「次が、5個目か。いよいよ最後だな……」 「はい……これが終われば、きっと出られるはずです」 凛とリトは、未だ気まずい空気が互いの間に流れつつも、ようやく終わりが見えたこの監禁状態からの脱出に意識を向けていた。 始めのうちこそリトと凛の二人で抱き締め合ったり、凛が胸を使ってリトに奉仕したりと、二人で良い雰囲気になっていたのだが、後半は校長が凛の身体を好き放題弄ぶことを許してしまった。 ベッドから聞こえた凛の嬌声が、今も耳を離れない。 スッキリした表情で口笛など吹いている校長は、ようやく部屋から出られるかもしれないということも、大して気にしていないようだった。 「ああもう……最後のお題はまだかよ!」 リトが虚空に向かって吠える。 すると、それに合わせたかのように、暗い画面にパッと文字が表示された。 ――『最後のお題は【女性が一人男性を選び、満足するまでセックスする】です』―― 告げられた最後の指示。それは、これまでで最悪の物だった。 「セ……セックスって……」 あまりにも直接的な内容に、リトは言葉を失う。 その後ろで、中年太りした丸い男が両手を胸の前で握って叫ぶ。 「うおおおっ! これはああ、まさに最後にふさわしいお題じゃないですかああぁぁぁ!」 これまでの傾向を考えれば、遂に来たとも言える。――いや、リトが知らないだけで、一つ前の指示にも同じ様なことが書かれていたのかもしれない。 だが、先程と確実に違う点と言えば――。 「私が、男性を一人選ぶだと……?」 【女性が一人男性を選び】――つまり、リトか校長のどちらとセックスするかを、凛自身が選べと言っているのだ。 それが、女性の意思を尊重してのことだとはとても思えない。 「なーるほど、なぜ女の子は九条さん一人なのに、男はわしと結城くん二人いるのかと思ってましたが……。最後に一人を選んで、どちらが九条さんにふさわしいのかを決めさせるためだったんですな!」 得心がいったという風に、校長が腕を叩いて頷く。 もし本当にそのために男が二人なのだとしたら、やはりとんでもなく悪趣味な趣向だ。 「いやあ、わしばかり九条さんとイイコトしてしまうのは申し訳ないですねぇ」 「オイッ! なんでアンタが選ばれると思ってんだ!」 普通に考えれば、凛が校長を選ぶとは思えない。 リトと随分良い雰囲気にまでなったというのもあるが、このセクハラ中年親父を彼女が選ぶ理由が無い。 凛も当然そう思っているはず。リトはそう確信していたのだが……。 「私は……どちらか一人を選ぶなんて……」 凛はすぐに答えを出すことなく、躊躇っている様子だった。 どちらか一方を除け者にすることを嫌っているだけだとは思うが、先刻までの凛ならば、校長相手ならすぐさま拒絶しそうなものなのだが……。 その心境の変化に違和感を覚えながらも、凛の答えを待つ。 「九条さんは、結城くんよりわしを選びますよねぇ? もうわしの身体にメロメロなんでしょう? 分かっていますぞ!」 「そ、そんなはず無いだろう……! 調子に乗るな!」 「えぇ~? 九条さんだってさっきはあんなに乱れてたのにぃ?」 「あれは……また、別の話だ……」 凛は顔を赤面させ、横を向く。 その様子も、先程までの校長への態度とは少し違うように見えた。 ピコンッ。 そうして凛が迷いを見せていると、出題画面に追加の文章が現れた。 「え?」 三人が振り向き、その画面に視線を注ぐ。 ――『女性は、男性二人のペニスを見比べて、セックスする相手を選んでください』―― 「は……?」 「なっ、なんだそれは……!」 「ほぉ~~!」 追加の条件に、リト、凛、校長がそれぞれ反応を示す。 「そんなこと出来るか……! 私のことを、何だと思って……!」 凛が怒りにわなわなと震える。 二人のペニスを見比べることなど、普通ならばする筈のない行為だ。その怒りももっともだろう。 だが、そんな凛の態度とは違い、校長はやる気満々という風だった。 「いいですねえ! これは面白い、ぜひやりましょう!」 「こいつ……乗り気すぎだろ」 まるで自分が負けるとは思って無さそうな、その態度が癇に障る。 が、普通に考えれば凛が選ぶのはリトなのだ。そう考えれば、余計な羞恥はあるが、勝負になっても負けるとは思えない。 「ほ、本当にするのか……? いや、これも仕方ないことなのかもしれないが……」 凛が、頭の中で葛藤しているのが手に取るように分かる。 だが、校長に押し切られ、結局は指示に従うことになってしまった。 校長に押されるようにベッドへ腰掛けた凛が、困惑した表情で二人の男を見上げていた。 校長の好色そうな表情と、リトの少し不安そうな瞳を見比べている。 リトはベッドの上に立ち、股間を凛の顔辺りに持ってくるようにして、顔を羞恥に赤くしていた。 凛には一度見せたとはいえ、こうしてまた自分の最も恥ずかしい部分を晒すというのは、やはり勇気がいる。 だが、ここで画面の指示通りにしなければ、また自動的に校長が凛の相手に選ばれると言われることだろう。 やるしか無いと自分に言い聞かせ、リトは履いていたズボンのベルトに手を掛けた。 「すみません、先輩……っ!」 リトは謝罪しながら、凛の前に己の恥部を曝け出した。 恥ずかしがりつつも、このシチュエーションに興奮し勃起したペニスが、トランクスのゴムからこぼれ落ちるように飛び出た。 「……っ。結城の……もう、大きくなって……」 「う……」 凛の視線が、リトの勃起した陰茎に向けられる。 こんな場所で、美少女に自分のペニスをまじまじと見られれば、反応してしまうのも当然だ。 これで、凛がリトとの性交を選んでくれれば……。 しかし、問題はもう一人、面白そうに下半身を晒すリトを見物する男の存在だった。 「ほぉ~、なるほどなるほど……。では、次はわしのオチンポを見て頂きましょうか」 そう言って校長は、ズボンをパンツごとズリ下ろし、中からビンッと勢い良くペニスが飛び出させた。 それを目の当たりにして、リトの身体が固まる。 (な……なんだよ、あれ) それは、明らかに自分のものとは違った形をしていた。 腹に反り返る程勃起した肉棒は、カリ首がまるでキノコの笠のように大きく張り出し、その先端は臍の当たりにまで達している。 竿の根本まで幹は分厚く、睾丸もずっしりと重量感がある。全体的なサイズは、リトのモノの倍以上あるように見えた。 見たことのない存在感を放つその巨根に、リトは思わず怯んでしまう。 凛もまた、その逞しいペニスに目が釘付けになっていた。 「ぅ、お……。やはり、なんて大きさだ……」 眼の前に差し出された、校長のペニスを見つめる凛。 だがその瞳の色は、醜悪な陰茎に気圧されているというよりも……。 「どうですか、わしのオチンポは! この自慢のイチモツで、九条さんのオマンコ、ズコバコしてあげますよ~!」 「こ、これで……私のアソコを……」 凛はそのいきり立ったペニスを見つめたまま、ほおを赤らめている。 その表情はまるで、熱く煮えたぎった肉棒に、心惹かれているようにも見えた。 「先輩……?」 リトの呼びかけに、凛はハッとして肩を揺らす。 「あ、あぁ……すまん。これを……比べるんだったな……」 言って、美少女の顔の左右に並べられた二本の男性器へ、交互に視線が巡らされる。 「その、どうですか、先輩。俺の……」 「う、うん……結城のは、汚らしさがあまり無くて、良い……と思うぞ? 形も、可愛いしな」 褒められているのか微妙な物言いだったが、その言葉には確かな親愛が含まれているのを感じた。 だが、その反対。校長のペニスへ向ける凛の視線は、それとはまったく違う表情を映していた。 「校長、先生のは……大きくて、長くて、グロテスクで……」 その目は熱を帯び、竿の根本から先端までをじっくりと観察している。 鼻先へ触れるほどにペニスが近づけられると、凛は反射的に鼻をすんと鳴らして、ペニスからむわりと放たれた臭気を嗅ぐ。 「匂いも……す、すごい……。こんなモノを挿れられたら、おかしくなってしまう……」 「思い出しちゃいますよねえ? 九条さんの初めてを奪ったこのオチンポの感触が、忘れられないんでしょう?」 「……っ! 思い出させるな……っ。思い出してしまったら、私は……」 凛の意識が、より大きなペニスのほうに傾いていくのが分かる。 艶めかしいその表情は、リトに向ける顔とはまるで違っていて……。 「さぁさぁ、どちらのオチンポを選ぶんですか? 早く決めないと、結城くんのが萎えてしまいますよ!」 「俺は……」 堂々と己の巨根を見せつける校長に対して、リトの陰茎はあまりにも貧弱に見えた。 角の大きさで雌へ求愛する動物や昆虫と同じだ。 より大きく、逞しい方を雌は選ぶ。その事実を突きつけられているかのようだった。 「私が、選ぶのは……」 凛が、躊躇いながらゆっくりと唇を動かす。 不安に見つめるリトと視線が合ったが、凛はすぐ気まずげに目を逸らした。 「こ……こっち……」 白い手が、選んだペニスの方へ伸びる。 それを見た瞬間、リトは頭を殴られたような衝撃を受けた。 凛の靭やかな指は、どす黒く醜悪で、パンパンに膨らんだ校長の睾丸に添えられていた。 「そんな……」 「すまん……結城。お前のことは好きだが……こればかりは……」 凛は肉欲に負け、校長のペニスを選んだことを恥じているように俯き、声を萎ませた。 一方で、選ばれた側――校長は、その巨根をビクンッ、ビクンッと脈打たせながら、満面の笑みを浮かべて喜びの声を上げた。 「うひょほほお~~っ! 分かってましたよぉ九条さん! アナタなら絶対にわしを選んでくれると! 何と言っても、ついさっきあれほど熱く愛し合ったばかりですもんねえ!」 校長の肉棒が、歓喜からか更にビキッと膨張する。 凛は校長に抱きつかれ、その固く勃起したペニスを押し付けられて、もじもじと太腿を擦り合わせていた。 あの股間から腕が生えているのかと見紛うような巨根に、自分は負けたのだとリトは痛感する。 嫉妬に脳が焼かれるような感覚を覚え、暴れたくなる衝動をこれ以上惨めにならないように抑え、リトはベッドに拳を打ち付けた。 「そんなに落ち込まないでください結城くん! キミはまだ子供なんですから、肉体的なことで大人に敵わなくても当然なんですよ!」 こちらを気遣うような校長の言葉がまた気に障る。 惨めな敗北感に、リトは打ちひしがれるのだった。