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SS_闇勇者式バカンス(前編)

数か月後に全体公開にする予定です。

→ 2022.05.01 追記:全体公開にしました


今回はシエラさんにご協力いただいて書いてみました。

シエラさんの宣伝。

twitter:https://twitter.com/darksierrav

pixiv:https://www.pixiv.net/users/726137


思ったよりたくさん書いてしまったので前編後編と分けさせていただきます。

※先行公開する件は本人に許可をいただいています


シエラさんのOC(オリジナルキャラクター)、闇勇者ダークシエラ。

闇勇者が久々に(?)闇勇者らしいことをするようです。

(約5,500字)


※無断転載禁止


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8月某日、14時ちょうど。

ここはハワイ……ではなく、地理上は東京都に所属するとある無人島。


その海岸には、セットされたビーチパラソルがひとつ。

あとは小さなテーブルに、冷たい炭酸飲料の入ったグラス、敷かれた1人用マット。

そして、そのマットで寝転がる水着姿の女性が1人。



「いやー、生き返るわー。

静かな場所でのんびりバカンス、っていうのもたまにはいいわね。」



彼女の名前はダークシエラ。

勇者の偽物、闇勇者である。


勇者という言葉の時点で察しのいい人はお気づきだろうが、出身はとある異世界。

人間たちと戦うため、魔王によって生み出された存在である。


しかし魔王に命令されることに嫌気が差し、この世界に転移したらしい。

こちらの世界では人間生活を謳歌しているとのことだ。



「こっちの世界のコンクリートジャングルは便利なんだけど、

うるさいし狭苦しいし……精神削れるのよね。」



今まで居た世界と比べれば娯楽も多いし楽しいことも多い。

しかし今まで居た世界と比べると、人間も建物も多すぎる。


魔物が居ない世界だから人間たちは好き放題になんでもやっている。

この世界の人間たちが嫌いというわけではないが、

なんとなく調子に乗っている人間も少なくないというか。


温室育ちの人間が多い、気がする。



「よし、決めた。

精神削れたときには休養や気晴らしが大事って言われているし……

たまには闇勇者らしい気晴らし、やっちゃおうかな!

そうと決まれば、っと。」



立ち上がって取り出したものは……スマホだ。


誰かと連絡を取り始めるダークシエラ。

闇勇者らしい気晴らしを行うために必要なことらしい。



「……はーい。

それじゃあ、よろしくね!」



話すこと数分。

何かをお願いした様子。


スマホをマットの上に置くと準備運動を始めるダークシエラ。

腕を回したり、軽くもも上げをしたり。


程よく体が温まってほぐれてきたら準備運動は完了だ。


そのときスマホにメッセージが届く。

先ほど通話していた相手からだ。

準備完了、と書いてある。



「もう準備できたんだ、早いね。

さてと、仕上げに……」



彼女は自分自身にいくつかの魔法をかけ始める。

今は特に変化がないようだ。


いくつか魔法をかけ終えると、彼女は1度深呼吸。

息を吸って、吐いて。

最後にもうひとつ魔法をかける。


直後、彼女の身体がみるみる巨大化していく。

無人島ということもあり周囲に目安となる建物などはないが、

あっという間に彼女は165メートルの大きさに。

普段の100倍の大きさである。



「こういう魔法使うのも久々だけど、意外と忘れないものね。

さあ、バカンスの余興といきましょうか。」



14時15分。

ダークシエラ、無人島から出発。


海へと進んでいき、沖へと泳ぎ始める。

腕や脚を使って水をかき分けてどんどん進んでいく。


目指すは余興の会場、首都東京である。



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彼女が泳ぐこと10分と少し。

本州が見えてきた。

ちょうど港からフェリーが出たところらしい。


せっかくだから、怪獣映画さながらの登場でもやってみようかしら。

潜水しながらフェリーに近づいて……



「がおーっ!

怪獣だぞーっ!」



ザバァァァァッ!

出港したフェリーのすぐ近くで彼女は立ち上がる。

船の長さだけで言えば彼女の身長よりも大きなフェリーだが、

彼女が浮上した際に発生した大波で既にバランスを崩している状態だ。

このままでも転覆してしまいそうだが、彼女は容赦なくフェリーを両手で掴んで……


そのまま両腕を勢いよく振り上げると、軽々とフェリーをひっくり返してしまう。

フェリーはあっという間に天地がひっくり返ってしまい、

何もすることができないまま進路を海底へと変えられてしまった。



「ふふん、私より大きいのに簡単に沈められちゃった。

余興の始まりとしては悪くないかな?」



ズンッ! ズンッ! ズンッ!

彼女は海を歩きながら陸地へと近づいていく。

陸地に近づけば近づくほど海底は浅くなっていき、

彼女の全身がだんだんと露わになっていく。

まさに怪獣の上陸シーンそのものだ。



「大きくなって上から見下ろす視点は久しぶりだなぁ。

下で怯えている人間たちを見ると、私が闇勇者だって実感がわいてくるわー。」



14時30分。

ダークシエラ、本州上陸。


といっても、実は東京ではない。

上陸したのは隣の神奈川である。



「いきなりメインディッシュというのも面白くないし、まずはこの辺からね。

余興ついでに試したいこともあるし?」



先ほどフェリーが出発した港へと踏み入れている彼女は

手始めにフェリーを待つ人々が居た建物へ足をかざす。

港に居た人間たちはフェリーではなく巨大娘がやってきて呆然と見上げていたが、

その様子を見て慌てて逃げ始めていく。


それを見下ろしながらニヤニヤとしている彼女はすぐには足を下ろさない。



「そうそう、みんな頑張って逃げて?

ぼさっとしてると踏みつぶされちゃうよー?」



足をかざしてから30秒ほど。

時間切れと言わんばかりに足が下ろされる。


グシャアアァァッ!

建物が軽々と踏み抜かれていく。

さすがに体重数万トンの人間が踏みつけてくることは想定されていなかっただろう。


ズシィィンッ! ズドォォンッ!

彼女は容赦なく何度も踏みつけ、

建物があったことが全く分からないほどに踏みつぶしてしまった。

逃げられなかった人間は建物ごと踏みつぶされ、なんとか逃げられた人間も

彼女の踏みつけによる地響きで動くことができないほどであった。



「ほらほら人間たち、見とれている場合じゃないよ?

車とか使って逃げないと?」



隣の駐車場に停まっていた車を彼女は足の指を使って器用に掴んでみせる。

掴まれた車は少しヘコんでしまっているがなんとか形を保っている。


すると彼女は脚も使って車を勢いよく投げてしまった。


ズシャアアァァン!

数十メートル先にあった住宅街の民家のひとつに突き刺さり、爆発炎上。


どこからともなく時速数百キロメートル以上の猛スピードで

車が飛来してきたことにより付近の住人たちはさらに大混乱に。



「いいねいいね、みんな怖がってる。

あたし仕事してる♪」



闇勇者として人間の恐怖に興奮を覚えるダークシエラ。

すると小さく震える彼女の身体は少しずつ巨大化しているようにみえる。

いや、本当に大きくなっているのだ。


彼女が無人島を出発する前に自身にかけた魔法は、巨大化以外に3つ。

1つ目、建物や街を破壊することで経験値を得られる魔法。

2つ目、どれだけ大きくなっても人間の恐怖を感じ取ることができる魔法。

そして3つ目、経験値や恐怖を糧にレベルアップ、すなわち巨大化する魔法である。


つまり、彼女が街を破壊し、人間に恐怖を与えることで

さらに巨大な脅威へと進化し続けるのだ。



「勇者だってレベルアップするんだから、闇勇者がレベルアップするのも当然よね。

ということで、私をもっと怖がっちゃって?」



身長約200メートルにまで巨大化した彼女は付近の住宅街へと踏み入れる。

約30メートルほどの長さの足が民家を2・3つまとめて踏み抜いていく。

踏み抜かれた民家は支えを失い、崩れ去ってしまう。

運よく踏まれなかった民家も足踏みによる地響きでヒビが入ったり

傾いたりと無事ではない状態だ。


住人たちは逃げようにも地響きで思うように動けず、

さらには道路は足跡が刻まれて寸断される。


先ほどまで泳いでいたこともあり、

まだほんのり濡れている彼女の足裏には土と瓦礫がしっかりと貼りついている。



「怪獣だったら真っすぐ進んで通り過ぎるだけなんだろうけど、

私は闇勇者だからね。

しっかりと踏みつぶして……って、ひゃっ!?」



住宅街を踏み荒らしている最中、彼女の身体が大きく震えると同時に急激に巨大化。

あっという間に約300メートルの大きさになってしまった。



「あー、びっくりした……急に大きくなっちゃうんだもん。

離れたところに居る人間の恐怖が一気に集まってきたみたい。

ということは、地上波とかで放映されているみたい?」



14時40分

緊急速報として巨大な闇勇者の様子が配信され始めたらしい。

人間としては緊急事態を周知するための行為なのだが、

それが闇勇者をさらにレベルアップさせてしまう。


巨大化した様子が映されることでさらに人間たちの恐怖が増し、彼女の糧となる。

あっという間に約400メートルにまで巨大化してしまったのだ。



「んんっ、たくさんの恐怖がこんなにすぐに集まるなんて、興奮しちゃう♪

これだけ大きくなったし、配信されているなら……

そろそろ派手にやっちゃおっか?」



ズシィィンッ! ドシィィンッ!

恐怖が集まり巨大化していく興奮を堪能しながら、少し離れたところに見える都市、横浜へと向かい始める。

もはや足元に何があるか気にすることもなく真っすぐ侵攻していく。


民家は1歩で10軒以上が踏みつぶされ、

集合住宅もひと踏みで真っ二つに分断されて崩壊していく。

道路や線路も足跡と化して寸断され、車や電車が通ることができなくなる。

とりわけ都会の足である鉄道は路線全体がマヒするほどの被害を受けてしまう。



「うんうん、やっぱりコンクリートジャングル。

大きくならないとホント狭苦しいんだから。」



歩くほど数分、あっという間に横浜に着いた彼女は

既に約500メートル以上の大きさになっていた。

ほぼ全ての建物が膝下にも届かないという状態を

全国の人間が見せつけられているのだからその恐怖は相当なものだろう。

あるいは、あまりにも非現実で

恐怖を実感できていない人間も少なくないのかもしれない。



「んふふ、この大きさになるとさすがに

建物から逃げ出すまで待ってあげられないからね。

生き残りたければ頑張って逃げて?」



ズシィィン! ズシィィン!

ビルが建ち並ぶ区域でも今の彼女にとっては草原のようなものだ。

数階建てのビルは簡単に踏み抜かれ、

その周囲の建物も何気ない彼女の足の動きで蹴散らされていく。


瓦礫が散らばり道路はあちこちが封鎖状態。

鉄道はもちろん、地下鉄も崩壊していき、

付近の公共交通機関はあっという間に壊滅状態。

さらには我先にと逃げようとしている人間たちにより大渋滞や大混雑が起きている。

もはやこの都市から逃げ出すことができない、

そんな焦りと恐怖が彼女をさらに大きく凶悪な存在に進化させてしまう。



「この四角い塔みたいなビル、遠くからでも結構目立ってるよね。

ちょっと遊んであげようか。」



横浜のビル街の殆どを踏み荒らした彼女の身長は

約700メートルにまで成長していた。

そんな彼女でも跨げるかどうかというとても大きなビルだ。


しっかりと足を上げると、

彼女は絶妙なバランス感覚でビルの上にゆっくりと足を置く。



「この状況でまだ中に残っているのんきな人間たちは何人居るのかな?

ゆーっくりつぶしてあげるから、頑張って逃げてねー♪」



ぐぐっ、ぐっ、ズズズ……

少しずつ体重をかけ始めると、少しずつ上層階からつぶれていく。

それだけならよかったのだが、既に建物全体が悲鳴を上げているようで、

ヒビが入ったりガラスが割れたりし始めている。


ぐぐぐぐ……ズゴゴゴゴ……

彼女がさらに体重をかけていく。

内部の支柱があちこち折れはじめ、崩れ始める。



「さすがにこの力加減は難しい……

面倒だからあと10秒ね?」



彼女はゆっくりとカウントダウンを始める。

既にビルの上側3分の1は踏みつぶされ、

それ以外の部分もあちこち折れたり崩れたりしている。


内部では当然エレベーターは使用不能、階段も一部崩壊している。

つまり、ビル内の人間たちは殆ど逃げ出すことができていないのである。


では、運よく外に逃げられた一部の人間は安堵できたのか。

すぐ真上には長さ100メートル以上、幅数十メートルの足。

道路は崩壊したビルの瓦礫によりどこも封鎖状態。

万が一直接踏みつぶされなくても、踏み下ろされる際の衝撃は避けられない。


要するに、救いはない。



「さーん、にーぃ、いーち……

はい、時間切れ♪」



ズガアシャァァァァン!

カウントダウンが終わるのと同時に足に目いっぱい体重をかける。

あっという間にビルは崩壊し、そのまま足跡の一部となってしまった。



「さて、遊びがいのある建物も壊しちゃったし、

いよいよ東京侵攻しちゃおうかな?」



14時55分。

彼女は横浜跡地から線路沿いに北へと進んでいく。


ズゥゥゥゥン! ズズゥゥゥゥン!

東京への境界に位置する川崎のビル街を散歩感覚でどんどん踏みつぶしていく。



「んー、プチプチつぶれる感触、なかなかクセになるかも。

それにしても、成長速度が上がっているような?」



大きくなるほど破壊規模も大きくなるため、

ある程度成長速度が上がるのは当然である。

しかし1番の理由はそこではない。

あろうことか、この映像は国外にも配信され始めてしまった。

いよいよ世界中の人間たちがダークシエラに恐怖し、

彼女のレベルアップに貢献しているのだ。


川崎のビル街を踏み荒らした彼女は既に1000メートルを超えていた。

彼女の姿は数十キロ先からでも見えるにより、

離れたところに居る人間たちが写真撮影をしてSNSに投稿。

冗談半分で観ていた人間たちも

配信されている映像が本物であると理解して恐怖していく。



「たしかこの川を越えれば東京……っと、アレは?」



境界となる川、多摩川の河川敷を見ると、

大量の戦車やロケット砲を搭載した車などが多数お待ちかねだった。

どうやらダークシエラが東京に侵攻することを想定して待機していた防衛隊らしい。


とはいえ、おそらく想定外だっただろう。

上陸してからここに来るまでに何倍にも巨大になっていることは。


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続く。


続きは今月後半を予定しています。


~追記~

後編公開しました。

https://th-chara-gts.fanbox.cc/posts/3562200



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