~ザ・ファブル~「清水ミサキの契約書」 サンプル
Added 2024-11-23 16:00:14 +0000 UTC『ザ・ファブル』 同人作品です。 忠実な再現はしてませんが、ネタバレが苦手な方は避けてください。 前作『~ザ・ファブル~「小島の狙いは清水ミサキ」』も併せてお読みください。 「…逃げられへん。」 自分自身に言い聞かせるように呟きながら、ミサキはその場をあとにした。 時計の針が夜9時を指そうとしていた頃、黒い車がミサキの自宅前に止まった。ヘッドライトが暗闇を切り裂く中、車の窓が静かに下がり、小島の顔が見える。 運転席から軽く身を乗り出しながら、小島は低い声で言った。 「……乗れや。」 ミサキはしばらく躊躇していたが、周囲を気にするように視線を泳がせた後、ゆっくりと車の助手席に乗り込んだ。車内の空気は重苦しく、ドアを閉めた瞬間、その緊張がさらに増した。 エンジン音が響き、車は静かに走り出す。 「よく決心ついたな~。」 小島が口元を歪めて言う。 ミサキはその言葉に返事をせず、ただ小島を睨みつけた。 「おいおい~、そんな怖い目で睨むなよー。せっかくの美人が台なしやろがァ~。」 小島の言葉に、ミサキは悔しそうに目を伏せる。 「まぁ、おまえにとって今の状況は最悪かも知れんが、絶望的ではないで。」 車内に響く小島の声は、どこか楽しげだった。 「なぁ、ミサキちゃん。マラソンと短距離走、どっちが好きや?」 「……どういう意味?」 「デリヘルの話や。一年手伝うって約束やったが、同時にソープも手伝ってくれたら三ヶ月で済むんや。」 ミサキはその言葉に驚きの表情を浮かべながらも、口を閉ざした。 「三ヶ月…」 「そうや。競技を選ぶのはそっちの自由やー。」 小島はあくまで軽い調子で続ける。 「あとで契約書にサインしてもらうからな。印鑑もきっちり押してな。合法的に、正当に、みんなで笑おうや~。」 小島の言葉に、ミサキの唇がわずかに震える。それでも声は出せなかった。 車はやがて小島が住むマンションに到着した。 ミサキは小島に促されるまま部屋へ入り、リビングのテーブルに座らされた。テーブルには契約書とペンが置かれている。 「一年コースか、三ヶ月コースかァー。好きなほうにサインしぃや。ええやん、選べるプランがあるってのは幸せなことやでぇー。」 小島はにやけたままミサキに言った。 ミサキはテーブルに置かれた契約書をじっと見つめ、指先を震わせながらペンを握った。一瞬、躊躇するように手を止めたが、小島が無言で見つめている視線に耐え切れず、ペンを動かし始めた。 ペン先が紙の上を滑り、「清水岬」という文字が契約書に刻まれる。 サインを終えたミサキは、静かにペンを置いた。小島がその書類を手に取り、目を通す。 「……‘三ヶ月コース’か。」 小島は満足げに笑みを浮かべながら言った。 「短距離走が性に合ってるねんなァ~。賢い選択や。」 続きは応援プラン限定