カードショップボルケーノという新たな舞台が追加され、それに伴い新キャラクターが二名登場しました。ひとりはキメラ・ギルドの"ギルドマスター"月ノ輪権蔵。キメサイはいいぞおじさん、通称月さんです。もうひとりがコントロール大好きクラブの代表、蔵馬。作品内で野良をはじめとするキャラクターのセリフの中では「クラマ」とカタカナ表記になっていますが、これには深い理由はありません。なんとなく野良達は蔵馬の名前を漢字ではなくカタカナで認識してそうだな、といった僕の個人的な解釈でそうしています。 直近の盤外編で描いた通り、クラマは設定段階では斜に構えたクールで理知的なイケメンでした。涼しい顔をして皮肉な言い回しを多用し、周囲の者達はワンテンポ遅れて皮肉を言われたのだと気づくような、そんなキャラクターを想定していました。いざ連載本編で作画をしてみたところ私の画力では「イケメンなキツネ」を描くことが不可能だと判明し、元々考えていたクールイケメンという設定をスッパリと諦めて性格をキャラデザの方に無理やり寄せ切った顛末です。 読者の皆様はよくよくご存知のことと思いますが、私は絵を描くのが得意ではありません。人間なんて描けませんし、キャラクター別に人間を描き分けるなんてもっと無理です。動物ならば特徴さえ捉えていればそれっぽく見えて、その上描き分けも非常に楽。なにより日刊連載のような真似をしている以上、人間なんて例えデフォルメされてても作画コストのハードルが高過ぎて私には描けません。「耳が長けりゃうさぎに見えるだろ」と思って描いたのがうさカスですし、「色が違えば別のキャラじゃん」ということで生まれたのがうさクズです。本当にそんなもんです。 そんなわけで、いわゆるキャラデザ、キャラクターの造形にはほとんど労力をかけていません。この画風でこだわりもクソもないでしょう。苦労したのは龍堂くらいで、他のキャラクターは名前もキャラデザもほとんど一発で決めています。私にとって重要なのはキャラクターの性格であり、またその性格を表現する台詞回しなのです。性格周りの設定には自分なりに心血を注いでいるつもりなので、それぞれのキャラクターにはそれなりの愛着があります。 さて、そんな信条らしきものを持ってやっているのだというささやかな自負が完全に裏目ったのがクラマでしょう。まさか画力がアダになる日が来るとは思いませんでした。次から設定と歩調を合わせてキャラデザも練っておくことにします(基本中の基本でしょう)。キャラデザの方に性格の設定を寄せたのはおそらくクラマが初です。 性格とは別にクラマ自身の過去や境遇、今後のストーリーとの絡みもあり、性格や台詞回しを変えるといっても限度があります。大筋に影響が出ないように、しかしキャラデザにマッチした性格になるように練り直したのが現在のクラマです。どうやらある種の味のあるキャラクターになったぞという安堵が半分、こんなキャラクターがカードゲームうさぎの世界に登場することになろうとはという驚きが半分。漫画の中の登場人物としては、個人的には結構好きですクラマ。万一現実世界で遭遇したら、絶対に関わり合いになりたくないですが。 いつかどこかの余白だか後書きだかに書きましたが、カードゲームで遊んでいると嫌な思いも正直します。対戦相手の態度が悪かったり、店内が臭かったり、ショップ内の人間関係が面倒だったり、まぁ色々と。それでも私は楽しいからカードをやっていますし、創造の世界である漫画の中でわざわざ嫌な側面を書く気にもなれません(※)。よって、カードゲームうさぎに登場するキャラクターは、なんだか聖人君子みたいな奴が多数を占めるようになってしまいました。面白いと思って頂けるようなストーリーを描くことが私にとってのやり甲斐ですが、我ながらこんな理想的な環境あるはずねーだろというツッコミのひとつも入れたくなってしまいます。結果論ではあるにせよ、クラマはそんな作中の状況における一滴の毒薬になってくれるかもしれません。 ※その意味で、ブルドラ環境やプレイヤーの引退を描くことは私にとっての冒険でした。一強環境や引退にもドラマはあるだろう、という意図で挑戦しています。 カード絡みのあるあるネタを切り貼りしていた【うさぎとうさぎの奮闘記】の頃に比べると、キャラクター同士の掛け合いのような場面で展開を作っていくことが増えてきました。練り込んだキャラクター設定を作中で活かす作業は楽しいですが、最近はやっぱりキャラクター達がカードやメタゲームと向き合ってナンボだろうという思いに至りつつあります。ここからまたブルドラ環境が動いていきますので、引き続きよろしくお願いします。