 まるで騎乗位のように腰を上下に動かし、何度も相手の顔に押し付ける。押し込むたびに自分の身体に震えが走り、ユニフォーム越しに湿った音が微かに響く。 ズンッ……ズンッ……! 観客たちは目を見開き、その激しい動きに声を枯らして叫んだ。 「いけぇぇぇぇ!!」「もっと押し付けろ!!」 相手レスラーは必死に暴れるが、聡美の腰の圧力には抗えない。手足の動きが次第に弱くなり、聡美の太ももに顔を埋めたまま、ぐったりと力が抜けていく。 (あと一押し……!) 聡美は腰を最大限に持ち上げ、震える脚でバランスを取りながら最後の力を振り絞る。そして―― ズンッ!! 「イッ……クゥ……ッッ♡」 甘く艶めいた声がリングに響いた。強烈な一押しと共に、聡美の股間が相手の顔に深く沈み込み、ユニフォーム越しにピタリと密着する。彼女の太ももは震え、その小刻みな振動が股間から伝わっていた。 観客席からは一瞬の静寂――そして爆発的な歓声が沸き上がる。 「うおおおおおおっ!!」「やべぇ……!今の声……!」 聡美はそのまま腰を押し付け、わざと腰を小刻みに揺らす。ピタピタのユニフォーム越しに食い込んだ秘部が強調され、観客席にその動きがはっきりと見える。 相手レスラーは完全にぐったりとし、ピクリとも動かない。 聡美はゆっくりと腰を浮かせ、艶めいた表情を浮かべながら観客に視線を送った。汗で濡れた頬に髪が張り付き、唇を半開きにして息を整える。そして―― 「んんっ……♡ あっ……♡」 とろけるような声を漏らしながら、指先で自分の唇をなぞる。観客席からは割れんばかりの歓声が響き渡る。 「っっっうおおおおおおおお!!」「最高だぁぁぁぁぁ!!」 カンッ!カンッ!カンッ! 終了のゴングがリングに鳴り響き、勝負は決した。 聡美はゆっくりと立ち上がり、腰をくねらせながらポーズを決める。観客の視線を一身に浴びながら、勝ち誇った笑みを浮かべた。 会場は爆発したかのような大歓声に包まれる。特に最前列の男性客たちは、興奮冷めやらぬ様子で拳を振り上げ、声を張り上げていた。 「うおおおおおっ!!」 「最高だーっ!!」 「聡美ー!またやってくれよー!!」 聡美は荒い呼吸を整えながら、腰をゆっくりと起こし、リング中央で両手を高々と掲げる。ユニフォーム越しの汗で濡れた身体がスポットライトに照らされ、その肉感的なラインが一層強調された。 すぐさま、光明がリングに駆け寄ってくる。彼女を助けたことへの感謝と、勝利を共に喜ぶように、力強く手を握る。 「ナイスファイト、聡美!」 「うん……ありがとう……!」 相手レスラーたちもゆっくりと起き上がり、笑顔で二人に歩み寄る。戦いの後とは思えないほど和やかな雰囲気がリングを包む。全員が中央に集まり、聡美、光明、そして相手レスラー二人の計四人が横一列に並んだ。 会場にいる観客たちは、その姿にさらに盛り上がりを見せる。特に聡美に向けられた声援はひときわ大きく、会場の熱狂を物語っていた。 「聡美ー!次も絶対見に行きます!」 「サイコーだったぞー!!」 「また出てくれよー!!」 その熱狂的な声援に、聡美は少し照れたように笑いながら、深々と頭を下げた。光明や他のレスラーたちも、それに合わせて深くお辞儀をする。 「ありがとうございましたーっ!!」 四人の声が会場に響き渡り、再び大歓声が巻き起こった。一部の男性観客たちは、興奮しきった表情で手を振り続けている。その熱気の中、聡美たちは笑顔でリングを後にした。 リングの階段を降りるとき、聡美はもう一度振り返り、観客席に向かって小さく手を振った。再び会場から大きな歓声が上がる。 「またやってねー!!」 「絶対見に行くぞー!!」 四人は舞台袖に消えるまで、何度も頭を下げ、観客への感謝を示した。そして、裏へと戻っていく中、聡美はふと立ち止まり、振り返る。 (……最高だった……またやりたい……) そんな思いを胸に秘めながら、リングから離れていった。会場にはまだ熱気が残り、一部の男性客たちは興奮冷めやらぬ様子で語り合っていた。 ・・・・・・・・・・。 リング裏に戻った聡美と光明は、肩で息をしながらも満足そうな笑顔を浮かべていた。まだ耳には観客の歓声が微かに残響している。 そこに、今回のイベントを仕切った江田が現れる。スーツ姿の江田は拍手しながら二人に近づいてきた。 「いやー、お疲れ様でした!色々ツッコミたいところはあったけど……最高でしたよ!」 江田は満面の笑顔を浮かべ、聡美と光明の肩を軽く叩く。 光明は息を整えながら笑い、「でしょ?聡美、いい仕事したよな!」と得意げに言う。 聡美も照れ笑いしながら、「ちょっとやりすぎちゃったかも……でも楽しかった!」と頬を赤らめた。 すると、そこに先ほどリングで戦った相手団体のレスラー二人がやってきた。汗まみれの顔に笑顔を浮かべながら、聡美と光明に頭を下げる。 「お疲れ様でした!」 「お疲れ様です!」 握手を交わしながら、先ほど聡美と戦ったレスラーが少し照れたように頭をかく。 「聡美さん……さっきは、あんな恥ずかし固めかけて、すみませんでした……。」 その言葉に、聡美は思わず吹き出し、手を振りながら笑い飛ばした。 「何言ってるんですか!私の方こそ、最後はあんなことしてごめんなさい!」 そう言って、腰をくねらせるような仕草を交えながら、自分の股間を手で示す。「あんなこと」とは、もちろん股間を相手の顔に押し付けたあのシーンだ。 相手レスラーは一瞬固まりつつも、顔を赤らめて小声で返した。 「い、いや……むしろ、ありがたかったというか……」 その微妙な返答に、場が一瞬静まり返る――が、次の瞬間。 「おいおい!イチャイチャしてんじゃねーよ!そこっ!」 光明が即座にツッコミを入れると、場の空気が一気に和やかになる。聡美はニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべ、光明のツッコミを完全に無視して相手レスラーにぐっと寄り添った。 「なによ〜、いいじゃない♡」 そう言いながら、相手レスラーの腕に絡みつき、豊満なバストをこれでもかと押し付ける。聡美の汗で湿ったユニフォーム越しに、その柔らかさが伝わるのか、相手レスラーの顔はみるみる赤くなっていく。 さらに聡美は、相手の耳元に顔を近づけ、わざとらしく囁いた。 「ねぇ……今度はさ……ユニフォーム越しじゃなくて……直接♡……どうですか?」 艶めいた声と共に、舌で唇をなぞる聡美。その言葉の意味を理解した相手レスラーは、一瞬で耳まで真っ赤に染まり、目を泳がせる。 「え、えぇっ!? ちょ、直接って……あ、あの……」 その狼狽ぶりに、聡美はさらに畳み掛ける。 「ほらぁ〜♡ あの時、結構嬉しそうだったじゃない?」 相手レスラーの顔はもう限界に達し、完全にフリーズ状態。すると、隣にいた相方レスラーが割り込んできた。 「おいおい!ズルいっすよ!俺にもそのサービスくださいよー!!」 「おいっ!アンタまで何言ってんだよ!」 光明が慌ててツッコミを入れるが、聡美はそれに構わず相手レスラーの顎を指で軽く持ち上げ、さらに煽る。 「ふふ……次はちゃんと舐めてもらわなきゃ♡……ね?」 「お、おおおおおぉぉぉ……!」 完全にキャパオーバーした相手レスラーはその場にガクッと膝をつく。顔は真っ赤に染まり、額から汗が噴き出していた。 その様子に場の全員が大爆笑していると、光明が慌てて聡美の肩を引っ張った。 「おいおい!聡美、何やってんだよ!!」 光明が勢いよくツッコミを入れるが、聡美は意に介さず、さらに煽るようにレスラーの腕にぎゅっとしがみつき、豊満な胸をむにゅっと押し付ける。 「なによ〜♡ みんな仲良くしなきゃダメでしょ?」 その瞬間、相手レスラー二人は顔を真っ赤にしながら、思わず声を揃えた。 「聡美さん!ぜひ、よろしくお願いしますっ!!」 両手を合わせてお願いポーズを取る二人。顔は期待と興奮に満ちている。 聡美はその光景にクスッと笑い、わざとらしく顎に指を当てて考える素振りを見せた。 「ふぅん……二人まとめてなんて、欲張りさんねぇ♡」 そして、ニヤリと笑いながら、艶っぽい声で続けた。 「でも……いいわよ♡ 順番に、ね?」 その言葉に、二人のレスラーは目を見開き、顔を真っ赤にしながら「おおおおおっ!!」と歓声を上げる。 だが、そこですかさず光明が再びツッコミを入れた。 「おい!!何を“よろしく”してもらうつもりだコラァ!!」 勢いよく二人の頭を小突くと、レスラーたちは「す、すみませんっ!!」と慌てて頭を下げる。 「いやぁ……つい……!」 「反省してます……でも少しだけ夢見ました!」 光明は呆れ顔でため息をつくが、すぐに吹き出して笑い始める。 「まったく、……!」 聡美もそのやり取りに笑いながら、「ふふっ、でも楽しかったわね♡」と満足げに微笑む。 すると、相手レスラーの一人が真顔でボソッと呟いた。 「……俺、今日のこと一生忘れません。」 その言葉に場が一瞬静まり返る――が、すぐにドッと大爆笑が巻き起こった。 「はははははっ!」 「どんだけ本気なんだよ!」 光明も大笑いしながら、そのレスラーの頭を軽く叩いた。 「そういう事、恥ずかしげもなく言わないでくださいよっ!」 レスラーは照れくさそうに頭をかきながら、「つい本音が……」と小声で呟く。 だが、その直後―― 光明の表情がスッと真顔に変わった。 「……」 全員が一瞬、動きを止める。 「……え?」 聡美もキョトンとし、レスラーたちも「?」という表情を浮かべる。何が起きたのか理解できないまま、静寂が場を包む。 そして―― 「聡美……」 光明が低く、真剣な声で呼びかける。 「……俺にも……舐めさせてくれ!!」 その言葉が場に響き渡った瞬間―― 「ブハッ!!」 全員が大爆笑に包まれた。 「うっそだろー!?」 「何言ってんだこの人!!」 相手レスラーの一人が、涙目でツッコミを入れる。 「それ、奥さんにマジマジと頼むことかよっ!!」 その場はさらにヒートアップし、誰もがお腹を抱えて笑い転げる。 だが――聡美は、ニコニコしながらも突然真顔になった。 場が一瞬静まり返る。 そして、艶っぽい笑みを浮かべながら光明に近づき、耳元に囁いた。 「ふふ……いいわよ……舐めるだけじゃなくて……」 そのまま顔を上げ、光明の目をじっと見つめ―― 「あなたのも舐めてあげる♡」 その瞬間―― 「うおおおおおおおっ!!!」 光明は両手を天に突き上げ、ガッツポーズを決めた。 「やったーーー!!!」 顔を真っ赤にしながらも、全力で喜ぶ光明。相手レスラーたちは顔を覆いながら、叫ぶようにツッコむ。 「なんだよそれー!!」 「ずるいぞーーっ!!」 「おいおい、俺たちにも分け前を……!」 全員が口々に騒ぎ立てる中、聡美はケラケラと笑いながら、腕を組んで見下ろす。 「ふふ……残念、特別サービスは旦那様限定だから♡」 その言葉に、相手レスラーたちは大げさに崩れ落ち、「はぁぁぁ〜〜〜」とため息をつく。 光明はそんな彼らを見下ろしながら、得意げに胸を張った。 「勝者の特権ってやつだな!」 全員が再び笑い声をあげ、リング裏は温かい空気に包まれた。 聡美は笑顔のまま、心の中で思う。 (こんな楽しい試合、またやりたいな……) こうして、熱狂のイベントは笑いと共に幕を閉じたのだった。 ・・・・・・・・・・。 それから一週間後。 聡美と光明は、いつも通り練習場へと足を運んだ。試合が終わってからも、二人は変わらず通い続けることを決めていたが、今日はいつもと少し雰囲気が違っていた。 扉を開けると、すぐに仲間たちの賑やかな声が飛び込んでくる。 「おっ、聡美ちゃんに光明くん、お疲れ様!」 「いや~、こないだの試合、すごかったでね! もう、大盛り上がりだったよ!」 「特に聡美さん、めちゃくちゃ注目されてたね! あんな試合、見たことない!」 次々に声をかけられ、二人は驚きながらも、つられて笑みを浮かべる。 「えっ、そんなにでした?」 「いやいや、冗談抜きで、すごい反響でしたよ。特に、あの――」 「足を思いっきり広げられて、固められてたときなんか、会場のどよめきがすごかったですよ!」 「そうそう! あれ、演出だと分かってても、ついドキドキしちゃったね!」 「やめてくださいよ~! 恥ずかしいから、あんまり思い出させないでください!」 聡美は顔を真っ赤にしながら、笑いながら手を振る。 そこへ、江田が静かに近づいてきた。 「お二人とも、先日の試合、本当にお疲れさまでした。」 彼はいつもの穏やかな口調で言いながら、微かに笑みを浮かべている。 「実は……あの試合、とても好評でした。」 「えっ、本当ですか?」 光明が驚いて聞き返すと、江田はゆっくりと頷く。 「はい。正直、ここまでの反響になるとは思っていませんでした。私の長いプロレス人生の中でも、あれほどの盛り上がりは初めてです。」 「そんなに……?」 聡美が驚きの表情を浮かべる。 「ええ。特に聡美さんの試合運び、観客の反応を自然に引き出していたのは素晴らしかったです。魅せるプロレスの本質を、しっかりと体現されていました。」 「ありがとうございます……でも、本当にそんなに評価されるようなこと、できてましたか?」 「もちろんです。だからこそ、次の試合のお話が来ています。」 「えっ、次の試合……?」 「はい。前回と同じく、小規模なイベントの中でリングを設置する形ですが、主催側から正式にオファーがありました。もしよろしければ、お二人にもう一度試合をお願いしたいのですが……。」 光明は聡美の顔を見た。彼女も、まるで信じられないような表情をしていたが、すぐに嬉しそうに微笑んだ。 「やらせてください!」 「僕も、ぜひやりたいです。」 江田は静かに頷き、微笑んだ。 「ありがとうございます。では、次に向けて準備を始めましょう。」 ・・・・・・・・・・。 そして、一か月後―― 再び、光明と聡美の夫婦タッグは試合に臨むことになった。今回は前回の試合の評判もあって、イベント主催側から正式にオファーを受けた形だ。会場の規模やリングの設営は前回とほぼ同じだったが、光明と聡美にとっては「二試合目」ということで、少し気持ちにも余裕があった。 今回の相手は、別のアマチュア団体の男性レスラー二人。体型も普通で、特に奇抜なキャラ付けがあるわけでもない、ごく一般的な選手たちだった。 しかし、試合開始前から、なんとなく会場の雰囲気が違うことに光明は気づいた。 「……なんか、みんな聡美に対しての視線が強くないか?」 観客席に目をやると、若干男性客の割合が多く感じる。しかも、その一部は明らかに聡美を目当てにしているようだった。前回の試合を見た客や、その口コミで興味を持った人間が集まっているのだろう。 聡美は、そんな光明の疑問を軽く受け流した。 「そう? 女性のレスラーって珍しいからじゃない?」 特に気にする様子もなく、いつも通り準備を進める聡美。今回の衣装は、前回と違い、サイズがしっかり合ったものだった。レンタルのレスリングユニフォームは適度に体にフィットしていたが、ピチピチでもなく、動きやすさを重視したものになっていた。 そして試合が始まる。 二人は前回の経験もあって、笑顔でハツラツと動き、相手レスラーたちと技を掛け合っていく。光明も聡美も、基本的な投げ技や受け身をしっかりこなしながら、観客を意識したアクションを増やしていった。 だが―― 盛り上がらない。 客席の反応が、前回とは明らかに違った。 通常のアマチュアプロレスとしては、それなりに技が決まり、試合も進行している。しかし、観客の熱気がいまひとつ伝わってこない。特に、一部の男性客たちはどこか物足りなさそうな雰囲気を漂わせている。 (……なんで、こんなに静かなんだ?) 光明は違和感を覚えながらも、試合を続ける。 理由は簡単だった。 前回の試合の盛り上がりは、聡美の恥ずかしさや、意図せず艶めかしく見えてしまった動きが大きく影響していた。観客の中には、あのときの試合の“再現”を期待していた者も少なくなかったのだ。 しかし、今回の試合は違う。 聡美の衣装はきちんとサイズが合い、特に際どいシーンもない。 技の展開も前回のような恥ずかし固めなどは一切なく、淡々とプロレスの試合が進んでいく。 それでも、一部の男性客は「その瞬間が来るはずだ」と淡い期待を抱いて注視していた。 だが―― 何も起こらない。 試合はそのまま終盤へと進み、最後は演出的に夫婦タッグの逆転勝利で決着がついた。 そして、試合が終わった。 聡美と光明、そして相手レスラーたちはリングの中央に立ち、互いに健闘を称え合う。全員で一礼し、観客席へ向かって挨拶をした。 しかし―― 起こったのは、わずか数人のまばらな拍手だけだった。 歓声もなく、熱気もない。観客のほとんどが静かに席を立ち、帰り支度を始めている。特に、一部の男性客はどこかシラけた表情を浮かべ、試合を見届けることもなく、無言で会場を後にしていった。 「……え?」 聡美は、何とも言えない感覚に襲われた。 前回は、あんなに盛り上がっていたのに。 確かに、前回はプロレスとしては未熟だったかもしれない。けれど、観客の熱量は確かに感じた。技を決めるたび、歓声が響き、どよめきが起こった。今回は違う。前回以上にしっかりと試合を組み立て、技を決め、正統派のプロレスをしたはずなのに――反応は冷たかった。 (なんで……? 前より良い試合ができたはずなのに、全然盛り上がらない……?) ただの格闘技として見れば、今回の方が確実に完成度は高かった。だが、プロレスはただの格闘技ではない。 前回は意図せずとも、聡美ならではの魅力やパフォーマンスが観客の目を引いた。だが今回は、それがまったくなかった。 (私達……何か間違えた……?) もやもやとした気持ちを抱えながら、聡美と光明は控室へ戻った。 すると、江田が柔らかい表情で二人を迎えた。 「お二人とも、お疲れ様でした。」 その言葉は、まるで「気にするな」とでも言うように優しいものだった。 聡美は軽く会釈をするが、言葉が出てこない。 そんな彼女の様子を見た光明が、いつもの調子で声をかける。 「まぁ、俺たち、よくできたと思うよ! 前回よりも確実に成長してるのは間違いないだろ!」 明るい口調で励ますように言う光明に、聡美は頷いた。 「……うん、そうだね。」 だが、その違和感は拭えなかった。 試合はしっかりとできた。それなのに、盛り上がらなかった。 ――何が足りなかったのか。 その疑問が、聡美の胸に深く刻まれるのだった。 ・・・・・・・・・・。 練習場に戻ると、仲間たちがすぐに二人を迎えた。 「お疲れ! 今日もよく頑張ったな!」 「二試合目ってことで、すごく動きがよくなってたよ!」 彼らは、夫婦タッグとして試合を終えた光明と聡美をねぎらい、明るく盛り上げようとしてくれる。 光明はそれに応じ、笑いながら話を弾ませた。 「いや~、でもやっぱり試合って難しいよな。前より技も決まったし、スムーズに動けたと思うんだけどな。」 「だよな! それに、二人の連携も前よりよくなってたし!」 仲間たちは気さくな口調ながらも、どこか気を遣うように言葉を選びながら励ましてくれる。 しかし――聡美は笑えなかった。 どこか納得がいかない。前回の試合よりも、今回はプロレスとしてしっかりとできたはずだった。それなのに、観客の反応はまるで違った。いや、ほとんど何もなかった。 「……聡美ちゃん、どうしたの? そんな浮かない顔して。」 一人の仲間が、心配そうに声をかける。 「ほら、笑った笑った! ちゃんと試合できたんだから、胸張んなきゃ!」 「そうそう! 大丈夫! 次はちゃんと盛り上がるよ!」 みんなは励ましてくれるが、聡美の気持ちは晴れない。悔しくてたまらなかった。 (次の試合こそは……!) そう強く思いながら、練習を重ねていった。 ――しかし、それから数ヶ月経っても、まったく試合の依頼は来なかった。 以前は、練習場に試合の話が持ち込まれることもあったが、それすらもない。二人は黙々と練習を続けたが、試合の場がなければ、その成果を発揮する機会すらないのだ。 そんなある日、練習後に聡美は江田に尋ねた。 「江田さん、次の試合の予定って……何か入ってますか?」 江田は一瞬、申し訳なさそうな顔をした後、静かに首を振った。 「申し訳ありません。今のところ、そういった予定はないですね。」 その言葉に、聡美は愕然とする。 「……どうしてですか? 前回の試合、そんなに悪かったんでしょうか?」 思わず、声が震える。 江田は少し困った表情を浮かべた。そして、正直に話し始めた。 「……実を言うと、一試合目の時は、非常に好評でした。実は、あの試合を見たイベント関係者から、三ヶ所ほど『うちのイベントでも試合をやりませんか?』というお話があったんです。」 「えっ……?」 聡美は息をのんだ。そんな話があったことすら知らなかった。 「ですが……二試合目の内容を見て、それらの話はすべてなくなりました。」 「…………」 聡美の胸に、鋭い痛みが走る。 「なぜ……? 何が悪かったんでしょうか……?」 江田はしばらく黙っていたが、ゆっくりと口を開いた。 「……プロレスとは、そういうものなんです。」 優しく、だがどこか厳しさを含んだ口調だった。 「いくら強くなっても、技が上手くなっても、それだけでは観客は見てくれません。結局、プロレスはパフォーマンスであり、シナリオがあるものです。それがなければ、ただの技の掛け合いにしかなりません。」 聡美は唇を噛んだ。 「……でも、プロレスは格闘技ですよね? 強くなれば、それだけで評価されるんじゃ……」 「それは違います。」 江田の声が少しだけ強くなった。 「正直な話、私たちはプロレスラーではなく、アマチュアです。そんな私たちが、ただ普通にプロレスをやったところで、観客からすれば面白いものではありません。」 「……」 「プロレスは、ただ行っているだけで人気が出るほど、世間一般に認められている格闘技ではないんです。」 聡美の中で、何かが崩れ落ちるような気がした。 「では……どうすれば……?」 その問いに、江田は一瞬、考えるような表情をした。しかし、すぐには答えず、ただ聡美の目をじっと見つめるのだった。 江田はしばらく聡美の顔を見つめていたが、やがて優しく微笑んだ。 「私はね、プロレスが好きなんです。ただ、それだけです。プロレスが楽しい。だからやる。それで、私は十分なんですよ。」 穏やかな口調で、ゆっくりと言葉を紡ぐ。 「例え脚光を浴びなくても、観客がいなくても、私はプロレスを続けます。好きだからです。だからこうやって、この練習場を開いて、みんなと一緒にプロレスをやっているんです。」 励ますような笑顔を向ける江田。 聡美はその言葉に頷き、無理に笑みを作って返事をした。 「……はい、そうですね。」 だが、その表情からは明らかに納得していないことが伝わった。悔しさが滲み出ている。 ・・・・・・・・・・・・・・続