図書館
Added 2020-07-11 13:55:52 +0000 UTC夏休み。 高校の図書館で女の子がほくそ笑むと、黒縁の眼鏡が少し動いた。 緑を基調としたスカートと白いワイシャツ、その上に下着が透けないように紺のセーターを着ている。 足元は学年色である緑の上履きから紺のソックスが伸びる。 今日の貸出当番である女の子、実沙の視線は床に向いてそこにいる小さな生き物を捉えていた。 実沙が縮小した人間たち。 特に理由もなく、なんとなく魔法で縮めて転送してきた名も知らない人々。 これはとっておきの楽しみだった。 立ったままだとよく見えないが、きっと戸惑い怯えているのだろう。 「今からみんな潰しちゃうからね。ごめんね♪」 右足を持ち上げて小人たちの上にかざす。 巨大な影に覆われた小人たちは、実沙にも聞こえる大きな悲鳴を上げて走り始めた。 「う~ん、最初は誰にしようかな~」 グリグリと空中で左右に振れる23㎝の女の子の足。 それも小人からすれば23メートルとなり、普段乗る電車以上の大きさ。 自分の真上で動くなんてありえないはずの大きさだ。 「よし、まずは君に決めた! えいっ!」 ぺた。 上履きのつま先だけが振り下ろされる。 ご飯粒を踏んだような感触があり、小さな赤い肉片が生まれた。 「まだまだいくよ~」 実沙はつま先を捻る。 潰れた肉はよりぐちゃぐちゃになっていき、やがて水のようになった。 「ハハハハハハッ 死んじゃった! 次は~」 実沙が最初の小人を嬲っている数秒の間、 他の小人たちは一生懸命に走っていた。 「ま、意味ないんだけどね~」 ズシン。 小人の全力疾走に追いつくには、 たったの一歩あれば十分だった。 必死に走っていた小人は空が暗くなったことに気が付かず、 実沙の左足の下へ消えた。 「はい。おしまいっ、と」 やはり足を捻ってぐちゃぐちゃにしてしまう。 足首を掴んで足を持ち上げ、踏み潰した箇所を見る。 上履きの凹凸に肉片がこびり付いてた。 ついつい、顔がにやけてしまう。 哀れ。 ついさっきまで自分と同じ人間だったのに、今はただのゴミ。 私がゴミに変えたんだ。 そう思うと実沙の心が弾む。 次の小人は蹴飛ばしてみた。 逃げる小人の背中に上履きが追いつくと、小人の体は一瞬で血煙になった。 次は上履きの側面でゆっくり蹴ってみる。 今度は形を保ったまま飛んでいき、壁にぶつかってから弾けた。 「へへっ、私、意外とサッカーの才能あったりするのかな♪」 冗談を言いつつ、次のターゲットに目をつける。 なかなか足が速いようで、もう三メートルも離れていた。 「今から追いかけるよ~、ほらほらほらほら!」 わざと足音を立てて追いかけていく。 小人さんはきっと怖いんだろうなぁ~、なんて考えると笑いが込み上げる。 足音に驚いた小人が振り返り、ほんのちょっと、実沙からすれば変わりないくらいにスピードが上がった。 だが、僅か四歩で追いつく。 このまま踏み潰そうかとも思ったが、面白いことを思いついたのでやめておいた。 歩幅を小さくして五歩目を踏みだす。 小人の目の前に右足の上履きを振り下ろし、無理やり止めてやる。 体を捻って小人の様子を伺うと、どうやら腰を抜かしているようだった。 「どうしよっか? このまま磨り潰してあげよっか?」 目の前で踵を少し上げ下げしてやると、小人は健気に後ずさりを始めた。 緑の靴底が壁のように迫り上げるのだ。 「もしかして逃げてるつもり? ハハッ、頑張れ頑張れ」 込み上げてくる衝動が抑えきれなくなりそう。 もう少し我慢しないと…… そのときだった。小人のズボンに小さなシミができるのが見えた。 実沙は衝動を抑えきれなかった。 「足、動かしちゃうぞ~、ほらっ!」 ズリっ! 一瞬にして右足が10㎝下がり、小人をひき潰した。 「ああ、やっちゃった……」 ちゃんと遊ぼうと思ってたのに、誘惑に耐え切れなくなっちゃった。 ま、たくさんいるから大丈夫だけどね。 ちょっと遊び過ぎてしまったかもしれない。 小人たちは図書館の至るところに散っている。 出入口は施錠してあるから、逃げることはないだろうが、 全部を探すのは面倒くさい。 「今日は贅沢しちゃおうかな」 そういうと、実沙は両方の上履きを脱ぎ始めた。 キチンと踵を揃えて床に置く。 紺ソックスに包まれた足を床に置くと、ひんやりして気持ちいい。 実沙はDカップの十分に大きな胸に手を当てると、心の中で魔法を唱える。 一瞬だ。傍から見ればただ胸に手を当てているようにしか見えないだろう。 「みんなさっきぶりだね♪ 上履きの中はどうかな?」 両方の上履きの中には魔法で転送した小人が数人。 両方合わせれば十人ちょっとが入っていた。 さっきまで物陰に隠れていたはずなのに、いつの間にか見慣れない空間に飛ばされていた。 汗臭い匂いが充満した布の檻には天井がなく、覗き込む巨人の顔が見えるだけだった。 「今日は暑いからねぇ~ いっぱい汗かいちゃったし、臭うでしょ?」 実沙は紺ソックスに包まれた足を上履きに近づけていく。 周囲の壁とはレベルが違う。気を失いそうになるほどの臭気が天から迫ってくる。 まずは左足。 ゆっくりと上履きに足を入れていくと、 中の小人たちが足から逃げようと爪先へ向かう。 そのうち、一匹の小人が転んで倒れると、その背中に実沙の足指が圧し掛かる。 全身の骨が砕けていく激痛に苦悶する小人と対照的に、実沙は楽しさを隠せない。 上履きを履いて潰すのとは違い、命を奪う感触が直に伝わってくる。 左足分は最後までゆっくりと上履きを履いてやった。 押し込んだ小人は指先をグニグニ動かして潰してやる。 こそばゆい感覚に思わずギュっと指を閉じてしまうと、紺ソックスと上履きが赤に染まる。 潰したあとは足裏を中敷きにこすりつけて跡形も残さない。 「はい、左足のみんなは死んじゃったね♪ 次は右足の君たちだよ♪」 さっきと同じように足をかざすと、反応も同じだった。 「ん~、やっはりそうだよねぇ…… でも反応が同じじゃつまんないなぁ」 足裏で上履きの天井を塞いでみる。 小人の様子も見えないし、声も聞こえない。 「うん。踏み潰すのはやめた!」 足をどけると実沙は上履きを持ち上げた。 図書館の机に上履きを乗せ、自分自身は椅子に座る。 床に置いて眺めたときとは違って小人の怯えた顔が良く見える。 「よ~し、いくよ~」 一匹に狙いを定めて、右手の人差し指を突き立てる。 ブチッと、小人を押しつぶして靴底にこびり付かせた。 「はい!おしまい!次は~」 中指を親指に突っかけて、デコピンの準備。 躊躇いなく指を弾いて小人を綺麗な爪で粉々にする。 一瞬で二人を惨殺された小人たちは上履きの先端、爪先に向かって必死で走る。 「ははっ♪ ここで逃げても意味ないよ! えい、えいっ♪」 次々にデコピンで小人を粉砕していく実沙。 あっという間に生きている小人は残り一匹になってしまった。 潰さないようにそって持ち上げて手の平に乗せてみる。 そのまま目の高さまで手を持ち上げて、小人と視線を合わせる。 「君が最期だね! ……生きて帰りたい?」 実沙は意地悪そうにニヤニヤしながら問いかける。 もちろん、助けてやるつもりはなく、単なる悪ふざけでしかない。 小人は必死に命乞いをしているようだが、実沙は聞こうともしない。 「どうしよっかな~ う~ん……」 空いているもう片方の指を頬にあて、可愛らしく考えてるフリをしてみる。 小人の祈り声がより一層大きくなり、実沙の嗜虐心が燃え上がる。 「うん、やっぱりダ~メ♪ それじゃあ、バイバイっ♪」 手の平にもう一方の手の平を翳し、勢いよく叩きつける。 挟まれた小人は一瞬にして弾けて消えた。 「今日はこのくらいで満足しとこうかな。あんまりやると飽きちゃうし」 実沙は再び胸に手を当て、魔法を使う。 すると上履きと手足について血痕がキレイになくなった。 元小人だったゴミもどこか遠くへ転送し、図書室に虐殺の痕跡は残らない。 実沙の魔法なら小人を生き返らせることもできるが、そうはしない。 明日のニュースで騒ぎになるのをテレビでみると、また興奮して二度美味しいのだ。 「明日は何人殺しちゃおっかな~」 ぶっそうな独り言を呟きつつ、実沙は帰り仕度を始めるのだった。