廻し列車
Added 2024-12-31 15:00:00 +0000 UTC朝、私はいつも通り満員の電車に乗り込んだ。女性専用の方に乗り、手すりにつかまりながら文庫本を読み始める。やがて電車は走りだし、昨日読んだところまでもう少し、というところであっという間に次の駅に着いてしまう。
まったくせっかちなことだが仕方がない、これは時刻表を作った人間のせいでも路線の方のせいでもないのだから。体感時間が限られている方が悪いのだ。あるいは貧弱な私の想像力で、物語をうまくイメージできなかったせいだろうか。
私は本を閉じ、鞄に戻す。そして、ドア横のスペースに立ち、窓の外を眺めた。
外では雨が降っていた。
しとしと、という雨音が静かに車窓を濡らしている。その向こう側では街が朝を迎えていた。
電車は駅に到着し、そこで人を乗せ、また別の駅で降りる。
「あ、」と思わず私は声を出した。私の体に重なるように誰かが立っている。
「すいません」とその人は言った。
体を離し、改めて相手の顔を見る。背がすらっと高くて、整った顔の良い女性だった。…というか私にそっくりというか私そのものというか─
「…同じ顔?」
「え?」
一瞬驚いたようにその女性は目を見開き、それから少し表情を曇らせた。
まさか双子の姉妹がいたわけでもあるまい…私は一人子だし、親戚にも同年代の人はいないはずだ。
となると…
「っ!?」
電車がカーブに差し掛かり、女性と私の顔が近づく。次の瞬間、私は事態を飲み込んだ。─私が二人いる?
「ん?」
─突如現れた私そっくりな女性の存在に気付いたのは、どうやら彼女も同じらしい。目の前にもう一人の自分が立っていて驚いているようだ。
ここが家なら話は早いが、あいにくそうもいかず─時間はかかるものの私たちはお互いに目をそらすことにした。
私も車窓に再び目を向ける。
ふわりと水溜りの上を通過した朝日が、車窓の雨粒をきらめかせた。
そして…窓に写る私とその女性の顔は全く同じで、要するに今の私の心の中を言い当てるとしたら ”なんだこれは、夢の中か?”─とでもなるような光景がそこに広がっているわけだ。
雨が止み、太陽の光が窓ガラスから差し込んできた。私はもう一度今一度目の前の彼女を見てみたが……やっぱり同じだ。
こちらの視線に気付いてあちらも私をちらりと伺うような視線を送ってきて、私たちは鏡の中の相手と話しているような感覚に陥っていた。
ここで恐る恐る話し掛けてみることにした。
「あの、つかぬ事を聞きますが─」私は言った。「貴女の名前って─」
自分そっくりな女性が口を開く。どうやら声も同じようだ。私は次の言葉を待つ。
「あ、安斎 鳴子です……」一瞬何かを言葉に詰まりながら彼女は自己紹介する。
「……─え?」
彼女も驚いているようだった。お互いに名前が一致してしまっている、という奇妙な一致について。彼女の名字を聞いて、もしや遠い親戚ではないかと考えたが、ここまで似た人間が私と無関係であるはずはないし……本当に…目の前の女性は私なのか?
「安斎さん?えーと……」
私が話を続けようとしたところ、割り込むように彼女は私に質問をした。
「あの……矢っ張りこれ、夢ですよね……?」
確かに根拠はないがこれは現実ではなく単なる偶然の産物だと私も信じたいが─
「いや、でも……こんな偶然ってある?」
私は言った。
「だって私たち、同じ顔だよ?」
「……はい」と彼女も頷く。
「それに名前も一緒なんて……」
「もちろんそれだけで信じられる話じゃないけど……でも─その─」
「?」
彼女は首をかしげる。
「……その、私と貴女って、姉妹だったりします?」と私は彼女に尋ねた。
やはり彼女も同じことを思っていたらしいが、しかし─
「いえ……そんなはずないと思います」
彼女は少し困惑したように答える。
「だって私一人っ子ですし……」
「あ……そうですよね」
「はい。だからその、やっぱりこれは夢で……」と彼女は言う。
「きっと私がまだ起きてないんじゃないかと思うんです。いつの間にか眠っちゃってて、それで目が覚めて……ってことなんじゃ……」
「そうかなあ」と私は言う。
「でも、夢にしてはなんかこう─」
「あ、あの!」と彼女が私を遮るように言った。「夢じゃないとしたら……その─」彼女は続ける。「貴女は……私の、偽者とか?」
「……え?」
私は思わず聞き返した。
「ん?」私の答えに彼女も首を傾げる。
どうやらこれはただ事ではないらしい、と私は気付く。
─偽者、とは?彼女は一体何を言っているのだろう?
「あ、あの……その……」と彼女が口ごもる。
「私、貴女が私の偽者で……だから貴女が本物だっていう証拠を見せ─」
「え?」
私はそこでようやく彼女の意図を理解した。
「いや、ちょっと待ってよ!私が偽者ってどういうこと」
「だって」と彼女は私の言葉を遮る。
「私が二人いるなんておかしいじゃないですか」
「いやいや、それでもし私が本物だったらどうするつもりですか」
「どっちが本物かなんて分からないもん……。だからその証拠を出せって言ってんですよ」と彼女─は私の肩に手を掛けた。
私は身を引きながら彼女の顔をじいっと睨むが……あれ?と私は思った。私って顔良いじゃんって。
「証拠もないのになんで偽者って思い込んでるんですか」
「えっと……」
一瞬の沈黙が流れた後に彼女は答えた。
「……性格とか─ほら、上っ面だけだと偽者は見抜けないでしょう?」
むう……やはり私と彼女は"自分こそ本物だ"ということで一致しているらしいが、ではどうすればこの奇妙な事態を説明できるのか?
私達は体と体を密着させ合ってお互いの耳元で「私が本物だ」と囁けばいいのだろうか?それは非常にきつい…だって…
「ねぇ偽者さん…しょうもないこと考えてます?」
彼女は私に尋ねる。
「しょうもないこと考えているのは貴女の方では?」
私はとりあえずごまかそうとしたが─
「あ、やめましょ。とりあえず素直にお互いの話を聞き入れるところから始めませんか」
彼女は私から離れようとした。
だから私は「…もしかして…図星でしたか」と言えば彼女は少し考え込み、それから私の背中に手を回し、私を優しく抱き寄せた。
「……顔は美人なのに随分と可愛くないですね」
私は少しムッとし、「そういうところは偽者みたいですね」と私は言い返した。
「貴女こそ、その自信は何処から来るんですか?」
私は少し考えたが─「それはまあ……だって私って綺麗じゃないですか」
「いや……自分で言うのはどうかと思いますが…まぁ綺麗とは思いますけど、私も綺麗ですから」
「同じ顔ですからね」
「いや、それはそうですけど……。─あ、そうだ」と彼女は何か思いついたらしい。
「ね、貴女ってその─」
「……何ですか?」
「その……恋人とかいます?好きな人とか……」
「は?」
私は思わず聞き返す。
「……どうしてそんなことを?」
「いや、だって…」
「まぁ、いませんが……」
私は咳払いを一つして続ける。
「では、貴女は?」
「え?」
私の質問に彼女は戸惑ったように聞き返したが─
「だからその恋人……ってわけではないけど─まぁ好きな人─そういうのって……」
私は彼女に探りを入れてみることにした。
「そうゆうのっていないですけど」
しかし彼女はケロッとした顔で言うので拍子抜けする。─ということは一体なんのために? と考えていると彼女が「まぁいないと言うのなら……私と付き合ってみませんか?」と抱きしめながら言ったので─
「っ!?」
思わず彼女を抱きしめてしまった。彼女が漏らした声で隣の人の視線が私達に向けられる。
私も彼女も少し顔を赤くした─なんか恥ずい、それ以前に理解できないんだが……そんな私の気持ちを知ってか知らずか彼女は言葉を続ける。
「ね、そうしませんか?私、貴女のこと嫌いじゃないですよ」
「いや……でも……」
私は返す言葉に戸惑っていると彼女は私の髪を撫でながら…
「私、ずっと貴女のことが気になってたんです。だから─」
「……っ!?」
私は彼女の言葉を聞きながら、自分の心臓の音が高鳴っていくのを感じた。─これは……まずい。
「ね?」と彼女は言うが─
「いや……でも……」
私は返す言葉に戸惑っていると彼女は私の髪を撫でながら……
「私、ずっと貴女のことが気になってたんです」
「……っ!?」
私は彼女の言葉を聞きながら、自分の心臓の音が高鳴っていくのを感じた。─これは……本当にまずい。
「ね?」と彼女は言うが
─いやいや……なんというか…「仕方ないですね」を強調しながら…
「あくまでも貴女が…私と付き合いたいならという前提で、ですけど」
「…貴女は私の事気にならないんですか?同じ私なら私の事気になる筈ですが…」
なんて言われ私も「それは……」と躊躇して…
「……まぁ気にならないと言えば、嘘になりますけど」
「そもそも私…限界なんですよ…貴女の良い匂い、ずっと匂わされて……」
「ちょっと…待ってください…私だって貴女の良い香りにおかしくなりそうなんですからやめてください」
「ならおかしくなってください…私に狂ってください─」
「あっ……」
彼女は私にしがみついてきた。私もそのまま彼女をきつく抱きしめてしまい……そのままぐたっと窓際にもたれかかってしまう。
私は自分に重なり合う彼女との感覚に不思議な心地よさを覚え──彼女はさらに強く私を抱きしめてきた。
「だって貴女……美人だしスタイル抜群だし、それに優しそうだし……もうずっと狙ってたんですから」
「……そうですか」
私は言った。─これはつまり彼女が私に告白をしているという事で。それも……自分とそっくりの外見の相手から口説かれているという奇怪な状況で しかし、この奇妙な状況において彼女の言葉は実に魅力的だった。
─キスしましょうか。
私は抵抗出来なかったというか抵抗なんてしなかった。
─「っ」─
窓際に押し付けられたまま唇が重なり合った。私と彼女の唇は男性と違って柔らかくてリップで濡れた感触が私の潤った唇に伝わる。
─ああ……唇のケアとかきちんしててよかったと私はぼんやり考えながら彼女の唇に自分の唇を重ね続けた。
「はぁ……」と彼女は思わず息を漏らす。
私も自然とため息をついていた─
ちょっと振りに私の顔を見ることが出来れば─
私って息…結構良い匂いかも─と私も思わず息をわざと吐くと、わざとだろう彼女も息を吹きかけてくる。
─はぁ……
こんなにも良い匂いなら…味気になるな…
「ねぇ」
「……何ですか?」
彼女は言う。
「思ったんですけど、どっちが私か区別がつかないなら……いっそ舌も絡めてみましょうよ」
「……は?」
「ね、良いでしょう?だって貴女も私の味に興味あるんでしょう?」
図星だ…彼女に言い当てられた私は……
「良いですよ…舐めたいなら素直に舐めたいって言っていただけると…」と抵抗するが彼女は「……へぇ?」と挑発的な笑みを浮かべる。
「そんなこと言うんだ……なら─」
─私が貴女の舌を味わうまでですけど。
私は息を飲んだ。……しかしここまで来たら引き下がる訳にもいかないだろう……
「っ」
そのなんというかここまで私好みだと思わなかった…今まで他人の舌というのは無味と言うか不愉快な味だと思ったが…彼女の舌は─
「んっ……はぁ……」
夢中になってしまい、彼女の背中に回していた腕はいつの間にか彼女を強く抱きしめていた。彼女は私の体と密着してその体の柔らかさが私をさらに夢中にさせた。そして彼女もまた私に体をすり寄せながら舌を絡ませてくるので私は思わず「あっ」という声を漏らしてしまう─
「……ね?分かったでしょ?」と彼女は言う。「……ええ」と私は答えた。
「でも……まだ貴女の舌の感触を味わって、口から漏れる声と吐き出される息を感じながら私は舌を絡ませてやった。
***
***
─ねぇ、何分経った?私の頭の中で理性が叫ぶ。
彼女も私も最初の方は息を必死に吹き込みながら舌を交わせていたが……次第に体を抱き寄せながらキスに没頭してしまい、そして今に至るのだが……
「っ」
「ん……」
「はぁ……」
「あむ」
「は……」
私達は夢中になってお互いを求めあった。しかしここは電車の中であることを忘れてはいけない……
なのに私は……でも我慢なんて出来なくて─
「っはぁ……」
ようやく唇を離した私達は唾液を唇から垂らしてお互い息を切らした。
気づけば13駅分も口づけていた…こんなに長時間キスしてたってのにまだ足りないのんて思うあたり、私も私だ……と思わせてくれるが今はそんな悠長なことを言ってる場合じゃない!
「……ねぇ」
私は彼女に対して口を開く。
「何?」
彼女はトロンとした目で私に言う。
「もう1回だけ……良いですか?」
と私は彼女に言った。すると彼女もまたトロンとした目で私を見る。
「ええ……」
そしてまた私達は唇を─
*・*・*・
「っ……はぁ」
私は思わず声を漏らしてしまうが、しかしそれは彼女も同じだった。
「……ね、そろそろ降りないとまずいんじゃないですか?」と彼女は私に言う。
「そうは言っても……もう電車ないじゃないですか」私は言い返したが─
「でも次の駅で降りて引き返さないと……私達、ずっとキスしてたから人前じゃちょっと恥ずかしいですよ」と彼女が言ったので私も「……ですね」と頷いた。
「それじゃ、降りましょう─あ……」
彼女も気付いたらしく私達は再びため息をついたが……さすがに電車を降りてホームに立ってもまだ口づけしたりはしなかった。
しかし私は彼女の手を取り、そして指を絡める。彼女は少し驚いたような表情を浮かべたがすぐに私に笑顔を向ける─ああ、やっぱり美人だなって思いながらも私も彼女に笑い返す。
「ねぇ」と私が言うと彼女は「何ですか?」もう私が言いたいことを理解した顔で私を見つめてくる。だから私も「私ね、貴女のこと好きになってきたかも」と言った。
「─っ!?」
彼女は驚いて目を大きく見開くが─すぐにニコニコと笑顔になる。
「……そうですか、嬉しいですよ♪」
お互いに手を絡める。
私は彼女の手の感触を感じながら彼女が再び口を開くのを待った……そして─
「私も貴女のこと大好きです」
そう言ってくれたので私は思わず口元がほころぶのを感じた。自然と彼女に寄り添ってしまって─
「ね、これからどうしますか?」と彼女が私に言うので私は「えっ?」と聞き返してしまう。
「いや……こんな状態で帰りの電車も一緒っていうのもアレですし─」
「……それもそうですね、じゃあもう帰ればいいんじゃないんですか?家が同じなら私達はずっと一緒ですよ」
そう言うと彼女はハッとしたような表情を浮かべる。
そして「なら確かめてみます?同じ家なのか─それとも…なのか」と彼女は言う。
「そうですね、確かめてみましょうか?」
私も同意するように頷いた。
電車が来るのを待っている間も私達はずっと手を絡めていたので女子高生さんに怪訝そうに睨まれたりもしたが……
それももうお終い─
「それじゃ私が先に家に着きますから貴女は後から来てくださいね♪」と上機嫌に笑いながら手を振った彼女も微笑みながら手を振り返して─
*・*・*・
─私と彼女の奇妙な一日は─
「待っていましたよ…私も仕事帰りで夕食も半分しか出来ていませんが……」
「ええ…本当に同じ家だったんですね…これでずっと一緒ですね」
「ええ、そうですね……では─」
と彼女は私に近づく。そして私の体を抱き寄せながら耳元で囁くように─
「これからよろしくお願いしますね?私」
私は彼女の背中に手を回し抱き返しながら「こちらこそ……」と返したのだった──
*・*・*・
***
私達は二人で夕食作りに取りかかったのだが 何故か彼女は私の背中や肩に胸とかを押し付けてきたりキスしてきたりで思わず私もキス仕返したり艶やかな髪の匂いを嗅いだりしてしまうのだが……
「あのさ─」と私は彼女の胸を押し返しながら尋ねる。
「何ですか?」
彼女はキョトンとした顔で私を見るが、その目は潤んでおり頬は紅潮していた。
「好みも同じですよね」と私は聞くが彼女はニコニコしながら「ええそうだと思います♪」と言うだけで離れようとせず、むしろさらに体を密着させてくるので私も自然と彼女を抱き寄せてしまう。
しかしそれでも彼女は全く動じる様子はなくむしろ私を受け入れた様子で甘えた顔を浮かべていたので私は彼女にこう言う事にした。
「じゃ、もう明日からお休みですし─」
私は彼女のお尻を掴むと「私達はどこまでも同じじゃないみたいですけど?お互い責任とりあいませんか?」と言ってそのまま押し倒そうとするが─しかし彼女も素早く反応して私に抱きつく力を強めたので私もそれに抗えず私達はそのまま床に倒れ込んでしまう。
「ねぇ」私は彼女に尋ねる事にした。
彼女は何も言わずに私をじっと見ているので私は続けて言うことにした。
──と
すると彼女は目を大きく見開いて驚いたような顔をしていたが……やがて嬉しそうな顔になり─そして私に言ったのだ「ええ!もちろん!」と満面の笑顔で答えたのだった──
*・*・*・
それから私達はお互いに何時間もキスを続けたり抱き合ったりして結局一夜を明けてしまった。なので私は今日は諦めて1日中、する事に決めたのだが─彼女も全く同じ考えだったようで─ そして彼女は風呂に入ると言い出したので私も入ることにした。当然一緒に入ることになり、いつも通りとは行かなく、髪を絡めながらシャンプーしたり、口づけながら体を洗ったり、湯船に浸かりながら抱き合ったり─とまぁとにかく色々あった。
そして私は風呂から上がり体を拭いて服を着るとリビングに向かうが─
彼女はまだ出てきていなかったので私はソファーに座って待つことにしたのだが─しばらくしても出てこないので様子を見に行くと彼女は私を待っていたようで私に抱きついてきた。
「あ、もう上がったんですか?」と言う彼女に対して私は「うん」とだけ返すと彼女もまた「そうですか……」と言って私を離す。
しかし彼女は私の手を握ったまま離さないでいたので私が不思議に思っていると彼女は恥ずかしそうに「あ……あのですね」と言った後、私の手を握り直して─
「私は貴女の事が大好きです」と私に告げた。
「はい」私もそれに応えるように頷くと─
「だからいつまでも一緒ですから覚悟してくださいね!」と自信満々に言うので私もつい笑ってしまいそうになるが─
「……うん、そうだね」と私は返した。
そして私達はそのまま唇を重ねるのだった。
*・*・*・ それから私達の生活は大きく変わった。朝起きてから夜寝るまでずっと一緒だし、食事も一緒で風呂やトイレでも一緒だったりした。
「ねぇ」と私は彼女に言うが彼女は私を抱きしめるだけで何も言わなかったので私が再び口を開く。
「何か言ってくれないと分からないよ?」すると彼女はようやく口を開いたのだが─
「……そうですね、とりあえずお腹空きましたから何か食べましょう!」と言うだけだったので思わず笑ってしまった。
そして私達は朝食を食べながらこれからの事を考えていたのだが─まぁ当然お互いに離れようという気は無いわけで─なので今日は休みだし早速やることをやったのだが……
しかしやってばかりもいられないのでお互いに仕事をしたり家事をしたりしていたがそれでも……
「ね、ねぇ」私は彼女に言う。「何ですか?」と彼女は聞き返しながら私を見つめるので─私も彼女を見つめて言う。「……したい」と私が言うと彼女は少し驚いた顔をしたがすぐに微笑んで私の唇に自分の唇を押し当てた。そして私達はそのまま舌を絡ませて─
こうして私達の奇妙な同棲生活が始まったのだが……しかしそれはまた別の話である─だって─どうして女同士なのに子供まで授かってしまったのか、私達自身わかっていないのだから── おしまい。