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幸福の国の灰の魔女

 幸福の国と呼ばれる国がある。

 なんでもそこは身分や性別問わずに選ばれた人間だけ住むことができる理想郷らしい。

 様々な国を旅している灰の魔女イレイナがそんな国に興味を持たないはずがなく、存在を知ったとたんに彼女の次の目的地は決まった。

 天才美少女で賢い魔女でもある彼女はあっという間に国の場所を調べ上げて、箒に乗って幸福の国にたどり着く。

 一体どんな場所なのだろうとわくわくしながら入国すると、そこはいたって普通の国だった。

 しばらく暮らしてみたところ犯罪などはなく、住人たちはよそから来たイレイナに冷たく当たることもない。それどころよく来たとおもてなしを受けて、彼女は楽しいひと時を送った。

 これは確かに幸福かもしれないと感じるイレイナだったが、それ以上は何もなさそうなのでイレイナは急速にこの国の興味を失ってしまい、旅立ちの準備を進めていた。


「期待していたほど大きな出来事はなかったですね。もっと隠された陰謀とか変なトラブルに巻き込まれてしまうと思っていたのですが……まぁ、平和なのはいいことかもしれません」


 買い物を済ませながらイレイナは大きなため息をつく。

 おまけしてもらったのは嬉しいが、幸福の国などとたいそうな名前で呼ばれている割には普通の国だった事だけは残念だった。


「とはいえ、そういう時もありますよね。さて、次はどこに――」

「イレイナさん」


 背後から声をかけられて振り返ると、そこには見覚えのある男性が立っていた。

 この国に来た時に出会い、色々と親切にしてもらったディンゴという魔法使いの青年だ。


「こんにちはディンゴさん。あ、ちょうどよかったです。近々旅立とうと思っていたので、ディンゴさんにも挨拶に行こうと思っていたんですよ」

「え? 旅立ってしまうのか?」

「はい。この国では楽しいひと時を過ごすことが出来ました」


 刺激は足りなかったですがとは言わずにイレイナが笑顔を作る。


「そうか……実はイレイナさんに提案があったんだ」

「提案?」

「ああ。この国で暮らさないか?」

「え?」


 この国では選ばれた者しか暮らせないらしいが、その基準は全くわからない。

 自分は選ばれたという事なのだろうか?


(まぁ私なら選ばれること自体は何の不思議もありませんが、この国に永住というのは無理ですよね)

「どうかなイレイナさん」

「すみませんが私は旅を続けたいので、この国に住むつもりはありません」

「そうか……それなら仕方がないな……」


 残念そうな顔になったディンゴの手元に杖が出現し、先端に炎が生み出される。


「っ!」


 イレイナも同じように杖を手に取り、とっさに目の前に防壁の魔法を展開した。

 放たれた炎は防壁に阻まれて消滅してしまうが、ディンゴは次の魔法の準備をしている。


「……随分なご挨拶ですね」

「君がこの国を出ていくなんて許さないよ。君は俺とここで暮らすんだ」

「私ほどの美少女と一緒に暮らしたいという人は旅をしていれば星の数ほど見かけますが、いつもお断りしています」


 だったら力ずくでと言わんばかりにディンゴの周囲に光の玉が出現する。


(最後にこんなトラブルに巻き込まれてしまうなんて……まぁ軽くあしらって衛兵にでも突き出してしまいましょう……え?)


 ガラスの割れたような音が響いて、防壁の魔法が砕け散る。

 相手は男なので魔導士、最高位の魔女である自分に勝てるはずがない。

 そう確信していたイレイナの自信は、数分後に防壁と同じように粉々に砕かれてしまうことになった。

 相手の攻撃魔法がまったく見えない。こちらの防御をやすやすと突破してくる。あらゆる攻撃が全て防がれる。灰の魔女と呼ばれる自分の魔法が一切通用しなかったのだ。

 ディンゴは自分よりも遥かに強い。その事実を認めざるをえない。


「きゃああああっ!!」


 魔法の直撃を食らったイレイナが無様に地面を転がる。

 簡単にとどめを刺せるはずなのに、まるでイレイナをいたぶるように魔法を使ってくるディンゴに怒りが湧いてくるが何もできない。


「もう終わりか? ほら、もっといい声で鳴いてくれよ」

「く……な、なんて強さ……それに、これは……」


 ディンゴの強さもそうだが、イレイナは今の状況の方が不気味だった。

 まだ日が高く周囲に人がいくらでもいるというのにディンゴは襲ってきた。当然今も二人は周囲に見られているにもかかわらず誰も騒がないのだ。


「どういうことですか……」

「イレイナが知る必要はないよ。どうせ君は全てを忘れてしまうんだからね」

「馴れ馴れしく呼ばないでください……!」


 イレイナはダメージで上手く動かない身体をなんとか動かしつつも打開策を考える。

 どうにかして倒すか。なんとかここから逃げるか。箒を逃がして助けを求めるか。

 しかしイレイナが何かをするよりも先にディンゴに杖を向けると、イレイナは急激な眠気に襲われた。。

 この魔法はまずいとすぐに気が付いたイレイナは必死に抗うが、その抵抗も虚しく意識が薄れていく。


「あ……う……」

「心配しないでくれ。君もここで幸福に過ごせるさ」


 その言葉を聞いたのを最後に灰の魔女イレイナは意識を失った。



 小さな部屋のベッドでイレイナという名前の少女がぼんやりとしていた。

 窓の外からは人々の楽しそうな声が聞こえてくるが、彼女は浮かない表情をしている。

 頭や腕、そいて体中のあちこちに包帯が巻かれているのが痛々しい。

 そんな時、部屋のドアがノックされる。


「ひっ……!?」


 それだけでイレイナはまるで猛獣にでも会ったかのように怯え始めた。

 身体を抱きしめてカタカタと身体を震わせ、顔は青ざめて冷や汗をかいている。


「イレイナ。入ってもいいかな」

「あ……は、はい。どうぞ」


 しかし聞こえてきた男の声に安堵して返事を返す。

 ドアを開けて入ってきたのは一人の青年だった。


「怪我の具合はどうかな?」

「は、はい……大丈夫ですディンゴさん」


 ディンゴと呼ばれた青年はそれは良かったと言うとイレイナのそばに腰を下ろした。


「記憶の方はどうだい?」

「……ごめんなさい。そっちの方は全く……」

「そうか。あんな目にあったんだから仕方がないよ。よほどショックを受けてしまったんだろうね」

「あはは……覚えてないですが、きっとそうだったんでしょう。怪我だらけで国の入り口付近に倒れていたんですよね? 名前以外何も覚えておらず、身元もわからない私なんかを手当てして頂き……本当に感謝しています」

「困ったときはお互い様だよ」


 イレイナは名前以外の全ての記憶を失っている。

 身元が分からず怪我だらけで国の入り口付近で倒れていたということは、自分はおそらくは幸福の国の外から来た旅人なのだろう。

 そして彼女は自分を保護してくれたディンゴの家で世話になっている。


「で、ですが……少しだけ覚えていることがあるんです……」

「それは?」

「……お、男の人に襲われて……いたぶられて……き、きっと私はその人に――っ!」


 それ以上は言うことができずにイレイナが口を紡ぐ。

 はっきりとは覚えていないが、きっと自分はその男に乱暴されてしまったのだろう。


「そ、外に出たらまたあんな目にあってしまうのではないかと思うと、すごく怖くて……震えが止まりません……」

「大丈夫。少なくともこの国にはそんなことをする奴はいない。それでも怖いなら、イレイナが勇気が出るまで無理に外にでなくていい」 

「ディンゴさん……」

「俺もあまり顔を出さない方がいいかな? 知り合いに信用できる女性がいるから、その人にイレイナが回復するまで――」

「い、いえ! その……ディンゴさんは大丈夫ですから」


 イレイナが目覚めた時にそばにディンゴがいてくれて、話を聞いてくれただけではなくこうして世話まで焼いてくれる。

 彼女にとってディンゴは唯一信じられる人間だった。


(私なんかのお世話なんて大変で面倒なだけなのに、毎日嫌な顔一つしないで……今の私はディンゴさんがいてくれないと生きていけませんね。もしもこの人に見放されてしまったら……)


 それは考えるだけでも恐ろしい。

 今のイレイナにとってこの小さな部屋とディンゴだけが世界の全てだった。


「とにかく今は怪我を治すことを考えよう。ここにはいくらでもいてくれていいからね。それじゃあ俺は仕事に行ってくる。夜には戻るから、帰ったら食事にしよう」

「は、はい……お気をつけて」


 ディンゴがいなくなると聞きイレイナが少し不安な表情になってしまう。

 そんな彼女を見て内心ではほくそ笑みながらディンゴは部屋を出た。


「上手くいったようだな……これからじっくりと落としていくか」


 イレイナに向けていた優しい微笑みが下卑た笑みに変わっている。 

 灰の魔女イレイナがたどり着くことのできなかった幸福の国の真実。それは魔法使いディンゴによって支配された国だという事だ。

 選ばれた人間だけが住める理想郷というのは表向きの話であり、実際はディンゴにとっての理想郷なのである。

 住んでいるのは全てイレイナと同じように記憶を消されて、無理矢理住人にされてしまった者達ばかりなのだ。

 灰の魔女イレイナの容姿を気に入り、何よりも気の強い女が好みなので彼女を住人にすることにした。

 その気の強いイレイナの鼻っ柱をへし折り、記憶を消し去り、今の彼女はとても弱々しい少女になっている。

 自分が魔女だったことも完全に忘れており、杖と箒などの私物も物置にしまわれていた。

 微かに残る男に暴行された記憶。自分をいたぶったのはディンゴだというのに、それを忘れてディンゴを信頼している。

 ディンゴが負わせた怪我でまだ満足に動くことができず、ディンゴの世話なしではまともに生活できない。

 頼れるのはディンゴだけであり、彼が会いに行くたびに安堵した笑顔を見せる。

 そして彼がいない時は身体を震わせており、早く戻ってきてほしいとひたすら願うようになっていた。

 もはや取り返しがつかないほど自分に依存しているイレイナを見て、ディンゴはこれからを楽しみに思うのだった。



 イレイナがディンゴと共に暮らすようになってしばらくたち、彼女の怪我もすっかり良くなっていた。

 ディンゴは仕事で外に出ており、イレイナは料理を作って待っている。

 どんな仕事をしているのかは知らないが、疲れて帰って来るであろう彼を少しでも支えられたらと思っているのだ。


「ディンゴさんはどんな味が好みなんでしょうか? なんでも美味しいって言ってくれるのでわからないんですよね……」


 笑顔で美味しいと食べてもらえるのはイレイナとしても嬉しいのだが、せっかくならディンゴにも喜んでほしいのだ。

 彼の事を考えていると自然と笑顔になり、鼻歌を歌いながら料理を続けていると、ドアが開いた音が聞こえる。 


「ただいま」

「あ……ディンゴさん、おかえりなさい」

「いい匂いだね。夕食を作ってくれてたのか」

「はい。私なんかにはこのくらいしかできませんから……」


 怪我が治ったとはいえ、イレイナは記憶を取り戻していない。

 自分が以前何をしていたのかも、おそらくは旅人だったのだろうとしかわからない。

 しかし、今の彼女には旅を続けるなど無理なのだ。それどころか他人が怖くて一人で外に出ることすらできないので、ずっとディンゴに家で厄介になっている。

 このままでは正真正銘のごく潰しなので、せめて家事くらいはしたいとディンゴに持ちかけたのだ。


「助かるけどまだ病み上がりなんだから無理だけはしないでくれよ」

「で、ですが……本当に家事くらいしかできないので……お世話になっている以上何かをしないと……」

「そんなの気にしなくていいよ。イレイナが家にいてくれるだけで俺は嬉しいしね。今まで一人暮らしだったから、誰かがいてくれると安心するんだ。イレイナにはずっと助けられているよ」

「それは私の台詞です……ディンゴさんがいて下さらなかったら、私はどうなっていたことか……」


 ディンゴがそばにいてくれるだけでイレイナは安心できる。むしろ彼がいないと不安でたまらない。

 一人では外にすら出ることができないイレイナも、ディンゴと一緒ならば外に出ることができるのだから。


「今度気分転換にどこかに出かけようか。あ……まだ怖いかな?」

「い、いえ……ディンゴさんと一緒なら大丈夫ですが、これ以上ご迷惑をおかけするわけには……」

「イレイナと出かけるのは楽しいから迷惑なんかじゃない。せっかくなら外にも出たほうがいいし、俺が一緒だと怖くないのならいつでも付き合うよ」

「もう……私なんかにそんなに優しくしないでください。食事を並べますね」


 赤くなった顔を隠すように彼に背を向けると、食事の準備を始める。

 優しい言葉をかけられるたびにイレイナは胸が高鳴ってしまう。


(私なんかにも優しくしてくださるのですから、きっとディンゴさんは誰に対してもこうなのでしょう。勘違いしてはいけないとわかっているのですが……やっぱり私は……)


 共に過ごすうちにディンゴを一人の男性として意識している自分に気が付き、その想いはどんどん大きくなっている。

 しかし、彼にこの想いを伝えてしまい今の関係が壊れてしまうのは恐ろしい。

 自分のような女がここを追いだされてしまえば生きてなどいけないし、ディンゴのそばにいられなくなるのはもっと嫌だ。

 旅などしたくないからずっとここにいたいと思うようになっている。


「本当に……ずっとディンゴさんのお傍にいられたらいいんですけどね……あ」


 思わず本心が漏れてしまい、しまったと思い手で口をふさぐ。

 ディンゴに背を向けているので聞かれてしまったかどうかわからない。


(も、もしも聞かれてしまったら……ディンゴさんのそばにいられなくなるかもしれません)


 気まずい関係になればもうここにはいられない。

 先ほどまでの穏やかで幸せな気分が一瞬で反転し、不安と絶望で塗りつぶされる。

 もうディンゴのそばにはいられないかもしれない。彼のそばにいられないなど生き地獄でしかないので、顔が青ざめて身体が震え始める。


「イレイナ」


 背後から名前を呼ばれて、イレイナの身体がビクッと震えた。

 声色が違うのできっと聞かれてしまったのだろう。もうおしまいだと思った瞬間……


「あ……ディ、ディンゴさん!?」


 背後から突然抱きしめられてイレイナが戸惑ってしまう。

 慕っている男から抱きしめられて嬉しい反面、恥ずかしくて硬直している彼女は、自分を抱きしめているディンゴが下卑た笑みを浮かべている事にも気が付けない。


「イレイナ。今の言葉は本当?」

「そ、その……は、はい」

「イレイナさえよければずっと俺のそばにいてくれていいんだよ。君と一緒だと俺も毎日が楽しいからね」

「そ、それって……」


 期待でイレイナの顔がみるみる綻んでいく。


「こんなに一緒に居て楽しい人は初めてなんだ。怪我が治っても精神が回復しても俺のそばにいてほしい。ずっと君を守りたいと思っていた。だけど君は治ったらきっと旅立ってしまうんじゃないかと思うと言い出せなくてね」

「そ、そんな……以前の私は旅をしていたのかもしれませんが、今の私は……ずっとディンゴさんのお傍にいたいです」


 はっきりと言葉にしてしまった瞬間に、彼に身体を反対向きにされる。

 背後から抱きしめられていたのが正面から見つめ合う形になり、彼がゆっくりと唇を近づけてくる。

 イレイナ目を閉じてそれを拒むことなく受け入れた。


「ん――ちゅ♡」


 ディンゴとの初めてのキスは頭がおかしくなってしまうのではないかと思うほどの多幸感を感じてしまった。

 十秒ほどして二人の唇が離れると、イレイナは恥ずかしさのあまりディンゴから顔を逸らしてしまう。


「イレイナ……ずっとこの国に……俺の隣にいてくれるか?」

「……はい。以前の私は旅人だったのかもしれませんが、今の私は旅になんて出たくありません。ずっとこの国に……ディンゴさんのお傍にいたいです――ちゅ♡」


 今度はイレイナの方から背伸びをして口付けをする。

 ディンゴはイレイナの身体を抱きしめながら、強弱をつけて唇を何度も押し付けた。


「ちゅっ♡ ちゅるるう♡ はぁ♡ はぁ♡ ディンゴさん……ちゅっ♡」

「イレイナ。まだ怖いかもしれないけど……もう我慢できないんだ。今すぐにキミが欲しい」


 欲しいと真っ直ぐに見つめられながら言われたが、イレイナは全く恐怖を感じない。

 それどころか求めてもらえたことが嬉しくて、女の部分が疼きだしてしまう。


「……はい♡ 私なんかでよろしければ、ディンゴさんのものにしてください♡」


 彼の胸に顔を埋めながらイレイナがそう告げると、ディンゴはイレイナを抱きしめて下卑た笑みを浮かべる。

 当然彼女はそのことに気が付かずに、二人は夕食を中断して寝室に向かうのだった。

 優しくベッドに寝かされたイレイナはすぐに裸にされてしまい、ディンゴに生まれたままの姿をさらけ出す。


「綺麗だよイレイナ」

「うぅ……恥ずかしいです♡ 胸も小さいですし……」

「十分に魅力的だよ」


 それはディンゴの本心だった。

 記憶を失う前は自分の容姿に絶対的な自信を持っており、貧相な体つきだと言われると怒っていたイレイナだが、今では自分に自信が無くなっている。

 自分なんかの身体でディンゴに満足してもらえるのか不安でたまらないが、そのあまりの美しさにディンゴは思わず息を飲んでいた。

 小柄ではあるが絶世の美少女であり、怪我も完治した肌はシミひとつ存在しない芸術品のような身体。今からこれを自分好みに汚せるのだと思うと興奮してしまう。

 まずは小ぶりな胸に手を当てて、撫でるように愛撫していく。


「あ――あんっ♡ んっ♡ ディンゴさん♡ ああっ♡」

「怖くない?」

「は、はい♡ 大きな手で――んっ♡ 安心します♡ ふあああっ♡」


 撫でまわすように揉みながら舌も這わせて、乳輪と乳首も刺激していく。

 白い肌がだんだんと火照り、快感を感じているのかイレイナの身体が時折ピクンっと跳ねる。

 甘く切ない声を漏らしているイレイナが可愛すぎて、ディンゴはもっと声が聞きたくなり指を秘部に持っていく。


「ふああっ♡ んああああっ♡ そ、そこは――んっ♡ はぁ♡ はぁ♡ な、なんででしょう♡ すごく気持ちいいです♡ ふあああっ♡ 私の身体、ディンゴさんに触ってもらえて喜んでいます♡ ふあああっ♡」


 ディンゴに恋焦がれて依存していたイレイナは、彼にようやく抱いて貰えただけで喜んでしまっている。

 今の彼女はどんな乱暴な扱いをされても受け入れてしまうだろう。

 ディンゴの方も念願のイレイナを抱けて昂り、愛撫もますます激しくなっていく。

 彼女の乳首をペロペロと舐めながら、手で胸と秘部をじっくりと愛撫してイレイナの声と反応を楽しむ。

 まだ男を知らない彼女の身体に、自分という存在を刻み付けているのだ。


「はぁ♡ はぁ♡ ふああっ♡ 本当に気持ちいいです……んっ♡ すごく幸せで安心できて……あんっ♡」

「俺たちは両想いだったみたいだし、もっと早くこうして入ればイレイナをもっと早く安心させられたのかな?」

「あああっ♡ ディ、ディンゴさんには毎日安心させてもらっていました♡ んっ♡ 記憶を失った私なんかが生きていられるのは、全て貴方のおかげです♡ ひああっ♡ 私なんかで良ければいつでも抱いてください♡ あああっ♡ ひあああああっ♡」


 ちゅぽんっとわざと音を立てて乳首から口を離すと、イレイナはすでに快感で蕩けきった表情になっていた。

 イレイナの股を開いて正常位で挿入する体勢になると、ディンゴの肉棒がイレイナの視界に入る。


「あぁ……大きい♡ すごく立派です♡」

「イレイナ。痛いと思うけどもう止められないよ」

「はい……少し怖いですが、ディンゴさんにならば何をされても構いません♡ 私が痛がっても絶対にやめないで、最後までしてください♡」


 イレイナの覚悟に内心ほくそ笑みながら、ディンゴがゆっくりと亀頭を秘部にうずめていく。


「あ――んぎっ♡ んあああっ♡ んぐっ――ひあああああっ♡」


 めりめりと嫌な音がして肉棒が入って来る。

 かつてないほどの激痛だというのにイレイナは全く嫌ではなく、むしろ記憶の中の男たちに処女を奪われていないことに安心してしまう。

 そしてディンゴが与えてくれる痛みならもっと欲しいと彼にしがみついた瞬間に、ブチっと何かが切れる音がした。


「あ――んああああああああああああっ♡」


 処女膜が破れた瞬間に一気に肉棒が膣内を埋め尽くす。

 口をパクパクさせたまま痛みに耐えるイレイナだったが、ディンゴは彼女の腰をがっちりと掴むとすぐに動き始めてしまう。


「んあっ♡ ひああああっ♡ ディ、ディンゴさん♡ ふああああっ♡ いきなり激しいです♡ ふああっ♡ んひいいいいいいっ♡」

「くっ……済まないイレイナ! 君の身体が気持ちよすぎて我慢できないんだ!」

「あんっ♡ だ、大丈夫です♡ あああっ♡ 嫌ではありませんから、続けてくださ――ふああああっ♡」


 ディンゴが高速ピストンでイレイナの身体を蹂躙していく。

 実際に彼女の身体はディンゴの想像以上の名器であり、じっくりと楽しむなど不可能だった。

 ましてや今まで手を出せない苛立ちもあったので、それらを全て彼女にぶつけてしまう。

 イレイナと両手を恋人繋ぎにすると、そのまま手をベッドに押し付けて腰を打ち付けていく。

 体重をかけて膣内をかき回し、キツキツの膣を肉棒で解していく。

 亀頭で子宮口のコリッとした感触を堪能し、腰を引くたびにカリ首が擦れる感覚も楽しむ。

 それは処女相手にしていいセックスではない。オスの情欲を余すことなくぶつけるような行為で、イレイナは快感よりも痛みの方が大きかった。

 秘部からは破瓜の証が流れており痛々しく、腰を打ち付けられるたびに身体がバラバラになってしまいそうだ。


「ふあああっ♡ んぎっ♡ ディンゴさん♡ あああっ♡ もっとしてください♡ 私の身体で気持ちよくなってください♡ ふあああっ♡ んああああっ♡」


 痛みの方が大きいのにイレイナはやめてほしいとは決して言わない。

 彼女からすれば自分が気持ちよくなるよりもディンゴに気持ちよくなってもらう方が重要なのだ。

 自分の身体を使ってくれるだけでも嬉しいのに、気持ちよくなってもらえるなどなお嬉しい。そして彼が気持ちよくなってくれていることははっきりとわかる。


(私のような女でもディンゴさんを喜ばせることができるなら、痛みなんていくらでも耐えられます♡ あああっ♡ 幸せですディンゴさん♡ この身体をいつでも使ってくださいね♡)


 激痛で顔を歪ませながらもイレイナは内心では多幸感で満たされている。

 ディンゴに依存している彼女にとって、自分よりも彼を優先するのは当たり前なのかもしれない。

 しかし、そもそも彼女はディンゴに身体を使ってもらえるだけで十分に嬉しいのだ。

 心も身体も彼を拒絶するなどありえず、痛みもだんだんと薄れていく。

 そして痛みよりも快感の方が大きくなるのをイレイナは感じていた。


「ふあっ♡ んあああああっ♡ ディンゴさん♡ ああああっ♡ な、なんだか私――んっ♡」

「もう痛くないか?」

「はい♡ も、もう大丈夫です♡ あああっ♡ 気持ちいいですディンゴさん♡ 愛する男性に抱いていただくのが、気持ちよすぎてっ♡ し、幸せすぎます♡ あああっ♡」


 痛みが消えるとあっという間にイレイナの表情が快楽で蕩けきり、膣内で肉棒が一回り大きくなって震え始める。

 ディンゴは屈曲位に体位を変えると、キスをしながらラストスパートをかけていく。


「ちゅっ♡ れりゅう♡ ディンゴさん♡ 好きです♡ 愛しています♡ このまま私の中に出してください♡ あなたのザーメンで私を満たしてください♡ んあああああっ♡」


 ――びゅるるるるうううううううううううううううっ!!


「あ――ひあああああああああっ♡」


 キスをしながらの種付けプレスでイレイナの子宮に精液をたっぷりと注ぎ込んでいく。

 腰をグイグイと押し付けながらの射精で、彼女を完全に屈服させていく。

 マグマのような精液が子宮に溜まっていく感覚を堪能しながら、イレイナは何度も絶頂していた。

 今まで感じたことのないほどの多幸感が子宮から全身に広がり、自分がディンゴのモノになっていくのを感じる。


「ちゅっ♡ れりゅううう♡ じゅるるううう♡ ディンゴさぁん♡ れりゅう♡ ちゅるるううう♡」

「く……止まらない……このまま動かずに全部受け止めろ!」

「はぁい♡ ちゅるるうう♡ 全て受け止めます♡ ちゅっ♡ れろぉ♡」


 ディンゴの方も気持ちよすぎて余裕がなく、言葉が荒っぽくなってしまっている。

 しかしそんなことも気にならないほどイレイナは幸せを感じているのだった。



 その後、イレイナは幸福の国に永住することになった。

 自分の過去の記憶を全て失ってしまったが、ディンゴのそばにいることができればどうでもいいので、取り戻そうともしていない。

 彼女が元々着ていた服も、魔法を使う杖も、愛用の箒も、彼女の日記も物置の奥深くにしまわれているままだ。

 身も心も堕とされてしまった事でディンゴとは夫婦として過ごすことになり、彼の尽くすことがイレイナの幸せになっていた。

 そして、夫婦の営みも毎晩のように行っている。


「あんっ♡ ふあああっ♡ ディンゴさん♡ ちゅっ♡ じゅるるうう♡ ペニスが震えています♡ あんっ♡ 奥に当たって、イッちゃいそうです♡ 」

「イレイナが気持ちよすぎるんだよ。ほら、もっと動いてくれ」

「はい♡ ちゅっ♡ れりゅううう♡ あああっ♡ んあああああっ♡」


 イレイナがディンゴにキスをしながら対面座位で腰を振っている。

 初体験の時の野獣に犯されるようなセックスではなく、正真正銘恋人同士のようなセックス。

 一人の男に尽くす彼女は、もはや灰の魔女としての面影など全く存在していなかった。

 愛する男に尽くせているのがたまらなく嬉しく、もっと喜んでほしいと思いながら腰を振って膣を締め付ける。

 その健気な態度にディンゴがますます興奮していく。彼女を完全に自分のモノにできたことで毎晩のように抱いているが、彼女の身体は全く飽きることがない。

 むしろ使い込むたびに具合がよくなっていた。


「ちゅっ♡ れろぉ♡ あああああっ♡ また大きくなっています♡ あんっ♡ いつでも出してください♡ ディンゴさんのザーメンを受け止めるのは私の役目ですからぁっ♡ んあああっ♡ ひああああっ♡」


 ――びゅるるるるうううううううううううううううっ!!


「んああああっ♡ 熱いのがたくさん出てますっ♡ ふああああああああああああっ♡」


 子宮に精液を注がれてイレイナが絶頂する。

 最愛の男性であるディンゴの精液を子宮で受け止めている時、イレイナは最高の幸せを感じるのだった。


「全く、どれだけ搾り取れば気が済むんだ?」

「だ、だって仕方がないじゃないですか♡ あんっ♡ ディンゴさんのザーメンを注がれると幸せになってしまうんです♡ んっ♡ また大きく……ふふ、ディンゴさんも足りないんですよね♡ 今日も好きなだけ私の身体を使ってください♡」


 イレイナが再び腰を振り始める。

 今夜も彼女は愛する男に抱かれて、自分が必要とされていることを認識し、精液をその身に受けて幸せを感じるのだった。



 灰の魔女イレイナが行方不明になった。

 魔法統括協会に所属する炭の魔女であるサヤは、その情報を入手した瞬間に受けていた依頼を全て投げ出して彼女を探す決意をした。

 師匠のシーラも妹のミナも我を忘れて暴走する彼女を止めることができず、あっという間に身支度を整えてしまう。


「待っててくださいイレイナさん! 絶対にぼくが見つけますからね!」


 箒に跨ったサヤはイレイナを探す為に旅立つのだった。


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