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ワタル
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エピソード・ワタル

カードゲームうさぎを描き始めて四年が経ちました。今、四年前では思いもつかないような事を考えながら漫画を描けている実感があります。これは私が圧倒的成長した訳では勿論なく、四年相応の文脈があるのです。この年の瀬に一度立ち止まって来し方を振り返り、行く末に思いを馳せてみようと思います。なにしろ、昨日からエピソード・ライ太を休載してしまうという若干の後ろめたさがありますので、そんな自分を慰める為に今思うことを文章に起こして皆様に共有させていただく次第であります。長文お気持ち表明失礼します。



カードゲームうさぎの始まりはLINEスタンプでした。

日頃から友人達と紙をシバきまくっていた私ですが、友人と遊ぶ約束をするのは基本的にLINEです。あのカードを買っただの、新しいデッキを組んだだのとキャッキャウフフするのもLINEですので、ある日ふと思い立ち、カードの話題で使いやすいLINEスタンプを探してみたところ、その種類の少なさに驚きました。あるにはありましたが、なんとなく普段使いしづらいと感じ、それなら自分で作ってみようとスマホにお絵描きアプリをインストールし、ピンクのうさぎを描きました。絵なんて描くのは高校の美術の授業以来ですし、アプリの使い方もよくわからず苦戦しながらもなんとかスタンプ32個を描き上げてLINEショップにリリースしました。2018年のことです。



無料とはいえせっかくお絵描きアプリ、正確に言えばibisPaintの使い方を覚えたのだから漫画でも描いてみるかと、LINEスタンプを描き上げた勢いのままヘッタクソな4コマを完成させてTwitterにアップしました。



当時私のTwitterアカウントはフォロワー数500人程でしたが、それ以上に多くの方々からイイネをいただき、望外の喜びを感じたものです。味を占めた私は思いついたネタを片っ端から漫画化してTwitterにアップし続けました。なにしろカードばっかりやってきた人生ですのでネタ切れなどそうそうありません。頭の中に無限にストックされているネタを下手くそな絵に落とし込んでTLに放流していく簡単なお仕事。これがまぁとにかく面白くて、毎日毎日馬鹿の一つ覚えで続けていました。



四年前といえば私が遊戯王とMTGの二足の草鞋で紙しばきに興じていた頃。どちらかというとMTGに軸足を置いていました。話は逸れますがMTGはバチクソ面白い神ゲーであり、クソな手札事故や対戦相手の神がかったブン回りに死ぬほど温まりながら、今も大会通いを楽しんでいます。先日とあるお方とお話しした際、「MTG面白いっすね、一生やめられないかもしれないです」と言ったら「やめられるわけないじゃないですか」などと返されて笑ってしまいました。

そんな訳でカードゲームうさぎの初期はMTGネタがちょくちょく出てきます。MTGにハマっているのだからそのネタを描くのは当然なのですが、たまたま今ハマっているのがMTGというだけで、他タイトルも勿論、それぞれに面白いはずなのです。遊戯王は最高に面白い。なにせ十五年くらいぶっ続けでハマってました。私の青春は遊戯王に捧げました。大学時代、デート中彼女に「また遊戯王wiki見てるの?」と何度も指摘され、そのまま婚約してご両親に初めての挨拶に伺った際は彼女に「この人がワタルくん。趣味は遊戯王カード」と紹介されて目の前が真っ白になりました。ポケカも相当ハマりました。大昔の話なので今はもう勝手が随分違うのかも分かりませんが、自分が選び抜いたポケモンを育てて戦わせるというまさに「ポケモンバトル」を盤面上に再現したルールに痺れたのを覚えています。大好きなライチュウのカードを毎晩毎晩飽きずに眺めて、ライチュウを活躍させられるデッキを作るためにどれだけ知恵を絞ったことか。リザードンもカッコよくてめちゃくちゃお気に入りでした。カードに対する愛着を教えてくれたのは間違いなくポケカです。



私がまだ遊んだことが無いだけで、他のタイトルも同じように最高なはずなのです。時たま私のTLに私の知らないTCGタイトルについてのツイートが流れて来ますが、みんなめちゃくちゃ楽しそうです。禁止だの高騰だのでキレ散らかしてるツイートも散見されますが、たいして面白くもなかったらキレもせず引退して終わりでしょう。本当に面白いから、ハマってるから本気になっている。そんな気がするのです。



それぞれのタイトルで本気になって楽しんでいるプレイヤー達が沢山いるはずで、拙いながらもせっかく漫画を描くのなら、多くの方に読んでほしい。もっと言えば、TCGタイトルの垣根を超えて読んでもらえる漫画を描きたい。そう考えて、カードゲームうさぎは早い段階でTCGタイトルを限定しない方針を定めました。



四コマ漫画を描き始めてだいたい二年くらいは「単発あるあるネタ」でした。これだけで数百枚描いています。

漫画を描く際、描き手にとって「あるあるネタ」はかなりとっつきやすいジャンルだと思っています。人を笑わせる、泣かせる、感動させるといった感情に訴えるにはある程度の紙面が必要だと思いますが、共感して貰うには四コマあれば十分だからです。あっこれは身に覚えがあるな、と感じてもらえさえすればいいのですから、描き始めるハードルは比較的低いのではないでしょうか。

そんな手軽さもあってしつこく単発あるあるネタを描き続けていた訳ですが、何百回とやっているうちに、飽きました。遊戯王は十五年やっても飽きませんでしたが、四コマを描くのは一年半くらいで飽きました。別に仕事で描いているでもないのですから、やめるとなったら早いです。四コマ作業から離れると一気に時間が余りますので、趣味の読書や三味線を楽しみ、気兼ねなく酒を飲み歩くということになります。まことに平和な日常です。そんな平穏な日々も、しばらく続くと退屈に感じられてきました。刺激が足りない。同人活動から足抜けできない人の気持ちが少しだけわかった気がします。そこで一念発起して描き始めたのが、うさぎとうさぎの奮闘記です。



奮闘記の連載は心躍るチャレンジでした。なにしろ私史上初の連載です。キャラクターに役割を持たせて、ストーリーを展開できる。役割もストーリーも私が決めてよいのです。色々と物語の構想を練るのは楽しかったですが、完璧にプロットを固めてから描き始めるのは危険だと判断し(途中で飽きて企画倒れになってしまいそうなので) 、ある程度で見切り発車しました。奮闘記は本当にその場のノリで始めたようなものなので、単発あるあるネタをつぎはぎしながらなんとか物語調に仕立て上げました。それでも最後のうさクズ対ライ太戦は狙った通りに描けた手応えがあり、結構な自己満足を覚えました。奮闘記では「連載物は単発ネタと違って各々のキャラクターに個性が出せる」という利点を我が身に刻むことができました。



奮闘記から2ヶ月の構想期間を経て、鷲崎伝の連載をスタートしました。こちらも割と見切り発車でしたが、大枠のストーリーだけはしっかり固めてから始めました。ベースにあるのは変わらずあるあるネタですが、キャラクターの個性に物語を乗せ、「共感」だけではなく、それ以上にストーリーを楽しんでもらえることを念頭に置いています。鷲崎伝の連載終盤、たくさんの方々からリプライや引用RTで感想をいただき、ストーリーを読み込んでいただけていることが分かり小躍りして喜んだものでした。三十話もの紙面があれば、しっかりと感情に訴えかけられるような話が作れるのだと小さな自信がついたのです。



今作エピソード・ライ太における私のチャレンジはキャラクター設定の深掘りです。話数の制限無しに満足するまで描き続けることを前提に、各キャラクターが何を考え、どのように環境と向き合い、何のデッキを握るに至るのかをしっかりと描写しようと思いました。半ば成り行きですが、握るデッキに個性を持たせることで対戦描写の解像度を上げることができました。対戦中に感じられる熱、紙一重のシーソーゲームからしか得られない心の底から湧き出してくるようなあの熱量を、たった一滴でも漫画の中に落とし込めたのではないかという手応えを感じました(勿論主観であり、読者の皆様がどのように感じているかは分かりませんが)。

今私が考えているのは、エピソード・ライ太の終盤で、この対戦描写の中に如何にストーリーを織り込むかということです。拙いながら対戦の内容は描けました。ここに、これまで何十話と続いて来た文脈を乗せたいのです。対戦の熱量に物語の熱量を加えて読者の皆様に叩きつけたい。その為に布石を打ち続けています。



いつかどこかで描きましたが、私が伝えたいと思っている熱量は、私の下手くそな絵を経由することで数割減で皆様に届くのだと思います。これから絵の勉強をする気は流石にありませんので、漫画に落とし込む前の熱量をどれだけ上げられるかが勝負になります。エピソード・ライ太を読んでくださった方が面白いと思うかどうかは私には分かりません。しかし、少なくとも描き手である私が面白いと思える話を描いていたい。そうでなければやっていられないという面もあるのかもしれません。



振り返ってみれば、あるあるネタを無限に描き続けていた頃とは随分違った姿勢で漫画を描いています。私には私の文脈があり、長く続けることの重要さを今、噛み締めています。元来涙脆い私ですが、終盤のライ太の話を考えるたびに涙目になってしまいます。この熱量を可能な限り漫画に落とし込みたいというのが、来年の私の抱負ということになるでしょうか。とりとめのない長文になってしまいましたが、ご支援いただいている身でもありますので、引き続き精一杯気張らせていただきます。よろしければ完結まで、お付き合いくださいませ。

Comments

書き手側が涙するほどのその熱量大切だと思います。 いつも楽しみにしていますが、無理をされない範囲で頑張ってください。

KTK

発売された構築済みデッキに手を出してもなんとなく転がしっぱなしのデュエマ半引退に近かった自分が、 一念発起して黒単アビスを構築して初のCS出場まで予定を決めたのには、 確実にACGに真剣に打ち込むうさぎコンビ、剣士、ライ太達の影響があったと思います これからも頑張って下さい…!

めておますたー

マジック、ANTのデッキ全部売って完全引退したと思ったけど漫画の影響でリミテ始めちゃった。やはりTCGは紙のドラッグ。

takasan

小さい頃からTCGには触れず、また現在は他の趣味に忙しく、TCGは作者様の漫画くらいでしか知らないのですが、本当に楽しく読めています。ディティールをぼかすことによって感覚で状況を伝わりやすくする作者様の手腕もさることながら、趣味に打ち込むキャラクター達の熱が、TCGの枠すらも超えて伝わってくるのが魅力だと思っています。

松笠

エピソードライ太のスタンプ化も待ってます!

nao

ワタルさんのおかげでカードゲーム熱あがりましたありがとうございました

amyumoto

本気の熱は必ず誰かに伝わります。 ワタルさんが始めたカードゲームうさぎは今では多くの人に影響を与えています。 畠中さんが動画で声を担当したり、HIDARUMAパーカーや小物などを身に付けてイベントに参加する人を見るとワタルさんの熱は確かに誰かに届いています。 これからもワタルさんの情熱が燃え続け、誰かに伝わることを願っています。

コココ

アリーナとMDを行ったり来たり二足の草鞋を楽しんでます。オリジナルのデッキを組む虎穴勢の凄さや楽しさを漫画を通して楽しませていただいています。 「このカードは自分のデッキに合うかも」というハングリーさを自分が無くしている事に気づき、また新カードをストーリー以外にも注目して見て行こうとアンテナを貼りたいと思わせてくれました。

raito

ポケカ民ですが、日々、共感しております。 ライ太のならずキャラクター達がどう動き、そこに至るのかを楽しみに拝読しております。 引き続き無理をせず、自らのペースで彼らの行く末を描いていただきたいと願っておりますので宜しくお願いします。

がらくた

ワタルさんの漫画に触発されて紙のMTGを数十年ぶりに再開し、大会を通して友人と出会いました。色々な機会があって楽しいです。 ワタルさんの漫画も我ながら一つの邂逅だと思います。本当にありがとうございます

SHOW-Hey

日々楽しく拝読させていただいております。 カードゲームに触れたことのない私にも伝わってくるカードの面白さ、奥深さ。カードに興じる動物たちのやりとりや深い背景。それらを巧みに表現するワタルさんのセンスに脱帽です! 読み始めてから日常の楽しみが一つ増えました、ありがとうございます。これからも支援金でたくさんお酒を飲んで無理のない範囲で続けてください。

seazootaka

私もYPからMTGプレイヤーに転身した身です。ワタルさんの漫画にはこの界隈においてのリアリティとユーモアが漏れなく表現されていると感じます。意地でも完走してください、最後まで応援します!!

Y K

体調と時間に気をつけて、毎秒投稿してください。ご自身の体調や、趣味などをこなしつつ、の上での創作活動ではないかと思っています。お気をつけて。 本当に大好きなシリーズです。続いてくれると嬉しいです。

みずやん

≪#NAME:読者≫は生まれて初めて、 ほんわかふわふわした気持ちになった。 ー平和な心ー

ken Kawa

長文失礼しましたm(_ _)m

クリアラゲ

「漫画→スタンプ化」でなく「スタンプ→漫画化」だったんですか……驚きました。 私は奮闘記が始まる少し前くらいからのファンですが、ワタル先生の漫画は本当に面白く、読んでいるこっちまでカードゲームをやりたくなってきます。 エピソード・ライ太は過去最長の連載ということもあり苦労なさっているようですが、くれぐれも御身体やリアルの生活にはお気を付けになった上で、先生の描きたい物語を描いていただきたいです。この物語の完成を、本当に楽しみにお待ちしております。 PS. 良い機会(?)なのでぶちまけますが、「劇薬」のおかげで推しカードを更に活かすデッキの構築に成功し、小さな公認大会で優勝しました!あと1日3回は無意識的にそのカードが脳内に浮かぶようになりました。

クリアラゲ

伝わりました。 最後まで楽しんで読ませていただきます。 対戦よろしくお願いします。

えんだ


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