【登校道】
謙治{宿題ちゃんと入れたよな・・
ゴソゴソ・・
謙治{あったあった・・忘れ物なし・・はぁ・・まだ学校始まってすらいないのにもう帰りたい・・・
タッタッタ・・
謙治{今日は部活も休みだし、帰ったら久しぶりに積みゲーでも消化するかなぁ~
タッタッタッタッタ・・
謙治{まっ、と言いつつ、いつも寝るんだけど・・ふぁ~~眠い・・
ドゴッ!!っと脇腹に痛みが走る
謙治{ぐふぅ!!
夏美{はっはっはっはーー!なーにちんらた歩いてるの!
謙治{夏美てめぇ!今のまじで痛かったぞ!!
夏美{隙だらけだっつーの!なら狙うしかないっしょ!
謙治{狙うな!!
こいつは夏美・・俺の幼馴染で幼稚園、小学校、中学、高校と同じ学校に通っている・・何故だが一緒の学校になるんだよなぁ・・
夏美{ほらほらケンちゃん!何止まってるの!遅刻するぞー!
謙治{誰のせいだ誰の!!
性格は男勝り、所謂ボーイッシュ的な見た目でその明るい性格から人気もあるようだ
そして何より・・でかい・・・・何がとは俺の口からはとても・・
夏美{いいからいいから!さっさと行くよ!
謙治{ぐぬぬ・・夏美めぇ・・
俺は夏美の女の子らしいところを1度も見た事がない・・
謙治{本当は男なんじゃないのか?
夏美{えっ?ケンちゃん何か言った?
謙治{いーや、何も?
謙治{さすがに今のは失礼だよな・・怒らせると後が怖いし
夏美{何さっきからぶつぶつ言ってるの?ケンちゃん頭おかしくなった?
謙治{何をこの!!
夏美{あはははは!捕まらないよーだ!
謙治{待て夏美!!こらーーー!
夏美{きゃーーー!レイプされるーー!
謙治{おっ、おい!!!そんなこと大声で言うな!!勘違いされるだろうが!!
夏美{ははははは!!
こんな日がずっと続いていた・・
嫌なのか・・・そう聞かれたら・・・俺は間違いなくこう答える・・
これがないと1日が始まらない・・てな
【学校】
女A{ねぇーねぇー夏美!ここの問題なんだけどー
夏美{んー?・・あーここはね!ここをこうして・・
女A{あっ・・あっ!なるほどーー!ありがとうー!
謙治{あんなんで成績も良いんだから・・・・はぁ・・もうすこし大人しかったらなぁ・・そう思わないか?
男A{なんの話だよ
謙治{聞くな・・
男A{じゃあ言うな
謙治{ごもっとも・・
(体育の授業)
女B{夏美さん!お願い!
夏美{任せて!それ!!
ドンッ!
女C{わっ!
ピッーー!
教師{Aチーム1点!
女B{さっすがー!頼りになるー!
夏美{アタシにまっかせなさーい!
謙治{おまけにスポーツ万能・・・
男B{見たか?
男C{勿論!・・揺れてたな
男B{なっ?でけぇーよなぁ・・クラスの女子で一番でかいんだから・・
謙治{あぁん?
男B{やべ!彼氏に聞かれた!
謙治{誰が彼氏だ!誰が!!
俺と夏美は良く付き合ってると勘違いされる・・
迷惑な話だ、俺と夏美はただの幼馴染だ
俺の好みはもっと女の子らしい子だ、あんな男勝りじゃない
そして時間は過ぎ・・・
キーンコーン・・
謙治{やっっっっっと・・終わった!・・帰ろ帰ろ・・
バッチィィィン!!
謙治{いてぇぇぇぇ!!!
夏美{帰るぞーーー!
謙治{だから一々叩くな!!
夏美{ははははは!!
【下校道】
謙治{なぁ、夏美
夏美{なにー?
謙治{前々から気になってたんだけどさ、なんでほぼ毎日俺と登下校するんだ?
夏美{えっ?今更じゃん?
謙治{そうなんだけどさ・・なんでかなって
夏美{幼馴染じゃん!
謙治{それが理由かよ
夏美{え?おかしい?
謙治{別におかしくはないけど・・お前友達多いだろ?
夏美{んーーやっぱケンちゃんとは長いしーー、気が楽?
謙治{なんだよそれ
夏美{ケンちゃんは違うの?
謙治{・・・まっ、そうかもな
夏美{でしょー!
謙治{好きな男とかいないのか?
夏美{・・・・・・えっ?
謙治{好きな男だよ、お前結構モテてるって知ってるか?お前がその気になれば彼氏すぐ作れるだろ
夏美{そんなことないって・・・・
謙治{いやいや、そんなことあるってー
夏美{・・・・・・・・・
謙治{んっ?どうした?
夏美{・・・うるさいな・・・アタシの勝手でしょ・・・
謙治{お、おう・・・悪い・・
空気が重くなった気がする・・・よくよく考えてみたら失礼だったかもしれない・・
幼馴染だから気が楽・・それにも限度がある・・
夏美{じゃあ、アタシこっちだから!また明日ねー!
謙治{え?お前の家あっちだろ?
夏美{買い物!!
謙治{ほーん、何買うんだよ
夏美{秘密!じゃーね!
走っていく夏美
謙治{気をつけろよー!
夏美{わかってるーー!
翌日・・
謙治{教科書よし・・・宿題よし・・・・・
謙治{そろそろ・・・来るか!!
勢いよく背後を見る俺
謙治{・・あれ・・いない・・・
女子{・・ぷっ・・
謙治{わっ、笑われた・・・恥っず・・
ドゴッ!!っと脇腹に痛みが走る
謙治{ぐっふぁぁ!!
夏美{隙ありぃぃ!!
謙治{忍者かお前は!!
夏美{またつまらぬ者を殴ってしまった・・
謙治{誰がつまらぬ者だこらぁ!!
夏美{あはははは!
【学校】
謙治{・・あれ?・・夏美がいない・・どこ行ったんだ?
男A{何キョロキョロしてるんだ?
謙治{いや・・・夏美がいないなって・・
男A{やっぱ気になるのか?
謙治{何ニヤニヤしてるんだよ
男A{別にー?
謙治{・・・・・トイレ行ってくるわ
男A{あいよー
【廊下】
謙治{んっ・・あっ!夏美!
目線の先には夏美が1人の男子と楽しそうに何かを話している所だった
謙治{あいつ誰だ?・・夏美の友達か?・・へー男の友達も他にもいたのか・・俺以外にも・・
モヤッ・・
謙治{んっ?・・なんだこの気分・・
キーンコーン・・
謙治{やっべ!!?トイレトイレ!!
【下校道】
謙治{夏美のやつ・・下校時間になった途端にどこか行っちまったな・・
謙治{まさかあの男の所に?・・・・もしかして・・・
謙治{いやいや・・好きな男いないって言ってたし・・それはないか!・・・
謙治{待てよ・・・そういえば好きな男いないなんてあいつ一言も・・・
モヤッ・・
謙治{・・・・まさか・・な?・・・まっ、俺には関係ないか・・もしそうだとしたらお祝いの言葉の1つはくれてやらないとな・・はは・・
タッタッタッタ・・
謙治{あーーもう!何なんだよこの気分は!!くそっ!
タッタッタッタ!
謙治{ん?・・はっ!?夏美!?
夏美{うわっと!?
ドンッ!!
夏美{痛たた・・もうーー!いきなり振り向く・・なっ・・
謙治{痛ってー・・おい大丈夫か?
夏美を全身で受け止めていた
夏美{わっ!?わわわわ!?
謙治{ん?
夏美{へっ、変態!!
バッチーン!
謙治{ぎゃっ!!
夏美{あっ!ごめん!つい!
謙治{ついでビンタは酷くないか!?
夏美{だってー・・いきなり抱きしめるから・・
謙治{お前が突進してきたんだろうが!
夏美{突然振り向いたのはケンちゃんでしょ!
謙治{なにをー!
夏美{とっ、とにかく・・腰の手・・離してよ・・
謙治{あっ!すまん!
夏美{なんで先に帰ろうとするかなー
謙治{なんでって、お前がいなかったんだろうが・・
夏美{ちょっとくらい待っててくれてもいいじゃ~ん!
謙治{なんで俺がそこまでしないといけないんだよ!たくっ・・
謙治{てか夏美さ・・
夏美{ん?
謙治{・・・いや、何でもない
夏美{ん~?
謙治{帰ろうぜ
夏美{どうしたの?頭おかしくなった?
謙治{何をこの!!!
その夜・・
謙治父{謙治ーー
謙治{なんだよ
謙治父{ほれ
謙治{ほれって・・なんだこれ
謙治父{見ればわかるべ、遊園地のチケットだよ
謙治{遊園地~~!?なんでこんなもん持ってるんだよ!
謙治父{仕事先近くの商店街でくじ引きやっててな、券溜まってたからやったらそれ貰ったんだよ
謙治父{俺が持ってても意味ないしな、お前行って来いよ
謙治{遊園地かぁ・・俺も別に興味あるわけじゃ・・
謙治父{それペアチケットだからよ、友達と行ってくれればいいだろ?んじゃ、渡したからな
謙治{お、おう・・・
【謙治の部屋】
謙治{そう言われてもなぁ・・・遊園地だろ~?しかもペアって・・
謙治{・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夏美{もしもしー?どうしたの?
謙治{あのさ、今度の日曜開いてる?
夏美{日曜日?うん、まだ何も予定無いけど?
謙治{ならさ、遊園地行かね?
夏美{ゆっ、遊園地!?どうしたの突然・・
謙治{実はおやじがさ、ペアチケット当たったからってさっきくれたんだよ、捨てるのももったいないし・・どうだ?
夏美{そ、それってさ・・デート?
謙治{デート~~~!?ははっ!夏美と俺の仲だぞ?ただ遊びに行くだけだって!
夏美{・・まあ・・そうだよね・・
謙治{んっ?
夏美{まっ、一緒に行く友達もいない可哀そうなケンちゃんのために、アタシが行ってあげなくもないかなぁ~~?
謙治{友達くらいいるわ!!別に行きたくないなら良いんだぞ?他のやつ誘うから
夏美{行くってば!!!!!!
謙治{うわ!そんな大声出すな鼓膜破れるかと思ったわ!!
【日曜日・・・〇〇遊園地】
夏美{うわぁ~~!
謙治{あれ?お前ここ来たの初?
夏美{初!
謙治{まじか・・てっきり何度もあるもんだと
夏美{ケンちゃんはあるの?
謙治{ああ、クラスのやつと何度かな
夏美{なんで誘ってくれなかったの!?
謙治{男グループで行ったからだっつうの
夏美{ぶぅ~~・・まっ、それならエスコートよろしく~!
謙治{おうよ!まかせとけ!何から乗りたい?
夏美{ケンちゃんお勧めで!
謙治{了解~
謙治(くっくっく・・良いぞ・・ここは絶叫系の乗り物は豊富だし、ここのおばけ屋敷は怖い事で有名だ・・こいつをきゃーー!って言わせてやるぜ!)
【ジェットコースター】
ゴォォォォォォ!!
夏美{ひゃっほーーーーーーー!!
謙治{うおおおぁぁぁ!!??
【ジョットコースター2】
ズゴォォォォォォォ!!!
夏美{イエーーーーーーーーーイ!!!
謙治{ぎゃあぁぁぁぁ!!!
【おばけ屋敷】
バァン!!!
霊{ウゥゥゥ~~~・・・・
夏美{あははははは!!来ると思ったー!
謙治{きゃーーーーーーーー!
謙治{な、なんだこいつ・・悲鳴の1つも出さないだと・・・
夏美{ねぇねぇ!次!次行こう!!
謙治{すこしは休ませろい!!
夏美{あはははは!
辺りも暗くなり・・・
夏美{時間が経つの早いなぁ・・
謙治{そうだなぁ~、でもそういうもんだろうな
夏美{うん・・楽しい時間はあっという間・・
謙治{だな、それじゃあ帰るか
夏美{待って・・
謙治{ん?な
夏美{最後・・・最後に・・・あれ乗りたい・・
謙治{観覧車?別にいいけど、あれ絶叫系じゃないぞ?
夏美{別にアタシ絶叫系が好きなわけじゃないけど?
謙治{あんなに乗ってて!?
夏美{ほら!行こ!
謙治の手を掴む
謙治{おっ、おう・・
【観覧車】
夏美{うわぁ・・・
言葉に出ない・・目の前に広がる夜景に・・・
謙治{・・・・・・・・・
謙治(なんで俺・・・こんなドキドキしてるんだ?)
謙治(観覧車だって初めて乗るわけじゃない・・・じゃあ・・なんで・・)
夏美{綺麗・・・
謙治(夏美って・・・・・こんなに綺麗だったっけ・・)
夏美{さっきから何アタシを見てるの?気持ち悪い
謙治(前言撤回!)
謙治{見てねぇーよ!
夏美{ふ~ん・・・
夜景の光に照らされた夏美に・・俺は見入っていた・・
謙治{綺麗だな・・
夏美{本当だね・・連れてきてくれてありがとうね、ケンちゃん!
謙治{おう!おやじに感謝しないとな・・なんかお土産買ってくかー
夏美{そうだね!・・また来たいなぁ・・
謙治{別に遠いわけでもないし、今度また来ればいいんじゃないか?
夏美{また・・一緒に来てくれる?
謙治{ああ、俺で良ければな、それにー、ほら、あの男とか
夏美{あの男?
謙治{廊下で見たぜ?なんか仲良さそうに話してただろ?
夏美{廊下で?・・あっ!それはー
謙治{好きなのか?あいつのこと
夏美{・・・・はっ?
謙治{もしそうならそいつ誘ってみたら?ってそれは早いか!ははは!
今思えば・・この時を俺はどうかしていた・・夏美に緊張していたのか・・それとも・・俺が本当にバカだったのか・・
夏美{・・・何言ってんの?・・
謙治{夏美?
夏美{他に好きな人がいるなら!アタシこんな所に来るわけないじゃん!!
謙治{なっ、夏美!?落ち着けって・・じょっ、冗談だって!
夏美{誘ってくれて嬉しかったのに!!!アタシ・・アタシは今日の事デートだと思ってた!!
夏美{すこしはアタシの事気にかけてくれてるのかなって!すこしは期待してたのに!!
謙治{落ち着けって・・
夏美{バカ!!バカケン!!!もういい!!!
謙治{夏美聞いてくれ!違うんだ!!
観覧車が下まで着くと、飛び出すように夏美が出て行ってしまった・・
俺はすぐに後を追い・・何度も謝ったが・・夏美は一度も振り向くことなくタクシーに乗り込んでしまった
俺は薄暗い遊園地の出入り口前で1人・・立ち尽くした・・
あれから3日が経過した・・
登校時・・いつもなら俺に一撃を加えてくるいつもの朝・・
だけど・・夏美の姿はなかった・・・
先に学校についていた夏美は・・一度も俺に目線も向けなかった・・
さすがにこの重たい空気に・・友人たちも気づいていた・・・
女A{なにかあったのかな・・
男A{さぁ・・喧嘩でもしたんじゃね?・・
夏美{・・・・・・・・・・
キーンコーンカーンコーン・・
謙治{夏美!帰ろうぜ!!
夏美{・・・・・・・・・・
スタスタと・・・返事もせずに教室から出て行った夏美・・
謙治{・・・夏美・・・
【下校道】
謙治{・・・・・なんで俺・・あんな事言ったんだ・・くそ!俺は・・・バカだ・・
謙治{夏美が近くにいないこの数日・・・なんて喪失感なんだ・・
謙治{いつも俺の傍で夏美は・・笑っていた‥色々な話をしていた・・
謙治{当たり前だったのが・・当たり前じゃなかった・・・
謙治{・・・そうか・・・俺・・・夏美の事・・・
謙治{あっ!
奥に夏美の後ろ姿は見えた・・1人で・・俺と同じように自宅に向かっていた・・
謙治{夏美・・夏美!!
俺は走った・・夏美に無視されても・・俺は何でも・・許されるまで謝りたい・・そして・・
謙治{やっと気づいたんだ!!俺!夏美の事が!!・・・夏美ーーーーーー!!
夏美{!!?
夏美がそっと振り向いた
謙治{夏美聞いてくれ!!俺はーー!!
夏美{ケンちゃっ・・んぐっ!!!
謙治{夏美!!?
夏美の隣に止まった車の中から現れた男たちに口を押えられ、身動きを封じられる夏美
夏美{んーーーーー!!
謙治{てめぇーーー!!夏美に何をする!!離せーーー!
俺は男に殴りかかった・・1人を殴り飛ばしたが・・
プシュ!
謙治{うわっ!
何かを顔にかけられた・・
夏美{・・・んっ・・・んん・・・
ガクッと意識を失う夏美・・
謙治{夏美!!あ、あれ・・
クラッ・・
謙治{あ、頭が・・・・な、なつ・・・
バタッ・・・
謙治{・・・んっ・・・はっ!?夏美!!?・・・って・・ここは?
そこは見た事のない謎の部屋・・
辺りにあるのは1つのドアだけ・・
謙治{何だここ・・・・夏美はどこだ・・
フラフラしながら立ち上がった
謙治{ここしか行ける場所は無さそうだ・・・
俺はゆっくりとドアを開けた・・
ギィッ・・
謙治{なんだこりゃ・・・ドアばっかり・・
そこにはとてつもない広さの場所・・そして無数のドアが連なっていた・・
ジジジジジ・・
謎の声{隠れん膨しましょ!
謙治{うわぁ!?びっくりした!?
謎の声{ルールの説明をします!
謙治{ルール?何のことだ!ここはどこだよ!!夏美はどこだ!!
謎の声{ルールは簡単!目の前にズラ―――っと並ぶ沢山のドアの先にある部屋のどこかに囚われている彼女さんを見つけるだけ!
それと同時に上部にある大きなスクリーンに電源が付き・・そこには・・
夏美{何よ・・何なのよ・・・
謙治{夏美!?
両手を後ろに縛られたまま、どこかの部屋の中をうろちょろと歩き回っている夏美
その表情は・・不安そのものの様だった・・
だが・・俺は別に気になる点を見つけた・・
謙治{あれは?・・夏美の下から何か伸びて・・
謎の声{ですが!ドアを1つ開ける事に彼女さんのお腹に中に一定量の空気が流し込まれます!
謙治{えっ?・・えっ!?空気!!?空気ってどういうことだよ!!
謙治{空気を流し込むって・・タイヤとかじゃあるまっ・・まさかあれって!?
俺は気づいた・・夏美から伸びるあの1本の長い物は・・・
謙治{まさか・・・空気入れのホース?
夏美{ケンちゃん・・・ケンちゃんどこ?・・
俺の名を呼んでいる・・とても小さな声で・・いつも大きな声で話す夏美が・・あんな小さな声で・・
謎の声{なので!ドアを開けすぎるとどんどん彼女さんの中に空気が流し込まれてーー・・お腹がパァン!!!
謙治{なっ!?
予感が当たった・・・
謎の声{限界を迎えてお腹が破裂してしまいますよ!
謙治{おい!!何考えてるんだ!!夏美は風船じゃねぇーぞ!!夏美を解放しろ!!
謎の声{無事に助けたければ!お腹が破裂してしまう前に正解の部屋を見つけ出すことです!
謎の声{あーそれと!部屋の中は完全防音になっているのでこちらの声も!彼女さんの声も聞こえません!
謎の声{それでは!!隠れん膨スタートです!!
謙治{無視するんじゃねぇーぞこら!!!誰がそんなことに付き合うか!!
謎の声は聞こえなくなった・・辺りにシーンとした静寂が・・聞こえるのは自分の息の音だけ・・
謙治{おい!!戻ってこい!!!・・・ちくしょう!!
スクリーンに目を向ける・・
夏美{アタシのお尻に何が入ってるの?・・抜けないし・・どこから伸びてるのかもわからないし・・・
夏美{ケンちゃん・・・
謙治{夏美!!俺はここだ!!今どこにいるんだーーーーーー!!
シーーン・・・
謙治{防音って言ってたっけ・・くそっ、じゃあ聞こえないのか・・
謙治{俺がここにいることも夏美は知らないはず・・訳もわからない所で1人で・・
謙治{このドアの奥のどこかに・・・夏美が・・・でも間違ったら夏美に・・
謙治{なんだよ・・何なんだよ空気を入れるって!!そんな事人間にすることじゃねぇーだろ!!!
俺は周囲の物に当たり散らした・・だが・・それが全く意味のない事だとわかっている・・
謙治{・・・開けるしかないのか・・・
夏美{ケンちゃん!!ケンちゃんアタシはここ!!ここにいるよー!・・!早く来て・・・・
謙治{夏美・・・必ず助けるからな!待っててくれ!
俺は覚悟を決めた・・・無数のドアを見て回った・・だけど・・
謙治{全部同じだ・・・開けないとダメか・・・
謙治{むやみに開けられない・・間違ったら夏美が・・・夏美には聞かせてあるのか?・・空気が流し込まれるとか・・
謙治{いや・・・多分何も知らないはず・・間違ったら余計怖がらせる・・・
謙治{でも・・・開けないと・・・くそ!
謙治{やるしかない・・やるしかない・・・やるしか・・ない!!
ガチャ・・・っと1つのドアを開いた・・・
謙治{夏美?・・・・誰も・・いない・・・ここじゃない・・
プシュゥゥゥゥ・・
謙治{なんだ!?
夏美{・・ひゃ!?何!?
ビクン!っと身体を揺らし、その場でバタバタと足踏みする夏美
突然の不快感・・そして・・
夏美{なになになに!?何か入ってきてる!?いやぁぁあ!!
夏美{あううぅぅぅ!!
謙治{夏美!?・・まさか本当に空気を・・・なら本当にこのまま間違え続けたら・・・
空気の音が止み・・辺りはまたしても静寂に
俺はまたスクリーンを見た
夏美{開けて!開けろーーー!!開けてよぉぉ!!
夏美は何かを叫びながらドアに体当たりしていた・・
夏美{うぅ・・開けてよ・・
謙治{夏美・・早く見つけないと!・・
俺は隣のドアを開けた・・ギィ・・
謙治{・・ここでもない!?
プシュゥゥゥ・・・
夏美{ひゃあ!!?また!?あうううぅ!
謙治{くそぉぉぉ!夏美ごめん・・わからない・・どこにいるのかわからないんだよ・・
夏美{はぁ・・はぁ・・あっ、ああ!?なにこれぇ!?
夏美は何かに気づいた・・
夏美は映像では背を向けているため俺からは何が起きているのかわからなかったが、何かに動揺しているのはわかった
夏美{おっ、お腹が・・・アタシのお腹が・・大きくなってる・・・
細かったお腹がぽっこりと膨らんでいた・・2つのボタンの間に隙間ができて、そこからお腹の皮膚が見えていた・・
夏美{まさか・・膨らんでる?‥アタシのお腹・・膨らんで・・・
謙治{早く・・早く助けないと・・・どこにいるんだ夏美・・
俺は奥のドアを開けた・・・ギィ・・
謙治{くそぉ・・いない・・・
プシュゥゥ・・・
夏美{お腹・・あうっ!!?
夏美{いやぁぁぁ!!また入ってくるーーー!!ひぃ!?やっぱりお腹が大きくなってるぅぅーー!!
ぷくぅぅぅっとお腹が大きくなっていく・・シャツの生地がどんどん伸び・・そして・・プツン!っと一番下のボタンが取れる
夏美{ああぁ・・嘘だよ・・こんなのおかしいよ・・・アタシのお腹こんなに大きくない・・・もっと細いんだから・・
夏美{なんでこんな事するのよーーー!!
謙治{どれだ・・どこだ・・・どこだどこだ!どこなんだよぉぉ!!
ドッ・・
謙治{今の音は!?あのドアから音が!?夏美がいるのか!?
俺はすぐにドアを開けた・・
謙治{・・いない!?
プシュゥゥゥ・・
夏美{うあっ!!また入って・・いやぁ・・あぐぅぅ!
ムクムクムク・・・プツン!っとボタンが外れていく・・
既に見て明らかな程・・細かったお腹は丸々としていた・・
夏美{お腹が・・お腹が・・アタシのお腹・・・やだ・・やだやだやだ・・うぅぅぅ・・なんでこんな酷いことするのよ・・
夏美{苦しい・・お腹痛い・・・もう膨らまさないで‥もう無理・・・ケンちゃん・・・ケンちゃんアタシどうなるの・・
謙治{どこだ・・・どこだ!・・
俺の頭は大混乱していた・・・
謙治{あそこか!?それともここか!?・・くそ!くそぉぉ!!
謙治{開けるしかない・・開けるしか俺には出来ないんだ・・・
謙治{・・・はっ!?夏美の腹が!!?
俺は初めて今の夏美の状態を見た・・まるで妊娠した女性のような姿・・・そうとしか思えなかった・・
制服のボタンが外れ・・大きくなったお腹が飛び出していた・・
謙治{俺の・・俺のせいで夏美の腹に空気が・・・
謙治{・・許してくれ・・・俺には開ける事しかできないんだ・・
ギィッ・・・
謙治{いないぃぃぃぃ・・・
俺は膝から崩れ落ちた・・
プシュゥゥゥ
夏美{んあぁぁ!嫌だってばぁぁーーー!!
ムクムクムク・・・
夏美{ぐぇ!?・・い、痛いぃぃ!!
パンパンに膨れ上がったお腹・・空気で無理やりお腹を膨らまされ激しい痛みが襲い始めた・・
夏美{痛い!!痛い痛い!お腹痛いよぉぉぉ!!!
夏美{どれだけ膨らませれば良いのよ・・・このままじゃ・・えっ・・このままじゃ・・・
寒気が全身を襲った・・
夏美{このまま膨らまされたら・・・アタシのお腹が・・・ひっ!!?そんなのいやぁぁぁぁあ!!!!
ドン!!ドォン!!っとドアを蹴る夏美
夏美{開けて!!開けてぇぇーー!!助けてーーーーー!!!
夏美{ケンちゃん!!アタシまだ死にたくないーーーーーーーー!!
謙治{夏美どこだぁぁ!!夏美ーーーー!!!
シーン・・・
謙治{このままじゃ夏美の腹が破裂して・・・くそぉぉ!!
この静寂が・・返って頭をおかしくする・・・
謙治{冷静になろうと、慌てようが・・やれることはドアを開けることだけ・・頼むよ・・夏美を返してくれ・・
ギィッ・・・
謙治{うわぁぁぁあ!!夏美ーーーーー!
プシュゥゥゥーーー!
夏美{うぅ・・・苦しいよ・・・もう入らない・・・お腹破裂しちゃう・・・
夏美{やだ・・・助けてケンちゃん・・・アタシ怖いよぉ~~・・・
絶叫系の乗り物でも・・・怖いと有名なお化け屋敷でも一度も怖がる様子の無かった夏美が・・
あまりの恐怖から泣き叫び・・そして身体を震わせ続けている・・・
夏美{ケンちゃん助けてよーー!!アタシまだ死にたくない!!ケンちゃんにまだ何も伝えてない!!お腹破裂して死ぬなんてやだぁぁぁーーーー!!!
プシュゥゥゥ!
夏美{ケンちゃっあぐぅぅ!!!?・・
ミチミチ・・・
夏美{あぐぐぐ!!!・・ぎっ・・ぎぎ!!・・
夏美{ケンちゃん・・・たすけ・・・て・・・
もう立っていられない・・夏美はその場に倒れ込んだ・・
謙治{ここでもなかった・・・まだこんなにドアがあるのに・・・夏美の腹はもうあんなに・・・
謙治{もってあといくつだ・・・あといくつ開けたら夏美の腹は破裂してしまうんだ・・・
夏美{う゛っ・・うう・・ぜぇ・・ぜぇ・・・・はぁ・・ぜぇ・・・
謙治{夏美・・・頼む!!
ギィッ・・・
謙治{ぐぞぉぉーーー!!
プシュゥゥゥーー!
夏美{会いたい・・・よ・・・また・・・会いたいよ・・ケンちゃっあぎゅ!!!?
ミチミチ・・・ミヂ・・
夏美{いだぁ!!!?ぐえ!!ぐぇぇ!!!
舌を出し、目を大きく見開き・・今にも張り裂けてしまいそうなお腹・・全身を激しく痙攣させていた・・
夏美{ケン・・ちゃ・・・だずげ・・破裂・・・しぢゃ!!!
ミヂィ・・・
謙治{夏美・・・ごめん・・・だめだ・・・俺・・・
謙治{夏美・・わかったのに・・・やっと気づいたのに・・・
謙治{俺・・・夏美の事が好きなんだって・・・気づいたんだよ・・・
謙治{伝えたい・・・伝えたい!・・・夏美に全部伝えたいーー!!
夏美{ケンちゃん・・ケンちゃ・・げほ!!げほ!!おえ!げぼっ!・・う゛ぅ・・・
謙治{夏美・・・伝えるからな・・絶対に!お前が好きだって伝えるんだーーー!!!
謙治はドアノブに手をかけた・・・
謙治{夏美ーーーーーーー!!!!
ギィィ!!
夏美{・・・・ケッ・・ケン・・ちゃん?
謙治{はっ!!?・・夏美ーーーー!!
謎の声{お見事でーーーーーーす!ゲームクリアーーーー!!
謙治{夏美!!ごめん!!俺のせいでこんなに!
夏美{ケンちゃん・・うぅ・・ケンちゃん・・・あうぁ・・
謙治{夏美ぃ~~~!
すぽっと嘘のようにホースが抜けた・・
謙治{助かった!助かったんだぞ!
夏美はニコッと笑みで答えた・・そのまま意識を失ってしまった・・
謙治{夏美!!
謎の声{それでは!お帰りの出口を開きましたのでお気を付けてお帰りください!
謎の声{ただし・・この事を他言すれば・・また、ご参加して頂くことになりますよ?良いですね?
俺は破裂寸前のお腹の夏美を抱き抱え、言われた出口へと向かった
謙治{絶対に許さねぇからな・・・
夏美はその後長期の入院を余儀なくされた・・
お腹の破裂は回避できた・・だが・・内臓を激しく損傷していたのだ
だけど・・夏美は負けなかった・・・
夏美は本当に強い・・そして・・・
月日が流れ・・
【登校道】
謙治{宿題ちゃんと入れたよな・・
ゴソゴソ・・
謙治{よし・・忘れ物なし・・・
ドコッ!!
謙治{ぎゃああああ!!
夏美{隙ありぃぃ!!
謙治{おい夏美!!お前のせいで色々バラまいちまったじゃないか!!拾うの手伝えよ!!
夏美{えーーー!
謙治{えーーじゃねぇ!
いつもの日常が戻ってきた・・
謙治{たくっ・・おー痛てて・・
夏美{ケンちゃんおはよう!今日も隙だらけで良し!
謙治{何も良くない!!・・・体はもう・‥平気なのか?
夏美{うん・・・
お腹を擦る夏美・・
謙治{夏美・・・
夏美{忘れよ・・あんなこと・・・思い出したくない・・
謙治{・・・・・・夏美!
夏美{えっ?きゃ!
夏美の肩に手を置き、近くへ寄せる
夏美{な、ななな‥何?・・近いって・・・
謙治{・・・好きだ・・
夏美{!!!?
謙治{俺は夏美が好きだ!
夏美{・・本当に?
謙治{ああ!俺の恋人になってくれ!
夏美{・・嬉しい・・ぐすっ・・・
謙治{お、おい!泣くなって!
夏美{隙あり!
ドコッ!
謙治{ぐはぁ!!おっ、お前なぁ・・・勇気を出した男の告白を・・・
夏美{あはは・・ほんと・・ケンちゃんは好きだらけなんだから!
【完】
猫亀パーク
2025-06-24 14:25:32 +0000 UTCPeer86
2025-06-24 14:11:59 +0000 UTC