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メス牡蠣
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知らないけど知ってる人

女の子とおじさんを入れ替えたい病の発作が出たので書きました。今は落ち着いてます。

知らないけど知ってる人

「お、お願いします……私の体を返してください……!」


高校からの帰り道、知らないおじさんにいきなり声を掛けられたと思ったら、震えたような涙声でそんなことを言われた。


「え、えっと……きゃっ!?」

「も、もう限界なんです!こんな身体にさせられて、1年も刑務所に入れられて……。あなたは、もう十分私の身体を楽しんだんでしょう?だから、お願いだから元に戻して……」


ガシっと肩を掴まれる。襲われるんじゃないかと思ったけど、このおじさんはさっきから喋りかけてくるばかり……というか、いつの間にか泣いてしまっていて、こっちが気の毒になってしまうくらいの様子だった。


「えっと、すみません。何を言ってるのかよく分からなくて……。あの、もしかして私の知り合いだったりします?」

「知り合いって……わ、私の身体を奪っておいて、覚えてないフリをするつもりなんですか……!?」


最近はこういうこともめっきり少なくなっていたけど、どうやらこの人も、私の知り合い"だった"人らしい。

……彼の様子を見るにあまりいい関係ではなかったということが想像できるけど、とにかく事情を説明することにした。


「あの、何と言ったらいいのか……。実は私、記憶喪失なんです」




***




落ち着いて話をするために、私はさっきのおじさんをなだめながら近くの喫茶店に来ていた。私の前にはブラックのコーヒー、彼の前にはホットココアが置かれる。

おじさんは流石に泣き止んではくれたが、やはり私のことが気に食わない様子で、ジトッとした目で見つめてきながら黙っていた。気まずい沈黙が流れ、その空気を誤魔化すようにコーヒーを啜る。


「うっ、にがぁ……。やっぱりダメかぁ」

「…………飲めないのに、頼んだんですか?」


口中に広がる苦みに耐えかね、大量の砂糖とミルクをコーヒーに入れていると、ずっと黙りこくっていたおじさんがおもむろに口を開いた。


「え、ええ。……その、なんていうか、こういうところに来るとつい頼んじゃうんですよね。もしかしたら以前の私が好きだったのかなって思って、飲んではみるんですけど……あははっ、毎回こうなっちゃうんです」

「本当なんですか?記憶喪失って……」

「……はい。丁度、1年くらい前のことなんですけど、暴漢に襲われたことがあったらしくて。その時に頭を強く打った影響でそれ以前の記憶を失ってしまったみたいなんです……。あ、あはは、信じられないですよね。でも、本当のことで……」


記憶を失ってからは、本当に大変なことばかりだった。日本語や日常生活のこととか、そういうことは覚えていたけど人間関係とか、自分がどういう人なのかとかそういうことは全部忘れてしまっていたのだ。それと、以前からそうだったのかは分からないけど、着替えとかお風呂の時に見る自分の裸に興奮してしまうようになっていて……最初の1ヶ月くらいはなんというか、自分が女の子だということを意識するだけで興奮しっぱなしで大変なくらいだった。

そのことは今も戻ってないんだけど、人間関係とか自分のことについては家族や友人の助けもあって大分理解できるようになっていた。けれど、前に同じバイト先だったとか、中学が同じだったとかいう人に声を掛けられるなんてことがたまにあり、そういう人に会った時はこうして私に何があったのかを話すことにしている。


私が説明を終えると、おじさんは呆然とした表情で固まってしまった。まあ、すぐには信じてもらえないだろうけど、他の人みたいに時間を掛けてゆっくり分かってもらうしかないだろう。何となく気まずくなってしまい、甘くはなったものの美味しくもないコーヒーを啜っていると、しばらくしておじさんが口を開いた。


「ほ……本当に何も、覚えていないんですか……?」

「はい、残念ながら……。そういえば、あなたは私とどういう関係だったんですか?もしかして親戚とか……って、ちょ、ちょっと、大丈夫ですか?」

「そ、そんなぁ、それじゃあ元に戻れないじゃない……!ど、どうしよう……」


おじさんはまた泣き出してしまった。相変わらず何を言ってるのかはよく分からなくて、自分よりも一回り以上は上の大人がこんな有様だとどうしていいのか分からなくなってしまう。


(はぁ……この席にしておいてよかったな)


出会った時の彼の様子があまりにもおかしかったので、人目を避けるために一番奥の席を選んだのは正解だったようだ。いい年をした大人が泣いている姿をそう何度も見られるのは恥ずかしいだろうと思い、ハンカチを渡して彼が落ち着きそうになるまでトイレに籠る。


(……あれ、濡れてる?なんでだろう……)


用を足そうとして便座にまたがると、股間がぬるりとした粘液で濡れていることに気づいた。一瞬おりものかと思ったがどうもそうではないらしく、いつの間にかムラムラしてしまっていることに気づいた。


(なんで?最近は外だとこうならなくなってたのに……で、でも、せっかくだしちょっとだけ……)


愛液を指で絡めとり、クリトリスに塗りたくるとピリッとした快感が走る。そのままゆっくりと撫でるように触っていくと、どんどん気持ちよくなってくる。声が出ないように我慢しながら続けていると、次第に頭がボーっとしてきた。


(やっぱり女の子のオナニーってすごい……。男の時と違ってすぐ興奮できちゃうし、精液を片付けなくていいからどこでもできて……あ、あれ?私、女の子なのに、どうしてこんな記憶……)


脳裏にうっすらと、股間から伸びているグロテスクな棒を必死に扱き続けている光景が浮かび上がる。これも確かに悪くはなかったけど、今のこの快感の方が何倍も気持ちよくって――


「っ……♡♡♡♡」


溢れてしまいそうになる嬌声を堪えつつ、ビクビクと痙攣が続く身体で快感の余韻を味わう。


(なんだったんだろう、さっきの。もしかして、昔の記憶を思い出しかけてるとか……?でも、あれって男の人のアレだったし……)

トイレットペーパーで股間を拭き取りながら、先ほどの感覚を思い返してみる。すると、うっすらとだけど昔の記憶……私が知らない人や場所といったものがぼんやりと思い浮かぶようになっていた。

催眠療法とか電気ショックとか、記憶を取り戻すために色んなことを試してみたけど、どれも効果はなかった。なのに、ほんの少しだけど昔の記憶らしきものが思い出せるようになっている。……あのおじさんと会ってから。




***




「すみません、待たせちゃって」

「い、いえ、大丈夫です……」


トイレから戻ると、あれだけ泣いていたおじさんも流石に泣き止んでいた。……やっぱり、この人を見てるとなんだか心がざわつくような感じがする。もしかしたら会話がトリガーになったのかもしれないので、とりあえず話を続けることにした。


「一応自己紹介しておきますね。あなたは知ってるかもしれないけど、私は遠藤ひまりっていいます。それで……あなたは一体誰で、私とどういう関係なんですか……?」

「っ……! わ、私は……私が本当の遠藤ひまりです。本当は私があなたで……わ、私たち、身体が入れ替わってるんです」

「え?」

「本当に覚えてないんですね……。1年前にあなた……じゃ、ないのかな。このおじさんにいきなり襲われて、変な部屋に連れ込まれたと思ったら私がこの身体になってて……そして、身体を奪ったおじさんが私の顔で笑ってたんです」


身体が入れ替わる。そんな突拍子もないことを告げられ唖然としたが、同時に腑に落ちるような感じもした。親や妹だと紹介された家族はどうにもしっくり来なくて、親しかったらしい友達に友情なんて感じず、むしろ性の対象のように見てしまって……自分の身体にもどうしようもなく興奮してしまったりして。そんな違和感も全部、私が元はこのおじさん、男だったというのなら説明もつく。


「す、すみません。いきなりこんな話をされても、きっと困りますよね……」

「……いえ、続けてください」

「は、はい。……それで、私の身体で逃げられそうになって必死に追いかけたんです。なんとか追いついて止めようとしたんですが、その、力加減ができなかったせいか突き飛ばしてしまって……。その後警察に捕まってしまったので詳しいことは分かりませんが、多分、あなたが記憶を失ってしまったのはそのせいだと思います。ご、ごめんなさい……」


男が話す内容は相変わらず突拍子もないものだったが、私はそれを信じることにした。というよりも、疑いようがなかった。だって、私も……いや、俺もその一部始終を見ていたのだから。こいつとは別の、もう1人の視点で。


「つい最近釈放されて、元に戻してもらうためにあなたを探してたんですが、まさか記憶喪失になってたなんて……。ごめんなさい、今のあなたにこんなことを言っても信じられるわけなんてないですよね」

「いや、信じますよ。あなたが嘘を言っているようにはみえませんから」

「あ、あはは……ありがとうございます。 ……あ、あの、よかったら連絡先を交換してもらえませんか?もしかしたら、何かの拍子で元の身体に戻る方法を思い出すかもしれないので……」


ひまりちゃんはそう言いながら、連絡先を交換しようとスマホを差し出してきた。思い出したとしても、おっさんの身体に戻るためにそれを教える奴がいるわけないだろうに……。能天気な彼女を鼻で笑いながら、頬にかかる艶やかな黒髪をそっと撫でた。


「あ、あのぉ……?」

「私ね、今伊織ちゃんと付き合ってるんですよ」

「え……?」

「覚えてるでしょう?私の大親友で、いつも私にべったりの美少女。ふふっ、昨日は休みの日だったからたくさんセックスしたんです。気持ちよかったなぁ」

「あ、あの、何を言ってるんですか……?」


ひまりちゃんが狼狽えるが、構わず話を続ける。


「ええ、私の近況も教えてあげようと思いまして。私、セックスの時になると人が変わっちゃうみたいなんですよねえ。乱暴にするのが好きで、ペニバンとか使ってガンガン攻めまくると伊織ちゃんがいい声で鳴くんですよ。最初は少し嫌がってましたけど、今では彼女の方もすっかりハマっちゃいましたね」


思えば、あれも俺の精神だったからなんだろうな。ヤった後は罪悪感でいっぱいになるのが少し不快だったが、これからは遠慮なく好き放題できると思うと興奮でまた濡れてくる。


「わっ……私の身体で勝手なことしないでください!!」

「やだなあ、そんなに騒ぐと店員さん来ちゃいますよ?それに、私の身体って言うのはおかしいですね。だってこれはもう私の……いや、俺の身体なんだからな。あんっ……♡」


見せびらかすように、俺に備わった巨乳を両手で揉んでみせる。我ながら流石というべきか、記憶を失ってもオナニーばかりやっていたおかげで1年前とは段違いの感度だ。


「ま、まさか、記憶が戻って……」

「へへっ、お前にも感謝しねえとなぁ?お前が思い出させてくれたおかげで、これからはこのカラダを"俺"として楽しめるんだからよ」


すると、ひまりちゃんは胸を揉み続ける俺の腕を掴んできた。


「おいおい触んじゃねえよ、おっさん?俺が今悲鳴をあげればまた捕まっちまうかもしれないぜ?」

「うっ…うるさい!こ、今度こそ逃がしません。絶対に元の身体に戻してもらいますから……!」


ひまりちゃんが俺の腕を離す様子はなく、必死の形相で俺を睨みつけてくる。正直このまま悲鳴をあげてもいいのだが、こいつにまた付きまとわれても困るので真実を教えてやることにした。


「それなんだけどな、もう俺たちは元の身体に戻れねえよ」

「……え?」

「俺たちを入れ替えたあの呪いなんだけどな、入れ替わったことが他のやつにバレたら元に戻っちまうっていう効果があったんだよ」

「そ、それじゃあ、今から入れ替わったことを誰かに伝えれば……!」

「バーカ、話は最後まで聞けって。"効果があった"って言ったろ?入れ替わってから30日の間はそれも続くんだが、過ぎちまえばそれも終わり。……ひひっ、分かるか?俺たちはもう一生この身体のまんまなんだよ♪」

「う……そ……」


余程ショックだったのか、ひまりちゃんは俺の腕を離してぐったりとうなだれてしまった。……正直、記憶を失ったのは俺にとってラッキーだったのかもしれない。最初の30日を誤魔化す手段は色々考えてはいたが、結果として何も疑われもせずに乗り切ることができたんだからな。


「つーわけで、これからも俺が女子高生、お前はおっさんのままってわけだ。分かったらもう俺につきまとうんじゃねえぞ?もし俺の目の前に現れたら、今度は遠慮なく警察を呼んでやるからな」

「やだ、やだよぉ……こんな……返して、元に戻してよぉ…………」


俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか、ひまりちゃんはブツブツとうわごとを呟きながら涙を溢していた。醜い顔で嗚咽をあげる"元女子高生"のおっさんを鼻で笑いつつ、制服を整えてカバンを手にする。


「さようなら、お・じ・さん♡」


泣き続ける中年に別れを告げ、喫茶店を後にする。身体は羽のように軽いし、疲れなんてしらないかのように全身に力が漲っている。1年も使ってきた身体だというのに、何もかもが新鮮な気分だ。まあ、記憶を失っていたから当たり前ではあるんだろうが。


「さーて、1年ぶりの"俺"だ。色々と楽しまなくちゃなあ……ひひっ♪」


やりたいことはいくらでもあるが、まずは新しい自分のカラダを愉しむことにしよう。まるで生まれ変わったような気分で、俺は自分の……遠藤ひまりの家へ向かうのだった。


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