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RARUΩARIAthird
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人物アップローダ4

ある変な夫婦がいた。夫は普通だが、妻は大変美しかった。雪のように白い肌、濡れたように輝く黒髪、赤い紅を引いたかのようなぽってりとした唇。そしてやや釣り上がった大きな瞳。その美しさ故、道行く人は皆振り向き妻を見る。そのたびに妻は自慢だった。夫は平凡だったからだ。

しかし、夫は苦しんだ。何故ならば周りからどうやってあんな綺麗ね奥さんを貰ったんだと、しょっちゅう言われるからだ。

それに最近妻の興味が夫から外れてきているのも感じ取れた。

ふとある日夫が会社帰り、とある噂を聞いた。それは人物アップローダという闇サイトの話し…はじめは彼も興味なさそうに聞いていたが…聞けばこのサイトに動画や画像を載せれば不審死してしまうという噂は…このサイトに載せられてしまえば紛れもなく同じ人間がもう一人増えてしまうのだという。そしてその増えた人間同士が殺し合って…溶け合い…これが多くの不審なる死の原因らしい…

彼は1日分妻と出かけ彼女の動画を取った。そして…




私、唐草千草は自他共に認める美人で通っている。

利発そうに切れ長の瞳、妖艶な目元と唇が大層色っぽいだとか。身長も高く抜群のプロポーションも相まって、街を歩けばスカウトされることなど珍しくもない。そんな私には夫がいる平凡だけど誠実な男性だ。

だけど最近彼の様子がおかしい。家で夕飯は食べないし、会話も必要最低限で上の空だ。帰宅するなり寝てしまったりで疲れきっていて、心配になってそれとなく訊ねても言葉を濁すばかり。

まさかと思うが他所にオンナがいるとでもいうのだろうか。


「ねえ、何か隠していないかしら……」


ああ憂鬱な気分のまま化粧を直し終わったところにインターホンが鳴った。ドアフォンをとると夫の姿が映る、なんだか顔色が悪いようだが大丈夫だろうか?


「少しお話が……」

「ちょうどよかった、私もあなたに話があるの」

「……そうか」


ホッとした様子の夫に招かれてリビングに入る。ダイニングテーブルの椅子に座るとすかさず茶を淹れてくれたが、彼の表情は少し険しかった。


「それで、なにか話でもあるの?」

「……」


沈黙する夫の口から出た言葉は思いもよらないものだった……


「なぁ?お前浮気してないか?」

「……は?」

「……お前だよぉぉぉ!!!」


ッ! 瞬間的に沸き上がる怒りで気を失いそうになる。こんなものはいきなり告げられ…


「まさか!」

「怒鳴って済まない。だがどうしても確かめずにいられなくなって」

「私がどうして浮気なんかしなくちゃいけないのよ!」

「お前はとても魅力的だよ。だからこそ気になってしまって」


私の剣幕に夫はしどろもどろだったが、それでも疑念は収まらない。夫のことは信頼に足る男だと思っていたのにそうではなかったらしい。


私は彼と話してみる必要があるわね。


でも彼は一体何処で私が浮気なんてしているなんて思ったのか

まずはどうしてそう考えたのか聞くべきよね。


「よかったらこれを使いなさい」


私はバッグから用意していたものを取り出した。それが何であるか彼は即座に察して顔面蒼白になったが知らない、浮気疑惑は私の疑いを解かない限りは晴れることはないわ。そして彼の狼狽する顔はあまり見ていたいと思えないのが本音よね……少し心が重くなる心地になるが覚悟を決めなければ……


はぁ、と息を吐いて切り出した。


「あなたが先に話したら許してあげる…だから…どうして私が浮気しているなんて考えたのか教えてくれないかしら?私、あなたにはとても愛されていると思っているわ……



もしかして心当たりでもあるの?だからこう疑っているの?それとも……本当は別れようとしているからなの……?」



彼は図星を指されたようでハッキリとした挙動をみせた。そのことに最早ショックを受けて涙するが、必死にその情動を押さえつけてじっと彼からの言葉を待つ。どんな言葉が飛び出しもそれが証明だろう、悲しくとも受け止める準備をしなければならない。


「認めてくれよ…浮気を…頼むよ…」

「「私は浮気してないわ……?……え」」


否定の言葉を告げると私の声に同じような私に似た声が隣から聞こえた。


「「…え」」


私の隣には私と全く同じ姿をした同じ顔の女がいた。



私が二人いる……



え?なにこれどういうこと?? それは私の頭に浮かんでは打ち消してきた疑問の答えなのではないか?だが精巧に姿を映し出すほど鮮明に彼女を生むことが出来るだろうか、可能だとしてそれに何の意味があるのだろうか。謎が次々と湧いてくるばかりで不明なものばかりだがひとつだけハッキリしたことがあった。


綺麗…。


あり得ないことに鏡で映したようにそっくり、全く同じ形の顔があった。これはとどのつまりそういうことなのではないだろうか?


「どっちが俺の妻なんだ…どっちが本物の千草なんだ…」


夫にそう言われて…私は愕然と



「な、何を言っているの!?貴方と話していたのは私よね!」

「は!?な、何を言っているの!?貴方と話していたのは私よね!」


私達の間に火花が散ると共に無言で睨み合うことしばし……同じ顔をした女と睨み合えば私は私の美人さを再確認せざるを得なかった。見れば見るほど彼女……私なんだけど…彼女の美しいさ…


「退いて!私が本物よ!」

「そんなこと言ったら貴女が偽者なんじゃあないかしら」

「偽者?いいえ貴女が偽者よ!」

「そんなわけないでしょ!!」


キッと彼女を睨み返す。


なによ、私と同じ顔のくせに生意気じゃない。


美人なのは認めるけどちょっと妬ましい……ていうかそもそもいきなり現れて一体何なのよ!と私と彼女を必死に引っ張り合うのだが拮抗して、顔も情けない顔になってくる。

もう旦那の顔なんて見ている余裕なんてないわ。こうして醜く言い争いを続けていれば彼女の顔が近づいてきているのがわかる。

そしてその顔が良い匂いもして自らの顔の良さを見せつけられる私、だから私も顔を近づけるわけだ。鼻先がくっつくけどもっとその綺麗な顔を見ていたい、動揺して気が動転している私もそう思ってないわけでもないけど気は引けるのだけど目を奪われるものがあって目が離せないのよ…そうして睨み合う。そうして時間を忘れて見つめあっているとハッとする。


「「あ、貴方もな、何か言ってよ!」」


私達は夫に問いかければ…


「ダメだ、俺にもどちらが本物の千草か…わからない…わからないんだ!」

「「どうして!?」」


彼が申し訳なさそうに俯くのに腹が立った…ずっと彼と話していたのは私なのに…私なのに…どうしてわからないの。


「なぁ…二人とも…どっちが本物の俺の妻か…俺に対しての愛を語ってくれないか?」




「「……っ」」




私達は何か少しイラっとした。

こんな時に何を言っているのこの人は。

彼女と目線が合う…同じ意見のようだ。それが何か変に思う。


「頼むよ!本物の千草を見分けるためなんだ!」


私達は異口同音に頷いた。仕方ない人ね……まぁ見分けられる自信はあるけどね、だって私は私なのだから。そうして言葉にする……


「「私にとって貴方は大切な人よ!私にとって貴方はかけがえのない人だわ」」


同じ言葉を…同じ顔から同じ言葉が紡がれ…


私は思わず私の口で彼女の口を防ぎたくなる…きっととても甘美な味わいで素敵だろう、そう思うのだがそんなことはしたくない。そうして答え終えたら夫が呆然としていたがそろそろ限界だ。私達は互いに目で合図し頷きあった……


「え……は?…ちょ、ちょっと!?待ってくれ千草!?」


彼の言葉を無視して、私と彼女は…私が1人になりたい時に入る私の私物が置いてある私の部屋に入ると。


私が目を見開く……理由は目の前の私が私に抱きついてきたからだ。


「「…」」


私の顔が私に接近してきてこれ以上は近づけないほど近づくと、目を閉じた彼女が肉迫する。ああ本当に……なんという…


こんな綺麗な顔がこんなにも近くにあるなんて…


目を閉じれば闇の中で彼女の体温も感触も…


鼻から呼吸をする音も全部わかって……


私達はぎゅっと抱きしめあうと同じことを考えていたのだろうか…


チュ


唇がとても甘美で柔らかくて果汁が滴る瑞々しい感触に溢れる。

甘いのだと錯覚した。互いに初めての行為だろう……だが私と彼女の初めての口づけはとても素敵だったと断言できる……


「同じ顔の女にキスするだなんてナルシストね……これは浮気に当たるかしら?」

「さぁ…どうかしら?…」


そう冷静に思い口づけを解いた後も私と私はうっとりしていた……


キスで高揚していて思考がぼんやりとしていたが徐々に頭も冷えてきて違和感に気づく。夫とのキスよりも気持ちが良すぎることに、幸福感に満ち足りている。だがそれと同時に行為の罪悪感があるがそれすらも心地良く、自らの意思で唇を重ねられる程の自制は働いた。


彼女の手で引き寄せられて口を合わせると私は天にも昇る気持ちになるのだった。同じ口紅を引いた唇同士が触れ合う度に離れるその感触だけでゾクゾクした。いつまでも永遠にこのままでいられる……そう思ったが、彼女を離さないと口紅が掠れて…


「はぁ…素敵よ…」

「貴女もよ…はぁ…」


舌が上手く回らず興奮冷めやらぬ状態だった。冷静になってくるとこれからこの綺麗な美人を愛せるということに恐ろしいほどの幸福感とともに何故こんなことになってしまったのかはわからないけど女としての悦びに目覚め彼女の綺麗な黒髪に触れ優しく梳けば、彼女が気持ちよさげに目を細めたのに胸がキュンと鷲掴みされる。


私も撫でられる。


「同じだけど髪…サラサラなのね……私も」

「日々のケアのお陰ね……貴女も綺麗だわ」


私は今、世界で一番幸せな女だった。

それは恐らく彼女もだと思う。互いに見つめる顔は同じで女同士とはいえ自分の顔にドキドキするのだと思うとむず痒いのだけれど何故かしら胸は甘い気分のままで安心感がある。また口づけを交わそうとして私は言いようもない歓喜が体に満ちる、キスだけでこんなにも幸せになれるなんて……

そうして私同士が夢中になってしまえば もはや他のものなど無意味に等しくなるのは必定だった。彼女は私の行いは全部自分がしていることだと思い込んでいるし、私はそんなこと知るかとばかりに目の前の女に夢中になっていて。だから旦那が扉を叩いているのも私の耳には入ってこなかった。


「「…」」


私は舌を出して舐めてと合図を出せば…

舌が絡み合う音が響く…ああなんて柔らかいのかしら…それになんと濃厚な舌触りなの…甘くてとっても美味しいわ……口のなかもこんな風に気持ち良いなんて私は知らなかった。

すると彼女が私の頭や顔を撫でて撫で返してきてそれすらも愛しく感じ彼女の動きに合わせていたら、彼女の舌から唾液が溢れて滴るその雫も勿体なく舐めてしまったのは完全に無意識の行動だったのだろう。彼女も私の舌から唾液が溢れて滴るその雫も勿体なく舐めてしまったのは完全に無意識の行動だったのだろう。激しく舌が絡み合おうとしていることに私は心が浮き立って止められなかった。


彼女に試しに唾液を流し込んでやれば彼女は躊躇することなく …


……自ら進んで飲んでしまうその可愛らしい姿に頬が緩んでしまうのを抑えられない。そうして私も彼女の唾液を口にふくんでしまえば、途轍もなく甘美で愛を感じられた私の体が溶けてしまいそうだった……お互いに吸い付くように口づけを交わしていたらまた扉が強く叩かれた。

あらぬことを思いかけたので再び激しい口づけを再開しようとして……気づいた。


「…貴女もそうなのね」

「ええ…貴女も…なのね」


軽く口づけを交わし、私達は部屋を出た。すると顔を真っ赤にした夫が…


「ち、千草…で出てくれたのか…良かっ…」




何かを言いかけて止めて私達を見る…近くにある窓に今の私達が写っていた…


艶やかな黒髪が交わり…口元は口紅が滲み、服も着崩していた……端から見れば私と私が行為をしたそんな光景だ。


「な、何をしていたんだよ!ま、まさか千草同士で…き、キスしていたなんて言わないよなぁ!!!」

「「キスなんて女同士なら挨拶みたいなものだけど…私同士…なら…」」


今時そんなことを気にする方がどうかしているしそれで罪悪感を覚えるというのもおかしいことであって私達は当たり前にしたに過ぎず、普通のことなんだから私達の関係の支障になるものではない だからこれは至極真っ当で普通なのだけど、夫にしてみれば衝撃的過ぎたのだろう……いきなり顔色を蒼くさせて膝を崩して驚いていた。


「じゃあ何だよ!?どうしてそんな平気にキスなんて…普通は偽者が現れたら殺し合うだろ!!」

「何を言っているのかしら…そんなわけないわ…」

私は当然言ったがもう一人の私も同意してくれる。

「当然じゃない…」


その通りだけれどだとしたら私達の今の状況の説明はどうやってつければいいのかと気になるのは当然なことだった。


私達は示し合わせたわけではないが同じように唇を奪う、舌こそ入れなかったものの彼女の口を塞ぐように口づけを交わした。私なら今、何を考えているかなんて手に取るようにわかるのだからそれを邪魔すればどうなるかなんて火を見るよりも明らかで……案の定私の夫には効果は的面で膝を崩していたはずなのにピンと立っていく。


……もう一人の私はうっとりとしていて もっと私と繋がっていたいという顔をしながら唇を離してくれれば夫から恍惚とした声が漏れる。


「ど、どう言うことなんだ……お前達……」


動揺する夫が私達を恐ろしげに見るが私達は特に思うことはないと言うより私達に魅了されていく夫は滑稽で、もう私は彼に愛情は抱かず私同士の愛はどこまでも昂っていくのだから……


そんな私の様子を見て彼女がクスリと楽しそうに笑って彼に話しかけた。


「ねぇ…貴方…私の浮気を疑ったわよね…だから思うの。これからは私は私だけを愛していこうと思うの」

「……は?な、な、何を言ってんだよ!俺と千草は夫婦なんだぞ」

「わかっているわ……だから特別なことなんて何もない……けど、どちらか一人だけが貴方の夫になるのは違うと思うの。それに貴方に浮気を疑われて…貴方への愛なくなったの…だからこれからは私は私を愛していこうと思うの」

「お、俺には千草だけだ!!」

「…何が言いたいのかしら?…人物アップローダに載せた?もしかして私達を殺し合わせようとした?」

「なら残念ね…私って私のこと大好きなのよ」

彼が絶句する。

「言っておくけど、そのサイトに載せる人物は選ぶことね…たまたま私達が…」

「「こうだったからよかったけど…」」


唇を重ねて…


「「自分嫌いなら殺し合って…貴方犯人にされていたかも知れないわよ」」

「んぐっ!?」


最後に私と私の唾液を夫に流し込んで…私達は家を出て行く……


「待ってくれよ!!今までの俺はなんだったんだよ!?」


私達に追いすがろうとする夫を見て私は隣を見ると彼女はもう我慢できなくなっていたみたいで…





私の腕を摑んで…私達は羽ばたいた。







数ヶ月後…私達は遠くに移住し……私と私の2人だけの秘密の楽園で私は私を犯しながら私は彼女を愛した。


「…やっと落ち着けるわね…」

「そうね…これからここで暮らすのね……ここには私達しかいないわ……」


そう私と私はこの閉じた楽園にただただ永遠に愛し合って入れればいい。


例えこの世界から誰もいなくなっても……それこそが私の愛なのだから…


…唇を強引に交わしあい互いの口の中に舌を入れて吸い上げれば私達の体は完全に興奮の頂点に達する。


「んぅっ!」

「あぁっ」


そうすれば私達の体は共鳴する様に体を合わせながら全てをかけ離れる快楽と独りではないという安堵が心を満たせばどうしようもなく彼女を抱き締めたくなり重なり合い肌をすり合わせる。唇も強引に奪えば中も私を溶かす様に蠢くのを感じ……


彼女は私の腰に白い足を絡ませてくるから動きにくいはずなのに、私が腰を動かし彼女の中に杭を打ち込んだならば私達はさらに声が大きくなった。そうして互いの背中に腕を絡ませるとやがて私だけに与えられる極上の快楽へと突き落とされていく、私にだけ齎させる甘い甘い至福の時間に理性なんて粉々に壊れかけるのを感じながら私は彼女に抱きついて そう彼女は私だから私が悦ぶ場所を的確に突かせる事ができるなら……


もう私の体は全て把握してくれていて本当に幸せでしかないのだ。彼女が求めるものは私にとって嬉しい事でしかないし、私を気持ちよくしたそうにしてくれる愛している気持ちをぶつけてくれれば私はただただ興奮を高めていく……


「はぁ♡……もう……」

「いいわよ……きて」


彼女もどうやら限界が近いことを知れば、二人で激しく頂点を極める為だけに動きあっていた。でも本能が私に囁くのだ、別のが彼女の望みでそれが一番嬉しい事だと私自身の肉体も訴えるように更に強く抱きついて全身で包み込もうとした時彼女がそれに負けじと応えて来た。そうなれば私達の意思は同じものだったとしか言えないし言葉なんて必要にはしなかった。私達はただ口づけを深め……やがて……


「んむ♡」「んぅ♡」


私が容赦なく一番気持ちいい所で快楽を爆発させれば彼女のそれが私を包み込んでくれてもう私達は快楽の頂点に至っていて、全身が痙攣していて動けなくてそのまま横になるしかない中で私はそれでも彼女を抱きしめてもっと全身を押しつけていれば彼女の熱で溶かされていく錯覚を憶えそうになるが彼女は自分のものを私のものと何度も擦りつけては全身を重ねようとしそれでさえも私達は昂っていくしかなくなって行きながら……



「あ……♡」「ん……♡」



舌同士を絡め合わせ やがて私達の口が唾液で溢れ合いながら、喘ぎ声が響く中で


「「……私ぃぃぃ……」」


2人の私達は……もはやそれを口にする理性などなくて本能と直感が私達に囁きあう『私』なのだからそこに性別など関係はないのだと言うことだけが唯一2人を確かに2人である事を確定する証拠だった。


……そもそも私達は同一人物なんだから『私』以外に言うことなんて他にないのだから……きっと私と彼女もそれは変わらない……やがて彼女の愛した私が彼女の肉体を激しく突き動かすと


「「もう……」」


彼女と同化していてただ私達を私達は愛し合っているという事だけで幸福になるならそれで構わぬことなのだ。それが愛なのだからそうに決まっているのだから。


「「きて♡……ずっと愛してるわあなた♡」」




そしてその瞬間私達はどこまでも高みへ




「愛しているわ千草……♡」

「ええ♡貴女もよ♡」

そうして二人でどこまでも高みへ─














ある男の独白…






ええ…確かに俺には妻がいました。とても美しくて人外れた美しい妻でした。でも、俺はある日彼女と交わした約束を守れなかった。

……とても綺麗で気高い花だったのです。だから俺は彼女の機嫌を損ねないように彼女を愛しました。いつも機嫌を伺って、少しでも彼女が不快にならないように気を配っていたのです。

そう……彼女は怒ってしまったんです。それ以来、彼女との関係に綻びが出来てしまいました。どうしてあんなことをしてしまったのか今でも後悔しています。彼女があんなことになって、俺はそれを償うことも出来ませんでした……結局、俺が絶望している間も彼女は苦しんでいたというのに……。

彼女との約束を守れなかった罰なのでしょうか。彼女がいなくなってからというもの、俺の体調は日に日に悪くなっていきました。やがて、俺は起き上がることも出来なくなりました……。

そして、ある時突然……俺はこの世界に落とされてしまったんです。きっと死んだのだろうと思います。あの世界で、俺と彼女の間に出来た綻びが何を生んだのか分かりませんけど……。しかし、それで良かったのかもしれません。ここに落とされたことは神の救いなのではないでしょうか?……そしてもう一度彼女と…恋をし直し、また…、俺はある日彼女と交わした約束を守れなかった。彼女が二人になれば…俺の望みを叶えてくれると思ったし、彼女をもう一人作れば……俺は彼女を失っても悲しくないと思ったからです。

……でも、この世界でも彼女は二人になってしまった。二人はやっぱり惹かれ合うのですね。俺を忘れてしまったもう一人の彼女が俺を忘れているもう一人の彼女に恋をしたのです。最初はやはり驚きましたけど、それでも俺の望みを叶えられると思ったので、二人の行く末を見守ろうとしましたが……

それはうまくいかなかったのです。

やはり彼女たちはどんなに努力しても惹かれ合ってしまう運命にあるようです。

しかしここで一つ疑問が生じたんです…

果たして…本当に彼女は人だったのでしょうか……?

俺には彼女が何だったのか、それが分からないのです。

もしかしたら俺はとんでもない勘違いをしているかもしれないのです。俺がこれまで話したことはすべて真実なんでしょうか?……

それとも、俺もまた彼女に操られているのでしょうか……?

……もう一度彼女を愛せるならそれでもいいと思ってしまいましたが……やっぱり俺にはそれが出来なかったようです」

ここで一度話を区切り、深呼吸をしてから再び話し始める男。


「……すみません、少し話が逸れてしまいましたね……。そうですね……ところで貴方は『』をご存知ですか?」



「いえ、聞いたことないです……」

「そうですか……。実は俺が会ったのは『』だったんですよ」





「……え? あの……『』って何ですか?」




予想外の男の言葉に聞き返す。男は静かに答えた。






「そうですね、まず簡潔に言えば……














……そう思うのです。


……話が長くなりましたね。もう一杯飲みたいですね。


……何かオススメはありますか?」


「えっと……なら、俺が選びますね!」


男が空になったグラスを見せると、俺はバーテンに声をかける。するとマスターは慣れた手つきでシェイカーを振り始めた。しばらくして俺の目の前に


が置かれる。


中に入っていたのは



飲み物だった。




「これは……?」

「『』っていうお酒ですよ」












「へぇ……」








男は興味津々といった様子でグラスを見つめている。












───妻の産まれた時の名前と同じなんですね。







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