本当にっ 気に入らない。
何が気に入らないのかというと昨日、私から別れた片割れ、もう一人の私…つまり私は今二人いる。
本当にどういうこと!?
我が物顔でソファーで寝ている私がドッペルゲンガーであればよかったのに…嫌ドッペルは駄目だわ。
クローンとか偽者とかであれば良かった。
でもコイツは私の舌を舐めながら私から別れたのだ。ご丁寧にも私の口内に甘さを残して。
なぜ? なんで? なんで分裂? 分からないよ!
私が何したって言うの!で悩みに悩み親友の咲と加奈子に相談しようとして何と加奈子まで二人に分裂していた。
ありえない、どうして……こんな状況で悩むぐらいなら……あーもうー頭が破裂しそう!
それに咲まで二人に分裂していて何かおかしくなって女同士でしかも自分同士なのにエッチをしているという訳ワカメな状況…いや…何してくれてんのよ!
いや今は状況を整理したほうが…良いのかな?咲も加奈子も二人になって、そして私が分裂して……って!
「それちょっと!?待って!そのアイス私のなんだけど!しかもその味…後で食べようと思っていたのに食べちゃってー!」
「良いじゃんあんたのてことは私のっていうことだし、ねぇ?」
はぁああ!?くっ!……駄目っ……ここで切れてしまっては私の負け……けっして奴のペースに乗るな。そう……同じようにいればよかったと後で思いながら後悔してしまえば良いだけなのだから、我慢我慢…。
「って出来るかっ!?」
「ちょ!?ちょっと!私が舐めているのに!」
「あ゛!?」
私がおかしいのかコイツ等がおかしいのか分からない。でも一つだけ分かることがある……それは……
「私のアイス返せー!!」
「ちょ!?舌と舌が当たっちゃうって!まって私なに横取りしてるのよ!」
「キスぐらいで発情しないでよ淫乱雌豚」
「ひぁ!?」
何か凄い勢いで布団が吹っ飛んできたけどそんなのはどうでも良い……今はとにかくこの裏切り者とエロ化した片割れをどうにかして私のアイスもとい私を取り返さないと、何か普段より甘いアイスを舐め、ペロッ……はぁ♪美味しいー……じゃなかった!?。
「あ゛!?ちょっと何すんのよ!」
「は?それはこっちの台詞!」
「何?私と舌…舐め合う気?」
「は?いくら私が可愛いからと言ってさすがに自分に舌舐められるとか無理なんだけど……ってか、あんたこそ私の舌舐める気?」
「いや、それ私の台詞だし」
「いや、それ私の台詞だし」
「は?」
「は?」
ッ!?
「~っ!?ちょ!?舌当たった!?」
「舐めてきたのは!そっちじゃん!」
「っ~!?いいから!離れろやこらぁ!」
「あんた、ちょ!?どさくさに紛れてどこ触っているの!?」
「何よ、その目……まさか私の事誘ってんの?」
「いや……誘ってるのはそっちでしょ」
「は?私はただ単にあんたが誘ってきてるのかと思っただけなんだけど?」
「はぁ!?だから!そっちが!」
ッ!?
「……ん」
あ……れ?今……私、何して……。
「……ん」
「っ!?」
「ん」
「っ!?ちょ……やめ」
「……ん!」
「……っ!……はぁ……はぁ」
「……ん」
あ、これ最高かも……って違う違う!何流されそうになってるの私!駄目じゃん、これはあの変態が誘ってきてるだけだから、私は別にそんなんじゃ……。でも……結構私の舌…甘くて美味しいかも……。
「ん」
「……ん」
あ、もう……どうでも良くなってきちゃった。
もう良いや、これは私のせいじゃないし。
それに……何かこの味癖になりそう……。
って待て待て!
「っ!?」
「……はぁ」
「……はぁ」
「っ!ちょ!何すんのよ!」
え!?あ?あれ?私今何して……って!何で私が私と舌舐め合っているのよ!
「それは私の台詞じゃん!あんたこそ私の舌舐め過ぎ!」
「違う!私の舌舐めまくってきたのはそっちだって!もう良い、やる気みたいだし!やってあげる!」
「それはこっちの台詞!そっちは今後一切私のアイスに触るの禁止ね!」
「それはこっちのセリフなんだけど!?それに二度と私に舐めたアイスを口にいれようとするなよな!たくっ散々舐めやがって……これじゃ余計に欲しくなるじゃん…」
っ!?何これ……さっきよりも甘くて、それに何か頭がふわふわして……。
「……ん」
あ、駄目これ…何これ…でもこれ以上は駄目、絶対に駄目!だってこれは私の舌であって私の舌じゃない、だからこれ以上は私の舌がコイツに汚されて……
あ、ヤバい、頭ん中……もっと舐め合いたいって求める欲しかない。もう無理駄目歯止めが効かなくなってきた。こいつにも言える事だと思うけど、でもこれは私の舌だから、私の舌だから……
「っ!」
あ、やば……私今何を考えて!?
「って、待って、私達キスもまだなのに、何してくれてるの」
「そう言っておきながら舐めてきたのはそっちじゃん!レズはそっちじゃん」
「いや、最初にキスして来ようとしてきたのあんただからね」
「さっきから途中で話ずれてる気が……じゃなくて!もう舐めるの禁止!」
「は?だから!それはこっちの台詞だって!」
っ!まただ……この味を知ったら、私はもうこいつに抗えない。でも駄目、これ以上やったら私までコイツみたいに変態になっちゃう。後戻りが出来なくなる。だから……
「っ!」「あ、ちょ!?」
舐め合い過ぎて小さくなったアイスを口に放り込み…
「んっ!?」
キスをする。
「ん……ちょ!?何をしてんの!」
「うるさい、分けてあげてんでしょうが」
「だからと言ってもそんな!……んん!?ん~!」
アイスが完全に溶けてなくなるまでこのキスは続けた。
「ぷっ、涙目じゃん!どんだけ気持ちかったの?」
「っ~!誰のせいだよ!こんな変態みたいなことして!」
「へぇ~自分にキスされてファーストキスも奪われたのにそんなに気持ちよさそうな顔をしておきながら、変態はどっちよ?」
「う…そ、それは……そっちが悪い!」
「何でそうなるの!そっちが舌舐めてきたからでしょ!」
「別にそんなの関係ないでしょ!?舐めてきた方が悪いし!」
「は?何よ、そっちが私の舌に舐めてきたんでしょ!?」
「だから!それはそっちの」
「はぁ゛?」
「何それ」
「って!だから何勝手にキスしようとしてんの!」
「だからそれは私の台詞!そっちも舌入ってきたでしょ!」
「そう言ってけど!がっつき過ぎて舌からめちゃって……は!?もしかしてそんなに私の舌で滅茶苦茶感じまくってたとか?」
「ッ!?はぁ!?舌なめって来て感じまくってたのそっちじゃん!」
「いや、それはそっちが舌を」
「だから!それはそっちが」
───
ムカついた私は無理矢理、唇を押し付けたけど私も唇を押し付けられた。
っ!?ヤバイ、な、何でこんなに腰……ガクガクしているのよ?力が入らなく……っムカつく……。あ、無理これ腰が抜けて本当に力が入ら……
「んぅ…ん……っ!?」
「んっ!?んん!~っ!?」
「ぷはっ!ちょ、何してんのよ!」
「はぁ……はぁ……そっちこそ」
「私はキスしただけで舌は入れなかったし!」
「いや、それは私も同じだけど?でも私より先に入れてきたのはそっちじゃん!」
「……は?」
「は?」
睨み合い合う私達、同じ顔に睨まれる体験なんてもう二度は出来ないだろう。……はぁ~!?こいつホントにむかつく!でも……私は我慢する。これ以上は戻れなくなるから、だから今は怒りをぐっと抑え込んで…
「な、何よ?」
「あんたこそ何で舌を」
「……それは私の台詞じゃん!」
「は?ったく最悪なんだけど」
「……はぁ、一回だけじゃまだ足りないの?……」
「……それはこっちの台詞」
やばい、こんなんで……体が火照ってすごく熱くなっている…それに団子を解いた私と同じ顔が私の顔に近づいてきて……
「ん」
「……っ」
あ、まただ……。このキスの味を知ってしまったら、もう私はこいつの舌に自分の舌を絡ませる事しか考えられないじゃん、そしてもっとしたいと思ってしまう。でもそれは私だけじゃ駄目、だって私同士なのに……。
「……っ!ん!」
「ん」
あ、また……私も舌を絡めようとはせずただ唇を押し付けるだけにする。そして少しして唇を離すと同じリップの匂いがする唇同士。
「もう終わり?」
「そっちこそまだまだいけるしょ…ね」
荒い呼吸を整えているうち、目と目が合いまた近づいてきてキスをする……まるで私達で自分達の唇を汚し合うみたい。でもしたいからしているキスじゃないキスなんてしたら私は完璧手遅れになってしまう……だからこれはただ私の舌をこいつに舐め回されたくないだけ。そう……それだけのはず。なのに……
「っ!はぁ……ん」
もう何回目かの唇の押し付け合い、そこに味は全く無いとか聞きたのにアイスの味はとっくになくなっても私の唇は甘い味のリップをつけているからか甘く…だけどそれすらも取れてもまだ瑞々しくて甘い唇。
「ん……はぁ」
「っ!……はぁ」
もうそろそろ終わりにしよ、これ以上したら……。でも私の唇とこいつの唇はもう離れようとはしない。
「……ん」
「ん」
まるで甘い軟体生物を舐めているような感覚で熱くて蕩ける……キス特有の"いやらしい味わいと粘液のねちょねちょした音"、"いつの間にか絡んでいた舌同士の思いの外柔らかい肉厚"、"すぐに消え去ってしまう熱。甘いお菓子のような小さな幸福感"、"感じているのだろうか幸せそうなお互い吐息"、"涙が出てしまいそうなぐらいのおいしさ。体がもっともっと欲しくなってくる快感に淫靡な、『我慢したくない』と言った強い気持ちを内部に呼び覚ます何かが胸の中で渦巻き、あたまがぼーっとして、もう何も考えられない、思いついてしまった事だけはしてしまうぐらいの罠。そして、このキスは……
「ん」「んっ」
もう終わりにしようと唇を離した時、私達の口と口に銀色の糸が橋のようにかかる。
「……はぁ」
「っ……ん……はぁ」
もう、戻れない……。でも私はもうこいつから逃れる事はできないだろう。だって、私はもうこいつの舌に私の舌を絡ませることしか考えられないから。だから私は……
「「あのさ……」」
「何?」
「何よ」
また重なる私達の声。でも今の私達はこのときだけの何か別の形で声を重ねているのだから何か恥ずかしく感じてしまい俯くしかなかった。だって……自分達がどんな顔をしながらキスしているなんて知りたくないじゃん、でも私も同じ顔なんだろうな。本当悔し。
「お互い完全に壊れちゃってるね」
「何今更再確認してんのよ、そんなのとっくに…でしょ?」
重なる髪は同じ匂い…本当に何もかも同じなんだね。艶やかな自分の髪が今は疎ましい、だって良い匂いで私の癖に私を誘惑するなんて、このまましてきたら、また私は……
「ってその汚れ」
「あんたのせいで汚れたのよ?」
「あ……」
あちゃ~さっき意地張りすぎて舌で完全に溶けているのか確かめる前に強引にかじったからな~。私のアイスはおじゃんになってしまったか。でも今日は新しく買いにもいけないから明日の放課後かな?
「ん!」
「……っ!?」
あ……またこいつまた……。
「はぁ……ん」
あ……私もやり返しちゃったし。
「ん」
また始まったじゃん、絡み合う舌同士にさっきよりも強い快感が……って!
「……ん!?」
あ、これは私が舌を引っ込めたせいか。でも……もう良いや…
「そんなに私の舌が好きなら舐めさせてあげる」
「はぁ?こっちの台詞なんだけど?」
……だから。
あ~もう!何でこんなに気持ちいいの!?って駄目だ、これじゃあ私が変態みたいじゃん!いや……もう変態なのかな?だって自分同士なのにこんなキスしてさ。でも……良いや、だって私が私に惹かれるのは絶対変じゃないし、それに自分の舌に舐められても嫌じゃないのはおかしい事じゃないはず。そうこれはおかしくない自然な行為だから、私は私の舌を舐めるのが好きなんじゃなくて自分自身を舐めて興奮する変態ってこと!うんそれしかないでしょ?
「「……っ!」」
あ、やっぱり同じ考えか。舌を吸おうとして私達はバキュームのようにお互いにお互いの唇を吸い合ってしまった。
「ん……ちゅ」
「ん~っ!……ちゅっ」
「「って唇吸わないでよ…舌舐めてる最中なのに…」」
「ん……だって」
「……っ!そっちが舌吸い込んじゃうんでしょ!」
「あんたこそ、私の舌を強引に張らないでよ!」
く、苦しいし生暖かい……でもやっぱり舌と舌が絡み合うのはヤバいね。私と私だから自分の弱い所も全部知っちゃってるしさ、そこ責められたら思わず感じちゃうじゃん。だってそうすれば自分同士が気持ちいいって認めてるようなもんだもん、だったらもっともっと責めたくなっちゃうよね?それが相乗効果になってしまってもう止められない。止まれない。止まりたくない。
「ん……んん!」
あ、やば……またキスだけでイかされそう。でもそれは私も同じで、もう限界はすぐそこだった。だから私は舌を引っ込めて唇も離した。
「……はぁ」
「っ……はぁ」
「…ちょっと髪の匂い吸わないでよ自分同士でこんなの恥ずいじゃん」
「は?そっちが先に私の匂いを吸ったんでしょ?」
「……だからそれは」
「……それはこっちも同じよ」
「じゃあ……分かったから、私があんたの髪の匂い嗅いで良い?」
「なら私はあんたの髪の匂い嗅ぐけど良いよね?」
もう我慢の限界だった。
「……って馬鹿!」
「うわ!?何で押し倒してんのよ!」
「あんたこそ!くすぐったいってば!」
私達は髪を鼻先で分け合いお互いの頭をがっしりと掴んで鼻を髪に突っ込んでいた。だって……そうしないとキスしちゃうから。
「ん!」
「っ!だから何で舌入れてくるの!?」
「そっちこそ!ド変態じゃん!」
また始まった、もう我慢なんて出来ないしするつもりもない。だってこれは私達が望んでいる事なんだから。良いよね私。