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第1章 第3話

第1章「目覚めの草原」 ⸻ 第3話「夜の音」  日が傾き始めると、草原の色が黄金から深いオレンジへと変わった。  足元の草が風に揺れるたび、さらさらと乾いた音を立てる。  「夜……か」  ドロシーはため息をつき、空を見上げた。  雲のない空に、星がぽつりと灯る。  身を隠すような場所もなく、ドロシーは丘の下の木陰に腰を下ろした。  体温の下がった空気に、少し肩をすくめる。  「こんなところで、眠れるのかな……」  風の音のほかには、何の音もしない。  虫もいなければ、動物の気配もない。ただ、どこかの遠くで鐘の音が、またかすかに響いた。  さっきよりも、ほんの少しだけ近い。  ──あれは、誰かが鳴らしているのか。  それとも、風に揺れるだけの古い鐘か。  考えてもわからない。けれど、眠らなければいけなかった。  明日、また歩くために。  ドロシーは丸くなって、尾をたたみ、目を閉じた。    その夜──夢を見た。  見たことのない場所に、誰かが立っていた。  黒い羽の、男のような、鳥のような。  彼はこちらを見て、何も言わなかった。  そして目が覚めると、朝になっていた。


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