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克浦
克浦

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体型補正スーツ 5

 いや、ちょっと待って。色々とありすぎて混乱していた。そもそもの問題。赤ちゃんを作る、つまり結婚するような年齢までずっとこのスーツを着ているって前提なのか? それって一体何年後の話なんだよ。 「あの、それでこのスーツっていつになったら……というかどうやったら脱げるんですか?」 「えぇ? 脱げませんよぉ?」  ……は? 「聞こえませんでしたかぁ? 脱げないって言ったんですよぉ。これから先、タクミちゃんは一生そのスーツを着たまま過ごすってことですねぇ。」 「そ、そんなの困ります。」  こんなスーツを着てたらまともな生活なんて遅れるわけがない。服を着て隠そうにも本当の身体より二回りは太い。いきなり太ったなんて言って信じて貰えるわけがないし、そもそもよっぽど大きな服じゃないと隙間からスーツが見えてしまう。 「と、まあ。そのままでしたら決して脱げないんですけれどぉ、タクミちゃんがそんなにイヤなのでしたら脱げるようにするってことも出来ないわけではないんですけどねぇ。」 「ぬ、脱ぎたいです。脱げるようにして下さい!」  何だか言い回しが気になるけれど、脱げるってことなんだよな? 「そうですかぁ。でしたら脱げるようにするためにはぁ、ちょっとしたオプションのパーツを付ける必要があるんですよぉ。これから準備しますけど構いませんねぇ?」 「え……オプションってどんなものなんですか?」 「それはぁ、取り付け終わるまではヒミツですよぉ。もしもどうしても聞きたいと言うのでしたら説明してもいいですけれどぉ、その場合は取り付けは行いませんけど構いませんかぁ?」  それって先に聞いたら一生脱げないままになるってことじゃないか? 「付けた後だったら説明はして貰えるんですよね?」 「はぁい、それは勿論。知っておかないと色々と不便なこともあるでしょうからねぇ。」  だったら答えは1つしかない。 「説明は後でいいから、取り付けて下さい。」 「分かりましたぁ。それではちょおっと待ってくださいねぇ。」  うぅ、一体何をされるんだろう。でもこのスーツを着せられた時だって気付いたらって感じだったよな。だったらそのオプションパーツってのもそんな感じなのかな? 「はい、こちらを向いて下さいねぇ。」 「え、あ。は……んぐっ!?」  綾重さんの手が顔へと近づいてくる。応えようとした瞬間、いきなり口の中に何かが入り込んだ。 「んんっ!?」  口だけじゃない。鼻もだ。細長い何かが奥へ奥へと潜り込んでいく。鼻や喉の奥に硬いモノが当たる感覚に思わず吐きそうになる 「うふふふふ。頑張って我慢してくださいねぇ。最初に注意をしておけばよかったのかも知れませんけれどぉ、それだと警戒して口を閉じられちゃうかも知れないじゃないですかぁ。なので少々不意打ち気味でしたけれどぉ、こうして強制的に取り付けることにしたんですねぇ。」  手には何も持っていないと思ったけれど、透明な何かを持ってたってことなのか? そのまま綾重さんの手が顔へと触れる。  いや、手じゃない? 顔全体を硬い何かで覆われた様な感触…… 「んっ!?」  なんだ? 顔が、表情が勝手に変わっている?  口を半開きにしたままでにやけたようなだらしない表情。  どれだけ力を込めてもそのまま表情を変えることが出来ない。 「分かりましたぁ? 今取り付けましたのはぁ、仮面型のパーツなんですねぇ。身体を覆うスーツと違いましてぇ、顔を包んでいる部分は硬くなっていますよぉ。ですから装着したら仮面と同じ表情しか取れなくなっちゃうんですねぇ。」  そんな……じゃあスーツが脱げるまではずっとこんな表情のままでいなくちゃならないってことなのか? 「ッ! ッッ!?」  え? あれ!? なんだ? 息が、出来ない!? 「あぁ、そうそう。これから先、息は口から吸ってくださいねぇ。鼻からは吸い込めない構造になってますからどれだけ頑張っても無駄ですよぉ。」  何でそんな……でも口でちゃんと息が出来るなら……  ―――ズビィ……ズビョビョビョビョ―――  なんだ? 今の音。  息を吸うのに合わせて鳴った様な…… 「何の音でしょうねぇ。ほら、もうちょっと視線を下に落とせばわかるんじゃありませんかぁ?」  視線?  え? なんだこれ。お腹の前で溜まっていた精液が泡立ってる!? 「分かりませんかぁ? この仮面ですがぁ、独立したパーツではなくスーツと繋がっているんですよぉ。そしてぇ、スーツには空気の取り込み口があるってことは説明してありましたよねぇ。」  それは確か、ヘソの窪み……だったよな。でもそれってお尻へと空気が送り込まれる時の話じゃなかったのか? 「理解出来ましたかねぇ。息を吸った時にはお臍から空気を取り込みましてぇ、お腹の中の精液溜まりを経由して肺へと送られるんですねぇ。あ、でも安心してくださいねぇ。あくまで経由するだけですから精液自体は送り込まれてきませんよぉ。ほら、よく見て下さいねぇ?」  さっきまで、スーツの中には精液だけ丸く浮かんでいるように見えていた。だけどいつの間にか丸い空間が出来ている? ソフトボールくらいの空間の底に精液が溜まっていて、息を吸うたびに下から泡が上っている様な感じだ。 「ちなみにぃ、身体の角度を変えると精液溜まりも回転して常に下から空気を取り込むことになりますからねぇ。つまりこれからは常に精液を通り抜けた空気を吸い込むってことですからねぇ。」  それって、何か意味があるんだろうか。いや、確かにいい気分はしないけれど逆に言えば気分が悪いだけで済むって話でもあるよな。  問題があるとしたらむしろ、喉に何かが挟まっていて喋ることが出来ないってことの方だ。 「それとぉ、仮面をつけた時に管が喉へと入り込んでますよねぇ。」  確かに何かが入ってきてるけど、あれって管だったのか? 「管は多重構造になってましてぇ、息を吸い込むときはお臍から。吐き出す時は仮面の口から出すことになるんですよぉ。後は吐くときに限って鼻からも出せますからねぇ。ほら、こんな風に。」  口部分を手で抑えられると息が吐きだせなくなる。こうなると鼻から息を吐くしか…… 「ッッ!?」  うっ……この臭い……今まで嗅いだことなんてなかったけど、この嫌な臭いが精液の臭いなのか? 「うふふふふ。これがどういうことか分かりますかぁ? これから息を吐くたびにこの臭いを辺りに撒き散らすってことですからねぇ。知らない人にはただの嫌な口臭。知っている人にしてみればぁ、タクミちゃんは常に精液の臭いの息を吐いているって思われるわけですねぇ。」  うぅ、そんな。それってつまり、精液を口に含んだと誤解されるかも知れないってことだろ? 「後はですねぇ。そろそろ大丈夫かと思うんですけれどぉ、喋ってみて貰えますかぁ?」  いや、喋るってさっきまから喉に管が挟まってて喋れなく…… 「あ、あー。」  あれ? 喋れた? いやでも、今のって俺の声だったか? 「何だか声が……え、あれ!?」  声が甲高い。自分の声じゃない……と言うか女子の声みたいだ。 「口から入り込んだ管なんですけれどぉ、最初は挿し込みやすいように硬いんですけれど体温で温まると柔らかくなるんですねぇ。そしてぇ、管は肺へと繋がっているんですがその途中にある声帯も覆っているんですよぉ。」  声帯、って声を出すところだよな。じゃあ今のこの声って…… 「理解できたって感じですかねぇ。はい、その通りですよぉ。声帯を覆っている部分は完全に軟化せずにぃ、自由に声を設定できるようになっているんですねぇ。」 「だからってこんな声……」  女子のような声と思ったけどそれどころじゃない。女子の中でも特に可愛らしい、所謂アニメ声って呼ばれている様な声だ。しかも管が柔らかくなったと言っても存在感はしっかりと残っている。口の中で舌を押さえつけられているみたいで、どうしても舌っ足らずな喋り方になってしまう。 「うふふふふ。可愛らしくていいじゃないですかぁ。むしろそのお顔に合ってますよぉ。」


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