次はキミが、ドキドキする番(3・サンプル)
Added 2023-05-25 08:08:18 +0000 UTC§ ちょっと困ったことが起きていた。 慣れないこと、戸惑うことは沢山ある。僕にとっては無数と言っていい。 ただ、それは戻るべきところがあるから乗り越えられてきたことで。いま途方に暮れているのも、その一点にかかっていた。 始まりは、いつもと同じ。 瑠菜との縮小だった。 少し間が開いていた縮小の時間。皿洗い中に突如縮められ、背後で長躯が巨躯へ変わる気配は、明らかに心臓を甘くひっくり返してくれた。 摘まみ上げられ、テーブルの上に乗せられ。 いろいろと、囁かれながら、10㎝ほどへの縮められたのだ。 「ふふっ……♪ 縮められちゃったね……♪」 テーブルの水平線から天へと伸びる、ふわふわ女の子の巨体。ベージュの髪とぱっちりとした目が、クスクスとこちらを笑っている。 でも、妙だった。 縮小が、止まらない。 「え……?」 もう怖いくらい気巨大になった瑠菜は、ニコニコしたままボタンを押し続けていた。 「る、瑠菜……?」 何をされているのか全く分からない。ただ縮められている。 片や瑠菜は、不穏な雰囲気に半ば怯える僕をふんわりと笑って見下ろすばかり。 それからしばらく何か考えるそぶりを見せて。 頭に電球を浮かべると。 『こんなちっちゃいと、すぐ潰せちゃうね? もしかしたら、捨てられちゃうかも……』 そんなことを切り出す。 話が見えない。漠然と、不安だけが広がっていた。 『どうする? このまま、捨てられちゃったら……。そういえば、この間ね? 講義で、すごい女の子と会ったの。意気投合しちゃった……♪ 今の大きさのキミなら、その女の子の指にも、勝てないんだ……。捨てられちゃったら、ゆうくん、どうなっちゃうかな?』 いつもの、一語一語区切る口調が、今は淡々としたものに聞こえる。極小にされた体にそれは、有無言わさぬ強度で耳に染みついていった。サイズのせいで、ひどく心細い。 『……ねえ、ゆうくんは、どう思う?』 何かを訊くそぶり。でも、決定的に手遅れだ。悟ってしまう。時間の問題だったと。僕より良い相手は、瑠菜にはたくさんいるのだから。 僕は、何もかも彼女に釣り合わない。 『どうする? 選ばせてあげる……』 僕ならわかる。捨てられるか、目立たない虫ペットとして、二人の傍で生きるか。 絶望だった。 どす黒すぎて、かえって透明に広がる絶望だった。 だから、僕は、机の上で、たった一人。 『……あれ?』 床に大の字で横たわる小虫。何か巨大なものを受け入れるような体勢は、第三の選択肢を示すものだった。 思ったのだ。もういっそ、その巨大さで圧死させられた方がいいと。最も惨めな妄想を、最後の最後に叶えてほしいと、そう思った。 『……ん、そう……。キミが言うなら、それくらいは……』 次いで、優しく微笑むと。 僕の上に覆いかぶさり、重々しく乳房を吊り下げて。 破壊的なスピードで、振り下ろした。 目の前に。 「………………え?」 風圧で吹き飛ばされて、クラクラしながらも生きていることはわかる。 むしろ気が遠くなったのは、いきなり元の大きさに戻されたから。 気圧差で起こす眩暈のように、頭が真っ白になり。次の瞬間、目の前には瑠菜の顔が視界いっぱいに広がっていた。 「キミ、本当に素直だね?」 にっこり笑う瑠菜。 それから、綻んだ頬が色を失うと。 ゾッとするような無表情で、僕を見つめた。 「信じないでよ」 そして、僕を廊下へ抛り捨てると。 ついたてをして、僕を締め出してしまうのだった。 ──御覧の通りのありさまだった。 実際のところ、瑠菜にしては過激過ぎたかなとは思う。ただそれは、時々瑠菜のする冗談でもあった。 “ウジウジしてたら捨てられちゃうよ~?“とからかったりだとか、僕を嫉妬させるようなことを言ったりだとか。拗ねる僕を可愛がるのは、彼女の嗜虐的慈愛を満たす行為だった。 とはいえ、今回ばかりは話が違う。 僕が信じてしまったのだ。そのうえ僕は受け入れて、身を差し出してしまった。彼女の誠実さを疑うに等しい反応。こればっかりは言い逃れ出来なかった。 自分でも正気を疑う。 なんで、なんであんなことをしてしまったのか。 そもそも瑠菜は、一言も僕を捨てるとは言ってなかったのだ。どうも彼女の様子から察するに、切り出した二択は別のものだったらしい。詳しいことはわからない。怖くて訊けていない。ただ確かなのは、その言葉と解釈を、僕は疑うことが出来なかったということだ。 ……たしかにあの大きさになった感覚は、想像以上のものがあった。大きすぎる存在の言葉は直接頭に入ってきて、そこへ冗談とか嘘とか、別の様相を与えるのはひどく難しい。それは一つの誤算だろう。 とはいえ瑠菜の一番の誤算は、僕の負い目の質と量を読み違えていたことだ。まさか、ふさわしい人がいるんじゃないかだとか、そんなことを考えていたなんて。僕は弱気だった。ずっと、負い目があることを無視していたと、今ならわかる。 冗談が過ぎたと、瑠菜も反省したらしい。ポロッとからかい文句を言おうとして、やり過ぎたと思ったようだ。それに驚く時点で、ある意味瑠菜の信頼と誠実は証明されていた。とはいえ僕にとって、疑問が再燃してしまうのも無理のない話ではある。 こんな惰弱な僕に、彼女みたいな人は見合わない。 客観的に見て、その見立てはあまりに確からしかった。 ウジウジ悩むのが僕だ。それをうまく晴らせたら、僕はこうなってはいない。 以来このチビは、すっかり消沈してしまっていた。 自分自身理解に苦しむ反応だったから、消化に難儀していたのだ。 「……まあ、怒ってはいないから、さ」 僕の前に紅茶を置き、少しコアントローを混ぜながら瑠菜が言う。気を緩めてくれようとしたのだろう。おそらく、口も。とはいえ、一口二口啜って、晴れるものでもない。 「私も、ちょっと悪ふさげ、過ぎたかなって……」 珍しく、いたたまれないといった面持ちだった。こんな顔をさせたかったわけじゃない。とはいえ僕としてもどんな顔をすればいいかわからず、伏して、席を立ってしまった。 今思えばそれがチャンスだったわけだけれど、僕としても瑠菜としても、持つべき言葉が見当たらなかった。 数日間は、本当に気まずかった。瑠菜のあの調子は崩れていないけれど、その雰囲気からは透き通る高音が聞こえてこない。 結局、切り出し方のわからなかった僕は、瑠菜と同じ方法を採ることにした。 とはいえ、オウム返しする訳にもいかない。あれこれ悩んで、自腹を切ることにしたのだ。 食後、僕がまごつくうちに時計が22時を打ったころ。 取り出した瓶は、思いのほかずしりと手に重い。 「これ、……呑もうよ」 散々悩んで買ったのは、以前彼女の欲しいなと呟いていたウィスキーだった。高かった。びっくりするくらい。とはいえアルコールでもないと、重油のような重みを溶かせそうにない。 「もらったんだけど。その……、あげようと思って」 あげるも何も、本と家電と食品に関しては全部共有財産。第一僕は、お酒に強くないし明るくもない。 ……始末に負えないな、と少し思う。あまりに始末に負えない。 一方、ぱぁっと表情を明るくする瑠菜。どうも、ストライクだったらしい。純朴に喜んでくれたのが、どこか僕を安堵させた。 そして、いやに手早くグラスを取り出して。 「とりあえず、軽くビールくらいは呑んでおこうか」 普段置いてないビールが出てくる。なんだか、先回りされている気がする。出された液体に口を付けつつも、はてなマークは宙に浮いたままだ。 一方そんな僕を、瑠菜は見つめていて。 ……なぜか、目を離さない。 「……なに?」 「ううん。ただ……」 「ただ?」 「絵面に、犯罪臭が……」 珍しく神妙に、そう言った。 「ひどいっ!」 「あはっ♪ 大丈夫? 子供はお酒飲んじゃだめなんだよ? オレンジジュースあるよ~?」 「成人男性になんてこと……」 ぶつくさ零しつつ、瑠菜と同じタイミングで、ウィスキーのグラスに口をつけて。 「きっつ……!?」 僕は、半ば噴き出すようにむせるのだった。 「…………今、喉鳴らして吞んだよね。ボク、お酒はまだ早いんじゃない?」 「茶化さないでよ……! まあ、ほとんど初めてだけど……」 瑠菜は“まあ、別にわるいことじゃないよ”とフォローするけれど、想像以上の度数に僕は手が出ない。 「もったいないけど、水の代わりに炭酸でトワイスアップしよっか。氷も一欠片入れてあげる。これなら?」 「……ん、飲みやすいかも」 「ふふっ、それは何より♪」 助け舟を出してもらって、ようやくまともに晩酌にありつける。瑠菜も、楽しんでくれてはいるようだ。 やっと、席も落ち着いてきた気がする。 これなら機を見て切り出せそう。 でも、今じゃない。もう少し、もう少ししたら……。 そう思って。 1時間後。 「……まあ、こうなるよね」 酔い潰れたのは、もちろん僕の方だった。 「下手にたくさん吞むよりは、酔わないんだけどね。……ちょっと、急ぎすぎ、かな?」 グラスを傾けながら、少女は涼しい顔をしている。 当然と言えば当然だった。同じペースで呑むには、瑠菜のアルコール耐性は強過ぎた。こう言ってはなんだけど、体積自体が違うのだ。その上、彼女はお酒にべらぼうに強い。僕と一緒に飲むとこうなるとわかっているから、普段は控えているけれど。 「苦しかったら、吐いたほうが良いよ?」 「そう、かも……」 それから、もう一言。 「……指、突っ込んであげようか?」 ⁂ 大変だった。 めちゃくちゃ突っ込まれた。 後ろから抱き締められて。 その細指を、するりとねじこまれて。 「苦しいけど……、我慢してね?」 喉奥を傷つけないよう、けれど有無言わさず指を奥まで突っ込み、思いっきり舌を押し込む。当然吐くわけで、むせていたところをもう一押しされれば胃の底まで出させられた。手が汚れるのも気にしない。抱き締められたまま身動きも取れず、浄化に浄化を重ねられた。 「ちゃんと全部出さないと、後でまた気持ち悪くなっちゃうよ? 今出した方が辛くないから、頑張って」 声音は優しいけれど、気遣っているようだけれど、容赦がない。吐かせたかったんじゃないかと思うくらい。自分の胸元で介抱されながら、同時に自分の指で醜態を曝け出させるのは、きっと瑠菜好みだ。忘れていたが、瑠菜もアルコールが回っている。 とはいえ僕も似たようなものだった。気持ち悪さの中で、瑠菜の大きな体に包まれることが唯一救いで、胸に頭を押されれば苦痛も紛れてしまった。我ながら現金だけれど、辛いときの柔らかなぬくもりは、本当に身に染みた。 ただ、瑠菜の優しさはいつも想像を超えてくる。 「ちょっとごめんね?」 吐くと、鼻の方にも胃酸が回ってしまう。そしたら、いきなり瑠菜は鼻を口で食んで、息を吹き込んだんだ。息を吹き入れられる。しかも、口ですらなく、鼻から。何をされたかわからなくて、一瞬頭が真っ白になった。 「る、ん゜ッ?! ッ、~~~~~!!」 紙風船じゃないんだぞと言いたかったけれど、既に僕は美少女の吐息で犯されていた。スピリットって息って意味から来てるんだっけと、脳裏に浮かぶそんな想念も、一瞬で吹き飛ばされてしまう。むせれば口をゆすがれて、歯まで磨かれた。他人に歯磨きされるのが、こんなにゾワゾワするなんて。 結果、気づけば僕は、半ば放心状態で膝枕をされていた。 今でも、何をされたかわかっていない。 ただ、おかげですごくスッキリして。 「どう? 楽になった?」 膝の上、頭を撫でられた時には、気持ち悪さも頭の歪みも、すっかり晴れ渡っていた。何事もなかったかのような感覚。びっくりした。こんなに変わるのか。 「ありがとう、助かった……」 「まあ私、こういうの得意だからね……♪」 「……ほかの人には、しないでね」 瑠菜は答えることなく、頭を二、三度撫でるだけだった。 「どうしたの? お酒、弱いくせに」 もっともな質問だと思う。答えもおそらく知っている。もう、覚悟を決めるしかない。しばらく、逡巡し、言葉を練って、でも、考えはまとまらず。 「……ごめんなさい」 結局僕は、それしか言えなかった。 「……ん、よく言えました♪」 爽やかな肯定を、素直に喜べばいいのかわからない。許されるには簡単すぎる気もした。 「まあ、こちらからも、ごめんなさい」 そう言って頭を下げつつ、僕の顔を覗き込む。思わず目をそらしそうになる、綺麗で大きな眼差しだった。 「……最初からわかってたくせに。ごめんまでが長いの、知ってるでしょ?」 「怒ってはないよ? 私もタイミング悪かったし。ただ、驚いたけどね」 それから、言ってごらん、という風に言葉を待つ瑠菜。 「……瑠菜と、釣り合ってないと思ったんだ」 このやぶれかぶれさは、告白したときのものに似ていた。キョトンとしたのもあの時と同じ。 続いて瑠菜は、ふわっと笑うと。 「まあ、それはそうかな?」 あっけらかんと言ったのだ。思わず低い声が出た。直接言われるとガックリくる。 「……ん、しょげちゃった♪」 「でも実際、瑠菜の好み、背丈だけでしょ」 「とするとキミは、私が小さければ誰でも良い人だって、思ってるのかな?」 おどけて声音を言いながら本質を突いてくる。ただ、少し間をおいて。 「いや、まあ……。チビ助だったことは大きいけど……」 そう付け足した。 「やっぱり!」 瑠菜は朗らかに笑っている。多分、僕の言葉を待っていた。 もう、言う他ない。 「……一方的にもらってばかりだと思ったんだ」 僕の言葉を思案するように上を向く。 こてんと首を傾げ、反対へとまた傾けて。 それからこちらを向くと。 「うーん、調子狂うなぁ……っ!」 困ったように笑ったのだった。 「もしかして、負い目感じてる?」 「……感じてる」 「バカだね」 珍しく、彼女は切り捨てるように言った。頭のいい瑠菜のことだから、それで色々合点がいったのだろう。呆れたように笑う。 次いで、“まあ……”と呟いた。 「何ももらってないけど好きだから、とか、都合のことは言わないよ? キミは、それで安心しないしね? 好意は、万能じゃないもん」 「……突き刺さるね、その言葉」 「一つだけ教えてあげるけど、終わりがあるかもと思うなら、楽しんだ方がいいよ? そう思わないとキミ、損し続けるタイプだよ」 言葉もなかった。実際のところ、それで高校時代の後半を食い潰したようなものだ。彼女がいなければと思うと、ゾッとした。 「……善処する。というか、なんとか、するよ」 「まあ、今後に期待しているよ、おチビくん♪」 とはいえ、やはりいろいろ考えたいことはあった。終わるまで楽しもうとするのはいいけれど、絶対終わらせたくなんてない。一番の懸案が消化不良を起こしていた。 率直にそれを、伝えるべきなのだろうか。 「でも僕は、これまで何か……」 グラスを傾けていた瑠菜は、けれど、低身長男子の言葉を聞くことはなかった。 「ばーか……♪ お口、チャック……♪」 僕を強引に抱き上げると。無理やり唇で塞いでしまったからだ。 「んむ゛ッ?!」 突然暴力的にキスされて、驚かないはずがない。でも藻掻こうにも無駄。元より体格が違うし、お酒ですっかり力は抜けていて、無防備な体に唇をねじ込まれるだけ。そこに舌をねじ込まれれば、だらんと脱力したまま痙攣するほかなかった。 蒸留酒の香りの満ちた舌が、僕の口内を犯していく。お酒にキスされているみたいだ。キツいアルコールの角が取れて、丸くなった芳香が瑠菜の口越しに広がってきた。そして舌先を吸わせるようにねじ込んで、ウィスキーを味わわせていく。おかしくなりそうなお酒の吞ませ方だ。失神するかと思った。 結局、口を離してもらうまで、たっぷり数十秒は数えたと思う。 「ぷはっ?!」 むせるも僕は、口になおとろとろと香りの高い蜜を注ぎ込まれる。僕はとっくに涙目。その頬を包んだまま、瑠菜は唾液の糸を架けてクスクス笑っている。“バカめ”、とでも言いたげな笑いだった。 「教えてあげない」 「え?」 「ダメ。ここから先は、有料、だよ~……♪」 鈍感な僕も、ようやく気付く。 ああ、僕は今、答えをもらおうとしていたのか。これでは元の惰弱さに逆戻りだ。 「……ありがとう」 「あはっ♪ 何事も成長だね? 大きくなりな~……♪」 からかうように僕の頭をわしゃわしゃ撫でながら、瑠菜はすっかりお姉さん顔だ。一生この子に勝てない気がする。けれど、それはこれからの話だ。 「……とにかく、ごめん」 「ん。今日のところは、許してあげよう、かな?」 僕を覗き込み、至近距離で囁く。 次いで、一転。 「まあそれはそれとして」 ジト目で、にぃっとわるい笑みを浮かべると。 「やっぱり、必要だよね?」 スマホを取り出し。 「おしおき♡」 カチカチカチッと。 一気に縮小のメモリを下げてしまうのだ。 「え、ちょっと、今?!」 情事の開始と同じ意味合いを持つそれも、このタイミングでは判決と同じ。慌てる僕に対し瑠菜は、普段とは違った“わるいお姉さん”といった雰囲気で、なぜだかいつも以上に危険な色香を漂わせていた。 衝撃の中、ぐんぐん大きくなっていくお姉さんの姿。表示によれば3倍差になっているようだけれど、今ばっかりは500㎝で収まる大きさには見えない。魚眼っぽく歪んで映る視界の中で、フリルシャツの下乳が頭上に張り出していく。その向こう、瑠菜の姿はまるで罰する地母神だ。 「お、おしおきって……」 「ごめん、やっぱりちょっと、ムカついちゃった♡」 「今言わないでッ……ぐぇっ?!」 「あはっ♡ 喋っちゃ、だめー♡」 もう自分の膝にすら届かない恋人に首輪すると、グイッと引っ張り無理やり立たせるお姉さん。カエルみたいな悲鳴をあげて、僕はされるがままだ。 「恥ずかしいこと言わせた罰だよ? 何言わせるの、ホントに……。あ、ちょっと怒りも、再燃してきたかも?」 「ごめんってば!!」 けれど瑠菜はそれっきり、クスクス笑うだけ。脚を組んで僕を覗き込み、僕の困惑を楽しんでいる様子だ。首輪を引っ張られてつま先立ちの僕は、瑠菜にはどんなふうに見えたのだろう。長い脚を組んで見下ろし、つま先で顎先を撫でてくる。ひし形模様のぴっちりタイツ、くねる肉感が僕の顔まで伸びて、爪の感触で僕をからかった。自分よりずっと太く長い脚に見下ろされ、奴隷みたいに立たされて。それだけで僕は、否応なくヘンなスイッチを入れられてしまう。 「洗いざらい吐かせてあげたんだから、サービス料くらい、もらわないとね……♪」 優しい女の子に首輪で締め上げられている、座りながら見下ろされて、笑われている。おかしくなるほどの倒錯。そして、スリスリと股間をタイツつま先でさすり上げると。 「ごめんね? 今日、めちゃくちゃにするね♡」 にっこりとして、そう言った。