~ザ・ファブル~「小島の狙いは清水ミサキ」
Added 2024-11-16 17:14:27 +0000 UTC『ザ・ファブル』 同人作品です。 忠実な再現はしてませんが、ネタバレが苦手な方は避けてください。 真黒組では、一般人を殺めて15年もの懲役生活を終えた海老原の舎弟・小島が出所する。小島はかつてから喧嘩っ早く、衝動的に行動しては周囲に迷惑をかける厄介者として知られていた。 そんな彼を何とか制御しようと、若頭の海老原は出所後の小島の生活を細かく監視しつつ、トラブルを避けるよう繰り返し忠告していた。 だが、その矢先に海老原が心筋梗塞で倒れ、急遽病院へ運び込まれてしまう。組の重要人物である海老原が不在となり、真黒組の内部には緊張が走る。 一方、海老原の監視がなくなったことで、自由を手にした小島は早速問題行動を起こし始める。 小島は真黒組の幹部であり、風俗業をシノギとする砂川の縄張りに無断で手を出し、店の取り分を横取りしようと画策する。 砂川と小島は昔からの知り合いでありながら、互いに反目し合っていたため、この一件で組内の空気は一気に張り詰める。 表向きは穏やかに見える真黒組だが、水面下では小島を中心にした内紛が静かに火を噴こうとしていた。 そんな中、小島は新たなシノギとしてデリヘルを立ち上げる計画を密かに進め始める。 ただの風俗店ではなく、組の資金源となる一大事業にするつもりで、その「顔」となる看板嬢を探していた。 そこで小島が目を付けたのは、かつて真黒組の手引きで、グラビアやイメージビデオの仕事をこなしていた清水ミサキだった。 清楚な見た目に反して、大胆な衣装や挑発的なポーズで一部の業界関係者やファンの間では「伝説」とも呼ばれる存在だったが、本人はその過去を完全に断ち切り、今は穏やかな生活を送っていた。 ミサキは真黒組の影響から逃れるために、過去の縁をすべて切り、組とは一切の関係を持たないよう注意深く生きてきたのだ。 しかし、組の内部には彼女の過去を知る者も少なからず存在しており、その情報が小島の耳に届いてしまう。 ミサキの存在を知った小島は、「これ以上の目玉はない」と確信し、どんな手段を使ってでも、彼女を看板嬢に据えようと画策する。 小島は舎弟から渡された一冊の写真集を受け取り、ページをめくる。その表情には興味深々とした笑みが浮かんでいた。 「これがミサキか…。へぇ、大人しい顔でこんなことやってたんやな。」 舎弟がすかさず口を挟む。 「どうっすか?これ。結構ギリギリ攻めてるでしょ。AV寸前まで行きかけたらしいんすけど、全裸までは頑なに嫌がって…でもまぁ、スタッフが強引にここまでは撮ったって話で。」 ページには際どい衣装を纏ったミサキが、カメラに向かって挑発的な表情を浮かべる姿が写っていた。 白いランジェリーが肌に密着し、汗ばむような光沢が照明で強調されている。背中を反らし、唇を少し開けたその姿は、見る者に忘れがたい印象を与える。 「今は引退してバイト掛け持ちしてるらしいっすけど、これだけの素材っすからねぇ、まだまだ一花咲かせられるんじゃないかって話も…」 小島はしばらく無言で写真を見つめ、やがて手を止めると不敵な笑みを浮かべた。 「この女、ええやないか。使いようによっちゃ、また伝説作れるな。」 舎弟が得意げに続ける。 「動画もありますよ。ちょっと再生しますね。」 画面に映るミサキは、清楚な顔立ちとは裏腹に、見る者を挑発するような過激な仕草を繰り返していた。薄いシルクのようなキャミソールが体に張り付いており、その下に何も着ていないことが一目でわかる。 ミサキは唇をゆっくりと舌で舐め上げ、その濡れた唇を半開きにして、まるで何かを求めるかのような視線をカメラに向ける。手のひらは自分の太ももを撫で回していく。 カメラが彼女の表情に寄ると、ミサキは指先で唇をなぞり、まるでフェラチオを想起させるように人差し指を口の中に深く差し込んだ。そして目を閉じ、甘い吐息を漏らしながら、ゆっくりとその指を引き抜く。 次の瞬間、彼女は四つん這いの姿勢を取り、腰を大胆に突き出した。肩越しにカメラを振り返るその目は潤み、言葉にはならない欲望を語っているようだった。膝立ちになりながら両手を床について、まるで挿入を求めるように腰を揺らすその姿は、見ている者の理性を試すかのようだった。 「これ、ほんまか?」 小島は声を漏らす。 舎弟がニヤリと笑う。 「間違いないっすよ。清楚な顔して、ここまでやるんですから。ギャップがエグいっすよねぇ。」 画面の中ではさらに、ミサキがカメラに向かって胸を押し付けながら、誘惑するような指先でゆっくりと自分の首筋を撫でている。背中を反らし、薄布越しに肌の曲線をこれでもかと見せつけるその動きに、小島は思わず喉を鳴らした。 ミサキは、薄布一枚の衣装を纏ったまま、大胆なポーズを次々と取っていく。 四つん這いの姿勢から腰を大きく突き上げ、まるで背後から激しく求められているように腰を揺らしている。彼女の髪は乱れ、顔には汗が滲み、頬は紅潮していた。 唇からは断続的に吐息が漏れ、その甘い声が動画の音声を支配する。 「あっ…はぁっ…」という声は、単なる演技を超えた生々しさを帯びている。 カメラが彼女の下半身を映し出すと、わずかに陰毛が覗いているのがわかる。 衣装の薄さが体の動きに合わせて密着し、その形状がほぼ透けて見えている。 ミサキは床に伏せると、自らカメラを挑発するような目で見つめながら、指先をゆっくりと動かしている。 その仕草が、彼女が自分で快楽を追い求めているかのような印象を与えた。 再び体を起こしたミサキは、腰を大きく前後に動かし、まるで見えない相手から激しいピストンを受けているかのような動作を繰り返す。胸を押し付けるように床に伏せる瞬間、その豊かな曲線が強調され、カメラが彼女の表情を映し出すと、唇を噛み締めた後に艶めかしい喘ぎ声が響く。 「はぁっ…あぁんっ…もっと…っ」 彼女の声が画面から漏れるたびに、見る者の想像を掻き立てる。 カメラがさらに寄ると、ミサキの足元の微かな震えまでが捉えられていた。衣装は絶妙に彼女の大事な部分を隠しつつ、しかし周囲を取り囲むディテールを見せることで、逆にその生々しさを際立たせていた。 小島は映像を見終わると、目を細めて不敵な笑みを浮かべた。 「決まりや…」 彼は周囲を見回し、側にいた舎弟に命令する。 「住所、身辺関係、職場、全部調べてこい。抜け目なくやれや」 口調は静かだが、その声には冷徹さが滲んでいた。 数日後の夜、ミサキはバイト帰りにアパートの前で立ち尽くす人影を見つける。街灯の明かりに浮かび上がったのは、小島の姿だった。 彼女は警戒心を隠しきれず、ぎこちなく口を開く。 「…こんばんは」 小島はにやりと微笑みながら、ゆっくりと挨拶を返す。 「こんばんは」 鍵を取り出し、玄関を開けようとするミサキの動きを、小島の低い声が止めた。 「清水ミサキさん、やんな?」 名前を呼ばれ、ミサキは驚きに息を飲む。 「え?…どちら様ですか…?」 すると、小島はさらに一歩前に進み、彼女を見下ろして口元を歪めた。 「川村ミキ? 山川ツバサ? 清水ミサキ?……どの名前で呼んだらええんやろなァ」 過去に使っていた芸名を列挙され、ミサキは困惑を隠せない。 「…ミサキです」 強い口調で答えると、小島はからかうように声を上げて笑う。 「ああ、ミサキさんか。ほな、そう呼ばせてもらおか。でな、急な話で悪いけど…デリヘル、わかるやんな? ああ、デリバリーヘルスや。聞くところによるとバイト掛け持ちしてるらしいけどなぁ、こっちの仕事なら楽に今の10倍は稼げるで?」 ミサキは眉をひそめ、一歩後ずさる。 「…そんな仕事、するわけないでしょ! 誰か知らないけど、帰ってください!」 しかし、小島は動じない。それどころか彼女の過去を知る「黒塩」という人物の話を持ち出し、ミサキの動揺を誘う。 「ほな、クロ…黒塩のことは知っとるよな? あいつが先日、ミサキさんのことかばおうとしてな、大怪我したんや」 ミサキは一瞬、反応に迷った末、訝しげに問い返す。 「…かばうって、どういうこと?」 小島は嘘を積み重ねるように言葉を続ける。 「グラビア辞めた後、AVの話がまた来たんやけどな。あいつが『ミサキさんをそっとしとけ』って言うて揉めて、大怪我してもうたんや」 困惑と恐怖が入り混じった表情で、ミサキは呟く。 「…それって、私には関係ないんじゃ…」 だが、小島はそれを許さないように一歩近づき、目を細めて低く笑った。 「そうはいかんのや。クロの兄貴分としてな、あいつの面倒見たらなあかんやろ?」 ミサキは小島を鋭く見つめながら問いかけた。 「…脅迫ですか?」 小島は驚いたふりをして肩をすくめ、芝居がかった口調で応じる。 「まさか!提案や、提案。持ちつ持たれつって、人は助け合いやろ~?」 彼はポケットから一枚の紙を取り出しながら続けた。 「そこでな、一年契約でウチのデリヘルを手伝ってもらえたら、クロも食いブチに困らんし、ミサキさんも大金を稼げる。ええ話やろ?」 ミサキは睨みつけるようにして一言、きっぱりと言い放つ。 「絶対にやりません!しつこくすると、警察に行きますよ?」 だが、小島は全く怯む様子を見せず、ニヤリと笑って言い返した。 「ええよォ~なんなら署まで乗っけてもらおか~。俺はただのビジネスの話をしてるだけやしな」 彼はゆっくりと声のトーンを下げ、鋭い目つきでミサキを見据えた。 「なぁ、ミサキさん?俺が自分からクロの兄貴分って言うてるって事は、俺がヤクザやって理解してるよなぁ?」 その言葉に、ミサキの表情が一瞬強張る。小島はその反応を楽しむように続けた。 「親、兄弟、バイト先、友達…いろんな方法で、いろんな嫌がらせ。試してみるか?……あ、これは提案ちゃう、脅迫や~」 彼は笑みを浮かべたまま紙切れを彼女に差し出した。 「ほら、俺の連絡先や。ここに書いてある。よかったら電話してな?」 ミサキはその紙を受け取ることすら躊躇ったが、小島は構わず彼女の手の中に押し込むと、背を向けて去っていく。 「明日のこの時間まで待ったるわ。連絡がなかったら、バイト先かどこかに顔出すからな~」 軽い調子で言い残しながら、小島は暗がりの中へと姿を消した。 ミサキはしばらくその場に立ち尽くしていたが、ようやく鍵を開け、自宅に入る。 ドアを閉めた後も震える手を押さえられず、紙を床に投げ捨てるように放り出した。 部屋は明かりもつけられず、ただ暗闇が広がる。ミサキはソファに座り込み、両手で顔を覆った。 小島の声が頭の中で繰り返し響く。 『一年契約でデリヘル』 『いろんな嫌がらせ』 彼女は顔を上げ、固く唇を結んだ。 「…一年…やってたまるか…」 その言葉は、小さく震えながらも確かな決意を帯びていた。 翌日、ミサキは何事もなかったようにオクトパスでの勤務をこなしていた。しかし、どこか落ち着かない表情を隠しきれないまま、周囲と軽く会話を交わしながら仕事を続けていた。 その日、アキラが描いたイラストが先方の会社から正式に承認されたとの報告が入り、時給も900円に上がることが決定した。これを聞いたミサキは、すぐにアキラに声をかける。 「佐藤くん、おめでとう! 本当に良かったね! ほんなら今日はそのお祝い兼ねて、アタシがご飯奢るわ!」 アキラは一瞬驚いた顔をしながらも、そっけなく答えた。 「別にええわ、そんなの」 それでもミサキは食い下がる。「いやいや、これは私のお礼でもあるんよ。あのイラスト、手伝ってくれたおかげで完成できたんやし、オゴらせてよォ~。」 すると、近くで話を聞いていた社長の田高田が、豪快に笑いながら割り込んできた。 「ええやないか佐藤ォ!せっかくのミサキちゃんの気持ちや、奢ってもらえー!!」 結局押し切られる形で、アキラは渋々ミサキの提案を受け入れることに。ミサキは心の中で安堵しつつ、仕事終わりに二人で出かけることを楽しみにしていた。 夜、二人は居心地のいい小さな居酒屋に足を運んだ。料理が次々と運ばれる中、ミサキはアキラに感謝を伝えつつ、仕事の話や趣味の話で盛り上がった。だがその一方で、昨晩の出来事が頭をよぎり、どこか心の奥底で不安がくすぶっているのを感じていた。 アキラはふと真剣な表情を見せ、ぽつりと言った。 「それより…なんか、そっちも複雑そうやなァ。」 「…え?」 ミサキは意外そうにアキラを見つめた。 「いつもとなんか違う感じがする。俺で役に立つかわからんけど、仕事紹介してもらった借りもあるし…何かあったら力になるぞ。」 その言葉に、ミサキは一瞬戸惑いながらも、微笑んだ。 「変な勘ぐりやめてよ~もう~佐藤くん。それより山とか森の話、もっと聞かせてよォ~。」 アキラは真顔で「オモロイか?そんな話」と答え、二人は再び和やかな雰囲気に戻った。 ミサキはその短いひとときで少しずつ心の重荷を下ろしていった。しかし、昨晩の恐怖は完全には消え去っておらず、これからどうするべきかを考え続けていた。 食事を終え、ミサキはアキラと別れを告げて帰宅した。 短いながらも気分転換になった時間を思い出しつつ、すぐに夜からのバイトの支度に取り掛かる。 「さて…準備して行こか。」 鞄を手に取り玄関を出ようとした瞬間、携帯電話が振動した。ミサキは画面を見てバイト先からの着信に気づき、すぐに応答する。 「もしもし?あー今から出るトコです。」 しかし、返ってきた声はミサキの想定外だった。 「ミサキちゃん、急やけど、今日休みにしてもらえる?」 「え?どういうことですか?」 バイト先からの声は明らかに重苦しく続いた。 「実はな…店長がさっき通り魔みたいなやつに襲われてな、病院に運ばれたんや。」 「えっ!店長が!? そ、そんな…大丈夫なんですか?」 「今入院してるけど、命に別状はないみたいや。ただ、お店も今日は休みにしたほうがええやろってことでな。」 その言葉を聞いた瞬間、ミサキの脳裏に浮かんだのは、昨晩の小島の顔と言葉だった。 (まさか…) ミサキはその場に立ち尽くしながら思い悩んだ。しかし、すぐに決意したように家の中へ戻り、昨日渡された紙を掴むと、記載された番号に震える指で掛けた。 数コールで電話が繋がり、小島のにやけたような声が耳に飛び込む。 「おォー、今晩電話あるような気ィしてたんやァ~ミサキちゃん~。」 ミサキは抑えきれない怒りを込めて問い詰めた。 「どういう意味ですか?」 「聞いたままや。なんか予感がしたんや。」 「アタシのバイト先の店長が誰かに襲われて病院に運ばれました。…あなたがやったんでしょ!?」 一瞬の沈黙の後、小島はとぼけた声で返した。 「えぇ~マジかよ~?俺は今日はずっと事務所で仕事してたで~アリバイもバッチリや。それにしても、そんなヒドイ奴おるんやなァ。かわいそうになぁ、店長さん。」 「ふざけないで!どうせアナタが誰かにやらせたんでしょ!?」 小島の声色が一転し、薄笑いを含んだ冷たい響きに変わる。 「オイオイ、変な妄想やめてくれや~。俺は無関係やで。でも…その妄想が現実にならんとは言い切れんわなァ。」 ミサキは息を飲む。小島の声がさらに低く、不気味に響いた。 「まぁまぁ、元気だせや。なァ?“最悪の事態”は、まだこれからやってくるんやから~。」 震える声を抑えながら、ミサキは叫ぶように言った。 「何されても、絶対にデリヘルなんかしません!絶対にしないッ!!」 小島は笑い声を抑えきれず、軽薄な調子で返した。 「おうおう、わかってるって~。俺はただミサキちゃんの連絡を待つだけやで。チンコ咥えたくなったら、いつでも電話してや。顔射のサービスも特別につけたるわ~。」 ミサキは全身に寒気を感じながら、怒りと恐怖に震えた手で電話を切った。 暗い部屋の中、ミサキはしばらく電話を握り締めていたが、やがてゆっくりと深呼吸をした。 「…絶対に、あんな奴の言うことなんか聞いてたまるか…。」 その呟きは、小さな震えを含んでいた。 ほとんど眠れぬまま、ミサキは翌朝オクトパスに出社した。その顔には疲労の色が隠せなかったが、何事もないかのように振る舞おうとしていた。 一方で、アキラはミサキより早く出社していた。デスクに荷物を置きながら、周囲を見回す。 「おはよーございます。」 軽く挨拶を済ませた後、ふと気づいたように口を開いた。 「あれ?社長は?」 近くにいた貝沼が答える。「いないよ。」 その瞬間、オフィスの扉が開き、ミサキが姿を見せた。 「あーおはよ佐藤くんー。」 アキラが返す。 「おはよー。」 続いてミサキは貝沼に視線を向けた。 「貝沼くん、おはよー。あれ?社長は?」 貝沼は少し間を置きながら答えた。 「いないよ。昨晩、病院に運ばれたって。」 「えっ?」 ミサキの表情は驚きに染まる。 貝沼は説明を続ける。 「昨日の深夜、社長が酔って帰る途中で通り魔に襲われたらしいんだ。倒れてるところを通りかかった人が見つけて、救急車を呼んでくれたんだって。幸い早めに見つかって、大事には至らなかったみたいでさ。すぐ退院できるらしいよ。」 ミサキの顔色がどんどん険しくなり、心の中では小島の姿が再び浮かび上がっていた。 その様子を見て、貝沼が少し声を落として尋ねた。 「…ミサキちゃんさ、なんかコワイ人とかとトラブルあったりしてない?」 「え?」 ミサキは一瞬戸惑い、思わずアキラに目を向けた。 アキラがいつも通り冷静な表情で、貝沼に尋ねる。 「なんでそう思う?」 貝沼はしばらく言葉を詰まらせた後、急に早口で答えた。 「だってさ!ミサキちゃんの別のバイト先の人も同じような目に遭ってるし!」 その発言に、アキラの目が鋭さを帯びる。 「それは、誰に聞いた?」 質問の勢いに圧され、貝沼は明らかに動揺した表情を浮かべる。 「あ、あの店は…俺もたまに行くし…だから、なんとなく聞いたんだよ!」 しかしその答えは、アキラの疑念を完全に拭うことはできなかった。 貝沼は内心の焦りを隠すため、無理に笑顔を作りながら場を取り繕おうとする。しかしその裏で、彼の心臓は早鐘を打っていた。 (やべぇな…バレてるわけじゃないよな。でも佐藤のやつ、勘が良すぎる…) 実は貝沼は、以前からミサキに異常な執着を抱いていた。 彼女の部屋にはこっそり盗撮機や盗聴器を仕掛け、すでに小島とのやりとりやトラブルの詳細も把握している。 その情報はともかく、ミサキの映像で何度も自慰行為を行い、すっかり彼女を自分のものにしたいという気持ちを募らせていたのだ。 貝沼の瞳の奥には、狂気じみた執着の色がかすかに浮かんでいた。 場の空気は張り詰めたままだった。貝沼は言葉を選ぶように、ゆっくりと続けた。 「コレってさ…偶然にしては出来すぎてると思わない?」 ミサキは一瞬言葉を詰まらせ、視線を泳がせた後、か細い声で答えた。 「ゴメンなさい…」 アキラが口を開く。 「なんで謝る?」 ミサキは答えず、ただうつむいて繰り返した。 「…ゴメンなさい…」 それ以上何も言えなかった。 打ち明けるべきだとわかっていながらも、その勇気はどうしても出てこなかった。胸の奥に重く沈む秘密が、ミサキの口を閉ざし続けた。 数秒の沈黙が続いた後、ミサキは静かに言った。 「ちょっと…出てきます…」 アキラは何も言わずに見送ったが、その目はミサキをじっと追っていた。 貝沼もまた、その背中に不気味な視線を投げかけていた。 会社を出たミサキは、震える手でバッグから携帯を取り出した。 何度もためらいながらも、ついに小島の番号を押し、耳に当てる。 数コールの後、あの嫌な声が聞こえてきた。 「あ~また電話くれたんやなァー。」 ミサキは無言のまま、携帯を握りしめる手に力を込めた。 小島はさらに挑発するように続ける。 「電話くれたってことは、チンポくわえたくなったって事でええんかァ~?」 ミサキは震えながらも何も言わなかった。その沈黙を楽しむかのように、小島は口調を変えず言い放つ。 「……夜9時に迎えに行く。マンコも使うかもわからんから、しっかり濡らして待っとけよ~。」 その言葉に、ミサキの中で怒りと恐怖が入り混じりながらも、何も返せなかった。ただ、電話を切るタイミングすら見失い、小島の低い笑い声を聞きながら携帯をゆっくりと閉じた。 電話を切った後、ミサキはその場に立ち尽くしていた。冷たい風が頬をかすめる中、頭の中で小島の言葉が何度もリフレインする。 (どうしたらいい…誰に言えばいいの…?……佐藤くん……) 助けを求めるべきだとわかっていても、恐怖がすべての行動を阻んでいた。ミサキは深く息を吐き出し、ぎゅっと拳を握り締めた。 「…逃げられへん。」 自分自身に言い聞かせるように呟きながら、ミサキはその場をあとにした。 ・・・・・・・・・・・・続