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ビーチ

ビーチ。 夏本番ということもあって大勢の人で賑わっている。 所狭しと並んだパラソル、広がるシート、カラフルな浮輪。 言うまでもなく一年で一番の繁盛期である。 太陽は高く昇り、沈む気配を微塵も感じない。 しかし、そこにいる人々はマリンブルーの海から目を背けていた。 正確には背けたのではなく、それ以上に目を引くものがあるのだ。 それは市街地を挟んだ向かい側、青々とした山の方角に突如として現れた。 「小人の皆さん、こんにちは~ 遊びに来ちゃいました♪」 ついさっき西高で準備運動を終えた実沙は、 小さな島に遊びに来たのだった。 ただし、身長1,630メートルの大巨人としてだ。 「この島は今から私専用のビーチになりました♪ 不法滞在の小人さんたちは駆除しちゃいますね♪」 さっそく足を踏み出す。 230メートルのビーチサンダルは膨大な重量を持つが、 実沙の足はそれを軽々持ち上げる。 トンッ。 当然のように振り下ろされる足。 その下にあった住宅が数件まとめてサクサク潰れる。 足を上げて確認すれば、そこには綺麗な足跡が残っている。 「小人さんのお家、ゴミになっちゃいましたね♪ どんどん行きましょ~」 足元の住宅街はどうやら高級なものらしい。 すべての家に広い庭がついているし、車を止めるガレージも何台分もある。 建物自体も一般的な一戸建ての倍以上の大きさがあるようだ。 「はい、ぐしゃぐしゃ~ えいっ! えいっ!」 普通の人間が一生をかけて働いても買えるかどうか。 そんな高級住宅が次々に足跡に代わっていく。 もちろん、中に小人がいてもお構いなしだし、むしろお得な感じがする。 実沙が大股で歩くとその歩幅は600メートルを超える。 ほんの数歩で住宅街を縦断し、目的のビーチにたどり着いてしまう。 途中にあった大きな建物は後の楽しみにとっておくことにした。 「あれ? 私のビーチにカラフルなゴミが散乱してますね~」 彼女が生み出す大地震に動くことができず、 小人たちはまだビーチに残っている。 「お掃除しなきゃ♪」 ビーチの中心部にサンダルを踏み下ろす。 ただでさえ柔らかい砂浜は、尋常ではない質量に押しつぶされて一瞬にして崩れ去る。 巻き込まれた小人は跡形も残らない。 足形の大穴にはすぐに海水が滝のように流入してくる。 再び持ち上げた足を振り下ろし、再び何百という小人を虐殺する。 しかし、三歩目はない。 その代わりにお尻が落ちてきた。 足の倍以上の面積を押しつぶしながら、紺のスクール水着で蹂躙する。 そして、そのまま背中を倒してビーチに寝そべる。 実沙の体重でビーチが崩壊していく。 「このビーチ狭っちいです♪ 満足に寝そべることもできません」 その背中で何千もの小人を押しつぶした。 念のため少し体を揺すって、残骸すら残らないように磨り潰した。 寝そべった姿勢のまま、左足を持ち上げた。 少し動かして駐車場に振り下ろす。 「自動車なんて生意気ですよ? 全部壊しちゃいます」 次に右足。また左足。 足踏みするように交互に何度も振り下ろすと、駐車場と自動車も跡形もなくなってしまった。 寝そべったままでビーチの横を向く。 ちょうど顔の前に20階ぐらいの大きめのホテルがあった。 大きく息を吸い込み、ホテルに吹きかけてみる。 窓ガラスが割れ、壁が削れ、建物が前後に揺さぶられる。 中にいた小人たちは床を転がりまわることになった。 たったの一息で廃墟に変貌したホテル。 今度は何かが空を覆いつくし、太陽を遮った。 「こんなゴミはいらないので、解体しちゃいます♪」 ホテルを覆いつくした右手。 五本指に力がこもった次の瞬間、女子高生の手がホテルを握りつぶした。 建物だったのが嘘のように瓦礫の塊に姿を変える。 「あ、もちろんこっちもです。えいっ!」 少し離れた別のホテルを左手が握りつぶす。 多少、形が違っても結果は同じだった。 続いて沿岸に立ち並ぶ土産物店街に目をつけると、端と端に手刀を下ろす。 次の瞬間、一気に手を動かして身体の正面で打ち合わせた。 ハエを叩くような動作で、何十もの建物と何百もの小人を葬り去る実沙。 「意外とあっさり終わっちゃいますね~」 ビーチについてから全てを破壊するまで僅か二分。 改めて自分の力を理解するが、同時に物足りなさを覚える。 立ち上がるとビーチの周囲に目立つものは残っていないが、 目ざとく小人を見つけたので踏み潰しておいた。 実沙はとっておいた市街地に戻ってきた。 中心部に高層のビルが建ち、そこから蜘蛛の巣のように道路がのびる。 どうやら相当計画的に町を作ったらしい。 手始めに足元にあった住宅街に足を踏み下ろす。 先ほど蹂躙した住宅と比較するとずいぶん小さく、庶民的な家が多い。 結局はサクサクした感触とともにゴミになるのは同じ事だが。 押しつぶした家の近く、まだ無事な建物から小人が一斉に飛び出して走り始めた。 まだ逃げていなかったらしい。 振り下ろした足。 小人を追いかけるビーチサンダルはまるで黄色の津波だ。 次々に小人をその下敷きにしていく。 何回かサンダルを動かすだけで住宅街は消えてなくなった。 二歩進むと小人が作ったにしては大きな体育館があった。 どうやら災害時の避難場所らしく、次々に小人が中に逃げ込んでいく。 午前中に遊んだ西高のものより一回り大きいくらいだ。 いいことを思いついた実沙は、体育館の周囲を歩き回る。 人も車も家も関係なく、230メートルの足がすべてを粉砕する様子を見た小人たちは、我先にと体育館に向かう。助かりたかったのだ。 数歩で周囲を踏み固めて茶色に変えた実沙は、楽しみに準備した体育館へ向かうと、簡単に跨いで自分の股下に収めた。 仁王立ちして真下を覗き込むと、片足だけで何十個でも踏み潰せるような小さな箱があり、その中で怯える何百という小人の気配が伝わってくる。 右足を高々と持ち上げて、思いっきりその場に振り下ろした。 大地が砕けてひび割れがおきる。これまでの比ではない激震が小人を襲う。 頑丈なはずの体育館だが、その揺れだけで天井の一部が崩れて数人の小人を押しつぶす。 他の建物を潰したときとは違い、小人が出てくることはない。 本当にそこが安全だと思っているのか、もしくは怖くて動けないのか。 そんなこと、実沙には関係ない。 次は踵を軸に爪先だけを立てて体育館を覆いつくす。 徐々に爪先を下ろし、ビーチサンダルのゴム底が体育館の天井とぶつかる寸前で止めてみる。 もう、いつでも小人たちを殺すことが出来る状態だ。 「中にいる小人さん、聞こえますか~ 今からこの1,000円のビーチサンダルが皆さんを殺しちゃいますよ~」 女子高生の履く安物のサンダル。そんなものにも劣る小人の命。 そう考えると楽しくなってきた。 そうだ、本当にビーチサンダルだけで潰してやろう。 思いついた実沙はすぐに実行に移す。 「女子高生のサンダルをプレゼントです♪」 一瞬でサンダルから足を抜く。 実沙の足から解放されたサンダルは、重力に従ってその10万トンの重量で体育館に圧し掛かる。 何の抵抗をすることもなく、体育館はサンダルの下に消えた。 「片方だけ履いててもしかたありませんね。えいっ」 左足のサンダルは脚を振りぬいて遠くに飛ばす。 いくつかのビルを消し飛ばしながら、サンダルは市街地に転がった。 素足になると踏み潰すときの感触がよくわかる。 数歩先にあった住宅街を一歩で踏み潰したときも、ちゃんとその感触は伝わった。 ちょっとくすぐったかったので、足を捻じって解消する。 次に目についたのは病院だった。 島にある唯一の大病院には少し前から大量の怪我人が押し寄せており、 収容しきれない患者を駐車場で手当している有様だった。 先ほどから規則的な揺れが続いているが、それがようやく止まった。 それは、実沙があらたな玩具に手を掛ける合図でもあった。 病院を見つけて近寄ると、実沙はその場で座り込んだ。 脚をハの字に広げ、その中に病院を捉える。 正面にはスクール水着に包まれた股間、左右には白い太ももが振り下ろされた。 実沙は自重で身体が沈む感触を楽しむと、病院へ目を向ける。 「お医者さんもナースさんもごくろうさま☆ そんなの捨てて逃げればよかったのに♪」 実沙は右の人差し指を病院の駐車場に差し向ける。 大慌てで逃げる小人だが、怪我をして動けない者も多い。 実沙の指先は四人を押しつぶして地面についた。 「ちょっとお絵かきしますね♪ ふんふん~♪」 人差し指が動たび、小人たちがその下敷きになる。 その血肉はまるで絵の具のようだ。 次々に犠牲者を出す人差し指。どんなに頑張って走っても簡単に追いつき、磨り潰す。 地獄のようなお絵かきは数秒で完成した。 「猫さんを描いてみました! かわいいでしょ」 デフォルメされたイラストが駐車場に完成する。 百人以上の犠牲で作り出された巨大なイラストは、次の瞬間には消えていた。 実沙が脚を閉じて病院ごとフトトモで消し去ったのだ。 脚を擦り合わせて残骸をさらに細かくしていく。 再び脚が開いたとき、そこには何も残っていない。 「んっ、これもいいですね~ またやりたいです~」 瓦礫を払いながら立ち上がると、目線の先に飛行機を見つけた。 この島には空港があることを思い出し、飛行機の向かう先を見るとやはりあった。 さっそく空港に向かう実沙。 途中にある住宅街は適当に足踏みで消し去っておいた。 先ほど見つけた飛行機を追い抜いて空港に到着した。 島から逃げようとする小人が押し寄せているようで、大変な混雑だ。 ターミナルの外にまで人が並んでいる。 その列の上に、実沙の素足が落とされた。 プチプチプチ。 この大きさで初めて人を潰す感覚を味わうことができた。 どのくらいいたのだろうか、千人ぐらいかな。 下ろした足を前後に振り、外に並んでいた小人を全滅させる。 ターミナルは適当に足で掘り起こした土で出入口を塞ぎ、小人が逃げられなくしておく。 後の楽しみだ。 先に飛行機で遊ぼうと滑走路に足を踏み入れる。 アスファルトのおかげで綺麗な足跡が残るのが何だか楽しい。 まずは先ほど見つけた飛行機を出迎えるため、滑走路の端へ向かってその場で立ち止まる。 着陸態勢に入っていた飛行機は突如現れた女の子に驚くが、すでに遅かった。 回避することもできず、実沙の胸に飛び込んで爆発四散した。 「フフッ、エッチな小人さんですね」 飛行機がぶつかっても傷どころか、ほつれさえできない。 胸のゴミを叩いて落とすと、スクール水着は元通りだ。 隣の滑走路から飛び立とうとする飛行機を一踏みで潰す。 実沙の大きな足は、飛行機の胴体と翼を含めて踏むことができる。 待機していた飛行機は蹴り飛ばされて粉々に吹き飛んだ。 すぐ隣にあった飛行機は、胴体を足の親指と人差し指の間に挟まれ持ち上げると真っ二つに折れて散らばった。 最後の一機は整備中で倉庫に入っていたところを倉庫ごと踏み潰されることになった。 小さな空港はこれで全ての飛行機を失った。 最後にとっておいたターミナルに足を掛ける。 今日聞いた中で一番の悲鳴が聞こえてきて、実沙の嗜虐心をくすぐる。 すぐに潰すのを止めて、中心部に足をねじ込んでみた。 まったく抵抗を感じることなく側面を突き破り、中にあったものを全て破壊しながら進む足。 ついには指先が反対側を突き破って出てきた。 足を引き抜くとターミナルにはトンネルが出来上がっていた。 ターミナルの左側を蹴ってみる。 足の甲で置し出すようにすると、粉々になりながら吹き飛んでいった。 残された右側の小人たちは震えてその場を動けない。 実沙はその場に座り込み、体育座りの姿勢をとった。 脚のアーチのしたにターミナルの残りを収める。 「この座り方って結構疲れますよね~ 脚、伸ばしたいな~ フフッ」 ゆっくりと脚を伸ばしていくと、合わせてアーチが少しずつ消えていく。 ついに膕がターミナルの天井についた。 「んっ、くすぐったい!」 グシャ。 膕にこそばゆさを感じた実沙は一気に脚を伸ばしてしまった。 もっと楽しむつもりだったのに…… 壊してしまったものは仕方ない。 念のため空港一帯を踏み固めてから次の場所へ向かう。 飛行機がダメなら船だ。 小人の大半はそう考えた。 だがしかし、それは実沙も同じことだ。 逃がしてしまったらもったいない。 船の出入りする港は島の反対側だが、実沙が走れば一瞬だ。 七百メートルおきに足跡を刻みながら走る。 一歩ごとに蹴り上げられる砂の量は、それだけで小さな山を作るほどだった。 「な~んだ。一隻だけですか……」 せっかく走ってきたのに、小さな港にがっかりする。 そこにいたのは定期連絡船だけだった。 50メートルの船には定員の倍以上が乗船し、出航を待っている状態だった。 まさか島を数秒で縦断してくるなんで思いもしなかった乗客たち。 太陽を覆い隠す巨人の恐怖が今まさに現実となった。 たかだか5㎝。 消しゴムみたいな船が一隻だけでは全く面白くない。 実沙は適当に足を振り下ろして、次の船を待っていた小人たちを踏みつぶす。 このまま踏んで終わりにしようかと思ったが、いいことを思いついた。 接岸中の船を手づかみで持ち上げる。 甲板にいた小人がボロボロ落ちていくが、その処理は後だ。 持ち上げた船を太ももの間にもっていく。 「みなさ~ん、左右をご覧くださ~い 女子高生の太ももですよ♪」 先ほど病院を捻り潰した太もも。 そんな痕跡はどこにもないが、これがどれほどの破壊力を持っているかは想像が容易だ。 船の全身を軽々と挟み込めるそれは、今か今かと出番を待ち望んでいる。 船をから手を放して太ももで挟み込む。 微妙な力加減が必要で、潰さずにいるのはなかなか難しい。 「最後にいいものが見れて良かったですね♪ じゃ、ばいばい」 力は必要なかった。 一瞬にして当たり前のように太もも同士がくっつく。 船だったゴミが海に落下していく。 「ん~ やっぱりいいですね~ 気に入りました!」 残っていた小さなチケット小屋を踏み潰すと、 いよいよ市街地の中心部を蹂躙できることに胸が高鳴るのだった。 「中途半端にしてごめんね♪ 今からしっかり蹂躙するからしてあげます♪」 三度現れた巨人に、残された小人たちは絶望していた。 中心部にある高層ビルなど彼女の足元にも及ばないのた。 空も海も逃げ道はすべて破壊された。 もう、どこにも逃げられないのだ…… 実沙が学校を踏みつぶす。 これは島にある唯一の小学校だった。 少し離れた学校も踏みつぶす。 これは同じく島唯一の中学校だった。 その道路を挟んで向かい側の学校を踏みつぶす。 これもやはり島唯一の高校だった。 そして、最後に残った教育機関は大学だった。 高校生の実沙は入ったことのない大学という存在に興味を持ち、しゃがみこんで観察してみる。 「これ全部が敷地なの? 広いんだね~ ま、四回も踏んじゃえばおしまいだけど♪」 言葉通りに全てを踏み潰せるか試してみることにした。 「1回、2回、3回、4回っと…… あれ? う~ん…… えいっグリグリ~♪」 少しだけ足りなかった分は踏みにじって潰す。 踏んだ回数は確かに4回だった。 実沙を止められるものはいない。 雑居ビルは一般住宅よりは大きいが、特に変わりなく踏み潰される。 コンビニやスーパーもやはり同じこと。 足が持ち上がったら一瞬でゴミになる。 逃げ惑う小人などもっての外で、実沙は彼らを踏み潰したことに気づいてもいない。 市街地の中心部に来ると、数棟だが高層ビルが立っている。 一番高いビルは170メートルを超えており、最上階には島を一望できる展望台が付いている。 だが、残念なことに展望台から見える景色は、地上から見るのと大差がない。 どうせ見えるのは実沙の脚でしかないのだ。 「大きな建物ですね~ 小人さん、凄いです♪」 そう言いながらビルのすぐ隣で踵を軸にして足を垂直にする。 100メートルの高層ビルは、聳え立った足裏の半分にも届いていない。 実沙からすればスマートフォンより小さい玩具だ。 そして、そのままペタンと足を地面につけるとビルは消えてしまう。 「他のより潰しがいがありますよ! ありがとうございます♪」 次の高層ビルはお尻の下敷きにした。 踏み潰すのとなにも変わらず、ビルはその下に消えてしまった。 その場で脚を伸ばすと、別のビルまで余裕で届いた。 両の足裏で挟み込むように破壊してやる。 二棟ならんだツインタワーを見つけた。 そこまで四つん這いで移動し、道中の小さなビルたちを手と脚で蹂躙する。 ツインタワーの間隔はちょうど実沙の胸くらいだった。 「これはおっぱいの出番ですね♪ えいっ!」 上半身をツインタワーに乗せるて一気に破壊する。 スクール水着越しに胸に伝わる破壊の感触に思わずうっとりしてしまう。 周囲の建物を巻き込んでタワーを破壊した実沙の胸は、そこから動き出した。 ブルドーザーのように、しかしその何千倍の大きさと力で町を破壊していく。 「女子高生のおっぱいですよ~ それそれ~♪」 進む方向にあるすべてを薙ぎ払う。 少し大きめのビルとぶつかると、一瞬だけ柔らかそうに形を変えるが、次の瞬間には弾力で元に戻ってビルを破壊する。 実沙が満足するまでに数百の建物と数万の小人がその下に消えていった。 そして、ついに島の中心。170メートルの高層ビルの目の前まできた。 「こんなのが一番なんですか? デコピン一発で吹き飛ばせちゃいますよ♪」 シュッシュッ。 四つん這いのまま、ビルの真横でデコピンを繰り返す。 それによって生まれた衝撃波は高層ビルの強化ガラスを粉々にしていまう。 このビルは全面ガラス張りで中の様子が伺える。 覗き込むと予想外にたくさんの小人がいたが、どうやら最後に残った大きな建物だから逃げ込んだらしい。 「最後まで諦めないのは偉いですよ! ご褒美に……」 四つん這いのまま少し前に進む。 ビルに迫りくる太腿に怯えて固まる小人。 実際にビルと太ももには百メートル以上距離があるが、この巨体では遠近感が狂ってしまう。 両腕と両足に囲まれた高層ビル。 その真上にはスクール水着の紺色が空の代わりとなっている。 プールから上がって時間ががり、すでに水気はない。 「お腹で潰してあげますね♪」 ゆっくり腕を曲げ、脚を広げていく。 スクール水着の天井が降下して高層ビルに迫る。 最上階の展望台は真っ先に潰された。 「ほらほら!こんなゆっくりですし、頑張って階段を下りれば助かるかもしれませんよ? 諦めちゃダメですよ♪」 上階の居住スペースが潰れ始める。 避難してきた小人とそれを受け入れた者。 どちらも分け隔てなくお腹に潰された。 また、階段で逃げようにも尋常でない揺れと人混みで動きが取れない。 脱出などできそうにない。 そんな事情を知らないし、興味もない実沙は不機嫌そうだ。 いったん、腕と脚を四つん這いの姿勢に戻す。 「ねぇ、なんで頑張らないの? もしかして死にたいのかな?」 必死に逃げ惑う姿を期待していたがそんな様子がない。 ならこんな遊びはつまらない。 「ハハッ! 気が変わっちゃいました! もうチャンスなんてあげません! ……死んじゃえ♪」 今度は一瞬だった。 実沙のお腹が一瞬にして高層ビルを叩き潰す。 地面に付いた後も全身を擦り付けて周辺ごと磨り潰す。 作業を終えるとゴロンと転がりあお向けになる。 顔だけ動かして周囲を見ると、自分の足やお尻、胸の形に町が消えている。 島の大半は潰したようだが、小さいのが点々と残っている。 では最後はこうしよう。 実沙は背伸びをして腕を頭の上で組んだ。 同時に脚もピンと伸ばす。 「いまからゴロゴロしますよ~ 私の身体のどこで潰されるか、楽しみにしてくださいね~」 ゴロン。 潰れずに残っていたコンビニが胸のしたに消えた。 ゴロン。 数棟のアパートがまとめて背中の下に消えた。 ゴロン。 小さな川に掛かっていた橋がお腹の下に消えた。 ゴロン、ゴロン、ゴロン、…… 実沙が回るたびに何かが消える。 十回もゴロゴロすると、島にあった建物は綺麗になくなっている。 代わりに同じ質量の瓦礫が生まれた。 「うん、これくらいでいいかな♪ あとは~」 立ち上がって状況を確認すると、 実沙は胸に手を当てて魔法を使う。 次の瞬間には実沙の身長は163,000メートルになっている。 本来の十万倍。実に160キロという巨体。 海の中にいるのに足の甲は濡れることはない。 さっきまで遊んでいた島を跨いで立っていた。 「私の足とどっちが大きいかな~ 比べてみましょ♪」 23キロもある左足を持ち上げて島のすぐ隣に踏み下ろす。 海水が跳ね上がり、津波となって島を襲う。 それだけではない。 この一歩は海底の岩盤をいとも簡単に踏み抜いた。 大規模な地殻変動が起こり、そう遠くない未来に島は沈んでしまうだろう。 「ハハハッ! 私の足のほうがおっきい! そんなちっぽけな島なんて……こうです♪」 再び左足が持ち上がる。 そして今度は島の上にその影を落とす。 いつか沈む心配なんていらない。 なぜなら、この瞬間に実沙が踏み潰してしまうからだ。 ググッ。 島を踏みつぶしたのは、普通に地面を踏んだのと変わらない。 砂場で踏み潰した山が砂に換えるように、島は海の底に消えた。 当然、誰一人として生き残ることはできない。 島を踏みつぶした記念に足をグリグリしておく。 「うん、楽しかった!」 完全に島を消し去った実沙は、 満足そうな笑みを浮かべて魔法を使う。 家に帰ったら、クーラーの聞いた部屋で次の遊びを考えるのだ。 実沙が満足する日がくることはない。


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