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クローゼの新しい恋

 リベール王国の王太女であるクローディア・フォン・アウスレーゼは多忙な毎日を送っていた。

 時期女王として学ぶことはまだまだ多く、女王ではなくとも国のためにやらなければいけない事はいくらでもあるからだ。

 彼女の働きは今で《リベールの至宝》とまで呼ばれるほどであり、リベール王国だけではなく外国にもその名が届いている。

 しかしあまりにも働きすぎているので周囲が心配して、久しぶりに休暇を取ることになった。


「ヨシュアさん。本日はお招きいただきありがとうございます」

「そんなにかしこまらなくても大丈夫だよクローゼ。それに発案者はエステルだしね」


 クローゼというのはクローディアの愛称であり、その名で呼ぶのは彼女にとって近しい者達ばかりで、隣にいるヨシュアもその一人だった。

 今日の休暇はエステルに誘われてブライト家に行くことになったのだ。本来ならば休暇とはいえ護衛を付けたほうがいいのだが、様々な事情が重なって護衛を付けることができなかった。

 なのでヨシュアが護衛の代わりということになっている。


(ヨシュアさんと二人きり……エステルさんには申し訳ないけれど少し嬉しいわね)


 クローゼはヨシュアにまだ好意を抱いている。

 かつて想いを伝えたが断られてしまい、エステルとヨシュアの関係が上手くいっているのは心から嬉しいのだが、それでも彼と二人きりというのは心が躍る。

 とはいえすぐにブライト家についてしまった。少し残念に思いながらも、久しぶりにエステルにも会えるのだと思うとまたもや心が躍る。

 クローゼにとって二人は大切な友人なのは揺るがないのだから。


「さぁ、入って」

「はい、お邪魔します」


 ヨシュアがドアを開けるとクローゼが家の中に先に入る。


「いらっしゃいクローゼ。待ってたわ」

「お久しぶりですエステルさん」


 今まで何回か来たことがあり、その度にエステルが出迎えてくれた。

 今回もエステルが出迎えてくれたのだが、心なしかいつもよりもご機嫌に見える。


「さぁ入って。クローゼに会わせたい人がいるのよ」

「え? 会わせたい人ですか?」


 エステルに手を引かれてリビングまで連れていかれると、そこには見知らぬ男性が座っていた。


「博士、クローゼが来たわよ」

「ご苦労エステル。クク……一応初めましてになるのかな」


 白衣を着た初老の男性は下卑た笑みを浮かべながらクローゼに話しかけてくる。

 見覚えがないので間違いなく初対面のはずなのだがなぜか見覚えがある気がする。


「は、はい……あの、失礼ですがどちら様でしょうか?」

「私は《身喰らう蛇》の使徒第六柱であるF・ノバルティスだ」


 当然のように自己紹介をした博士だったが、クローゼの思考がフリーズしてしまった。


「け、結社の使徒? そんなはずは……」

「本当よクローゼ。この人は正真正銘結社の使徒。そしてあたしのご主人様なの♡」


 エステルが笑顔で博士の腕に抱き着く。

 以前よりも一回り以上は大きくなった胸を博士の腕に押し付けているのも信じられない。

 恋人であるヨシュア以外にエステルがそんなことをするはずがないからだ。


「はぁ……それにしても本当に大変だったわ。クローゼは王太女だから休暇でも護衛が付くじゃない? だから長い時間をかけて手回しをして、護衛がいなくて怪しまれない時間を作ったのよ。ふふ、ヨシュアも役に立ってくれたわ」

「っ! ヨ、ヨシュアさん!」


 ヨシュアと一緒だったことを思い出したクローゼはドアを振り返るが、そこには獲物を抜いて構えているヨシュアの姿があった。

 彼の眼は虚ろで何も見ていないが、まるでクローゼを逃がさないためにドアをふさいでいるようにも見える。

 いや、そうとしか見えない。


(エステルさんもヨシュアさんも明らかに様子がおかしいわ。仮にあの男性が本物の結社の使徒だとするならば……全ての元凶はあの人ね……!)


 クローゼは混乱しながらも必死に頭を働かせて、博士が全ての元凶であると判断する。

 腰に携えていたレイピアを抜くと、有無を言わさずに博士に――


「博士に何をするのよ」


 友人の聞いたこともないような低い声が聞こえたと思った瞬間に、クローゼのレイピアが弾き飛ばされていた。

 数秒前まで博士の腕に抱き着いていたはずのエステルが、一瞬で獲物を携えるとクローゼの武器を弾いたのだ。


「きゃああっ!?」


 いかに剣の心得があるとはいえ正遊撃士相手に勝てるはずがない。

 武器を弾き飛ばされたクローゼが尻もちをつくと、エステルが冷たい目をして自分を見下ろしている事に気が付いた。


「エ、エステルさん……」

「博士を傷つけたらいくらクローゼでも絶対に許さないわ」


 武器を突きつけられるどころか殺気まで向けられて、クローゼはエステルに恐怖心を感じてしまう。

 共にリベールを救った大切な仲間が、まるで親の仇でも見るかのような目で自分を見ているのが信じられない。


「やめたまえエステル」

「あ……ご、ごめんなさい博士! あたしついカッとしちゃって……クローゼ、絶対に動いちゃダメよ」


 エステルに動くなと言われると、クローゼの身体が本当に動かなくなってしまった。


「ど、どうして……」

「ふふ、実は少し前からクローゼにも暗示をかけてるの。あたしが許可するまで絶対に動けないわ。ちなみにヨシュアも暗示をかけてるから、今はあたしや博士の操り人形よ」

「エ、エステルさん……」


 信じられない事ばかりが起こる中で、クローゼは何とかしてエステル達を助けなければいけないという思いがこみあげてくる。

 たとえ今は博士に操られているのかもしれないが、彼女たちは大切な仲間なのだから。


「目を覚ましてくださいエステルさん!」


 暗示で動けずとも声を発することはできるので、クローゼは必死にエステルに呼びかける。


「エステルさんはその人に操られているだけです! ヨシュアさんを利用する人に付き従うなんて絶対に間違っています! いつものエステルさんに戻ってください!」

「はぁ……あのねクローゼ。目を覚ますのはクローゼのほうよ」

「ど、どういうことですか?」

「博士に従うなんて当然の事だし、博士のために使われるのがヨシュアの価値でしょ。むしろ結社を裏切ったのにまだ博士の役に立てることを感謝してほしいわ」


 妖しく笑いながら話すエステルとは裏腹に、クローゼの顔が真っ青になっていく。

 たとえ正気を失っているのだとしても、エステルの口からそんな言葉を聞きたくなかったのだ。


「こ、恋人を利用されているのになんとも思わないのですか!?」

「もうとっくに好きじゃないから恋人でも何でもないわ。そもそもどうしてあんなオスとしての魅力の欠片もない男を好きだったのか自分でも全然わかんないのよね。あたしは身も心も博士だけのモノなんだから♡」


 もう一度エステルが博士の腕に抱き着く。その表情はクローゼから見てもはっきりとわかるほど恋する女の表情だった。


「クローゼも前にヨシュアに告白したんでしょ? その時に断ったらしいけど、男なら二人纏めて自分の女にするくらいは言ってほしいわ」

「そ……そんなことが許されるはずありません……」

「そんな情けないヨシュアと比べて博士はすごいのよ♡ あたしが知ってるだけでも20人以上は自分の女にしてるんだから♡ もちろん全員が博士に夢中で、子供も産みたがってるわ♡ 博士がその気になったら、子供の数なんて100人も余裕で超えるんじゃないかしら♡ これからも博士の女はどんどん増えるだろうし、あたし達だって十人でも二十人でも産むわ♡ 博士の強い精子なら常に三つ子くらいは孕むんじゃないかな♡ 博士の優秀な遺伝子を沢山残すのが女に生まれたあたしたちの使命だから大歓迎だけどね♡」


 嬉しそうに語るエステルにクローゼはもう一度恐怖を感じてしまう。

 正気を失っているのだと信じたい。もしも本気で言っているのならば恐ろしいにもほどがあるからだ。

 そんなクローゼを楽しそうに見下ろしていた博士がようやく口を開く。


「さて、本題に入ろうか。君を今日呼び出した用件だが……実はリベールで私の研究をもっとやりやすくしたいと思っていてね。エリカやティータを私の女にした時点でZCFは手中に治めたのだが、国ごと私のものした方が効率がいいのだよ。そこで以前から君に目を付けていたわけさ」

「つまりクローゼも博士の女にしてもらえるってことよ♡ よかったわね♡」

「ふ、ふざけないでください!」


 尻もちをついたまま動けないクローゼだったが、その表情はいつもの彼女からは考えられないほど怒りに染まっている。


「私はあなたのような人の言いなりになどなりません! たとえこの身が汚されようとも、あなたを決して許しません!」


 クローゼが仲間を利用されているどころか大切な国すらも脅かそうとしている男の言いなりになどなるはずがない。

 しかしエステルが呆れた顔になって大きなため息をついた。


「もったいないわね……博士のモノになれるなんて女として最高の幸せなのよ?」

「そんな幸せなどいりません。エステルさん! 何度でも言いますが目を覚ましてください! あなたは強い心の持ち主のはずです! そんな人に負けないでください!」

「そんなの無理に決まってるわ。女である以上博士には絶対に勝てないのよ……あ、いいことを思いついたわ♡ ねぇ博士♡ 博士がどれだけすごいのかをクローゼに教えてあげましょ♡」

「ふむ……どうやってだね?」

「こうするのよ♡ ん――ちゅ♡」


 エステルが博士の頬に手を添えて自分の方に顔を向かせたかと思うと、すぐに彼に唇を重ねてしまった。


「っ! エ、エステルさん何を――」

「んちゅっ♡ れりゅううう♡ はぁ♡ よく見てクローゼ♡ ちゅっ♡ れりゅううう♡ 博士のキス――ちゅるるるううう♡ すごいのよ♡ れりゅうううう♡」


 クローゼにとってキスをしている場面に立ち会うなど初めてのこと。

 目を逸らしたいくらいに恥ずかしいのだが、暗示のせいなのか目を逸らせない。


(あ、あれがキス……エステルさんはいったいなにをしたいの……?)


 二人のキスを見せつけられているクローゼだったが、そのキスは彼女が知識として知っているキスとは全く違っていた。

 エステルは博士を抱きしめて強弱をつけて唇を押し付けているだけではなく、舌も積極的に絡めている。

 更には胸をグイグイと押し付けて柔らかさを博士に伝えようと務めている。

 クローゼはキスというのは唇を重ねる行為だと認識していたが、二人は全身を重ね合っているように見えてしまう。

 キスが未経験で処女であるクローゼから見ても情熱的なキスをして、エステルはうっとりした表情になっていた。


(エステルさん……すごく幸せそう……)


 やがてねっとりとした唾液の糸を作りながら二人の唇が離れると、エステルはしゃがんで博士のズボンのチャックを開き始めた。

 そしてガチガチに勃起している肉棒が姿を現すが、それを見た瞬間にもう何度目かわからないほどクローゼの思考が停止してしまう。


「ひっ……す、すごい……♡」


 無意識の内に小さくつぶやいてしまったその言葉は、クローゼが初めてまともに見た肉棒の感想だった。

 子供の腕ほどの太さはありそうであり形も歪な肉棒。それを見てメスの本能が疼き、すごいと言葉を発してしまったのだ。


「ふふ、すごいでしょ♡ ヨシュアの倍以上の大きさで、何十回でも射精できる最高に優秀なオスのチンポなのよ♡ ん――ちゅ♡」


 エステルが挨拶でも行うように亀頭にキスをすると、愛おし気な表情で肉棒に頬ずりを行う。

 そして舌で肉棒を舐めて博士に奉仕をしていく。


「れりゅうう♡ じゅるるうう♡ ちゅっ♡ 博士のチンポすごい♡ 熱くて硬くて、タマもずっしりしててかっこいいわ♡ ちゅるるうう♡ ヨシュアなんてオス失格よ♡」

「私と比べるのはヨシュアが可哀想ではないかね?」

「全然可哀想じゃないわ♡ 博士と比べたらどんな男でもオス失格なのよ♡ じゅるるううう♡ 優秀なオスのモノになれて幸せぇ♡ ちゅるるううう♡ 女に生まれて良かったわ♡ れろぉ♡」


 幸せそうに肉棒を舐め続けるエステルに、思わずクローゼは魅入ってしまう。

 クローゼも女なので、彼女が今どれほど幸せなのかわかってしまうのだ。


「エ、エステルさん……」

「れろぉ♡ じゅるるうううう♡ はぁ♡ はぁ♡ あ、クローゼはもう帰っていいわよ」

「え?」


 拍子抜けするほどあっさりと帰っていいと言われてしまう。

 暗示が解けたのか身体もうごくようになるのだが、クローゼは思わずポカンとした表情になっていた。


「れりゅうう♡ じゅるるううう♡ それと暗示をかけてあるから、この事は誰にも言えないわ♡ れろぉ♡ 帰っていいとは言ったけど、あたしと博士のセックスを見学したいなら好きにしてね♡」

「っ♡」


 顔を真っ赤にしたクローゼが立ち上がる。

 恋人が他の男の肉棒を舐めているのを人形のように見つめているヨシュアの横を通り過ぎて、逃げるようにブライト家から飛び出していく。


(ど、どうしてこんなことに……いえ、どうにかしてエステルさん達を助けないと!)


 エステル達を助けなければいけないと思いながら走るクローゼだったが、エステルの幸せそうな表情と博士の肉棒が頭から離れないのだった。



 クローゼの休暇からしばらくが経過した。

 全くリフレッシュできずにそれどころか衝撃の事実を知ってしまったクローゼは憂鬱な日々を過ごしていた。

 すでにエステルとヨシュアは博士の手に落ち、博士の魔の手はリベールにまで及ぼうとしている。

 それはわかっているのだが、クローゼ一人でどうにかできる問題ではないのだ。

 なので誰かにこの事を話そうとしたのだが、暗示のせいなのか周囲に博士の事を伝えることができない。

 友人と国の危機だというのに何もできない現状に、焦燥感だけが募る日々が続いていた。


「いったいどうすればいいのかしら……」


 城の長い廊下をフラフラとした足取りでクローゼが歩く。

 最近はエステル達の事が頭から離れずにあまり眠れておらず、疲れもたまってしまっていた。


「ふぅ……体調を崩すわけにはいかないわね。今日はもうやることもないから、部屋で少し横に――」


 その瞬間、クローゼがバランスを崩してしまった。

 彼女の想像以上に疲れが溜まっており、足元がおぼつかずに倒れてしまう。

 スローモーションのような感覚で倒れるクローゼだったが、床に倒れる前になぜか体の傾きが止まる。


「クローゼ! 大丈夫かい!?」

「ヨ、ヨシュアさん……」


 転びそうになったクローゼを支えたのはヨシュアだった。

 そう言えばカシウスと話すことがあるらしく城に来ると以前言っていた気がするが、それが今日だったのだろう。


「す、すみませんでしたヨシュアさん」

「なにもない所で転ぶなんて君らしくないね。もしかして具合が悪いのかい?」


 ヨシュア達の事を考えているから具合が悪いとは言えないクローゼは、苦笑いを浮かべることしかできなかった。


(エステルさんだけではなくヨシュアさんにも暗示がかけられているのよね。いったいどうすれば解くことができるのかしら)


 それこそカシウスにでも相談できればいいのかもしれないが、クローゼも暗示をかけられているのでどうやってもカシウスやユリアに相談できないのだ。


(ヨシュアさんの恋人であるエステルさんを操るなんて、絶対に許せな……)


 ふいにエステルが博士にキスをしていたことを思い出す。それだけではなく幸せそうな顔で博士に奉仕していたことも。

 女としての幸せを堪能していたエステルの顔を思い出して、彼女の心はとっくにヨシュアから離れているという言葉も思い出してしまう。

 その瞬間、クローゼの中で眠っていたはずの恋心が再びくすぶり始めた。


「クローゼ? 本当に大丈夫かい?」


 ヨシュアが自分を心配してくれているのが嬉しい。

 自分の方が先に出会っていてもエステルを好きになったと彼は言っていたが、エステルが博士に靡いている今ならば彼は自分の隣にいてくれるかもしれない。


(エステルさんの心がヨシュアさんから離れているのなら……)


 絶望的な現実の中で流石のクローゼも自棄になり始めており、彼女はヨシュアの胸の中に飛び込んだ。


「ク、クローゼ!?」


 当然ヨシュアが慌て始める。

 彼は抱き着かれたのではなく体調の悪いクローゼがふらついていると思っているのか、心配そうな声を何度もかけてくる。

 しかしクローゼは顔をあげると、ゆっくりとヨシュアの顔に自分の顔を近づけていく。


「ヨシュアさん……ちゅ」


 そして有無を言わせずにヨシュアに自分の唇を重ねてしまった。

 夢にまで見たヨシュアとのキス。自分のファーストキスを好きな男に捧げることができて、心も身体も喜びを感じて……いなかった。


(……え?)


 好きな男とキスをしているはずなのに全く嬉しくないのだ。

 エステルに対する罪悪感はまだ残っているのかと思ったがそれも違う。そもそもキスそのものに違和感がある。

 自分が想像していたキスと今しているキスは全く違うのだ。

 幸せなど一切感じず気持ちよくもない。それこそエステルと博士のキスとは全く違う。

 唇が軽く触れているだけであり、エステルと博士のような一体感も存在しない。

 ヨシュアは戸惑いながらも振り払おうとせずにキスを受け入れているようだったが、博士のキスと比べて拙いキスでありクローゼは失望すら覚えてしまった。

 ずっと夢見ていたヨシュアとのキスの感想は、期待はずれという言葉に尽きるだろう。


(こんなものを望んでいたなんて……)


 急激にクローゼの心が冷めていく。

 自分から唇を離して、まるでゴミでも見るような目をヨシュアに向けていた。


「ク、クローゼ? いきなりなにを――」


 戸惑うヨシュアを見ているとどうして自分がこんな男に恋をしていたのか全く理解できない。

 今のクローゼにはキスで女を喜ばせることもできない情けないオスにしか映らないのだ。

 ヨシュアの額にクローゼが指をあてる。


「今起きた事は忘れてください」

「あ――う、うん」

「はやく帰ってください」


 どこかぼんやりとした足取りのヨシュアがその場から離れていく。


「今のは……暗示? どうして私が……」


 クローゼは自分がヨシュアに暗示をかけたことを理解していた。

 どうしてやり方を知っているのかはわからないが、心当たりは一つしかない。

 部屋に戻りながらクローゼはハンカチを取り出すと、念入りに唇を拭っていく。まるで汚いものでも触れてしまったかのように。


(あぁ……博士……♡)


 ヨシュアへの想いが冷めていくと同時に、クローゼは自分が今求めているものを自覚するのだった。



 ヨシュアとキスをした日の夜、クローゼは寝ることもなくベッドに腰かけていた。

 そんな中部屋のドアがノックされる。こんな夜更けに王太女のドアをノックするなど無礼者か非常事態のどちらかだろう。

 そしてクローゼが返事をする前にドアが開いたので無礼者かと思いきや、入ってきたのはエステルと博士だった。


「クローゼ、こんどはあたし達の方から会いに来たわよ」

「エステルさん……は、博士……」


 クローゼがどこか恥ずかしそうに博士から顔を逸らすと、それだけでエステルは彼女が心変わりしている事に気が付く。


「ヨシュアに暗示を使ったでしょ?」

「っ! ど、どうしてそのことを……」

「ふふ、暗示のやり方はあたしが事前に仕組んでおいたの。それでヨシュアには暗示を受けたらあたし達に報告するように指示しておいたのよ」


 やはり暗示の方法を知っていたのはエステル達によるものらしい。


「け、警備がいたはずですが……」

「そんなの博士にかかればどうにでもなるわ」

「当然だとも」


 そうあっさりと言ってのける博士を、クローゼはすごいと感じてしまう。

 城の警備も過去と比べて大幅に強化されているというのに、博士はたやすく王太女の私室までやってきたのだから。

 博士がどれだけすごい男なのか。それを理解してしまったクローゼはベッドから立ち上がる。


「エステルさん……博士が素晴らしいお方だということを、私もようやく理解できました。以前は色々と失礼なことを言って申し訳ございません」

「ようやくわかってくれたのね」

「ええ。考えてみれば大切な友人であるエステルさんが、私を苦しめるようなことをするはずがないですから。私の幸せを思って博士の女になるように言ってくださったのに、変な勘違いをして断ってしまいました……エステルさんにも博士にも本当に申し訳なく思っています」

「だ、だからもういいってば! それよりも博士にお願いすることがあるでしょ?」


 やはりエステルは自分のことをわかってくれている最高の親友だ。

 彼女とのわだかまりも解けたクローゼは、その場に三つ指をついて博士に土下座をする。


「博士……数々のご無礼を働いてしまい申し訳ございませんでした。博士に刃を向けるなど本来ならば煉獄に落とされるのも生ぬるい罪を犯してしまいましたが、もしもお許しいただけるのでしたら私を犯してください」

「ほう……君はヨシュアに好意を持っているのではないのかな?」

「あのようなオスとしての魅力の欠片もない人なんてもう興味はありません。私がこの身を捧げるのは博士しかいないのだと気が付きました。いえ、心と身体だけではなく国も博士に捧げさせてください」

「しかし……王太女を犯すなど気が引けるねぇ」


 下卑た笑みを浮かべる博士の隣でエステルが「嘘ばっかり♡」と苦笑している。


「王太女などという肩書は博士の前ではなんの意味もありません。この身体を奴隷のように扱ってもらって結構です。博士に少しでも楽しんでいただけるようにこれからはテクニックなども学びますし、身体も磨き続けます。もちろん博士の好みに作り替えていただいても構いません。どうかお願いします。私を一生博士のお傍に置いてください」

「クク……奴隷のようにか。ならば服を脱ぎたまえ」

「かしこまりました」


 クローゼが立ち上がって服を脱いでいく。

 その表情には恥じらいがあるが、服を脱ぐ動作には一切の乱れがない。

 それこそ主の命令を受けた奴隷のように、リベール王国の王太女は生まれたままの姿になった。

 世間からは《リベールの至宝》とまで呼ばれている美しさを誇るクローゼの裸体。

 将来結ばれる男しか見ることのできなかったであろう芸術品ともいえる身体を、博士は下卑た笑みを浮かべながら眺めていた。


「いいだろう。君の望み通り犯してあげようじゃないか」

「あ……ありがとうございます! 誠心誠意博士に尽くさせていただきま――んむっ♡」


 裸のクローゼを博士が抱きしめると、いきなり彼女の唇を奪ってしまった。

 突然の事にクローゼは混乱してしまうが、彼女の身体は博士を求めていたので歓喜しており、腕を博士の背中に回してキスを受け入れる。


「んちゅっ♡ れりゅうう♡ じゅるるるううう♡ は、博士……ちゅっ♡ ちゅるるうううう♡」


 そのキスはまさしくクローゼが期待していたキス。いや、期待をはるかに上回るキスだった。

 博士はクローゼを強く抱きしめて、彼女の形のいい乳房を自分の胸板で潰しながらキスを楽しむ。

 柔らかく温かく瑞々しさもたっぷりの唇に自分の唇を強弱付けて押し付けて、感触を楽しみながら尻も揉みしだいていく。

 尻肉に指を食い込ませながら抱き寄せると、ガチガチに勃起している肉棒を取り出すとクローゼの下腹部に押し付けた。


「ちゅるるう♡ れりゅううう♡ んむううっ♡ んううううううっ♡」


 エステルにした時以上に情熱的なキスを受け止めて、クローゼは何も考えられなくなっていた。

 ヨシュアとのお遊びのキスとは違う本物のキス。オスの情欲をぶつけられることに心地よさを感じながら、口の中に侵入してきた舌を受け入れる。


(あああっ♡ す、すごいわ♡ これが本当のキスなのね♡ 博士の舌が私の口の中に……そ、それにお腹にペニスがこすりつけられて……っ♡)


 博士の勃起した肉棒をクローゼは下腹部にぐりぐりと押し付けられている。

 それと同時にキスをされると子宮がありえないほど疼き始めて、一秒でも早く入れてほしくて気が狂いそうになっていた。

 抱きしめあいながらお互いの唾液を交換し合う激しいキスを続け、あっという間にクローゼはイキそうになってしまう。


「れりゅうう♡ は、博士♡ ちゅっ♡ ちゅるるうううう♡ 私はもう――ちゅるるう♡ ふあっ♡ れろぉ♡ じゅるるうううう♡」

「かまわないよ。好きなだけイキたまえ」

「は、はい♡ じゅるるう♡ ちゅるるううう♡ んうううううっ♡ んむうううううううううううっ♡」


 博士の腕の中でビクンっとクローゼの身体が跳ねた。彼女はキスだけでイカされてしまったのだ。

 自慰行為くらいはしたことがあるが、間違いなくそれとは比べ物にならないほど大きな絶頂。

 わずか数分のキスでクローゼの身体は蕩けきって絶頂してしまったのだ。

 足がガクガクと震えて自分一人では立てなくなり博士に支えてもらうしかなくなっている。

 そんな自分に情けなさを感じると同時に、強いオスに身体を預けている事に興奮と多幸感を覚える。


「は、博士……♡ はぁ♡ はぁ♡ 申し訳ございません――きゃっ♡」


 博士がクローゼを乱暴にベッドに突き飛ばした。

 たとえ恋人であろうとこんなことをされれば苛立ちを感じてしまうはずだが、今のクローゼは博士に何をされても喜びを感じてしまうのだ。


「メス犬の体勢になりなさい」

「っ♡ か、かしこまりました♡」


 クローゼはベッドに四つん這いになると、尻を博士に突き出した。

 秘部からはすでに愛液が大量にあふれており、挿入の準備がとっくに整っているのがわかる。

 博士はクローゼの腰を掴むと、勃起した肉棒の亀頭で秘部を何度も擦っていく。

 それだけでクローゼは甘い吐息を漏らしてしまっていた。


「クク……《リベールの至宝》の純潔を奪えるとなると流石に緊張するねぇ」

「はぁ♡ はぁ♡ は、博士……♡ リベール王国の王太女の純潔を、どうぞお受け取り――んおっ♡ お――んひいいいいいいいいいいいいっ♡」


 お受け取り下さいと言う前に博士の肉棒がクローゼの膣内を埋め尽くす。

 緊張するなどと言ったばかりだというのに、博士はあっさりとクローゼの純潔を奪ってしまったのだ。

 リベール王国の王太女であろうと、博士にとっては一匹のメスに過ぎないのだとクローゼは思い知らされる。


「あ――ひあっ♡ お、大きいです――ああっ♡ ひぎいいいっ♡」


 いまだかつて感じたことのない激痛が走って、クローゼの口から下品な声が漏れてしまう。

 秘部からは破瓜の証が垂れてシーツに赤いシミを作っていた。


「あんっ♡ ふああああっ♡ は、博士♡ 嬉しいです♡ ふああっ♡ 博士に純潔を捧げられて――ひあああっ♡ し、幸せです♡」


 まだ激痛が消えていないというのに、クローゼの心と身体は博士に純潔を捧げられたという多幸感で満たされていた。

 そんな彼女の身体を更に貪るべく、博士はクローゼの尻を両手でがっちりと掴みながら抽送を開始する。


「んひいいっ♡ ふああああっ♡ す、すごいです博士♡ ふあっ♡ 私の中でペニスが暴れています♡ ふあっ♡ ひあああっ♡」

「処女を失った感想はどうかな?」

「んひいいっ♡ し、幸せです♡ ふあっ♡ 痛みはまだありますが、一突きごとに博士のモノになっているのだと実感しています♡ ふああっ♡ ひあああっ♡」


 亀頭で子宮口をグリグリと擦られ、カリ首で膣をガリガリと削られて、一突きごとに博士の肉棒の形に変えられていくのがわかる。

 痛みが急速に甘い痺れに変わっていき、全身に快感だけが残り始めていた。

 博士はクローゼを抱き寄せて抱えどりにすると、彼女の乳房を揉みしだきながら腰を打ち付ける。

 形のいい美乳に何度も指を食い込ませて柔らかさを堪能していると、クローゼもどんどん甘い声を漏らしていく。


「んひいいいいっ♡ む、胸ももっと触ってください♡ あんっ♡ 博士♡ ひあっ♡ ああああっ♡」


 クローゼの胸は処女だったのでまだ硬さが残っており、何度も犯せば柔らかさを増していくだろう。

 今しか味わえないクローゼの胸を博士が堪能していく。

 掌を押し付けて柔らかさを楽しみ、乳首を指でつまんで引っ張って胸を伸ばしていく。


「ああああっ♡ き、気持ちいいです博士♡ ひあっ♡ ふああああっ♡」

「君は胸が感じやすいのかい?」

「わ、わかりません♡ あああああっ♡ 自分で触るのと全く違うのです♡ あひいいいっ♡ 博士に触られると、気持ちよくて幸せで――ふあああああああっ♡」


 乳首を抓まれながら胸を揉まれ、子宮口も突き上げられたクローゼが絶頂した。

 口をパクパクさせているが余韻に浸る間もなく博士に腰を打ち付けられる。

 博士は右手でクローゼの胸を揉みしだき、左手では子宮の位置を撫でながら彼女を抱き寄せると、顔を横に向かせて唇を重ねた。


「ちゅるるう♡ れりゅうう♡ んむっ♡ ちゅるうううう♡ んむうううううっ♡」


 ディープキスをしながらの抱えどりで、クローゼも博士の首に腕を回して自分から唇を押し付ける。


(あぁ……博士に犯していただくのがこんなにも気持ちよくて幸せだなんて……♡ 心も身体も……リベールも全て博士に捧げることができるのね♡)


 博士に身も心も国も捧げて与えられる快楽はまさしく至福のひと時だった。

 これ以上の幸福などあるはずがない。女に生まれて良かったと女神と博士に対して感謝の気持ちがとめどなく湧いてくる。

 博士はクローゼから唇を離すと、抱えどりから両手を掴んで後ろに引く後背位に体位を変えると、高速ピストンで腰を打ち付けた。。

 腕を引かれているので肉棒が更につよく子宮口をグリグリと刺激して、クローゼは何度も甘イキしてしまう。

 自分が気持ちよく射精するためだけの身勝手なセックスをされているのに、クローゼの快楽と多幸感がますます大きくなっていく。


「あひいいいいっ♡ さ、最高です博士♡ ああああっ♡ ふああっ♡ ひああああっ♡ 博士に犯していただけて幸せです♡ ふああああっ♡」

「ほう? 私の事を気に入ってもらえたのかな?」

「は、はい♡ こんなにも素晴らしい犯していただくことも、国を捧げさせていただけることもたまらなく幸せです♡ このような幸福を与えてくださる博士に服従するのは、女ならば当然の事だと確信できましたぁ♡ んひいいいいっ♡ も、もっと激しく犯してください♡ あああっ♡ んあああああっ♡」


 肉棒が一回り大きくなって、博士が射精に向けてラストスパートをかけていく。

 絶対に忘れることのできない快楽と幸福を刻んでもらいながら、クローゼも絶頂に向けて一気に登りつめていく。


「ふあああああっ♡ もうイッちゃいます♡ 博士♡ あああっ♡ 愛しています博士♡ 一生お傍に置いてください♡ 博士っ♡ んああああああっ♡」


 ――びゅるるるるうううううううううううううううっ!!


「んああああっ♡ 熱いのがたくさん――ふあああああああああああああっ♡」


 子宮にマグマのような精液を注がれてクローゼが絶頂した。

 初めて精液を注がれた子宮が、優秀な遺伝子に占領してもらえて歓喜しているのがわかる。

 熱いものが溜まっていくたびに博士の偉大さやオスとしての優秀さを思い知ることになり、彼への愛情が限界を超えて大きくなっていく。

 博士もリベールの至宝に思う存分中出しするために、腰をぐいぐいと押し付けて遠慮なく精液を放出していく。

 口をパクパクさせながら絶頂の余韻に浸るクローゼからは、いつもの落ち着いた清楚な雰囲気など微塵も感じられない。

 博士の肉棒により一匹のメスに堕とされた彼女は、口から涎を垂らしながら幸せそうな顔になっていた。

 やがてどぴゅっと特別濃い精液をぶちまけて射精が終わると、博士がクローゼの手を離す。

 クローゼがベッドにうつぶせに倒れてしまうと肉棒が抜けて、秘部からはごぽっと大量の精液があふれてきた。


「あ――んひっ♡ 博士ぇ♡」


 王太女ではなくメスになれたことを悦ぶクローゼが博士に感謝の気持ちを伝えるために体を起こすと、博士がベッドに仁王立ちになっていた。

 射精したばかりの肉棒をクローゼに見せつけており、それを見ているだけでクローゼは身体が疼いてしまう。


「はぁ……ご立派です博士♡ 優秀なオスのモノになれて本当に幸せです♡ これからはこの身体と国を自由にお使いください」

「クク……いいだろう。そこまで言うなら使ってあげようじゃないか」

「ありがとうございます博士♡ クローディア・フォン・アウスレーゼは心も身体も国も全て博士に捧げることを女神に誓います――ちゅ♡」


 クローゼが勃起したままの肉棒の亀頭にキスをして忠誠を誓うと、黙って二人を見守っていたエステルも裸になってベッドに上がる。


「クローゼなら博士のすごさをわかってくれるって信じてたわ」

「エステルさん。以前は本当に申し訳ございませんでした。今ならエステルさんがヨシュアさんを見限った理由がよくわかります。博士とヨシュアさんではオスとして……いえ、それ以外も含めて格が違い過ぎますからね」

「本当にどうしてあたし達はあんな情けないオスを好きだったのかしら……まぁ、ヨシュアの事なんてどうでもいいじゃない。ねぇ博士♡」

「そうだねぇ。クローゼを私のモノにできたのはエステルのおかげでもある。今日は三人で朝までたっぷりと楽しもうじゃないか」


 朝まで犯してもらえるという言葉に、二人の子宮がキュンっと疼き始めた。


「ありがとうございます博士♡ 誠心誠意ご奉仕させていただきます♡」

「あたし達の息ピッタリな奉仕で絶対に満足させてあげるわ♡」


 博士は二人の極上の女から奉仕を受けて、時には好き勝手に犯し、朝まで楽しい時間を過ごしたのだった。



「ふぅ……このくらいにしておこうかしら……あら?」


 クローゼが本日の政務を終えて休憩でもしようかと思った時に、彼女のARCUSⅡが鳴りひびいた。

 相手を確認したクローゼは微笑みながら通信にでる。


「あ、クローゼ。今大丈夫?」

「ええ、ちょうど一区切りついたところです」


 通信の相手はエステルからであり、なにやら騒がしい音が聞こえてくる。

 剣戟の音。機銃の音。そして人の悲鳴。それは戦闘か虐殺の音だ。


「そちらの方はどうでしょうか?」

「こっちももうすぐ片付くわ。クローゼの指示通り組織はつぶせるし、アリサさん曰く新しい人形兵器の性能テストもいいデータが取れたそうよ」

「それはなによりでした」


 クローゼが妖しい笑みを浮かべている。おそらくは通信越しのエステルも同じ顔をしているだろう。

 こんな表情は以前のクローゼならばしなかっただろうが、博士の女となってから彼女は変わってしまった。

 表向きは今まで通りに良き王太女として過ごしているのだが、裏では博士の実験を円滑に進めるためにリベール王国を動かしているのだ。

 そして今エステル達は、クローゼの指示でリベール内に存在していたとある組織をつぶしている最中だった。

 その組織は博士の邪魔になる可能性が高いので、エステルだけではなく黒の工房の仲間たちを引き入れて壊滅させているのだ。


「フィーやシャロンさんなんて片っ端から始末していくもんだから、人形兵器の相手も残しておいてってアリサさんに怒られてたわ」

「ふふ、そうだったのですか。いずれにせよ博士にとって邪魔な存在が消えるのは良いことですね」

「うーん、でもボスっぽいのがまだ見つからないのよね――あ」


 どうやらエステルが組織のボスを発見したのだろう。

 ARCUSⅡから恐怖に染まった命乞いの声が聞こえてくる。

 しかしそんなものはエステルにもクローゼにも届かない。


「クローゼが博士のモノになってくれたおかげで、リベールは完全に博士のモノね」

「ですが五大都市の代表や遊撃士協会支部の他の人達への暗示も完璧にしておきたいところです」

「メイベルさんあたりは博士も喜んでくれそうよね。アイナさんやアネラスさんやカルナさんなんかも気に入ってくれるかも」


 まだ暗示を広げていきたいところだが、リベール王国が完全に博士のモノというエステルの言葉も間違っていない。

 もはや軍のトップであるカシウスはエステル達によって暗示をかけられており、王族であるクローゼに至っては身も心も博士に捧げているのだから。


「クロスベルと帝国の掌握も順調でだし、共和国方面はレンがいろいろと探ってるわ」

「ルーシー先輩に暗示をかけて、レミフェリア方面にも手を伸ばしていきましょう。博士のお役に立てるのでしたら、先輩もきっと喜んでくれます。それとエステルさん。エリィさんから連絡がありまして、壊滅に関わった人たちを博士が調整して下さるそうです。なので終わらせたら皆さんと一緒に、グランセル城の博士の部屋までお越しください」

「ホントに! わかったわ! すぐに――は無理ね」


 鈍い音が聞こえたと同時に、ずっと聞こえていた命乞いの声が聞こえなくなたった。


「あたし達はシャワーを浴びてから行くわ。博士を待たせるのも悪いから、クローゼだけで先に博士の調整を受けてくれる?」

「わかりました。ああ、キチンと壊滅させてくださいね」

「たった今全員始末したわよ。それじゃあまたあとで」


 通信が切れるとクローゼが立ち上がり、グランセル城に用意している博士の私室に向かう。

 エリィが言うには今はティータの調整をしているらしい


「ふふ……博士にいい報告が出来そうで良かったわ。これからも博士のために尽くさなくちゃ。手始めに資金の増加とモルモットの確保を――」


 リベールの王太女として自分はまだまだ博士の役に立てる。

 その事を何よりも嬉しく思いながら、クローゼは恋する乙女の表情で博士の元に向かうのだった。


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