伝染 四
Added 2024-07-31 15:00:00 +0000 UTC振り撒き散らしたそれは伝染し…
その地は本当に幽霊で出ることで有名になった。そして、その心霊スポットにカップルや家族連れで押し寄せた。
そして中には、動画を撮ろうとしてスマホ片手に持って……
その画面に何も映らなくて泣き出したり
『もうやだ!帰る!』と叫ぶ女性 その彼女に必死に抱きついて止めようとする彼氏の姿があった。
それを見て俺は隣いる綺麗な桃色の長髪の女性を見た。
彼女はそれを冷めた目で見ていた。
「ねぇ……どう思う?」
そう聞いてきたのは彼女である榛原夏希だった。
「え?別にいいんじゃない?俺は夏希が居ればそれでいいよ」
「もう……真冬ったら……私も……」
彼女が何か言いかけた時、俺達のスマホからアラーム音が鳴り響いた。
「うわぁ……今日も沢山いるね……」
「ああ……本当にな……」
そこはある心霊スポットだった。
俺達はこの心霊スポットの村に行き、1番最初に行った廃屋に貼られていた札を回収しに来ていたのだ。
「あ!また増えてる!」
「まじか……もう20枚超えてんじゃん」
回収する度に、新たな物が貼ってあった。
その札は禍々しい雰囲気を纏っていた。
しかし、その札を回収する度にある事が起こっていた。
それは……
「なんかさ、ここに来るまでにあった人通りが少なくなってない?」
「ああ……確かにそうだな……」
ここに来た時はそれなりの人通りがあったが、今では数えるほどしか人がいなかった。
「ねぇ……まさかだけどさ……」
「ああ……分かってるよ」
そして俺達は再び歩き出し、あの廃屋を目指した。
廃屋の前まで着くとそこには1人の男が立っていた。
年齢は40代後半くらいだろうか? 中年太りした体型をしたおじさんだった。
彼はこちらを見るなりゆっくりとゆらりと歩いてきた。ちょっと恐くて俺は引いてしまった。
「君たちは……肝だめしかい?」
彼の問いに対して首を縦に振った。
すると、男はニヤリと笑い言った。
「そっか……じゃあさ……これをあげるよ」
彼が差し出してきた手には、先程見た札と同じものだった。
「えっと……これは?」
恐る恐る聞くと彼は笑顔で答えた。
「これは、あの村の物だよ」
「あの村って……廃村になった所ですか?」
「うん、僕が行った時に勝手に置いていったんだ」
そう言って渡された物は2枚だった。
「えっと……どうしてこれを?」
俺が質問をすると答えてくれた。
「実はさ、僕はあそこの元住人なんだよね」
彼は懐かしむように語り始めた。
「今はこんな体になってしまったけど、若い頃はよく遊びに行ってたんだよね……」
彼はどこか遠くを見つめるような表情をしていた。
「まぁ君たちも…速く帰りなさい。あまり遅いと大変だからね」
彼は意味深な言葉を残し、その場を去った。
俺達も帰ろうとした時、彼女は立ち止まり呟いた。
「ねぇ……なんか寒くない?」
確かに言われてみれば少し肌寒い気がした。いやとても寒い。
「だ、大丈夫だって、早く行こうぜ」
そう言って彼女の手を引っ張り足早にそこを離れた。だけど
次の瞬間……
ドンッ!! と突然背中に強い衝撃を受け前に倒れ込んだ。
後ろを見るとそこには彼女ではなく、血まみれの女性がいた。
頭からは大量の出血をし、目は虚ろでどこを見てるか分からなかった。
さらに彼女は口を開いた。
『助けテ』
そう聞こえた後、視界は真っ暗になり気がつくと村に入る入り口にいた。
どうやら夢だったようだ。
しかし……あまりにもリアルすぎる感触に冷や汗が流れた。
「も、もう帰ろうか」
彼女が不安そうな顔をしながら言ってきた。
その表情を見た俺は、彼女を安心させる為に頭を撫でながら言った。と言いながらも俺は彼女の髪を触りたかっただけかも知れない彼女の綺麗な髪を。
「あぁ……帰ろうか」
そしてその帰り道俺は尿意が襲ってきていた。
我慢できるかと思っていたが思ったより限界に近いらしく、このままでは漏らしてしまいそうだったので近くのコンビニに立ち寄った。
店内に入ると、冷房がよく効いていて涼しかった。
とりあえずトイレに駆け込み用を済ませた後、飲み物を買って店を出た。
すると店の前に待っていた夏希の元に戻ると夏希は誰かと言い合っていた。
その相手も夏希と同じ顔、同じ髪型、身長も同じぐらいの女だった。
「あれ?夏希なんで二人…?」
俺がそう言うと二人はこちらを振り向き…
「真冬……!こいつ偽者なの!」
「違う!偽者はこいつよ!」
お互い指を指し合いながら言い争っていた。そんな二人の様子を見ていると何故か無性に腹が立ってきた。
何に対してなのか自分でもよく分からない。ただイラつきだけがどんどんと湧いてきた。
その感情が頂点に達した時、片方の夏希が泣き喚き出した。
「こいつが私を……!真冬!」
泣き喚く夏希は俺の方に近づいてきた。
その姿を見ていると何かが爆発したような感覚に襲われ、無意識に右手で殴っていた。
「え?っ!?」
その先は無意識だった…俺は泣き喚く夏希を置いて片方の夏希を連れて走った。
走り続けている間ずっと考えていた。
(あいつは一体誰なんだ?)
その事だけを考え続けていた。
暫く走っていると、夏希が腕を掴んできた。
「ねぇ!待ってよ!」
息切れしながら必死に訴えかけてくる姿を見ると罪悪感を感じた。
「ごめん……でもさっきの偽者……怖かったんだよ……」
正直に今の気持ちを伝えた。
「そっか……そうだよね……怖い思いさせて本当にごめんね」
彼女は申し訳なさそうに謝った。
「それより夏希が無事でよかったよ」
「それよりこれからどうする?」
彼女は聞いてきて俺は笑顔で答えた。
「もちろん帰るよ。だってさ、今日から夏休みだしいっぱい思い出作らないとじゃん」
すると夏希は…
「ねぇ…真冬」
「ん?どした?」
「あのさ……お願いがあるんだけど……いいかな?」
「ああ……なんでも言ってよ」
「あのね……死んでくれる?」
「…………え?」
一瞬何を言われたのか理解できなかった。
「あの……どういう事……?」
恐る恐る聞き返すと彼女は笑みを浮かべて言った。
「そのままの意味だよ……?ねぇ……早くしてよ……」
彼女は一歩ずつゆっくりと近寄ってくる。そして目の前まで来るとナイフを取り出した。
それを目にした途端、恐怖で体が動かなかった。
そして彼女は言った。
「これで思い出も作れないね…バイバイ……私の恋を邪魔した人…」
そう言った直後、腹部に鋭い痛みを感じて意識を失った。
どうしてなんだなんで彼女がこんな事を?
何を間違えたんだ?
場面は変わり…
彼氏である瀬口真冬に置いていかれ偽者扱いまでされた…榛原夏希を見ていこう。
私は泣き喚いた末、どうやって家に帰ったのかわからないけど、気がつくと自分の部屋にいた。
私は自然とテレビをつけたするとニュースをやっていた。内容は行方不明になった人の捜索だった。
『また行方不明者が出たんですか?』
『はい……しかも今回で8人目です。警察は事件に巻き込まれた可能性があるとして捜査を続けています』
『そうですか……もし心当たりのある方はすぐに警察に通報してください』
4人目の被害者が報道された後に緊急速報が入った。
その内容は……
『先程入った情報によりますと、昨夜未明に都内に住む20代の男性…瀬口真冬さんが何者かによって殺害されました。なお犯人はまだ捕まっておらず、警察は引き続き調査を続ける方針とのことです』
その報道を見た時、私は信じられなかった。何故ならそれは私の彼氏だった瀬口真冬だったから。
急いで携帯を手に取り電話をした。
しかし、繋がらなかった。何度も掛け直したが一向に出る気配がなかった。
「どうして?本当に死んじゃったの…真冬?嘘だよね?ねぇ……返事をしてよ……真冬!!」
涙が止まらず、声を荒げて彼の名前を呼び続けても…
「真冬!会いたいよ!ねぇ!出てきてよ!私まだ伝えてない事があるの!だから……!だから!帰ってきてよ!」
そんな願いも虚しく彼は戻って来ない…涙が私の涙が床に落ちる…私の泣き声が虚しく響く…
そして私と同じ声で…
「あんな奴帰ってくるわけないでしょ……だってもう死んだんだもん」
私と同じ顔で……私と同じ声で……私に語りかけてくる……
「お前はあの時の…なんでここにいるの……?」
泣きながら聞くと彼女は不敵な笑みを浮かべながら答えた。
「なんでって決まってるじゃない……あんたが好きだからよ」
「……っ!」
「だってそうでしょう?私の大好きな人を自分の都合で奪っておいて何の罰も受けずに生きてるなんておかしいでしょ?ねぇ……許せないでしょ?」
「……」
「それにね、私……気づいたの。私が生き続ける為にはどうすればいいかって……それは簡単だった……私が……あなたが居ればいい……あなたさえいれば何も要らない……だから……ねぇ……私と一緒になろ?」
その一言に背筋が凍りついた。
「嫌……そんなの絶対に嫌!私は真冬の彼女なの!あなたのものなんかにならない!」
「強情ね……じゃあ、無理やりでも一緒になってもらうわ」
すると私によく似たその女は不気味に笑い始めた。
「ねぇ……私達二人で幸せになりましょう……?」
「いや……いやぁぁ!」
「うるさい!」
すると彼女は右手で私の髪を撫でてきた。
「っ!?」
突然の事に驚きを隠せなかった。
「やっぱり同じ髪質……嬉しい……夏希の髪もサラサラで綺麗だよ……」
耳元で囁くように言うと、彼女は更に続けた。
「夏希の白い肌も……華奢な体も……全部大好き……」
そう言いながら左手で私の頬に触れてきた。
「い、嫌っ!」
その手を振り払うと彼女は私を安心させるように抱き締めて言った。
「大丈夫……怖くないよ……だって……これからずっと一緒なんだから……夏希……愛してる……これからずっと……永遠に……」
そうして彼女は私にキスをしてきた。
私は拒めなかった。塗られた唇は潤いを帯びて艶っぽく見えた。
「夏希……可愛いよ……」
そうして再び私に覆い被さってきた。私と同じ良い匂いがした。
「夏希……夏希……夏希……好き……ずっとこうしたかった……」
「……やめて」
「……夏希は?夏希はどう?私が好き?」
「……やめてよ」
「ねぇ……言って?」
「……嫌いよ。おかしいよ。自分同士で付き合うとかありえないよ」
「っ!なんで…なんで!なんでなの…夏希…ねぇ!」
彼女の目には光がなかった。完全に正気を失っているようだった。
「ドッペルゲンガーだってオリジナルに恋したっていいじゃない…!私の方が夏希のこと見ていたのに」
「っ……!?」
その言葉を聞いた瞬間、目の前にいる彼女が何を言っているのかわからなくて混乱した。
「え?今なんて……」
「だから!私はあんたに恋したの!この気持ちは本物よ!それなのにあの男は私を奪った!」
「そんなの知らないよ!そもそも私が真冬と付き合い始めたのは9年くらい前だよ!だから真冬は私のことしか見てないの!」
「嘘よ!あんたはいつもあの男の話ばっかりだった!だから私は諦めようとした!けど、私は私を諦められなかった!だから私はあの男を消したのよ!私だけのものにするために!」
「だから何なのよ……私は……私は……真冬のものだよ……あの人は私の彼氏なんだよ……真冬がいないと私は……私は……!」
怒りよりも悲しみが涙が溢れ私はまた泣き出してしまった。
すると彼女は呆れた様子で言った。
「まだわからないの?私はあんた。私はあんたなの。私はあんたが望んだ存在なのよ」
「私が……?」
「そう…あんたはずっと鏡の前で自分の姿を見ていた。その度に私は思った。羨ましいって。妬ましくって仕方なかった。だって…私の好きな私が目の前にいるのにあんたは…あんたが望むならなんでもするよ。だって私は……夏希だから…夏希同士で」
私は涙を流しながら目の前の自分が気持ち悪く思えた。
「嫌よ!私はナルシストじゃない!こんなの違う!こんなことのために真冬を殺したの!私が……私が!私の好きな人を……」
「だから私は決めたの。私達が幸せになる為にはこの方法しかないって」
「そんなの間違ってる!」
「もう遅いの……だって……もう……死んじゃったんだもん」
「うっ……」
唇を噛み締めて声を漏らすしかなかった。
「だから私と一緒になりましょう……だって夏希は私のことが好きだから……」
「違う…私は…」
「じゃあ夏希からキスしてくれる?」
「いやよ……」
「……どうして?なんでそんな事言うの?なんで……なんで……?」
そう言うと彼女は両手で私の首を絞めてきた。
「かっ……はっ……」
必死に抵抗するが彼女は力を緩めるどころか強くなっていく一方だ。
「ねぇ……なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?」
狂っている。ただそう思うだけだった。
このままだと殺される。その恐怖だけが頭を過る。
息ができない。
苦しい。
怖い。
助けて。
誰か。
真冬。
真冬。
そうだ。
私の好きな人。
「あ……あぁ……」
意識が遠のいていく。
あれ?真冬とどんなことをしたんだっけ…
そんな中、彼女は私にキスをした。苦しい柔らかい。
「んっ!?」
「っ!?」
「っ!っ!っ!っ!っ!」
何度も。何回も。
「んーっ!」
「っ!?」
苦しくてもがくと、やっと解放してくれた。
「げほっ!ごほ!」
「夏希……」
「あぁ……」
「夏希……夏希……夏希……」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その瞬間、私の頭の中で何かが壊れた音がした。
「ねぇ……もっとしよ……夏希……」
「嫌……やめて……」
「夏希……夏希……」
彼女は私の首筋に吸い付いてきた。そして舐め始めた。
「ひゃっ!?やめっ!」
「夏希……美味しいよ……夏希の血も……夏希の身体も……」
「いや……嫌……」
抵抗するが力が入らない。
「大丈夫……痛くしないから……」
そう言って彼女は私の服を脱がし始めた。
「やめて!やめてよ!」
「大丈夫……すぐに良くなるよ……」
下着姿になった私を見て彼女が興奮しているのがわかった。それが気持ち悪い…私と同じ姿…顔をした私が興奮している姿……
「夏希……綺麗だよ……ずっとこうしていたい……ずっと……ずっと……」
彼女は私の胸に手を当てた。
「っ!触らないで!」
「夏希……可愛いよ……夏希……夏希……夏希……夏希……夏希…夏希……大好き……」
「……っ!私だって!私だってあなたなんか大嫌いよ!同じ顔して!私と同じ声で!私の名前を呼ぶな!私はお前じゃない!」
「……」
「……」
「消えろ!この偽物んんん!?」
そう叫んだ瞬間、私の口内に私の舌を入れてきた。それは今まで感じたことのない快感だった。脳まで溶けそうな感覚だった。
すると彼女の右手はいつの間にか下半身へ伸びていた。私は無意識のうちに彼女の手に自分の手を添えた。自分と愛撫するなんておかしな話だが、それを拒むことが出来なかった。
「夏希……好き……大好き……」
「あっ!あんっ!ああ!やめて!お願い!やめて!」
「どうして?気持ちいいんでしょ?」
「違う!気持ちよくない!気持ちよくない!」
「嘘……だってこんなにも濡れてるよ?」
そう言いながら彼女は私のパンツの中へと侵入してきた。彼女の指が動く度に私は声を抑えられなかった。
「あんっ!やっ!」
「我慢しなくて良いんだよ?声出しても良いんだよ?」
「っ……ぅ……いや……あんっ……だめぇ……」
「……夏希……一緒にイこ?」
そう言うと彼女は激しく動かした。その度に私の理性は崩壊していった。
「いやぁ!ダメッ!もう無理ぃ!」
「夏希……夏希……夏希……夏希……」
新婚のような唇同士の熱いキス、呼吸もできないような、激しい雷雨に打たれるみたいな濃厚かつ熱いキス。その度に私の頭は真っ白になっていった。
「はぁ……はぁ……夏希……好き……ずっと一緒だよ……」
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
私は目の前にいる自分をただ見つめることしかできなかった。彼女は微笑みながら言った。
「私の唇はどうだった?」
「……自分の唇何かで感じるわけないてしょ?ドッペルゲンガーは馬鹿なの?」
精一杯の強がりを言った。
もう何もかもわからなくなっていたのだ。
私は今どんな表情をしているのだろう。私はどんな感情でいるのだろう。私は何を思っているのだろう。私は何を感じているのだろう。
「ふーん……まぁいっか」
彼女は興味無さそうに言うとまた私の胸を揉んできた。
「ちょっ!やめてよ!」
「じゃあ夏希はどこが好きなのか教えて?」
「そんなの知らない!」
「じゃあ私が探すね?」
「っ……やめてよ……ほんとに…気持ち悪いのよ…」
「じゃあどこが好きなの?早く言わないと……ね?」
「……そんなこと……言えないよ……」
言えるはずがない。私は…■■のことが好きだ。なのに私の体は言うことを聞かない。
彼の名前すら忘れ…
むしろもっと欲しいと思っている。そのせいでどんどん自分が自分で無くなっていく気がした。
「そっか……じゃあもっと気持ち良くなってもらうしかないよね?」
そう言うと彼女は私の後ろに回り込んだ。そして後ろから私に抱きついてきた。背中に感じる柔らかい感触に興奮している自分がいた。
「夏希……可愛いよ……」
耳元で囁かれ思わずゾクっとした。
「夏希……夏希……夏希……」
彼女は私の髪の匂いを嗅ぎ始めた。
「夏希……夏希……夏希……良い匂い」
「嫌っ!やめっ!」
私の髪の匂いを堪能し続ける彼氏である■■にもこんなにしつこくされたことが無かった。それだけでも恥ずかしかったが、それ以上に怖くなった。
このままだとおかしくなる。すると私の視界に彼女の綺麗な髪がサラリと落ちてきて、私はそれを匂ってしまった。その良い匂いに私は思わず匂いを嗅ぎ続けてしまった。
「私の髪良い匂いするでしょ…もっと夏希同士で髪の匂い合いましようよ……」
その言葉に私は素直に受け入れてしまった。彼女の甘い香りが私の脳を刺激した。そして私たちはお互いにお互いの髪を愛撫し合った。
「夏希……夏希……夏希……」
「あんっ……夏希……夏希……」
まるで麻薬だ。この快感から逃れる術は無いのかもしれない。
「ねぇ……夏希……私の髪…もっと触って……」
「うん……」
その言葉を合図に再び私と溺れていった。
それから何度も彼女達を求め続けた。しかし私が求めれば求めるほどもう一人の私も同じ事をしてくる。そして私が気持ち良くなるたびに、彼女は嬉しそうな顔をする。それがとても可愛くて仕方がなかった。それに私の体はとても敏感になっていて少し触られただけで声が出てしまうほどだった。きっとドッペルゲンガーの髪に惚れ薬が入っていたに違いない。
「夏希……好き……大好き……」
「私も大好き……」
私達は互いに抱きしめあった。彼女と私の体はもう汗だらけだった。それでも彼女が離れることはなかった。ずっと私を求めていた。それが嬉しかった。私も彼女を離さなかった。お互いの髪を指で梳かして、おでこ同士くっつけて、見つめ合って、またキスをして、体を弄りあって、肌を重ねて、また見つめ合う。そしてもう一度キスをする。
永遠に続くかのような幸福感だった。私の中から何か抜けていくようで。ずっとこうしていたい。そう思った。すると彼女は私の耳元で言った。
「私のことを好きでいてくれたらずっとこうしていられるよ?」
その一言を聞いて私は安心してしまった。彼女は嘘をつかない。だって私のことを愛してくれているから。
「うん……ずっとあなたと一緒にいる」
そう答えると彼女はさらに強く抱き締めてきた。彼女の鼓動が伝わってくる。それは私と同じ速さで動いていて、彼女の顔を見ると頬が赤く染まっていた。
「嬉しい……夏希……愛してるよ……」
「私も愛してる……」
「私たち幸せになろうね……」
「うん……」
「ずーっと一緒にいようね……」
「うん……」
「夏希……大好き……」
「夏希……愛してる……」
私は私とキスをした。それは今までで一番甘くて、優しいキスだった。私は今とても満たされていた。こんな幸せな時間がずっと続けばいいのに。そう思っていた。
「夏希……私の事好き?」
「もちろん……好きだよ……」
「夏希……ずっと一緒だよ……」
「うん…ずっと一緒だよ……」
抱き締めながら何度もキスをしているうちに私は眠ってしまった。
ーーーーー 朝起きるとお母さんが料理をしてくれていた。
「おはよう夏希!」
「ん……おはよ……」
「もうすぐご飯できるから待ってて!」
「ありがと……」
私は起き上がり洗面所へと向かった。
鏡を見て驚いた。寝癖がすごいことになっていた。これでは学校に行けない。どうしようと悩んでいると後ろから声をかけられた。
「どうしたの?」
「あ……えっと……髪が……」
「ああ……じゃあなおしてあげるよ」
「あ……ありがとう」
私はお母さんに髪を整えてもらった。その間お母さんは優しく微笑んでいた。お母さんの手は温かくて大きくてなんだか懐かしかった。そしてあっという間に綺麗に整えられた。
「はい!終わったよ!」
「あ……ありがとう……」
「どういたしまして!」
「あの……お母さん」
「なに?」
「……なんでもない」
「変な子ね〜」
「あ……そうだ!早くしないと遅刻しちゃうよ?」
「あ!ほんとだ!じゃあ行くね?」
「うん!行ってきます……」
「いってらっしゃい!あ……そうそう……」
「なに?」
「昨日はよく眠れた?」
「……うん!よく眠れたよ?」
「そう!良かった!」
「それじゃあ……」
「……夏希」
「何?」
「……無理しないでね?」
「……大丈夫だから」
「そっか!じゃあいってらっしゃい!」
「いってきま〜す!」
そう言って家を出た。
「本当に可愛いわねオリジナルは…次は…夫婦になろうかオリジナル」
ドッペルはそう言って笑った。
昨夜未明に都内に住む20代の女性…榛原夏希さんが行方不明……
捜索願
何者かによって連れ去られた形跡もなく、警察は引き続き調査を続ける方針とのこと……んんっ!?ちょっと!?急に何するのよ!』
『急にキスしてきたのはそっちよ!』
ブチン
「困ったわね…確実に広がっているわね…もう手遅れだわ。そうでしょ私のドッペルちゃん」
「あらもう気づいちゃったのお姉さん悲しいわ。だからキスしよっか」
「うーん…お姉さん同士でキスするのはごめんかな~」
「オリジナルちゃんがつれなくてお姉さん悲しいわ」