最近ホムラの様子がおかしい。 そう感じたのはいつからだったか。しかし、確かにこの所ホムラには元気が無いことをヒカリは気づいていた。 鈍感なレックスは気づいていないようだが、食事中や、或いはその片付けの時など、ふとした瞬間いつも明るいホムラが不意に暗い顔を見せる。 特に、他人には言いづらいことだが、レックス、ホムラ、ヒカリの三人で夜の営みを行っている時、ホムラはどこか申し訳無さそうな、辛そうな表情を浮かべることが増えていた。 戦闘等は問題なくこなせるので、体調の問題という訳でも無さそうだ。 もう一人の自分とも言えるホムラの異変が、ヒカリはどうしても気になって仕方なかった。 天の聖杯の片割れとはいえ、今は独立した存在として生きているのだから、あまり詮索するべきでは無いかもしれないとも思ったが、友人として、家族として、心配するのもまた当然であるとヒカリは考えていた。 そういった訳で、今ヒカリは街中でホムラの跡をつけていた。 と言っても、なにも別に初めから尾行していたわけではない。 昼間ヒカリが外出していると、偶然ホムラを見かけたのだ。 それだけならば何とも思わないが――問題は、ホムラがレックスとは別の男と歩いていたことだ。 俯きながら、最近時折見せる暗い顔を更に暗澹たるものにして、男に歩調を合わせるようにして並んでいる。 そこにただならぬ雰囲気を感じ取ったヒカリは、ここ最近のホムラの異変の原因が分かるかもしれないと、二人の跡をつけることにしたのだ。 尾行すること十分ほど。ホムラ達は人気のない路地裏へと進んでいた。 備考の際に気づいたが、ホムラと並んで歩いているのは、以前傭兵団に依頼を出してきた男だ。 もしかすると、また依頼の話を持ち掛けに来たのかもしれない。それならば他人に聞かれないよう、辺りに人がいない場所を探しているのも理解出来る。 だが、もしそうでは無かった場合――――。 ヒカリは、その先を考えないようにして、二人にバレないよう自分も路地裏へ進んだ。 路地裏の先には小さな公園のような場所があり、その奥にある簡素な小屋へホムラ達は入っていった。 やはり、嫌な予感がする。 ヒカリはどうするべきか暫く迷ってから、周囲に他の人間の目が無いか確認して小屋に近づいた。 正面からドアを開けるわけにはいかないので、小屋の後ろに回って中が伺える場所を探す。 盗み見のような形になってしまうが、ただ依頼の話をしているだけなら、ヒカリが聞いても問題は無いだろう。 やがて備え付けられた窓を見つけ、こっそりと中を覗き込む。 小屋の中はシンプルな作りで、テーブルとベッド、そして最低限の食事が用意されているのみだった。 ホムラ達の姿は見えない。とはいえどこかに消えたはずはない。角度的にこの位置からでは姿が見えないのだろう。 ヒカリはこそこそと窓ガラスを覗く位置を変えながら、部屋の中のホムラを探した。 すると、ベッドの端に依頼主の男が腰掛けているのが見える。 「――ホムラは……」 近くにいるはずのホムラを探し、もう少し深く見えるよう首を伸ばす。 そうすると、やはり男の前に立つ赤髪の少女を発見することが出来た。 だが――。 「なっ……!?」 ヒカリは驚愕に目を見開く。 男の前に立つホムラは、その美しい肢体に何の衣服も纏わない、裸の姿で立たされていたのだ。 「なによ、これ……!?」 あり得ない状況に混乱するヒカリ。 ――無理矢理脱がされた? いや、ホムラならこんな男に力づくで襲われることなど無いはずだ。 ならば、自ら進んで裸体を晒している? まさか――あのホムラが浮気? いや、それこそあり得ない。何か理由があるはず。 様々な考えが脳裏を過り、上手く纏まらない。 「……!」 そうしている間にも、男が立ち上がり、裸のホムラを抱き寄せた。 そのまま、荒々しく唇を奪う。 ホムラは男を振り払おうとはせず、そのキスを受け入れていた。 「嘘……」 それは明らかなレックスに対する不貞行為。 キスをし、舌を絡ませ合う男女を、ヒカリは呆然と眺めていた。 共にレックスを愛すると決めた半身が、別の男に身体を許している。 それはレックスのみならず、ヒカリに対しても明確な裏切りだった。 「どうして……」 男に唇を貪られるホムラは、びくっと肩を震わせながら、されるがままになっている。 レックスとする時とは違う、乱暴で激しいキス。 あんな風に熱っぽく舌を入れられて……強引に雌の本能を刺激して欲情させられている。 唇を合わせながら、男はホムラの肢体に手を伸ばした。 ヒカリと同じく抜群のプロポーションで豊かに育った乳房が、ゴツゴツとした指で無遠慮に揉みしだかれる。 乳頭をカリカリと爪先で擦られながら同時に口内を蹂躙されて、ホムラの表情がどんどん険しい物から蕩けた物に変わっていくのが分かった。 暫く互いを味わい尽くし、やがて唇が離される。 はぁはぁと荒い息遣いになっているホムラを、男がベッドに押し倒した。 男は少女を四つん這いにさせると、その背後で焦れったそうにズボンを脱いでいく。 そうして、女体と繋がるための器官を見せつける。 その肉竿の太さも長さも、ヒカリが初めて見るサイズだった。 遠目でも、少年であるレックスとは比べ物にならないのが分かる。 「あ、あんなに大きいの……?」 男はそのペニスを、眼の前の臀部にペシペシと打ち付ける。 四つん這いで裸体を晒すホムラの秘所からは、一筋の蜜が滴り落ちていた。 ぐりぐりと、尻肉に竿を押し当てて焦らす男。 ホムラは羞恥心に染まった視線を後方に向けて、小さく口を何度か動かした。 声は聴こえなかったが、それが挿入を強請る言葉であることは明白だった。 愛する恋人を迎えるはずだった場所に、別の、大人の肉棒が我が物顔で押し入っていく。 「……んあああぁぁっ!」 ぐんっと男が腰を突きだすと、ホムラの嬌声がこちらにまで響いた。 あの長く太いペニスが、根本まで秘所に埋まっている。 いったいどれ程の衝撃なのか、子供サイズのモノしか知らないヒカリには想像出来ない。 「あああっ、ンああっ!」 まるで殴打されているかのように苦悶の声を上げるホムラ。だが、実際はそれは苦しみに悶えているわけではない。 「はぁん……っ、あっ、あっ、やめ、てぇ……🖤」 苦悶の声には徐々に艶色が混ざり、喜悦の表情を見せ始める。 その雰囲気からして、この男との性行為は初めてではないだろう。 バコバコと男はリズム良く腰を振っている。その度にホムラは嬌声を上げ、髪を振り乱し、律動に合わせて身体を前後させ、乳房を揺らしている。 そこにいるのは、穏やかで優しいお姉さんでも、天の聖杯の力を持つブレイドでもなく、交尾を行う一匹の雌だった。 「なんなのよ……そんなチャラついた男がいいって言うのホムラ……?」 いつもとは違う顔を見せるホムラに、ヒカリはイライラが募っていく。 まるで、自分とレックスとの行為まで否定されているようで。 そう感じさせる程、ホムラ達のセックスは余りにも本物だった。 「ん゛〜〜〜〜〜〜〜っ🖤🖤」 ホムラが、ビクンと大きく痙攣して呻るように喉を絞り上げる。 愛液が吹き出し、ベッドシーツを汚す。 「……ぇ、も、もうイッたの?」 まだ繋がってから数分だというのに、派手に絶頂に至ったホムラを、信じられないという目で見るヒカリ。 いつもなら、ホムラや自分がイクには数十分間は掛かるのに。 経験人数の少ないヒカリには、それがあの男のテクニックが特別凄いのか、レックスがまだ未熟だからなのか判別がつかない。 「ひゃあっ!? あああっ🖤 イキましたっ、もうイキましたああああっ🖤」 ホムラの絶頂後も、男は彼女を気遣う様子もなく、むしろ更に激しくピストン運動を繰り返していく。 「ひうぅぅぅぅンッ🖤🖤」 尻肉をバチンッと叩かれ、ホムラが小娘のように情けない声を出す。 こんな風に乱暴に扱われても、やり返せず、怒ることも出来ないホムラの姿に、天の聖杯としての矜持は欠片も残っていなかった。 「ぉうっ🖤 なかっ……グリグリぃぃ……🖤 おぐ、レックスじゃ届かない場所まで、おちんちん来てますぅぅぅ🖤🖤」 あの子宮まで届きそうな長いペニスで膣奥を叩かれて、ホムラは泣きそうな顔でよがる。 そんなに、良いのだろうか。 大人の――、本物の雄の交尾は。 「…………ん、ぅ」 ヒカリ、口内に溜まっていた唾を飲み込んだ。 見ていられない状況だというのに、目が離せない。 頭は怒りを覚えているはずなのに、身体を二人の行為に充てられて、甘い疼きを訴え始めている。 「くっ……そぉ……」 疼きを鎮めるため、ヒカリは自分の下腹部に手を伸ばし、秘所をくちゅくちゅとイジりはじめた。 「もう……何よ……これじゃあ、私が覗きみたいじゃない……っ」 大切なホムラが犯されている姿を見て股を濡らしている浅ましい女――それが今の自分だとは思いたくない。 だが、割れ目をなぞり、クリトリスを触る手は止められない。 それもこれも、視線の先の二人が交尾を止めないのが悪いのだ。 だから私は悪くない。 そう自分に言い聞かせ、ヒカリは窓の奥の光景を食い入るように見つめながら、熱い息を吐いて火照った身体を慰めるのだった。 「ダメっ、ダメダメダメっ、止まってくださ――あぁぁン🖤」 「……ふぅ、ふぅ、ホムラ……んぁ🖤」 ホムラの喘ぎに連動するように、ヒカリも秘部に埋めた指を動かしていく。 背徳的な快楽。 しかし、明らかに男女の交わりには劣る快感に、満ち足りない思いが募っていく。 「はっ……はっ……ぁ🖤」 惨めで恥ずかしくても手の動きは止められない。 ホムラの叫ぶような喘ぎ声が、ガラスの奥から絶えず耳に届く。 「やあっ、ああんっ🖤 んは、は、ぐうぅぅっ、おォン🖤」 筋肉質な男が腰を思い切り叩きつけ、ホムラの豊満な胸や肉付きの良い尻肉が大きく揺れる。 その迫力のあるセックスは、ヒカリには余りにも目に毒だった。 レックスとこれまで何度も交わり、経験はあるはずなのに、まるで処女の乙女に戻ったような気持ちになる。 「う……オォっホォ……🖤 んぐうぅぅぅっ🖤」 ばるんばるんと胸を弾ませながら、後背位でホムラは犯される。 長いペニスが子宮口を叩きつけ、凄まじい衝撃が下半身を襲っているのが遠目にも分かった。 「くぅ……ん、んっ🖤」 ――あんな風に……自分も。 いつしかヒカリの眼差しには羨望の色が混じり、ぎゅっと親指を歯で噛み締めた。 男はホムラの脇腹辺りをガシッと掴み直すと、一際強く腰を臀部へ打ち付ける。 「ひいぃぃぃっ🖤 お、おぐっ、オマンコひらく、オマンコおかしくまりますうぅぅぅ🖤🖤」 強烈なピストンに、ホムラは背筋を反らせて涎を滴しながら狂乱する。 「す、ご……。あんなの……もう……ン、ンぅぅ……🖤 気持ち、いぃ……🖤」 追い詰められていくホムラと同じように、ヒカリも頂点まで高ぶっていった。 自分があんな風に犯されているのを妄想しながら、付け根まで挿入した中指をかき回し、親指でクリトリスをグリグリ押し付ける。 「アッ、アッ、イクッ、またイキますっ、らめ🖤 イっひゃいますッ🖤」 「くっ🖤 ぅ、うぅ……ンっ、くっ、ふうぅぅん🖤」 荒々しい前後運動の終わりに、男はホムラにのし掛かるようにして思い切り密着し、ぐんっ、と腰を押し付けた。 「ンハァああああああっっ🖤🖤」 「ふっ、くうぅぅ~~…………ッ🖤🖤」 男の精液を受け止めながらホムラがイキ果てると同時に、ヒカリも一人絶頂に震えていた。 怒りも羞恥も罪悪感も、この一瞬は溶けて消える。 それはきっとホムラも同じで、窓越しに見る蕩けた顔がそれを証明していた。 「ふー……んふー……🖤」 愛液でべちょべちょになった指を眺め、息を吐く。 二人の方を見ると、ようやくペニスを引き抜かれたホムラは、秘所からドロドロした液体を垂れ流して、びくんびくんと小さく桃尻を跳ねさせながらベッドにうつ伏せで倒れていた。 同じタイミングで絶頂を迎えたというのに、随分と残った体力には差があるようだ。 だが、その一方で射精終えた男の方は。 「うそ……まだ、大きい……?」 一度精子を吐き出したというのに、未だに萎えない絶倫の竿が、誇らしげに女の汁を纏っている。 男はぐったりと倒れているホムラの髪を掴んで持ち上げると、そのまま唇を強引に奪った。 キスしたまま、再び肉棒を秘所に当てていく。 ホムラは唇を奪われたまま泣きそうな顔で首をふるふると横に振ったが、男は当然それを無視する。 「ん゛ん゛んんん~~~ッ🖤🖤」 口を塞がれたまま再度挿入され、ホムラは快感に喉を震わせた。 体位を変え、抱き合うような体制で交わり始める二人。 殆ど男が一方的に動いているように見えるが、ホムラはもう気持ち良くてどうしようもないといった様子だ。 あれではもう、レックスへの罪悪感を感じている暇もないだろう。 本当なら浮気を止めるため小屋の中に踏み込んだりするべきなのかもしれないが、一度その行為に魅了され自分を慰めてしまったヒカリは、もうこの場から離れることが出来なかった。 それから一時間程たち、満足した男はようやくベッドから降りる。 ホムラはイキすぎて白目を剥き、太ももは何度も出された精液で汚れていた。 男は二人の体液で濡れたペニスをホムラに口で掃除させると、ソファに座って煙草を吸い始めた。 ホムラも力なくゆっくりと立ち上がり、テーブルの上の水を手に取る。 「…………っ」 二人が窓際に近づいてきて、慌ててヒカリは頭を下げて隠れる。 流石にもう逃げなければならないだろう。 だが、静かに逃げようとした足はぴたりと止まる。 二人がこちらに近づいたことで、不意に二人の会話が聞こえてきたからだ。 「これでもう……終わりにしてください……」 懇願する沈んだホムラの声。 「……ホムラ?」 ヒカリは耳を澄まし、その会話を聞き逃すまいと集中する。 「んー? 今日はもう終わりでいいよ? ホムラちゃんも疲れたっしょ?」 「違いますっ。今日だけじゃなくて、こんなことはもう終わりにしてください!」 (ホムラはこいつと会うのを止めたがっている?) ヒカリは更に壁に耳を近づけた。 「これまで何度も私の身体を好きにしてきたはずです! これ以上続けるなら……」 「続けるなら、どうすんの? もしかして反抗する気?」 「……そうなっても仕方ありません」 「へぇ? いいのかなぁ~、そしたら愛しのレックスくんに見せちゃうよ? ホムラちゃんの浮気映像」 「そ、それは……っ」 (やっぱり、ホムラは脅されてるの!?) その決定的な会話に、ヒカリは目を見開いた。 「それは貴方が……無理矢理脅して撮ったものじゃないですか……!」 「最初は無理矢理だったかもしれないけどさ、今はもうホムラちゃんもノリノリじゃん? 今日もイキまくって天国だったでしょ?」 「そ、そんなことは……」 「ホムラちゃんが気持ち良さそーによがってる顔を見ても、レックスくんは脅されてるだけって信じてくれるかなぁ!?」 「レックスは……信じてくれます……」 辛そうなホムラの言葉に、こちらまで胸が締め付けられる。 きっと、これまで懸命に耐えてきたのだろう。 「なら言ってみればいいじゃん。レックスくんが信じてくれるか試してみなよ」 「…………」 「それか、このまま黙って俺が飽きるまで抱かれ続けるか。自分で選んでいいよ?」 言って、男は分厚く長いペニスを見せつけるように立ち上がる。 「くっ……」 ホムラは悔しげに歯軋りして、ぎゅっと拳を握った。 「ほらほら、あれだけ気持ち良くしてやったんだからさ、むしろ感謝してよ。ホントはもっと俺とヤリたいんでしょ?」 女性の身体を弄んでおきながら、少しも悪びれない下衆な言い分。 端で聞いているだけで頭が煮えくり返りそうだ。 「……っ! 黙って、ください……っ」 ホムラの声からも、隠しきれない怒気が伝わってきた。 「今日は帰ります。でも、いつまでもこんなことが続くとは思わないでください……!」 しかし、ホムラは怒りに身を任せ暴力に頼ることなく、そう言ってそそくさと服を着て小屋を出ていった。 「へへっ、映像がある限り俺には逆らえねーくせに。ぜってー堕として浮気大好き女にしてやるぜ」 男はいくら怒りを向けられようと余裕といった風に、煙草をふかしてくつろぎ始めた。 きっとこれまで沢山の女性を同じように食い物にしてきたのだろう。この小屋も女を連れ込むための場所というわけだ。 「……許せない。絶対、私が助けてあげるからね、ホムラ」 ヒカリは微かな声で、しかし確かに火を灯すように決意を口にした。