ミカと教師と無人都市①
Added 2025-05-10 12:04:43 +0000 UTC夏コミ候補作。
「ミカは聖夜に100倍で」の続きです(以下URL参照)。
続きを書くべきか書かざるべきか……。
§
綺麗な街並みにはまるで人影がない。歩くことすでに10分、どうも本当に誰もいないらしい。清潔な無人都市には、暴動の痕跡も混乱の跡も見られない。未だ綺麗なのは、無人清掃ロボットでも走っているからだろう。
「本当にこんなところで良かったの? ……ミカには退屈じゃない?」
あの多感な少女に限って、これで満足することがあるだろうか。はなはだ不安だが、問いかけても返事はない。
そして、ワンテンポ遅れて。
「呼んだ?」
背後から轟音が響き渡った。が、振り返っても目前には黒い壁がそびえて何も見えない。数歩後ずさってようやく視野に入る白い塔。頭上をテントのように黒い星空が覆って、顔を上げて上げて……。
「もしかして先生、何か言った?」
聖園ミカは、身の丈50m近い巨躯で、しゃがみ込んでいた。
「大したことじゃないよ」
私の声に、少女はこてんと小首を傾げていた。
……聖夜の一件のあと、私はミカの戻し方を見つけられずにいた。
「念じたりすればなんとかならないかな」
クリスマスも終わる頃、彼女に声を掛けたのを覚えている。ミカは露骨にいぶかしげな表情で私を見下ろした。
『そんな簡単な話じゃなくない?』
「でもそうじゃないとろくに会うこともできないし……」
『うっ』
言葉も出ないゆるふわ少女。大きすぎるせいでそんなわずかな所作にも迫力があった。傷心のミカがぶつくさ不平を鳴らす。そして両こめかみに指を当て、唸ってみせると……。
「あ、縮んだ」
ぼんっと音を立てて巨体が縮む。
……でも、まだ50mほどもある。
「これは要検証かな……」
30倍になった衝撃からか、ミカはまだ目をぱちくりさせていた。
かくて。
今私たちは、開発途中で放棄された島に来ていた。なぜって、身の丈45mの少女を市街地に置いておくことはできない。その点無人島は打ってつけだった。方々手を尽くせばなんとかなるものだ。
ただ、何もない。
「これは……、退屈しそうだね」
「私はそうでもないけどな~」
バスを筆箱のようにもてあそんで、私の視線を感じてか慌てて元の場所に戻す。なるほど、早くも認識の違いが生じ始めているらしい。私にとっては何もない廃墟だが、彼女にとっては何もかもが物珍しいミニチュア世界だ。10階程度の高さのビル街が、彼女の胸元に整然と屋上を並べている。彼女の目にどんな光景が広がっているか、私には想像がつかない。足元でチョロチョロ歩く私が、どのように見えているかも。
「本当に綺麗な街並みだね? こんなに作って放置なんてもったいないかも」
「まあ、思いつきで始めて途中で投げ出すのが子供だから……」
「あは、ちょっと心当たりあるかも♪」
ビル街を悠々と歩く巨大ミカ。羽をはためかせ前進する巨人は、女神のようにさえ思えた。一歩ごとにズゥンと大地を震わせ、車が小刻みに震える。振り返れば、街路樹は白スト美脚の膝にも届かない。すっかり生い茂った枝葉が、巨体の作る渦に巻き込まれ大きくそよぐ。まるで台風にでも遭遇したような暴風だった。
「で、どこで寝ることにしよっか」
「え、私ここで暮らすの?!」
「他の生徒も見に来ちゃうからね。それに歩くだけでこれだけ道路が荒れるんじゃ……」
ハッとミカが振り返ると、背後には巨大な足跡が点々と穿たれている。巨人の質量にアスファルトが耐えきれず、陥没してしまっていたのだ。まるで戦車でも通ったような惨状は、彼女の重さを雄弁に語っている。今更恥じたように、足跡を見せまいとする少女。だが、そうする間にも愛らしいヒールはミシミシと地面に食い込んでいる。
おまけに、振り返った瞬間バストがビルにぶち込まれ、丸く外壁をこそぎ取ってしまった。衝撃で”ぷるるんっ♡”と揺れる横乳。呆然とする私の上空で、巨乳は一階分叩き潰してしまった。慌てて胸元を隠す。「見た?」と聞かれるから「見てない」と答える他ないが、白々しすぎる嘘だった。
「ど、どうしよう、壊しちゃった……!」
「だ、大丈夫、全部いずれ取り壊す予定って話だったから。むしろ手間が省けた、はず……?」
「私、ここでうまくやれるかな……」
「私がしばらくは付き添うよ」
「うぅ……、今更戻りたくなってきた……」
励ましてあげたいところだが、大声を張り上げていてはどうも格好がつかない。唇を尖らせて、砂糖菓子のような少女は孤島を見渡す。遥か彼方には山が雄大な姿を見せ、背後では青い海が広がっている。リゾートとしては悪くないかも知れないと、彼女も気を取り直したらしい。以前だったらしばらくは不平を鳴らしていただろう。
「ミカ、大人になったね」
優しくそう言ってあげたつもりだった。けれど50m先でミカはキョロキョロ周囲を見回すばかり。まるで聞こえていない。
「これはだいぶ苦労しそうだな……」
「? 今何か言った?」
ふっと辺りが暗くなる。ミカがしゃがみ込んだのだ。突然目の前に大きく広がる星空スカート。それがふわりと舞い降りてくると、一瞬遅れてミカの香りの爆風が吹き荒んだ。吹き飛ばされそうになる中、微動だにしないミカのむっちり美脚。ふくらはぎは横に潰れて大人びた肉付きを見せつけ、その後ろにはぶっとい太ももがその肉感的な丸みを主張している。
そして、全てにぴっちり張り付く白タイツ。薄い被膜は繊維の網目を限界まで広げ、少女の健康的な肉付きに軋んでいる。横に広がって、等高線のように太ももに貼り付けられる繊維の横線。立体感あるしゃがみパンチラが、圧倒的な光景を作り出す。
それに意識を奪われたのがまずかった。
上空に広がる手に、気づかなかったのだから。
「ちょっ?!」
ひょいと指に持ち上げられる。白魚のように細い指も、私にとっては白樺の丸太も同然。自分より太い指に挟み潰され、一瞬このまま摘み潰されるのかと思った。手のひらに落とされて、しばらくむせる小人。白くほっそりとした手が、ワンルームサイズで私を搭乗させている。
「……いきなり人を摘み上げるものじゃないよミカ」
「だって遠くて声が聞こえないんだもん。それにしゃがみ込んだらパンツ見えちゃうし」
「ぐっ……」
「ていうか先生、私のパンツ見てたり?」
指先で私を突つき、くすくす笑うミカ。爪は薄くコーティングされ桜貝のように美しく、押し返しても押し返しても抵抗を無視して押し寄せてくる。逃げようとするけれど、ミカの上からは逃げられない。その内、のっしと指にのしかかられ、私は完全に取り押さえられてしまった。
しばらく呻き藻搔く。それから、諦めたように力を抜いた。困惑するのはミカの番だった。
「あれ、本当に動けないの?」
力も入れず、乗せただけ。それだけで小人が、自分の細指に制圧されてしまうことに気づいたらしい。確かめるように、私を爪で突つく。悲鳴を上げるが、小人は何もできない。窓サイズの琥珀色の瞳が、パチクリしばたく。それから、にまぁっと笑った。やばい。小人の無力さにお姫さまが気づいた。
「あは♪」
案の定、俄然イタズラ心が湧いてくる少女。全身をくすぐり私を悶えさせる。すべすべの細指は白魚のよう。彼女としては私をくすぐっているつもり。だが、繊細な指遣いは的確に私の快感を掻き立てていた。脚をこじ開けられ指先でこすられる。無理やり指紋にキスさせられる。被虐的な感覚も相まって、このままではミカの指先に無意識に分からされそうだった。
「ちょっ、やめ……っ!」
白く長い指が四肢にまとわりつく。腕や脚をさすり、肌をなぞり上げた。目の前にはどっぷりと膨らむミカの巨乳。その圧倒的質量に見下ろされながら、ネズミのように指で弄ばれた。小人が無力に悶えていることに、ミカは気づきもしない。クスクス笑うたび、豊満な胸が風を巻き込み揺れた。
そしてついに、指先が股間に伸びた時。
「こ、こら……ッ!」
私はがむしゃらに指の間からすり抜けた。ミカが慌てているが、これ以上は私の貞操に関わる。必死だった。目の前のビルの屋上に飛び乗る。ゴロゴロ転がると、ようやく私は少女の指先から解放されることが出来た。
「もう、無茶するなぁ」
「死ぬかと思った……」
屋上から突き抜けてそびえ立つミカ。ビルはその胸元にも届かない。そしてこちらに身を乗り出せば、ばるんっとした巨乳は外壁に押し付けられ、いともたやすくひしゃげさせてしまった。金切り声と共に乳房に物量負けする鉄骨。ズンッと、ビル全体に衝撃が響く。
そして上空には、覆い被さるミカの姿があって。
「あは、こうしてみると怪獣になって気分かも♪」
30倍ミカは、ニコニコとこちらを見下ろしていた。滝のように流れるピンクの髪。戯れにふーっと息を吹きかけられるだけで、私は吹き飛ばされてしまう。
「ひいぃっ?!」
ニマニマ笑う少女。完全にミカの興が乗ってしまった。むべなるかな、狭苦しい土地からも他生徒の目からも解放された今の彼女は最強だった。おまけに、打ち捨てられた無人都市で私と二人きり。楽しくないはずがない。クスクス笑いながら、ゆっくりビルを抱き潰していく。もう下の階層は軋み、丸々と乳房がめり込んでいるはずだろう。早く逃げないとここも崩落するかもしれない。唯一の脱出口は、ポツンと佇む階段の入り口。咄嗟に飛び込もうとすれば……。
「あは、逃げられないよ〜♪」
入り口の上に影が広がる。ミカの巨乳だった。ノースリーブワンピースにパッツパツに包まれた巨乳が、あっという間に出入り口を爆砕してしまったのだ。目の前で弾け飛ぶコンクリート壁。一瞬遅れて凄まじい衝撃波がビルを襲った。吹き飛ばされ、立ち上がった頃には階段は封鎖済み。”どっぷんッ♡”と出入り口を粉砕してしまっていたのだ。”ぶるるんっ♡”と量感豊かに震えるミカおっぱい。比較にならない大きさのおっぱいが、“ずしいぃっ♡”と出入り口の上に鎮座していた。
「あは、逃げられなくなっちゃったね♪ どうする? 私のおっぱいに勝たないと逃げられないよ?」
クスクス笑いながら巨乳を持ち上げる。圧倒的な質量にぶっ潰されて、残骸はべったり下乳に張り付いたまま。そのままふるんっと乳房が揺れると、跳ね飛ばされ屋上に散らばった。私に見せつける、30倍巨乳の威力。直径5mの球体は、大型トラック10台分の質量を鎮座させている。
「み、ミカ、そこどいて!」
「あは、逃げたいなら逃げれば? この隙間なら入れるかも♪ 10数えるまで待ってあげる♪」
二の腕をわずかにあげれば、横乳から覗くのはわずかな穴。外壁を吹き飛ばされ剥き出しになった非常階段が、弱々しくも巨乳の質量に耐えていた。だが、人一人通れるかどうか。残りはミカの横乳がどっしり乗っかって、とてもじゃないが持ち上げられそうにない。
逡巡している時間はなかった。
「10♪」
そう囁くと、広げた両指を一つ折る。駆け出してミカのケープの下に入り込んだ。上空にはもっちりとした二の腕、目の前には巨乳がみっちりとワンピースに包まれ、腋と横乳もわずかに覗いている。ミカの百合のような香りが濃厚に広がり、心音と共にあの巨大な球体が”とぷん♡ とぷん♡”と弾んだ。そのたび鉄骨がギシギシ悲鳴を上げる。早くしないと、逃げられなくなる。
「9♪」
押し倒されひしゃげたドアを開けようとする。でも、ワンピースおっぱいがどっぷりと鎮座して到底開けられない。少し躊躇ってから、ミカの横乳を押し返そうとした。触れれば”みちッ♡”と確かな弾力を伝えるミカおっぱい。目の前に見えるのは真っ白なワンピースの白さだけ。生地の縁に引っ張られてシワが生まれ、それも巨乳の張力でピンっと伸ばされている。そして私を、絶望的質量で押し返すのだ。押せば”むにゅうぅッ♡”とたわむのに、本質的には微動だにしていない。当然だ。象より何倍も重いミカの巨乳に、相対サイズ5cmの私が叶うはずもない。
「は〜ちっ♪ あは、先生かわい〜♪」
片腕を上げて、横乳相手に悪戦苦闘する教師をゾクゾク見下ろす少女。思いっきり横乳を私に晒し、自分の横乳にも勝てない恩師を愛でるのだ。小人は乾電池サイズ。それに対して、メロンのような自分のバストの巨大さと言ったら他にない。片や私にとってのそれは、水入りの気球のような途方もないサイズ。わずかに浮き上がるブララインも、大型帆船の帆のように大きく膨らんでいる。全力で体当たりする。”ふるるん♡”と震えるも、乳腺と脂肪でパッツパツに広がったそれは衝撃を完全に吸収してしまう。そして若々しい弾力で私を弾き返すと、物言わぬ乳鈍器は全質量で私を見下ろしていた。
「ミカ、そこ、どいて……!!」
「だったらどかしてみてよ♪ 大人ならできるよね? 生徒の胸になんか負けないよね♪ ……なーなっ♪」
すでに私は汗だくだった。少しずつ少しずつ階段は見え始めている。6mおっぱいの質量で、鉄骨が歪み始めているのだ。それは屋上全体も同じ。今や屋上は、乳質量で重力場がねじ曲がるように傾斜している。早くしないと階段自体が崩落する。そうなれば私は本当に逃げられなくなる。
押してダメなら引いてみようとした。でもそんなもの、30トンおっぱいと綱引きするのと同じ。鉄の塊のようにミカの乳房は動くことなく、さらに深くおっぱいが沈み込んだ。
「……ん?」
何やら嫌な音がする。階段が限界を迎えた音だ。鉄骨が軋み、ナットが弾け飛んだ。そしてバネのように跳ね上がった鉄骨が、私目がけて襲いかかった時。
「えいっ♪」
私を包んだのは、柔らかくふにふにの何か。ミカの二の腕だった。横乳と二の腕に挟まれ、腋潰しされてしまったのだ。
「あーあ、捕まっちゃったね♪ どうする? もう逃げられないよ? このまま閉じ込められちゃうかも♪」
クスクス笑いながらも、ふんにりとした柔らかさとたっぷりとした柔らかさの間で私を揉み潰す。ぴっちり乳肌に張り付くワンピースは、繊維にミカの香りが染み込んで第二の肌も同然。すべすべの二の腕は上に向かうごとにわずかにしっとりとしていく。そして、私に密着すると左右に揉み潰した。
「ろく♪ ご♪ よん、さん、に……」
私には鉄塊にすら思えた質量が、二の腕に簡単に”たぷたぷたぷッ♡”と揺らされる。そして乳肉が肌の中でどっぷんどっぷん振り回されると、私に遠慮なく重量を叩き込んだ。乾電池サイズの私など、全身がめり込んで微動だにできない。もう母乳が跳ねる音すら聞こえそうなほど。その上”むっぎゅうぅッ♡”と押さえ込まれるものだから、乳房は縦に楕円にたわみ、今にもはち切れそうなほど。
だから、ようやくミカが腕を開いた時、私は”とたぷんッ♡”と形を取り戻す巨乳に弾き飛ばされ、完全に酩酊させられてしまっていた。
「あーあ、生徒のおっぱいに負けちゃったね♪」
ニヨニヨ笑う巨大ミカおっぱい。細指がそこに沿わされると、がっしり掴んでその丸みを強調する。たった今しがた私を敗北させた巨乳を、誇示するように突きつける。一方の私は、クラクラ目を回してそれどころではない。生徒の爆乳の前、立ったまま千鳥足を踏む教師。気付けば、自ら少女の谷間に彷徨いこんでいた。
ぽよんっと私を受け止めた柔らか巨乳。それが次の瞬間、ぐぐぐっと寄せ付けられると須臾の間もない。ハリあるまん丸巨乳で、私を思いっきり挟み込まれてしまうのだ。
「はい、先生の、負け〜……♡」
“みっちいいぃッ♡”と私をプレスする30倍おっぱい。乳房の間に私を封じ込めるような、強烈な乳寄せだった。ぎっちりと詰まった巨乳に潰され、肺も顔も潰される。少しでも酸素を求めれば、ミカの香りを直吸いしてしまう始末。肺胞の隅々にまで少女のフェロモンが染みついて、脳にパチパチと快楽の閃光が弾けた。
何より、この大きさのミカ巨乳に包まれる気持ちよさ。ガスタンクみたいな巨乳は下乳だけで部屋を丸ごと占領し、全体はもはや一軒家に匹敵する大きさだった。そんなものが二つ、たぷたぷむちむちの壁となって私を包むのだ。30倍ミカおっぱいがいたずらな母性となって私を包み込んだ。
おっぱいのボリュームに物を言わせて私を丸ごと包み込む。そのまま”もにゅんもにゅんもにゅんっ♡”と揉み込み始めるものだから。
「ぐううぅっ♡♡」
ミカに全身パイズリされる。どっぷどっぷと上下に振り回される。そんなもの、メロンサイズ巨乳のおっぱいで、小指を挟んだようなものだ。肌の中で奔放に揺れる乳肉に襲われ、小人教師が太刀打ちできるはずがない。乳圧は強烈で、ミカの谷間の香りに整形されてしまいそうなほど。そして優しく“とっぷとっぷ♡”と揉み込んで、上下に“ぎゅちいぃっ♡”と擦りつけ、“たぷんたぷんたぷんっ♡”と寄せ付けて……。
「ふふ、お疲れ様♪」
解放された時、私はすっかり茹で上げられ、くったりと地面に倒れてしまっていた。吸っても吐いても肺や体からミカの香りがしてくる。甘イキしていたのだと思う。私はピクピク痙攣したまま、身動きできずにいた。
そんな私を更に誘い込もうと、ミカは囁く。
「あは、入ってみる?」
そう言って、横乳の布地を引っ張る。”むわぁっ♡”とアロマを漏らし垣間見せられた、ミカの乳白色おっぱい。影の中、ほんのりと白く輝く生横乳が私においでおいでと囁いている。上空では大きく広げられた腋。このまま服の中に入ってしまえば、さっき以上の快楽に溺れられるのは確実だった。
ふらふらとそちらに近づいていく。
それから、はっと我に返った。
今私は、何をしようとした?
「あれ、やめちゃうんだ?」
「ご、ごゆっくり!!」
砕けた階段を駆け降りる。窓からの景色はミカの巨体の一部でいっぱい。胸の上だけ、下だけ、お腹、スカート……、ミカの姿を上から下へと観測していくのだ。這う這うの体で玄関から飛び出せば、目の前には黒いヒールが鎮座していた。
「なんで逃げるのさ♪」
「空気が不穏だからだよ!」
「あは、気のせいだって♪」
ズシンズシン音を立てて少女がやってくる。巨人に追われる切迫感は凄まじいものがあった。背後では可愛らしい靴がアスファルトを粉砕し叩き込まれる。リボンのついた黒いパンプスが、可愛くないサイズで地面を踏みしめるのだ。一歩歩けばバスをまるごと踏み潰した。もう一歩歩けばヒールが車ごと地面を貫く。背後で岩が割れたり金属が引きちぎれたり。けれど聞こえてくるのは、ミカのあの可愛らしい声。
「あは、逃げても無駄だよ〜♪」
ヒールがズドンッと大地に突き刺されば、アスファルトを粉砕し引っぺがす。焦らすようにゆっくり歩いて、私を追い立てる30倍ミカ。クスクス笑いをビル街に反響させながら、砂糖菓子のお姫さまはわるい子へと変貌していく。ただでさえ力で敵わないミカが、手のつけようのない存在になっていくのだ。誰もいない都市で二人っきり、あまりに巨大な姿で私を追い詰める一方。
到底逃げようのない逃避行。それでもそのまま、角を曲がろうとしたとき。
「あっ」
背後で、凄まじい破断音が響き渡った。振り返る。どうも、地面を踏み抜き地下鉄駅にまでヒールが貫通したらしい。靴がずっぽり地面に食い込んでいる。そして、足を取られ巨体がぐらぐら揺れるのだ。慌ててバランスを取ろうとする少女。それも虚しく、巨体はゆっくりと傾いていくと。
思いっきり、ビルに突っ込んだ。
「きゃっ?!」
可愛らしい音と共に、白スト巨尻が屋上に”どむ゛ッ♡”とぶち込まれる。そして屋上という座面いっぱいに”むにいぃっ♡”と広がると、”ずどんッ!”と一階丸ごと押し潰してしまった。勢いよく階下へ叩き込まれれば、床をいとも簡単に突き破ってしまう。一階ずつずどどどっと突き破るミカ巨尻。白い質量兵器が、建物を上から下へ思いっきりブッ潰す。
そして、巨大尻鈍器が地面に叩き込まれた時。
私は、あまりの衝撃で1mも吹っ飛ばされたのだ。
「いたたた……。ん?」
上空で、何かが宙を舞う。靴だ。少女の可愛らしい靴が、こちらを飛んでくる。7mのハイヒールは大型バスも同然。悲鳴を上げる間もなかった。逃げる私の目の前に、脱ぎたてヒールが爆音を立てて落下する。次いで、ゴロンと倒れた。道路の上に横転する、巨大な靴。インソールの凹凸すら見える距離だった。ほかほかと蒸れた空気が吹き下ろしてくる。
呆然としていると、背後で瓦礫の音。ビルの中に埋もれたミカが、体を起こす。いたた……と瓦礫を振り払うと、白い少女は目をパチクリさせるばかり。ぺたんと尻餅をついて、放心状態だった。
そして足元の私を見つけると、にっと笑った。
私へ足を突き出すと、いたずらっぽく囁く。
「ふふ、これでもう逃げられないね♪」
純白のタイツおみ足が、私の前に立ちはだかる。爪や指のお腹がわずかに透け、濃淡ある白さで視界を覆った。押し返しても白ストおみ足は微動だにしない。徐々に靴の中に押し込まれていく。このままでは履かれる。生徒の靴の中敷きにされる。もうヒールの中にまで追い込まれた。目の前には肌のほんのり透けた白い壁。それを、思いっきり指でなぞり上げると。
「ひゃああ?!」
繊細な少女は、くすぐったさのあまり足を離した。脱兎のごとく逃げ出す小人。もう、どこへ逃げたらいいかも分からない。
「逃げ場なんてないよ~♪」
瓦礫音が響くと、ミカは四つん這いになって私を追いかけて来た。いや、とっくに追いついて、直上から私の姿をクスクス見下ろしている。周囲にはロゼ色の髪が滝のように溢れ、ふわふわと波打っている。上空では巨乳が吊り下がり、ふるんふるん揺れている。あれが降ってきたら私は一瞬で圧死するんじゃないか。
でも、かえって少女の胸は遠のいていった。
立ったのではない。
巨大化したのだ。