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体育館

体育館。 昼間は様々な部活で賑やかだったが、すでに日が傾き始めた今では沙耶香しか残っていない。 女子としてはかなり高い178㎝の長身を武器に戦い、女子バスケ部を創部以来初の県大会出場に導いた才女である。 そしてそれに油断せず、三年生の最後の試合に向けて毎日欠かさずにトレーニングを重ねる。 今日の練習に十分に満足すると、沙耶香は散らばったボールを拾い集める。 全て片付けるのは少々の手間だったが、ちゃんと纏めて籠ごと体育倉庫にしまっておく。 あとは施錠してから着替えて帰るだけ。 そのはずだった。 強烈な眩暈で視界がブラックアウトし、急速に意識が遠のいた。 沙耶香に出来たのは転ばないように壁にもたれかかることだけだった。 「わぁ~ さすが貴島先輩! 小さくしたのにおっきい!」 近くで大声が聞こえる。 まだ頭がはっきりしないが、自分の名字が呼ばれたらしい。 それから数瞬でぼやけた視界が定まり、目と鼻の先に白い壁があることが分かった。 大声はその壁の上から聞こえているらしい。 「え……」 ほとんど無意識に声のするほうを見上げると、 そこには何度か見かけたことのある顔があった。 普段はあまり外に出ないのか、真っ白な肌と対照的な黒縁の眼鏡の女の子。 確かよく図書館にいる…… 「栗本さん……? え、うそ、なんで……」 なんでそんなに大きいの? 荒唐無稽な質問は頭で分かっても言葉にならない。 よくよく見れば、目の前の白い壁は学校指定の体操着の上着。 その下には学年色の緑色のハーフパンツを履いているようだった。 「先輩が一人で練習してる姿を見かけまして、一緒に遊ぼうかな~って思いました!」 「い、意味がわかない。遊ぶって何?。そんなことより!」 「あ、でもでも、先輩と私じゃ身長が違いますからね! ハンデとして先輩には半分の大きさになってもらいました♪」 「半分……」 沙耶香が周囲を見渡すと、体育館は見慣れた内装のままとてつもなく広くなっている。 もし、全力でボールを投げつけても、天井に挟まるようなことは絶対にないだろう。 「バスケの……1on1でしたっけ? あれやりましょ!」 実沙は片付けたボールを持ち出して右脇に抱えると、 左手で沙耶香の手を取って歩き出す。 「いっ、痛い! 栗本さん手を離して!」 「いいからいいから♪ 行きますよ~」 実沙の握力は平均よりも少し弱いくらいだが、2倍の対格差が生む8倍の筋肉量のおかげて、 沙耶香からすると150キロの怪力で手を潰されているようなものだ。 先輩の顔が苦痛に歪むのを楽しみつつ、実沙は歩みを速めていく。 最初の数歩は問題なくついて行けるが、歩幅が違いすぎて徐々にリズムが崩れ始める。 体育館を半分横断したくらいで、ついに沙耶香は膝から崩れるように転んでしまった。 「先輩なにしてるんですか? ほら、歩きますよ~」 「い、今立つから待っ」 有無を言わさずに実沙が歩き出すと、沙耶香の膝が床に擦れる。 すさまじい摩擦で皮膚が削げ落ちそうになる。 「痛い痛い!と、止まって……」 「へへっ、しょうがないですね」 擦れて内出血を起こした膝をさすりながら沙耶香が立ち上がる。 立ち上がり、改めて目の前の後輩を見て、このありえない状況を受け入れるしかないことが分かった。 そして、この後輩が大人しくて優しそうな見たと目とは正反対の性格をしていることも分かってしまった。 「あっ! 私ったらスコアボードを忘れちゃった♪ 取りに戻りますよ、先輩」 「ひっ」 実沙はさっき掴んだのとは反対の手を取る。 本来ならバスケットボールを片手で掴み上げ、そのまま下向きにして持ち歩けるはずの先輩の手は、今では自分の小さな手の中にすっぽりだ。 そんな妄想に影響されて、ちょっと悪戯心が出てしまう。 ついつい、思いっきり握りしめてしまった。 先輩の手が粉々になる感触が伝わる。 「あああああああああああ」 「ん~? あれ、もしかして潰れちゃったかな?」 分からないはずはない。 確実に潰れているが、実沙はやめない。 何度も何度も力を込めて先輩の手を壊していく。にぎにぎにぎ。 「やめてよぉ……」 最初を悲鳴を上げた沙耶香もしだいに声が枯れたのか、もうか細い声で実沙に縋りつくしかない。 「ハハハっ、こんなことで泣いちゃうなんて、先輩は大げさですよ! はい、離してあげます!」 やっと解放された手をすぐに胸元に手繰り寄せる。 全体が鬱血して青白くなり、何か所かは皮膚が破れて血が出てている。 だが、まったく感触がない。 実沙に潰された手からは何も感じることができないのだ。 「あ、あ、あああ」 「ん~、スコアなんてどうでもいっか。さあ先輩、遊びましょ♪」 実沙は持っていたボールを床に叩きつけてみた。 二人しかいない体育館には音が反響し、その振動と合わせて俯いていた沙耶香を十分に怯えさせた。 跳ね返ってきたボールをキャッチし、そのまま沙耶香に向けて放る。 「細かいルールとは知らないので、適当にやりましょ? 先輩からでいいですよ~」 「…………」 実沙が放ったボールを無視して、沙耶香は立ち尽くす。 怖くて、痛くて、泣いてしまって、その情けなさもあって頭がぐちゃぐちゃだった。 どうしよう。 どうしたらいいんだろう。 目の前の恐ろしい怪物から、どうやって逃げたらいいんだろう。 こんな短時間で急変した今の状況からどうやって逃げればいいんだろう。 思考の果てにたどり着いた結論はシンプルだった。 沙耶香は走り出した。 完全に握り潰された手には力が入らず、床で傷めつけられた膝は激痛を伴う。 それでも沙耶香は出口を目指して駆けていく。 普段では数十秒、いまでも一分もあれば出口にはたどり着けるはずだ。 それで、外に出て、走って、逃げて…… どうせあの怪物は追いかけてくるし、逃げ切れるはずもない。 今の自分は90㎝しかない小人なのだから当然だ。 だからこそ…… 「やった! 出口だ!」 見慣れたドアに手が届いたときに喜びは尋常ではない。 もともと鍵は掛けていなかったし、唯一の鍵は今、自分が持っている。 当然、ドアは開いて外に出られるはずなのだ。思い切り力を込めて重厚なドアをスライドさせる。 いや、させようとした。 「な、なんで開かないの! 鍵はかかってないのに!」 何度も何度も試してみる。 ドアはびくともしない。 いくら小さくなったとしても、これは有り得ない。 「せんぱ~い! そろそろ戻ってきてくださいよ~」 「あっ」 背後から聞こえる声の主は、もちろん一人しかいない。 体操着を着て体育館の中央で立っているそいつは、沙耶香が逃げ出してから一歩も動いていない。 「ドアは魔法で閉じてありますからね~ 何しても無駄ですよ!」 「そんなっ……」 事実だった。 実沙の強力な魔法は万能の力といっていい。 人類ではなにをやっても打ち破ることは出来ないのた。 例えこのドアに戦車で攻撃しても、傷が付くことはないだろう。 「もう待ちくたびれちゃいました! 迎えに行きますね♪」 「あ、ああ、そんな、嘘でしょ……」 あの怪物が動き出した。 自分の方に向かって来る。 追いつかれたからまたどこかを壊されてしまう。 逃げようとした。 でも、足が竦んで言うことをきかない。 実沙が目の前までやってくる数十秒の間に、沙耶香は崩れ落ちて女の子座りになってしまう。 「はい、迎えにきましたよ♪」 座り込んで見上げる後輩はより一層大きく見える。 もう、なにをやっても敵わないし、逃げられないのだ。 気が済むまで玩具にされるしかない。 「早く立ってください。今度こそ遊びましょ♪」 沙耶香にはもう、抵抗する気力は残されていなかった。 無言で渡されたボールを受け取り、両腕に抱える。 高校で使うボールの直径は24.5㎝だが、今の沙耶香にはその倍だ。 片手で持つことは不可能だった。 「フフッ、偉い偉い!」 小ばかにする後輩をしり目に、最後の勇気を振り絞って立ち上がり、 コートに向かって歩き出す。 この悪魔の望みを叶えれば、もしかすると助かるのかもしれない。 そんな微かな希望が最後の力を振り絞る原動力となった。 バスケコートで対面する二人。 その差は大人と子供。 どう考えても互角に勝負ができるはずがない。 「あ、そうだ先輩。ケガ、治してあげますね」 「え?」 一瞬だった。 あれだけボロボロになった身体が元に戻った。 それどころか、全身が軽い感じがする。 信じられないが、人生で何度か経験した所謂ベストコンディションになったらしい。 あまりにでたらめが過ぎるが、もう何があっても驚きそうにない。 「これで全力で戦えますね♪ そうじゃないと後悔しちゃいますもん」 ふと、実沙がコート脇に目をやった。 沙耶香もそれにつられて視線を移すと、そこにはいつのまにか妙なものがあった。 多分、ライターと同じくらいの大きさだろうか。 色とりどりの小さな何かが30個ほど、コートに沿うようにして横一列に並んでいる。 大きさを別にすれば試合中に応援してくれる後輩たちのようだ…… 「先輩、あれスコアボードの代わりなんですよ~」 見下ろす巨人がニヤニヤ笑っている。 あの奇妙なものがスコアボードの代わり? どういう意味だろうか? 「私が得点するたびに、一つずつ踏み潰すんです♪」 「え、あ、まさか、そんな……」 「あ、気づきました? そうです! あれ、女子バスケ部の皆さんなんです♪」 色とりどりなのは当然だ。 みんなはもう帰宅して、部屋着に着替えているのだから。 小さいのも当然だ。現に、私自身が縮められているのだから。 50分の1に縮められた仲間たちが、そこにいるのだ。 「逃げたりすると面倒なので、動けなくしてあります♪ ちょっと大きいかな?」 「あ、あんた、、」 「へへ~、でも安心してください! 先輩は県大会出場の選手ですからね! 素人の私なんか敵じゃないでしょ? ククッ」 「わ、私が得点したらどうなるのよ!」 「え? 何もないですよ? だって、当たり前のことですし」 「卑怯よ!」 実沙は沙耶香の反応が面白くなってきた。 最初からやりすぎて、元気がなくなったときは面白くないから早く終わらせようかと思っていたけど、 我慢してよかった。 「ん~、先輩、ちょっと言葉使いが悪いですよ? おしおきです♪」 「ひっ」 沙耶香の怯える様子を確かめつつ、 実沙はコート脇のスコアボードたちに向けて歩き出す。 そして、そのうち一人の前でしゃがみこんだ。 「ねえ、あなた、お名前は? ……いいから早く答えて。 うんうん、カオリちゃんか~ 1年生なんだね~」 そして適当に名前を聞き出す。 学年は質問していなかったが、なぜか教えてくれた。 実沙は振り返り、コートに立ち尽くす沙耶香と目線を合わせる。 「先輩、よく見ててくださいね♪ カオリちゃんとお別れですよ~」 実沙はコートの外側に出てから、カオリと名乗った小人の真上に右足をかざす。 あまり使わたことのない体育館シューズが持ち上がり、滑り止めが刻まれた靴底が光を遮る。 魔法で一切動けないカオリは、自分の真上に何か巨大なものが現れたことを陰でしか理解できない。 あの悪魔がなにをしようとしているのかは一目瞭然だった。 「や、やめなさい!」 「ダ~メ! それッ!」 振り下ろされた巨大な足。 体育館シューズは哀れな小人を一瞬にして肉片に変えた。 「あ、そんな、なんて、なんて酷いことするの……」 「先輩がいけないんですよ? 言葉には気をつけなきゃ!」 「あんたは悪魔よ! あんたなんか死んじゃっ」 泣きながら言い放つセリフは、一瞬前と同じ鈍い音で遮られた。 実沙が右足でカオリを踏みつぶしたまま、反対の左足を隣にいた部員へ振り下ろしたのだ。 たった今踏み潰された女の子は、なにがあったか分からないまま殺されてしまった。 「いま言ったばかりじゃないですか♪ 言葉には気を付けないと、って」 「…………」 また仲間が死んでしまった。 こんなにあっさり、こんなくだらない理由で。 「う~ん、まだダメみたいですねぇ~」 呆然とする沙耶香を見ながら、不満の声を漏らす。 自分はまだ何も言っていない。何が気に入らないのか。 「人が話かけてるのに、無視したらいけないんですよ? だからぁ~」 再び右足が持ち上がる。 次の犠牲者をぐちゃぐちゃにするため、ゆっくりと持ち上げて、小人の頭上にかざす。 「はい♪」 べちゃっと、カオリの肉片がこびり付いた靴底は、最初よりも水気のある音を立てた。 当然にように三人目の命が奪われたのだ。 「酷い、こんなの……」 この数秒で奪われた命。 実沙にとってはいつものお遊びでも沙耶香にとっては理解できない虐殺だ。 なんとか奮い起こした勇気だったが、これには耐えられそうにない。 「…………はぁ。やーめた」 「え?」 「もうやめです。先輩、やっぱりメンタル弱くて面白くないですし、そもそもバスケとかどうでもいいですし」 「ほ、本当!? これで終わりなの?」 「はい。おしまいです! ……だから、もういらないですね」 沙耶香は悟った。 この女がいう、「いらない」には自分も含まれていると。 そして、いらないものがどうなるのかも。 ……私も、ああなるんだろうな。 赤い肉片が周囲に飛び散っているが、本体があった場所にはひときわ大きな塊がある。 それは数秒後の自分の姿だろう。 「先輩。最後にチャンスを上げます。動かないでくださいね。」 「チャンス……?」 言い放つと、実沙は胸に手を当てて魔法を使う。 実沙の足元に並んでいた部員たちの姿が一瞬にして消えるが、 次の瞬間には沙耶香の足元に現れた。 しかし、今度は三百分の一まで縮小され、さらに不均衡に二つの塊に分かれていた。 塊の間は50㎝離れているが、部員たちは一様に沙耶香を見上げている。 見慣れた顔ばかりだが、その表情は見たことないものばかりだ。 やはり、からだはピクリとも動かないようで、無理やり沙耶香を見上げさせられているようだ。 「先輩、それ、踏み潰してください。どっちかでいいですよ」 どっちか? そう言われて塊をよく見比べると、学年で別れているようだった。 1年生は20人でひと塊、2年生と3年生は8人でひと塊だ。 「ハハハッ、ほら、倍以上違いますよ? 一緒に頑張ってきた2~3年生か、入ってきたばかりの1年生 どっちにします?」 選べるわけがない。 この女が何を言っているのかわからない。 いや、最初から何一つわからない。 人が小さくなるのも、それを平気で踏み潰すのも、有り得ないはずなんだ。 「早くしてくださいね~、私、結構短気なんですよ?」 「うう」 ここで選ばなきゃ、私が殺される。 なら仕方ないじゃないか。 だって、死にたくないなんてみんな同じでしょ? 同じ立場になればみんなこうするにきまってる。 「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」 沙耶香は泣きながら、謝罪を並べつつ、そのバスケットシューズを1年生たちの上にかざす。 沙耶香自身が本来の半分の大きさとはいえ、小人は三百分の一の大きさだ。 相対的に40メートルを超えるバスケットシューズが影を生むと、1年生たちは悲鳴を上げる。 あの、やさしかった先輩がどうして。 先輩に憧れてこの高校に入ったのに。 小さすぎて聞こえるはずのない怨嗟の声が聞こえた気がする。 「……ダメ! できない! できるはずない!」 究極の葛藤の後、沙耶香は足を床に戻した。 死ぬはずだった1年生たちは安堵で涙を流す。 「栗本さん、お願い。もう許して。私のことをどうしてもいいから……」 「……はぁ、やっぱりこうなりますかぁ~」 溜息をついた実沙は手を伸ばして沙耶香の頭を掴み、床にうつ伏せの状態で押し付ける。 小人の塊は潰さないように注意した。 「じゃあ、私が代わりにやってあげます♪」 沙耶香が何か言う前に、実沙は沙耶香の頭を掴んで上半身を反り上げる。 「小人さんたち~、みんな貴島先輩が大好きだよね? その先輩のおっぱいで死ねるよ♪ よかったね」 「や、やめて」 「あ、その前に…… こんな、ユニフォームなんか脱がしちゃお」 「そんあ無理やり、ああっ!」 沙耶香の上半身のユニフォームが力ずくで破かれる。 その中から純白のスポーツブラを付けた綺麗な身体が現れた。 「先輩は白なんですね~、ちょうどいいです!」 「こんな、こんなこと……」 「じゃあ改めて、小人さんたち、ばいば~い」 ブジュブジュブジュ 自分のおっぱいで後輩たちが潰されていく。 みんな同じで一瞬の抵抗の後、すぐに弾けて水に代わる。 こんな簡単に潰れるのか。 頭を押さえつけられ、前後左右に振られるたびに後輩たちは姿をなくしていく。 「ちゃ~んと皆死んだかな? うん、よし!」 何秒かして実沙が沙耶香を持ち上げると、 真っ白だったスポーツブラには確かに赤いシミができていた。 相対差150倍であれば、たとえ20人を潰しても大した汚れにはならない。 「なんか左胸に偏ってるなぁ~ よし、じゃあ次は右胸で潰そう」 「! ま、待って! どっちかって言ったじゃない!」 「ん? ああ、はい!そうでしたね。 でも気が変わりました! 短気だって言いましたよね?」 「そんな……」 「よーし、じゃあ次はもっと小さくしちゃいましょうか! 千分の一です!」 次の瞬間には、さらに小さくなった小人が沙耶香の真下に現れた。 ちょうど胸の位置であり、いつでも虐殺が再開できる状態だ。 「今度はすぐです! えい!」 最後の言葉を交わす時間も与えず、実沙は沙耶香を床に押し付ける。 さすがにここまで小さいと潰れる音はしない。 しかし、確実に殺すために沙耶香の身体を揺するのは忘れない。 「どうでしょ? おっ! ちゃんと右胸で潰せてますね♪」 もう沙耶香は口を開かない。 完全に心が死んでいる。今度こそ精神が耐えられなかったのだ。 自分の胸で仲間を殺すなんで想像したこともなかった。 「これはこれで楽しいですけど、やっぱり最後は自分でやらなきゃですね!」 実沙は沙耶香を縮めていく。 サイズは今の十分の一、本来の大きさの二十分の一にした。 「これくらいの大きさなら感じられそうです!」 手に掴んだ小人を自らの胸の谷間に挟み込む。 Dカップの胸は小人をギリギリで包み隠すことができた。 「どうですか先輩♪ 先輩に負けず劣らず、おっきなおっぱいでしょ?」 反応は期待していない。 もう、最初ほどの興味はないのだ。 両手を胸に当てて押しつぶす準備をする。 「それじゃあいきますよ~ 3、2、1、……えいっ!」 沙耶香の身体を包んでいた柔らかい両胸は、掛け声とともに沙耶香の命を一瞬にして奪った。 女子で178㎝の恵まれた体格も、実沙の胸には無力だった。全身の骨を砕かれ、押しつぶされ、人の形を失う。 その最後は体操着にシミをつけることしかできなかった。 「ん~、こんなんじゃ全然満足できませんねぇ~」 胸を揉みしだきながら呟く。 今日だけで30人以上を虐殺した感想がこれだった。 いつものように魔法で後片付けをすると、 実沙は帰り支度をまめとめる。 不完全燃焼のままではよく眠れない。 帰り道に何か面白いものがないかを期待して徒歩で下校する。 「いっそ、派手にやっちゃいましょうかね……」 すっかり暗くなった帰り道、実沙は不吉なことを呟くのだった。


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