NokiMo
たてじま
たてじま

fanbox


キャラクターの名前と文化圏に関するたてじま的考察

 創作において、自分の作ったキャラクターに名前を付けるという行為は、とても大切なものですよね。どんな名前にしようかといろいろ頭を悩ませるのも「産みの楽しみ」とでも言うべき胸躍るものです。

 たてじま(筆者)は、自分の創造したキャラクターに命名するときは、現実に存在する特定の文化圏や国家の雰囲気を極力帯びさせないように気を付けています。すなわち、現実に存在していて且つよく知られた名前はなるべく付けないようにしているのです。

1. 現実に存在する名前を避ける二つの理由

(1) 筆者の創造したキャラクターたちは、その多くが北エヒミヤ大陸という架空の大陸に住んでいるという設定になっています。北エヒミヤは地球上に存在しているという設定になっていますが、ヨーロッパでもアメリカでもアジアでもアフリカでもオセアニアでも(むろん南極でも)ない地であり、これらのいずれの文化圏にも属さない場所であるという設定のもとに描かれています。

 したがって、設定上、北エヒミヤ大陸に住んでいる人たちは現実に存在するいずれの文化圏にも属さず、他文化圏からの影響は弱いということになっています。人名というものは、その文化圏の特徴をよく表すものですから、現実世界に存在しないような名前を設定することで、他文化圏の影響をあまり受けていないということを示唆できるのです。


(2) 特定の文化圏に縛られないことで、ストーリーの舞台(ここでは北エヒミヤ大陸を中心とする地域)の文化や歴史、場合によっては自然環境や生物相や鉱工業などを、既存の事実とは関係なく自由に考案したり設定したりすることができます。

 気にすべきものは物理や化学や天文学だけでよいなんて、かなり気楽だと思いませんか?


2. キャラクターの名前による固定化されたイメージ

 キャラクターの名前が特定の文化圏をイメージさせてしまう具体例を、ここで挙げてみましょう。

 例えば、自分が考案したキャラクターに「ミシェル (Michel)」「ピエール (Pierre)」「ドロテ (Dorothée)」「ジョゼット (Josette)」などという名前を付けたとします。すると、それらのキャラクターの周囲には、たちまちフランス風の雰囲気が立ち上ることとなります。なぜなら先に挙げた名前がいずれもフランス語圏の人名であるからです。

あるいは、「ボリス (Борис)」「ヤロスラーフ (Ярослав)」「エカチェリーナ (Екатерина)」「タチヤーナ (Татьяна)」なんていう名前をキャラクターに付けたとしたら、その場にはたちまちロシアの空気が立ち込めることになります。


 こんなふうに、ある特定の文化圏の雰囲気が作品中に生じた場合、人物以外のほかの事物もその文化圏のものに合わせなければなりません。そうなると、気候風土も、歴史的事実も、すべてを現実に存在するものと合致させなければならなくなってくるのです。

 「そこまで気を使わなくてもいいんじゃない?」という声も聞こえてきそうですが、筆者はそこまでしないと作品中の文化の整合性が取れないように感じるのです。そして文化の整合性が取れないままぎくしゃくした雰囲気の中で創作を続けていっても、決して満足のいくものはできません。

 それならばいっそのこと、全く現実に存在しない文化圏を作ってしまえば、事物をいかようにも設定できるじゃないですか。人の名前だろうが、家の建築様式だろうが、街の作りだろうが、名物料理だろうが、歴史や伝統だろうが、場合によってはそこに生えている植物や生息している動物までも、自由自在に発想することができます。


 もっとも、たてじまの創作キャラにおいても、既存の文化圏に由来する個人名が完全に排除されているというわけではありません。

 例としてこういうのとか。

 *ドミンゴ(Domingo):スペイン語圏に実在する名前。

 *フョードル (Feodor):ロシア語圏に実在する名前。

 ただし両名とも、苗字まではそれぞれの言語圏に存在していないものと思われます。


 あるいは、現実に存在しない、もしくは存在するかどうかが不確かである名前であるが、現実に存在する言語のイメージを受けて作った名前というものはあります。

 *ジェステン (Djesten):英語圏の「ジャスティン (Justin)」ないし「ダスティン (Dustin)」の影響がある。ちなみに「dj」という綴りは、フランス語圏では外来語の「ヂャ」行の音を表すのによく用いる。

 *アスティント (Astind):英語圏にありそうな響きの名前「Astin」(実際には個人名としては存在しないらしい)をベースとして、英語っぽさを抜くためドイツ語式に語末へ無声の「d」を付けたもの。

 *エイリュアス (Eilyas):多分実在しない名前であろうが、なんとなくギリシア語のイメージで創案。



 上記のような、現実に存在する名前をキャラクターに付けるときは、次のような解釈を設定しています。

「そのキャラクターの親や祖父母が、その名前を用いる文化圏の出身なのだ。

 例えばドミンゴなら、親なり祖父母なりがスペイン語圏生まれだったのだろう。」

「そのキャラクターを命名した人(作者すなわちたてじまのことではなく、親や祖父母や名付け親など、物語内でキャラクターに名前を与えたと設定できうる人物)が、その名前に魅力を感じていたからその名前を付けたのだ。

 例えばフョードルなら、親だか誰だか分からないが名前を付けた人が、ロシア文化が好きで、それにちなんで子供にフョードルという名前を付けようと考えたのだろう。」


 尤も、実際にこれらの設定が絶対的なものに定まったわけではありませんがね。


3. 苗字の場合は

 なお、ここまで個人名について語ってきましたが、苗字についても同様のことが言えます。個人名と同様に、特定の文化圏の雰囲気を漂わせる苗字を用いるのは、現実のどの文化圏とも異なる文化圏を作るうえで障壁になってしまいます

 ただし、そこを逆手に取って、ある人物について「この人は、この作品の舞台となっている地域とは異なる別の文化圏から来ましたよ」または「別の文化圏にルーツがありますよ」ということを示唆するのに、実在の苗字や個人名を用いることが可能です。

 例えば、

 *左右悠司(そう ゆうじ):日本出身。ルーツは普通に日本人(大和族)。

  なお、「左右(そう)」という苗字はおそらく珍しいであろう。現実にどのくらい存在するかは調べていない。

 *トリュービン・ホー:彼女は漢族ハーフという設定であり、「何 如斌」という漢字名を有していて、中華人民共和国の漢族にルーツがあることが推測できる。



まとめ

 筆者のキャラクター作成においては、現実の文化や民族による固定化されたイメージを排除するため、特定の文化圏に属する人名は、キャラクターの名づけにはなるべく用いない方針です。個人名(ファーストネーム)、苗字(ファミリーネーム)のいずれにおいてもです。

 逆に既存の文化圏や民族の出身、ないし近しい関係にあることを示すために、実在の名前を用いることもあります。


キャラクターの名前と文化圏に関するたてじま的考察 キャラクターの名前と文化圏に関するたてじま的考察 キャラクターの名前と文化圏に関するたてじま的考察 キャラクターの名前と文化圏に関するたてじま的考察

Related Creators